令和6年3月14日に文部科学省「次世代の校務デジタル化推進実証事業」の成果報告会を開催いたしました。
今回ご紹介する校務系・学習系ネットワークの統合やクラウド環境での校務の実施等、次世代校務DXの事例をご参照いただき、各組織における教職員の働き方改革や教育活動の高度化推進施策のご検討にお役立てください。
本事業では、秋田県及び山口県を実証地域とし、校務系・学習系ネットワークの統合、クラウド活用を前提とした次世代の校務支援システムの整備を行う次世代校務DXのモデルケース創出に取り組みました。
本事業では、青森県、岩手県、群馬県、茨城県、奈良県、福岡県及び札幌市、名古屋市、北九州市、福岡市を調査フィールドとし、次世代校務DXの姿を実現するにあたっての現状分析、課題抽出、ロードマップの検討等に取り組みました。
次世代の校務デジタル化推進実証事業
統合型校務支援システムの整備率は81.0%(令和4年3月)まで上昇し、校務効率化に大きく寄与してきたが、その殆どがネットワーク分離(閉鎖系ネットワーク)による自組織内設置(オンプレミス)型運用であり、校務用端末は職員室に固定されているため、GIGA時代・クラウド時代の教育DXに適合しなくなっている。
具体的には、データ連携や働き方改革の観点から以下の[1]~[7]の課題が生じており、それらの課題の解消を目指した次世代の校務のデジタル化モデルの実証研究を行う必要がある。
[1]学習系で生成されつつある膨大なデータと、校務支援システムに蓄積されたデータとの連携が困難又は高コスト
[2]デジタル化が進みつつある教育行政データ(EduSurvey,MEXCBT等)、福祉系データとの連携が視野に入っていない
[3]転校・進学時など自治体間でのデータの引き渡しができていない
[4]クラウドベースとなっておらず、自宅や出張先での校務処理ができない・大規模災害や感染症などの緊急時の業務継続が困難
[5]自治体によってシステムが大きく異なり、人事異動の際の負担が大きい
[6]利便性の高い汎用クラウドサービスの登場で、統合型校務支援システムの一部機能との重複が生じている(例:チャット、資料共有、カレンダー)
[7]教育データを学校・教育行政向けに可視化するインターフェース(ダッシュボード)がなく、学校経営指導に活かされていない
(1)次世代の校務デジタル化の推進に向けた実証研究
教育データ標準化に関する政府全体の検討状況や教育行政調査システム(EduSurvey)のデジタル化の状況を踏まえながら、原則として域内の全ての市区町村と連携した都道府県や、政令指定都市による次世代の校務デジタル化(校務系・学習系ネットワークの統合やクラウドを活用した校務処理等)モデルの実証研究を実施し、モデルケースを創出することで、全国レベルでの効果的かつ効率的なシステム入れ替えを促進する。
(2)次世代の校務デジタル化に向けた実証研究の支援・分析・成果取りまとめ、諸課題の調査・検証
実証主体等が行う実証事業の管理・運営・支援、実証に関連する諸課題についての調査・検証、関連する文書の作成等を行う。
(3)次世代の校務DXに向けた校務支援システムの機能強化
「専門家会議の提言」の内容を踏まえ、各ベンダーにおける次世代の校務支援システムへのモデルチェンジを加速させることにより、各自治体における次期システム更改の際に、次世代の校務支援システムへの移行を円滑に進める。
(4)次世代の校務デジタル化に向けた計画策定に係る調査研究
原則として域内の全ての市区町村と連携した都道府県や、政令指定都市による次世代の校務デジタル化(校務系・学習系ネットワークの統合やクラウドを活用した校務処理等)実現のための主にICT環境整備に関するロードマップを整理することで、全国レベルでの効果的かつ効率的なシステム入れ替えを促進する。
(5)次世代の校務デジタル化に向けた実態把握と課題の抽出に関する調査研究
全都道府県への調査を行い、都道府県主導による次世代の校務デジタル化実現に向けて実態を把握する。
(6)校務系・学習系データ連携に係る標準規格の策定等に関する調査研究
校務系と学習系のデータ連携において、一部のデータを除いて相互運用するための標準規格が存在しないことから、一部事業者で部分的な実装が行われているだけで、データ連携が普及していない。現状のままでは、各社独自規格での実装が進むことから、データ連携に係るトータルコストが高くなってしまう恐れがある。また、校務系や学習系で特定の事業者間のみでデータ連携が行われることが発生するなど、利用者の選択の幅が狭まり、ベンダーロックインを生じさせる要因になりえることから、現状の校務系・学習系のデータ連携の状況や、業界団体での議論などを踏まえ、校務系・学習系のデータ連携の標準規格を策定することで、データ連携の社会実装を促すことを目的とし、これらの取り組みを通して次世代の校務デジタル化を推進する。
(1)次世代の校務デジタル化の推進に向けた実証研究
・山口県
・秋田県
(2)次世代の校務デジタル化に向けた実証研究の支援・分析・成果取りまとめ、諸課題の調査・検証
・エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(3)次世代の校務DXに向けた校務支援システムの機能強化
・株式会社内田洋行
・株式会社EDUCOM
・株式会社サイバーリンクス
・株式会社システムディ
・株式会社文溪堂
・テクマトリックス株式会社
(4)次世代の校務デジタル化に向けた計画策定に係る調査研究
【都道府県】
・エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
・PwCコンサルティング合同会社
・アクセンチュア株式会社
【政令指定都市】
・エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(5)次世代の校務デジタル化に向けた実態把握と課題の抽出に関する調査研究
・株式会社ベネッセコーポレーション
(6)校務系・学習系データ連携に係る標準規格の策定等に関する調査研究
・株式会社NTTExCパートナー
初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム