平成15年度専修学校先進的教育研究開発事業

事業名 地域ブランド確立のための建築デザイン・コンペティション
学校法人名 学校法人 中央工学校
学校名 専門学校 中央工学校
代表者
理事長 大森 厚
担当者・連絡先
建築次長 松田 正之
事業の概要  地域に根ざした工務店や建材店の協力を仰ぎ、学生によるデザインコンペを実施し、若い感性による自由な発想により、地域のブランドとなるような住宅のデザインを集め、多様なデザインを蓄積した。
 コンテストで集めたデザインをデータベース化し、協力企業を通して顧客に提案するイベントへの参加までを一連の授業として構築し、企画・調査から、顧客へのプレゼンテーションまでを実践的に学べる授業形態を開発するとともに、地域産業の振興の一助となることを目的とした。
成果  この目的を達成するために、地域の気候・風土、文化に密着し、地域産業の振興にも寄与する工務店や建材店の協力を得ながら、学生によるデザインコンペを実施した。このコンペによって、若い感性による自由な発想のデザインを集め、多様なデザインを蓄積し、これらのデータを提供することにより、地域の工務店を活性化することを具体的な目標として設定した。さらに、学生には協力企業を通して、顧客に自らのアイデアを提案するところまでを一連の授業として構築し、マーケティングやプレゼンテーションの実際を、実務に直結した授業体制の中から学べる授業形態を開発しようと企図したものであった。
 結果は学生のレベルに見合った等身大の提案も見られたが、上位作品は想像したレベルをはるかに超える提案がなされた。これは、各学校の指導者が、コンペの募集要項を学生にも十分に理解できる内容で作成することに心を砕き、かつ、レベル的には相当程度の背伸びを促すような指導を行なった結果と推察される。また、学外委員(協力企業)からも、対象地域に関する様々な具体的情報の提供を受け、さらにコースによっては、学生が現地見学をし、対象地域にふさわしい建築(住宅)デザインのイメージを膨らませて、提案を行うことが可能となったことが大きく貢献したと考えられる。
 これらの一連の流れの中から、学生は家つくりの本質的な意義や、地域の特性をさまざまな角度から検証・把握することの重要性を理解し、アイデアをまとめそれを表現し発表するテクニック等を体験できたことは、大きな成果となった。
 また、対象地域の学外委員の協力により、学校教育の場に実務者の経験や考え方を直接反映し、より実践的な教育手法のノウハウを蓄積できたことと、協力企業との間に強固な絆が生まれたことは、学校側にとっても大きなメリットとなった。
 提出された作品は審査・講評のうえ、上位レベルの作品は優秀作品として選出され、表彰された。学生にとっては、コンペという競争原理を意識せざるを得ない、より実務に近い形での作品制作が行われ、学外委員を加えた第三者による公正な評価が行われたことは、刺激的ですばらしい経験になり、今後の学習意欲を向上させる糧となったことと思われる。
 さらに、ともすれば課題作品の提出で一件落着となることが多いカリキュラム構成の中で、その後も学外から関係者を招いて、作品のプレゼンテーションの機会が設けられたことは、実務の中では将来必ず必要になる重要な能力の育成の一助として、効果的であった。
 三河・足助地域では、本人によるプレゼンテーションはできなかったものの、町おこしイベント会場と町役場において、約2週間優秀作品上位5点の展示を行うことができた。さらに、神奈川地区では、卒業生が経営する工務店において、提案作品をもとに実際に建築する動きも模索されていることを、成果の一端として挙げておきたい。



-- 登録:平成21年以前 --