第3章 1取組課題の抽出

 本章では、公共図書館をハブとしたネットワークにおいて目指すべき方向性について、前章で確認したメニュー体系より公共図書館が取り組むべき優先度の高い課題を抽出していく。その上で、抽出された取組課題候補について、公共図書館が、課題解決のために具体的にどのように寄与していくのか、利用イメージを検討する。先に、検討の枠組を簡素化するために、公共図書館を中心に想定される主要機関と主要業務を明らかにし、次いで、各取組課題におけるより具体的な詳細課題(利用者から見た公共図書館に対する問い合わせニーズ)を基に、公共図書館に期待される課題解決機能を明らかにする。
 当然、現在ある平均的な公共図書館の機能やサービス内容よりも、高度化・複雑化することになるため、どの公共図書館でも取り組みやすいような基盤形成が必要となる。これらの業務面や情報システム面でのインフラ基盤については、第4章で検討することとし、本章では、実現可能な地域公共ネットワークにおける公共図書館の在るべき姿を描いている。

1. 取組課題の抽出
(1)  取組課題の抽出方法・抽出基準
 評価基準として、公共図書館側の期待効果としての「図書館業務からの視点」及び「ネットワーク化からの視点」、利用者側の期待効果としての「課題解決からの視点」、を設定した。
図書館業務からの視点
公共図書館が強みとする中核的な能力の活用度合い
収集した情報の組織化等が生かされるか?
情報資産と司書を生かしたサービスとなるか?
他の施設による代替機能があるか?
ネットワーク化からの視点
ネットワーク化による付加価値の創出可能性
他の施設が有する情報の活用や連携があるか?
ネットワーク化や情報通信化によるサービス実現にブレークスルー(現状打破)の要素が盛り込まれているか?
ネットワーク化により、公共図書館の業務範囲の拡大や業務フロー見直しに繋がるか?
課題解決からの視点
地域住民が抱える日常生活の課題解決に対する寄与度
地域住民の利用ニーズ・有効性が高いか?
個人の自立への寄与が高く、早期実現の必要性が高いか?
地域社会が抱える課題解決に対する寄与度
地域経済の活性化や地域雇用の創造への寄与が高く、早期実現の必要性が高いか?
文化的・社会的つながりによる、地域コミュニティ形成に貢献するか?
地域の魅力向上に繋がり、地域外からの流入・地域選択に効果をあげられるか?

(2)  取組課題の評価結果
 上述の先進事例や評価基準に基づき、目指すべき公共図書館の方向性として、優先して取り組むことが望ましい課題候補を審議した。その際、地域課題の解決、個人の自立化、及び地域の教育力向上の3つの目的に分けると、結果は以下のとおりである。
<地域課題の解決支援>
ビジネス支援
行政情報提供
  <個人の自立化支援>
医療関連情報提供
法務関連情報提供
  <地域の教育力向上支援>
学校教育支援(子育て支援含む)
地域情報提供・地域文化発信

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-- 登録:平成21年以前 --