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公的機関の設定する研修の「標準」の必要性について |
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文部科学省などのような公的機関の設定する、研修カリキュラムの「標準」となるものを必要とする意見が多く、「標準」のニーズは高いといえる。
「標準」の必要性についての留意的意見として、「標準」の構成を固定的なものにすることに対する危惧や、「標準」の存在よりもむしろその運用に対する指摘があげられた。
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(2) |
「標準」の研修実施のための基礎資料としての必要性について |
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研修担当者の研修計画立案の際の参考資料として、実施者のメディア観をカバーする意味合いから、研修受講者がメディアの動向を知る意味で、種々の理由から、研修実施のための基礎資料として「標準」を必要とする意見があげられた。
なお、研修実施のための基礎資料として「標準」を採用することに対する留意的な意見や否定的な意見は特になかった。
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(3) |
研修内容の選択性について |
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研修受講生の状況、地域性の相違、研修内容の分化と多様化などの理由から、研修内容を選択性にすべきであるという意見が大多数であった。
一方、研修の核となるものについてのみ、固定化した方が望ましいとする意見もあげられた。この場合、研修の核となるべきものは、メディアの状況の変化に応じて変わることが予想されるため、定期的な「標準」の改定は必須となろう。
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(4) |
研修内容の固定化について |
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研修内容を固定化すべきという意見は少なく、研修実施者の裁量で各地域の研修計画が策定されることを望む意見が大多数であった。ただし、「標準」の不断の改定がなければ、年月とともにその内容が固定化、陳腐化してしまうという懸念が寄せられた。
一部、指導者育成と言う観点から研修内容を固定化すべきだとする意見があった。これについては、研修実施者育成のためのモデル・プラン(第5章参照)が参考になろう。
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(5) |
研修実施主体の分担制について |
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研修の内容・レベル・規模、地域性の相違に応じて、研修を分担して実施すべきであるとする意見が多い。中でも、研修実施者やメディア管理者の研修は国・都道府県で、各メディアの知識・技術研修は市区町村で実施することを望む意見が多い。本「標準案」で提案している研修項目「研修実施者のための研修」や、研修実施者育成のためのモデル・プランが研修の役割分担を行なう際の一助となろう。
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(6) |
研修内容の段階・分類について |
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「標準」の内容に具体性を持たせるため、研修内容の妥当性を示すため、研修計画立案の参考資料として、研修内容を「研修細目」「学習事項」(附録A参照)の段階まで細かく記すことについて、これを望む意見がほとんどであった。
一部、重複する研修内容を統合すべきであるとする意見があげられた。これについては、「学習事項」の段階で内容の相違を示したり、注記でそれぞれの扱いを示すなどして対応することとした。
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(7) |
研修事例を示すことの是非と、その分量、内容について |
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研修事例を示すことについて、否定的な意見はなく、ある意味において研修事例を提示することは必要であることが明らかになった。
研修事例の分量については、これを増やすべきとする意見と減らすべきとする意見とに分かれた。研修事例の内容については、研修計画の例と合わせて研修の実施例を付すべきであるとする意見が一部あった。今後、各地域の研修実施主体と連携しながら、研修の実施例を示していくことが課題としてあげられる。
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(8) |
「標準」および研修内容の加除修正の方法と周知の方法について |
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「標準」および研修内容の加除修正の方法について、作業部会や研究会、ネットワーク上に修正システムを設けるなどして、不断かつ速やかな改定を望む意見が大多数である。修正のスパンについては、毎年修正されることを望む意見が多く、長くとも5~6年に一度は修正すべきであるという結果であった。
「標準」の周知の方法については、インターネット上での周知を望む意見が多い。また、印刷媒体とインターネットを併用して周知徹底すべきであるという意見もあった。
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(9) |
「標準」のマニュアル、または解説書の類の必要性について |
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研修計画立案の際の参考資料として、「標準」のマニュアルに類する資料が必要であるとする意見が多い。マニュアルの発表形式については、オンラインでの発表を望む意見と、印刷媒体による発表を望む意見とに分かれている。
一方で、現在の「学習項目」の段階まで示している「標準案」を周知することで十分とする意見や、労力と経費などの問題からマニュアルの作成に対して否定的な意見もあった。
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各研修団体間の研修計画など情報交換、協力体制の必要性とその方法について |
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研修団体間の情報交換の場や協力体制を必要とする意見は非常に多く、何らかの方法でこれを確立することが望まれる。情報交換の方法については、インターネットやメーリングリストなどを利用すると意見が多い。また、その際には国や特定の研究機関などが、管理・指導的な立場を取るべきでする意見があげられた。
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(11) |
その他 |
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「標準」の構成について、研修項目に重要度のラベルを付すべきであるとする意見、研修の順序性を示すべきであるとする意見が一部あげられた。これについては、委員会で協議・検討した結果、「標準」で示される研修項目を選択性にする以上、研修内容の扱いの軽重や順序性についても研修実施者の裁量に委ねるべきとする結論に至った。その代わり、研修のモデル・プランやマトリクスで研修の段階等に対する例を示すこととした。
また、平成15年度の調査研究でも報告されているように、従来からの映像を提示するメディアについては、各地域での研修が既に一定の成果をあげている事実を踏まえ、これを「映像機器」という「研修項目」に統合することで扱いを縮小しつつも、「標準案」に残すこととした。逆に、コンピュータ関連のメディアはその扱いを拡大し、ハードウェア、または、ソフトウェア別に「研修項目」を立てることとした。 |