1. | 「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準案」(平成17年度案)の作成に至る経緯 | ||||||||||||||||
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2. | カリキュラムの評価 | ||||||||||||||||
研修カリキュラムなど、一般的にカリキュラムの開発では、形成的評価(formative evaluation)が必須とされている。つまり、当該カリキュラムの適否は、これによって学習する学習者の反応によって判断される。カリキュラムを作るための評価、形成するための評価というわけである。開発の手続きとしては、カリキュラム案をまず作り、これを対象とする学習者に試行し、学習者の反応を得て、カリキュラムの適否を評価する。この手続きは、新薬の開発に類似している。つまり、動物実験や臨床実験を行って、その効果が確かめられた後、実際の患者に使用される。カリキュラムの開発にあたっては、形成的評価は必須とされるものの、現実的には種々の困難のために、その事例はきわめて少ない。特に、「平成15年度標準案」を基にするカリキュラムでは、「研修目的」「研修対象」および「研修内容」を組み入れたカリキュラムは多数であり、そのそれぞれについて形成的評価をあらかじめ実施することは、ほぼ不可能である。 カリキュラムの作成に関して、形成的評価が困難な場合には、専門家による意見を基にする評価(理論的吟味)、思考実験的に「実施したと仮定して」考える評価(経験的吟味)、あるいは、海外などの事例をもとにする評価(比較的吟味)などで代行することができる。 |
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3. | 「平成15年度標準案」の特徴と問題点 | ||||||||||||||||
一般的に言って、明確な「標準」が一度定められると、それに従っていれば無難だという安心感がある。「平成15年度標準案」に先行する二つの標準は、選択の幅はあるものの、固定された標準ということができる。しかし、「平成15年度標準案」では、それぞれの研修担当者が、研修のねらいと研修者の性質から、研修を立案し、実施する際に手がかりとなるための要領が示されている。ここでは、研修内容の選択、各内容の扱い方の濃淡、研修時間の配分など、研修担当者の自由な選択を基本としている。この点が、従来の「標準」と異なるところである。 「平成15年度標準案」の特徴を、以下のようにまとめることができる。
以上の特徴に関して、例えば、「自由選択制」などに関して、専門家や研修担当者の意見を徴しておかなければ、有用な標準とならないと思われる。このような考え方、または危慎から、以下のような考え方も確かめておく必要があると考えられた。
以上のような考え得る課題や問題点を明らかにするために、調査を進めることとなった。 |
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4. | 「平成15年度標準案」の研修項目、事項、細目の修正 | ||||||||||||||||
教育メディア状況の急速な変化を考えると、「平成15年標準案」に盛られている研修の「項目」、「事項」、および「細目」の一部修正が既に必要となっているかもしれない。特に、「事項」と「細目」での変更が予測されるので、加えるべきものと、削除すべきものを調べる必要がある。この作業によって、これまでも議論されてきた、教育メディアの状況に応じた「標準」の修正についての示唆が得られると思われる。 |
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-- 登録:平成21年以前 --