2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会(第4回)

1.日時

平成28年6月17日(金曜日)10:時~12時

2.場所

文部科学省13階第1~3会議室

3.議事

1.関係会議の動向

2.各WGにおける検討状況についての報告
・基本問題検討WGの検討状況
・スマートスクール構想検討WGの検討状況
・教育情報化加速化検討WGの検討状況

3.自由討議

4. 配布資料

5.議事概要

(1)座長挨拶

(2)文部科学省関係施策の動向について(事務局から説明)

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、1番目の議事は、関係会議の動向でございます。事務局より御報告を頂きたいと思いますが、初めに、政府全体の動向としまして、「日本再興戦略2016」、「ニッポン一億総活躍プラン」、「経済財政運営と改革の基本方針2016」について、情報教育課の磯課長からお願いいたします。

【磯情報教育課長】
 それでは、御説明、御報告させていただきます。
 まず、さっき出ました資料1をご覧いただけますでしょうか。こちらに、本日御報告させていただきます関係会議の動向について一覧を付しております。政府の決定といたしまして、6月2日に「日本再興戦略」、いわゆる成長戦略でございます。そして、「ニッポン一億総活躍プラン」、「経済財政運営と改革の基本方針2016」、骨太方針と呼ばれているものでございます。これらが6月2日に閣議決定しておりますが、こちらで御検討いただいている教育の情報化加速化についても盛り込まれているというところでございます。
 あと、当省の関係でございますと、中教審の教育課程部会における議論、あるいは、小学校段階におけるプログラミング教育に関する有識者会議における議論、デジタル教科書の位置付けに関する検討会議における議論です。こういったところでございます。
 また、業務改善という観点から、「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」が立ち上がっていまして、こちらの取りまとめと、また、5月に開催されましたG7の教育大臣会合における宣言というものがございます。
 これらにつきまして、これから御説明させていただければと思います。
 それでは、資料2に移っていただけますでしょうか。私の方から、まず、政府決定の動向につきまして御説明させていただきます。
 まず、こちらの1枚目にあります日本再興戦略2016の抜粋でございます。教育の情報化につきましては、主に産業競争力会議、成長戦略の文脈で、これまで政府部内で議論されておりました。4月25日、これ、以前の懇談会の資料でも御報告させていただいているかと思いますが、成長戦略の進化のための今後の検討方針の中で、第4次産業革命に向けた初等中等教育の改革といった議論の中で、このようなことについて検討するといった指摘、決定がなされておりました。
 4月12日に、未来投資に向けた官民対話と、総理出席の下で、総理の下で行われた官民対話でございますが、この中で、第4次産業革命を支える人材育成、教育施策を早急にまとめていただきたいという御指示が馳大臣の方にございました。
 それを受けまして、4月19日の産業競争力会議において、文部科学大臣の方から、「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアティブ」ということ、それに関する初等中等教育段階における取組というものを資料提出、発言をさせていただいておりまして、それを受けた取りまとめと、閣議決定の内容ということになっております。
 文章の方に移りますけれども、下の1のところにありますように、未来社会を見据えた初等中等教育の改革ということで、情報活用能力の育成でありますとか、ITや外部人材の活用により、多忙な雑務から教員を開放して、教員の負担軽減と授業に向かう時間を確保することが重要であると。こういった、まず、考え方の下、3点盛り込まれております。
 一つは、変革の時代に求められる教育の全国展開ということでございまして、こちらの赤のところにございます「次代に求められる、課題発見・解決にITを活用できる情報活用能力を発達段階に応じて育成するため、全ての教科の課題発見・解決等のプロセスにおいて、各教科の特性に応じ、ITを効果的に活用する」ですとか、プログラミング教育については、発達の段階に応じた必修化を図ると。こういったことですね。
 あと、2といたしまして、こういったものを具体的に実現する上での教育コンソーシアムによる官民の連携強化ということで、文部科学省を中心に、経済産業省や総務省が連携して、本年中に、学校関係者や教育関連やIT関連の企業、ベンチャーなどで構成される官民コンソーシアムを設立すると。すぐれた教育のコンテンツの開発・共有や学校への外部人材への派遣などのITを活用した教育を加速させる官民連携による取組を開始すると、こういったことでございます。
 3点目といたしまして、教員の授業力向上とIT環境の整備の徹底ということでございまして、教員養成や研修において、IT等を活用した教員の授業力を更に向上させるための取組を強化ですとか、あるいは、学校のIT環境整備が重要であるということで、ソフト面の要素も勘案しながら、2020年の以降の教育現場に求められる実用的・効果的なIT環境を整備することが重要であると。そのような観点から、無線LANですとか計画的な環境整備の具体的な方策、これをこの懇談会で御議論いただいたものをベースに、私どもとして取りまとめる「教育の情報化加速化プラン」として今夏までに取りまとめるといったことをしっかりと盛り込ませていただいたところでございます。
 次、おめくりいただきまして、「ニッポン一億総活躍プラン」でございます。下のイノベーション創出・チャレンジ精神にあふれる人材の創出のところにございますこちらの内容につきましては、先ほどの「日本再興戦略」の内容をコンパクトにまとめて盛り込まれているといったもので御理解を頂ければと思います。
 また、こちらの方では、上にございますICTを活用した原則無料の学習支援と、地域未来塾を拡充するといったような記述もICT関係では盛り込まれているということでございます。
 最後の骨太方針ですね。「経済財政運営と改革の基本方針」、1枚おめくりいただきまして、こちらの方でございますが、教育の情報化を盛り込まれておりますし、また、学校の業務効率化、業務改善を図るための取組ですね。こちらについては公務支援システムの関係がございますけれども、こういった点について、しっかり盛り込まれているところでございますので、こういったことを踏まえまして、御議論いただければと思います。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、文部科学省関係の会議の動向について、お願いしたいと思います。
 初めに、教育課程部会、また、「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」につきまして、教育課程課の大杉企画室長より、お願いいたします。よろしくお願いいたします。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。教育課程企画室長の大杉でございます。本日は、資料3、それから、資料4-1、4-2に基づきまして、次期学習指導要領に向けた状況を御紹介させていただきたいと思います。
 まず、資料3でございますけれども、教育課程の改善に向けた検討状況ということでございます。1ページ目にスケジュールがございますけれども、26年11月の諮問を受け、27年8月に論点整理とございますけれども、教育課程の改善の基本方針、これを取りまとめいただきました。これを基に、現在、各教科等別・学校種別ワーキングの議論を進めており、夏ぐらいまでには審議まとめ、そして、年度内には答申、何度内には小中改訂というような運びとなるスケジュールでございます。実施は、スケジュールどおりに進みますと、小学校が2020年、平成32年から、中高と順次実施というような形でございます。
 おめくりいただきまして、スライド2でございます。現在このような体制で審議を進めさせていただいているところでございます。教育課程部会、教育課程企画特別部会の下に、22のワーキング等が設置されており、専門家の先生方500人程度、延べで御参加を頂きながら、審議をさせていただいております。
 この中に、情報ワーキンググループがございまして、御出席の堀田先生に主査を務めていただき、御指導いただきながら、議論を進めさせていただいております。
 この全てを御紹介させていただくことになりますと、少なくとも40分ぐらいは必要になってまいりますので、エッセンスのみで恐縮でございますけれども、このお話と、本日は小学校段階のプログラミング教育の有識者会議のレポートもまとまっておりますので、その御紹介をさせていただきたいと思います。
 これからの時代に求められる在り方ということで、先の予測が難しい時代の中でも、自ら必要な情報を取得し、その中で問いを見出し、解決してける。他者と協働しながら、新たな創造を行っていけるというような人材像を描きながら、議論を進めさせていただいております。
 その中で核となりますのが、スライド4にございます社会に開かれた教育課程の理念でございます。学校教育と社会との接続ということを意識しながら、子供たちに、これからの時代に求められる資質・能力をしっかりと育んでいくということ、そして、学習指導要領を通じて、それを社会と共有していく、学校側へのメッセージということだけではなく、社会との在るべき人材像の共有ということでも、指導要領は役割を果たすべきではないか。そして、それを学校内に閉じずに、社会と連携・共有しながら実現していこうというのが今回の指導要領改訂の理念でございます。
 それに向けて、指導要領改訂の方向性ということでございますけれども、上に「何ができるようになるか」、左下に「何を学ぶか」、右下に「どのように学ぶか」ということでございます。ともすれば、指導要領、内容面の改訂ということで、左下の「何を学ぶか」の見直しにとどまるものとして受け取られがちですけれども、子供たちがそれをどのように学び、どのような力として身に付けていくのか、これをしっかりと視野に入れながら議論をしていくということでございます。
 上の「何ができるようになるか」、これは知識・技能、思考・判断・表現、学びに向かう力、人間性でございますが、何を知っているか、知っていること、できることをどう使うか、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか、この三つの柱が重要ではないか。そして、これは先ほど、磯課長からも御紹介ございましたG7の教育大臣会合の中でも、G7間で共有された三つの柱になります。そういう意味で、国際通用性ということを常に視野に置きながら、今回の学習指導要領の改訂の議論を進めさせていただいているところでございます。
 今申し上げましたのが6ページ目の、何を知っているか、理解しているかという形になっておりますが、それをどう使い、どう社会と関わっていくかということでございます。そして、全ての教科におきまして、この三つの柱を明確化していく。つまり、各教科を学ぶ意図は何かということを社会的に共有しやすい形にしていくという改訂を目指しているところでございます。
 そして、そうした内容をどのように学ぶかということですけれども、現在、アクティブ・ラーニングということで議論されておりますけれども、子供たちの主体的・対話的で深い学びというものを実現していく。そうした観点から授業改善を行っていくことで、資質・能力の確実な獲得につなげていこうということでございます。
 8ページ、スライドの8が少し分かりにくいですが、簡単に申し上げれば、そうした主体的・対話的で深い学びを実現することによって、知識や力というものが社会の中で生きて働く者として獲得されていくということ、そうしたものにつながるような学びの課程を実現しようということでございます。
 こうした課程の実現のためには、ICTの特性を生かした学習ということが極めて重要になってくるということで、現在、全ての教科におきまして、情報活用能力の在り方、ICT活用の在り方について議論をし、ワーキングのまとめの中にも反映させているところでございます。
 そして、一方で、そうした情報活用能力は、各教科のみならず、教科横断的な視点が必要になってくるという能力でもございます。9ページ目、あるいは、10ページ目にございますようなカリキュラムマネジメント、学校内の各教科の枠組みの中だけに閉じずに、教科等をつなげながら、効果的にしっかりと子供たちに必要な力を育んでいくということを各学校に行っていただくカリキュラムマネジメントということを極めて重視して、教育課程の構造化を図っているところでございます。
 これが全体の議論でございます。
 続きまして、資料4-1、4-2でございます。プログラミング教育の在り方につきましては、そもそも、そのプログラミング教育とは何か、プログラミング教育を通じて育むべき資質・能力とは何かということの共有理解というものから議論をスタートする必要がございましたので、堀田主査の下、有識者会議を、これは小学校教育関係者からプログラミング教育関係者、それから、人工知能の専門家の先生方のお力も得ながら、議論をまとめさせていただいたところでございます。6月16日付けで最終版となってございます。
 資料4-2をご覧いただきますと、有識者会議における議論の視野ということでございます。プログラミング教育というものに関する盛り上がりということの一方で、時代の変化の中で、本当に必要な力が身に付くのかというような御意見もあるということ、三つ目の丸でございますけれども、今回初めてプログラミング教育とはということの定義をさせていただいたところでございます。
 プログラミングを体験しながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められるプログラミング的思考といったものなどを育んでいくということを目的とするということ、また、それと併せて、言語能力の育成や各教科の思考力の育成など、教育の基盤というものも、当たり前のことながら、今後も重視ていく必要があるということ。また、プログラミング教育の実施に当たっては、ICT環境の整備などの条件整備が不可欠であるということについてもまとめさせていただいております。
 おめくりいただきますと、2ページ目、いわゆる「第4次産業革命」というものが教育にどのような示唆を与えているのか。3ページ目の「学ぶ」ことの意義ということと、これからの時代に求められる力ということの再確認。それから、4ページ目、「次世代の学校」というものが、ICTの特性や強みを生かして、どのような進化を遂げていくかという視点。そして、4ページ目でございますが、これからの時代に求められる資質・能力とはということで、情報化の進展という観点からは、5ページ目にございますような情報を読み解くという力、そして、情報技術を手段として使いこなしながら、論理的に創造して、思考して、課題を発見・解決し、新たな価値を創造していく力。そして、6ページ目にございますように、人間の強みとしての感性を働かせながら、よりよい社会や人生の在り方について、しっかりと目的を考え、学んだことを生かそうとするということでございます。
 そして、そのようなことを踏まえながら、7ページ目、コンピュータと人間との関係を展望しながら、8ページ目、学校教育として実施するプログラミング教育が何を目指すのかということでございます。知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性ということで整理してございますが、特に思考力・判断力・表現力につきましては、いわゆるコンピューテーショナル・シンキングの考え方も踏まえつつ、「プログラミング的思考」ということを定義していただいたところでございます。
 自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、それに対応した記号をどのように組み合わせたらいいのか、それをどのように改善していけば、より意図した活動に近付くのかということを論理的に考えていく力として定義をしていただいてございます。
 こうしたことを発達の段階に即して育成していくということ、そして、小学校教育ということの特性を踏まえながら、10ページ目にございますように、コンピュータを体験しながら、先ほどのプログラミングを体験しながら、プログラミング的思考ということを身に付け、コンピュータの働きを、魔法の箱ではなくて、自分の生活に生きるものであると、人類の知恵であるということをしっかりと認識していくということでございます。
 具体的には、11ページ目にございますように、プログラミング教育を実施する単元というものを、例示としては12ページ目から、総合的な学習の時間、理科、算数、音楽、図画工作、特別活動と例示をしてございますけれども、こうしたことについて、国がしっかりと指導事例集を整備していくということ、そして、その中から、各学校でカリキュラムに適したものをしっかりと位置付けてやっていただくということでございます。
 また、さらに、感心が深い、興味を抱いた子供たちが多様な才能を伸ばしていくことができるような環境、外部とのつながりということも、15ページのように作っていくということでございます。
 そして、そのために必要な条件整備ということを、2020年を目指して行っていくということ、これにつきましては、本会議も含めまして、緊密な連携を取らせていただければと考えておりますけれども、ICT環境の整備、教材の開発や研修の在り方、指導体制の充実、社会との連携・協働、官民連携ということが極めて重要になってまいりますので、極めて緊密に連携を取らせていただきながら、実施を検討してまいりたいと考えているところでございます。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議につきまして、教科書課の望月課長から、お願いします。

【望月教科書課長】
 私の方から、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議の中間まとめについての現在の審議の状況について、簡単に御説明をさせていただきます。
 本会議は、昨年の5月から、この懇談会の委員でもあります堀田委員を座長として、そして、福田委員、新井委員にも委員として御参加を頂きまして、約1年間審議をいたしまして、先頃、中間まとめを取りまとめましたパブリックコメント等を経まして、あと半年間議論を行い、今年中に最終取りまとめを行うというスケジュールになってございます。
 本日は、概要と本体を、資料の5-1と5-2として御用意しておりますけれども、簡単に概要の方で説明をさせていただきます。
 御承知のように、明治期以降、紙媒体のみを教科書としています。法令の解釈として、教科書は紙であることを前提として、様々な法体系が成り立っており、教科書発行者が販売しているいわゆる「デジタル教科書」と銘打っているものは基本的には全て教材でございます。教科書には、学校教育法において、全ての児童生徒が必ず使用しなければいけない、という使用義務が掛かっております。現在市販されている学習者用デジタル教科書、これは一部の教科ですけれども、それから、先生方が電子黒板等と一緒に使用する教師用デジタル教科書、これらは全て教材として、紙の教科書を学習する上での副教材として活用されています。
 そうした現行の教科書の使用の在り方においては、紙か、あるいは、デジタルかということではなくて、この今の教科書の特質である。使用義務を課す一方で、文部科学大臣による検定を経て質を担保し、そして、教科書の無償措置に関する法律で、児童生徒に対して無償で寄与するというその体系を崩すことなく、基礎的・基本的な学習内容を、全ての児童生徒が、教科書でしっかりと学ぶことができるという前提のもと、審議が行われてきました。いわゆる急速な情報化が進展する中で、いかにその紙媒体の教科書がデジタル化に対応していくかという観点から検討し、そして、紙の教科書がいけない、まずい、何かマイナス面が非常に大きいということではなく、デジタルにいかに対応し、デジタル教科書を導入することによって、児童生徒の学びの充実、あるいは、教育の改善、充実といったものにどうつなげていくことができるかということから検討をしてきました。その結果、紙の教科書と同一のコンテンツであるものをデジタル教科書として、飽くまでコンテンツですから、ハード面は含みませんけれども、さらに、今、教科書は紙しかありませんのでデジタル教科書を使用する調査研究や実証研究も十分にできていませんし、あるいは、ICT環境の整備も徐々に進んでいくという状況の中で、段階的かつ慎重に、デジタル教科書をそれぞれの学校、あるいは、地方公共団体が取り入れることができるような形で進めていくことが必要だということが提言されてございます。
 教科の一部、あるいは、単元等については、紙の教科書を使わなくても、一部デジタル教科書を使用することによって、法律上の使用義務を満たしたことにする特別の教材として扱うということで、いわゆる紙を基本としながら、デジタル教科書を一部使うことができるという併用性を前提として活用していくということでございます。
 そして、紙の教科書を前提としておりますから、紙の教科書は、検定を経て無償措置されているという前提の下、デジタル教科書については、改めて検定を経る必要はないということ、それから、概要の2ページ目ですが、一方で、紙の教科書が無償措置となっている中において、紙の教科書とデジタル教科書の双方を無償措置の対象とすることはなかなか難しいだろうということ、あるいは、紙しか使わない児童生徒も当面は当然多くいるということも考え、その公平性の観点からも、デジタル教科書については、先ほど申し上げたとおり、教科書としては認めつつも、無償措置の対象とするということはなかなか難しいだろうと考えております。ただ、一方で、経済的負担をなるべく軽減するという観点から検討していかなければいけないということがございます。
 導入時期については、やはり小学校英語というものを一つ念頭に置きながら、議論が行われたことがございまして、次期学習指導要領の実施に併せて導入することが望ましいということが提言されてございます。
 関係制度の検討の方向性の中で、デジタル教科書の使用の一つのメリットは、紙媒体の教科書がデジタル化され、デジタル教科書になるということで、デジタル教科書と教材を一体的に使用することができるということがあります。その教材についても、教科書でを一体的に使用することになりますから、やはり、質を担保しなければなりません。そのために、教育委員会等が、教材については、責任を持って内容を検討した上で使用決定をすることができるといったように、国において、その選定方法について、教科書検定を行わないまでも、一定のガイドラインを策定していくことが必要だということになっております。
 課題はほかにも、関係する供給方法、あるいは、価格や著作権の問題といったことがございました。これは関係の審議会等でも議論をやはりしていただく必要があるということになります。
 併せまして、周辺環境の整備も非常に重要でございまして、やはりデジタル教科書を導入しても、使える学校、あるいは、使いたいと思う自治体において使えないということではいけないということから、この懇談会でも十分に議論を頂いていると承知しておりますけれども、情報端末、ネットワーク環境の整備、そういった観点での条件整備というのが非常に重要になるということがデジタル教科書の検討会議の方でも強く提言されているところです。
 今の状況については以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、最後に、「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」、また、G7倉敷教育大臣会議につきまして、磯課長からお願いします。

【磯情報教育課長】
 それでは、時間もありますので、少し手短に御紹介をさせていただきます。
 まず、1点目、資料6-1でございます。学校現場における業務の適正化に向けてというこちらのタスクフォースの報告でございますが、こちらは御案内のとおり、学校現場を取り巻く環境、大変複雑化、多様化しておりまして、授業革新の対応が求められている中で、教員の長時間労働の改善が課題となっております。
 そういった中で、大臣から御指示を頂きまして、堂故政務官を座長といたしますタスクフォースにおいて、このような改善策が検討されておりました。6月13日にこちらの内容が公表されたということでございます。
 具体的には、国、教育委員会、学校が一体的に業務改善に取り組むパッケージとして、こちらにあります4つの柱ですね、に基づいての改革方策が示されておりますけど、その中の1番目、教員の担うべき業務に専念できる環境を確保すると、この中の一つの核として、統合型公務支援システムの整備ということが盛り込まれたというところでございます。
 具体的には、後ろに付いている、6-2として付けておりますけど、こちらのページ3ページをごらんいただきまして、こちらの方に、国、教育委員会、学校それぞれの具体的な改善方策として盛り込まれているというところでございます。詳細の説明は割愛させていただきます。
 最後に、G7の倉敷教育大臣会合で、今年度、今年はG7サミットが日本で開催されていますけれども、倉敷において、教育大臣会合が開催されたというところでございます。こちらの宣言におきまして、技術革新に対応した教育として、第4次産業革命、あるいは、インターネット・オブ・エブリシングと、こういった飛躍的な技術の進展に対応するためには、ICTを活用するということが非常に重要であるといった内容が盛り込まれたというところでございます。
 上にあります情報活用能力の育成を促進、教員のICTスキル向上の重要性、あるいは、不利な状況に置かれている学習者へのICTの利活用の奨励、情報の質や情報源を見分けるために必要なメディアや情報に関する能力育成を推進するといった内容が各国共通認識として盛り込まれた。これは非常に私どもとしては重要な第一歩であると考えております。
 御説明は以上でございます。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 教科書の、デジタル教科書の話についてちょっと一つだけ伺いたいんですけれども、紙媒体と同一のものということの内容的には、例えば同一のもの、例えば要するにほかの教材とのハイパーリンクであるとか、そういったものが埋め込まれていたり、いろいろな要するにインターネット上の知識を例えばハブとして利用できるとかいったような機能というのも含まれないものというような意味になりますでしょうか。それとも、多少はそういったような弾力性があるということなのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

【望月教科書課長】
 御質問、ありがとうございます。今の御質問に関しては、端的に言いますと、そのとおりです。同一のものですから、教科書の内容のものがデジタル化されたもの、これをデジタル教科書と考えています。
 ただ、電子媒体のその機能として、文字を拡大する、あるいは、写真なんかを、これは著作権の問題がありますけど、拡大をすることができる。あるいは、反転する、色を着ける、そういった機能は、あるいは、画面を幾つかのところを分轄したものを一緒に組み合わせて見ることができると。そういったものは機器の特性として、教科書、紙媒体の教科書にはないものとして利用することができると思います。
 それ以外に、例えば関連で教科書にない問題集、ドリルが一緒に付いてくる。あるいは、それに関連して、教科書にない別の実験の部分が付いて、それが例えば動画や、あるいは、音声が付いてくるといったものについては、あくまでそれは関連の教材になります。それを今のところはそのように、位置付けを考えてございます。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 ということは、少し理解のためなんですけど、情報としてはその教科書の中で閉じているという形のことを想定されている。

【望月教科書課長】
 それは、インターネット等につないで、どんどん学習ができるといったことに対しては、その例えばその外の世界に飛んでいったところは完全な教材の世界になりますが、必ずしもデジタル教科書が入った電子媒体のものが外部のインターネットにつながれて、どんどんいろんな情報が入ってくれば、それは必ずしもそれがありきではないというふうに書いてあります。閉ざされた、デジタル教科書はあくまでもそのコンテンツがあります。それと一緒に使う教材の部分を閉じたものにするか、それから、外の世界にもということについては、そこは地方公共団体が負担して、ハード整備をしていったりすると思いますので、それぞれかと思います。
 ただ、いずれにしても、教材にしては質の担保、教科書を一緒に使うのであれば、質の担保をしていかなきゃいけないということはあると思いますし、あるいは、地方公共団体でも、それぞれのネットワークやハード面、あるいは、その辺のお考えとか保護者の御意見などもあろうかと思いますので、そこはそれぞれだと考えてございます。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 ありがとうございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 あとはよろしいでしょうか。時間がなくなって、簡単に、じゃあ、はい、簡単にちょっと。

【加藤委員】
 済みません、加藤でございます。私もデジタル教科書についてもう一点だけ。資料の裏面ですね。著作権のところなんですけれども、どのような方向性で審議がなされているのかということだけ簡単に教えていただけないでしょうか。

【望月教科書課長】
 御質問ありがとうございます。著作権につきましては、このデジタル教科書の位置付けに関する検討会議でも御意見を頂いて、発行者の方が円滑にスムーズにデジタル教科書を作成していくためには、やはり著作権の費用負担の問題ですが、発行者のですね、ここがやはり権利制限との関係でどうしてもクリアにならないと、デジタル教科書が進んでいかないと、何とかしていただきたいということの御意見がございました。
 つまり、今の教科書の紙媒体の教科書については、著作権法の中で、一定の保証金を文化庁長官に支払うことによって、一般の教科書にそれは掲載することができるというふうになっていますけれども、それが今、デジタル版のものになりますと、それは法律の適用がないということになりますので、著作権料が非常に高額になってしまう可能性もあるし、また、その法規定がないことによって、その費用負担、負担の問題だけではなくて、そもそもデジタルが進んでいかないということもあろう、そういう懸念や、あるいは、課題があるということでございます。
 このデジタル教科書の検討会議では、そのような著作権の観点での専門的な検討はできませんですから、この中間まとめについて、文化審議会、その中に著作権分科会がありますけれども、そこで専門的な審議を今後していただかなければいけないということになろうかと思います。
 ですから、現在のところは、そうした専門家の検討会議というのはまだ行われていないという状況でございます。

【加藤委員】
 ありがとうございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。望月課長、どうも御説明ありがとうございました。

(3) 各WG(基本問題検討WG/スマートスクール構想検討WG/教育情報化加速化検討WG)における検討状況について

【堀田委員】
 基本問題検討ワーキングの、これはWG1と私たちは呼んでいますが、これの主査を担当しております東北大学の堀田でございます。検討状況について御報告をいたします。資料8-1をごらんください。
 まず、1番目にありますように、WG1の検討状況ですが、第1回、4月28日、第2回、5月25日に行いました。第1回については、状況の把握と自由討議、全体的な自由討議、第2回については、次の学習指導要領を見越したICT環境の整備はどうあるべきか、ということについて、ハードウエアだけではなくて、教材についても踏み込んで検討しました。
 ここの部分については、基本的にはワーキング3と言われる加速化検討ワーキングの方との調整も必要になりますが、ワーキング1の私たちとしては、次の学習指導要領を見越したより良い学習指導が行われるためのICTの整理ですね、ICT活用の整理、それを整備につなげていくというのがミッションというふうに考えております。
 下に参りまして、2番の主な検討事項ですが、1としましては、今申し上げたような点。2としては、教員のICT活用指導力の点。めくりまして、3としては、その先生方を助ける、あるいは、子供たちの学びを助ける教材やシステムはどうあるべきか、というような点。4としましては、ICT活用による教育の効果についてどうするかというような点。5については、それを実現するための官民連携のコンソーシアム、先ほども政府の方で動いていますけれども、こういうようなことの在り方について。6番目には、プログラミングなどを、今御説明がありましたけれども、そういうような指導の中で、特にすぐれた才能を持つ子という子を中心に、どういうふうに学習機会を提供していくかというような点。こういうようなたくさんの論点がございます。
 まだ2回しか行われていませんので、まだ十分に審議を尽くしているわけではございませんが、その主な意見につきまして、次のページから御紹介いたします。
 まず、1番の次の学習指導要領を見越したICT環境整備についてです。これにつきましては、先ほど、大杉室長から、プログラミング教育のことも含めて、中教審の動きを御説明いただきましたし、望月課長からは、デジタル教科書の整備について御説明いただいたところです。その四角の中に丸が三つありますが、二つ目の丸にありますように、児童生徒がどういう学習を行うのかという学習場面に着目して、整備しないといけないと。
 これは今までは何を入れろとか、何人に1台だとか、そういう整備指標が出ていたわけですけど、もっと学習場面に注目した整理をすることによって、具体的な整備の目安を提示できないかというようなことですね。一つ上の丸にありますように、もう既に第2期教育振興基本計画でいろんな目標が示されていますが、まだ自治体によってはこれ、十分に整備できてないところがあると。さらに、一番下の丸ですけれども、児童生徒用の情報端末がこれから入ってくる必要がありますし、プログラミング等を考えると、キーボード付きの端末とか、そういうようなことも検討が必要になるわけですが、こういう整備もこれからはしていかなきゃいけないというような状況の中で、これをどういうふうに進めていくかということを議論しています。
 出た意見はこのぐらいですけど、またちょっと付け足しをさせていただきますと、基本的には、中教審で各教科等での検討が今進んでいますし、その中で、ICTの活用については議論がこれからも中教審でさらにされていきます。
 それを踏まえた整備のことを検討していかなければならないので、私どものWG1だけでこれを審議するということではないというふうに理解していますが、一方で、その議論をずっと待って、それから、じゃあ、整備はこうですねといっても、整備が間に合わないという時間的制約があります。各自治体は、どういうふうに整備すればいいのかということについて、少し方向を見失っている部分もあるかと思いますし、整備しようと決めてから、各自治体が整備をするまでには数年かかってしまう現実があることを考えますと、中教審での議論を待ちつつも、一方で、例えばどんな教科でも起こり得る典型的な学習場面というのは教科に依存しないで見いだせるわけで、習熟のための個別学習の場面とか、グループで話し合うという学習場面はあるだろうとか、あるいは、クラス全体に児童生徒が発表する学習場面はあるだろうとか、そういう具体的な学習場面の整理を、中教審と調整しながらですけども、少し私どもの方で議論を進め、それが主体的・対話的で深い学びにつながるような形の整備の方向感を出していく必要があるだろうというふうに考えております。
 続いて、2番に参りますが、教員のICT活用指導力については、中教審の教員養成部会で教員免許状の改正の話も出ていますし、そういう状況を踏まえて、教員養成要請課程で教育の方法及び技術とか、あるいは、各教育、各教科の指導法のところでICTを使うというふうにもう銘打たれていますので、その具体について、少し私どもとしての検討を進める必要があるだろうと。
 三つ目の丸になりますが、管理職がこういうことについてどのぐらい理解しているかというのが、組織である以上、重要でありまして、そういう管理職の意識をどうするかというような話が議論としては出ています。
 その管理職、及び、これから管理職になるミドルリーダーの人たちに、どういうふうに研修を進めるかというのを、例えば教員研修センターでの研修がどうあるべきか、あるいは、研修を進めていく人の研修はどうするべきか、そういうようなことが議論としては出ております。
 時間の関係で、次のページへ参ります。3番の教材システム等の開発・活用についてです。デジタル教材とか、どういうシステムがあるかというのはどうしてもテクノロジードリブンで議論が進みやすいんですけれども、今、中教審で授業、どのように学ぶかということがしきりに検討されていますので、その観点から、もう一回マッピングし直すとか、検討し直すとか、そういうような目線が必要だろうと。
 とりわけ、ICTの教材については個別の知識の定着に、いわゆる習熟に力が入っている部分がありますし、それがICTの特性でアダプティブラーニング等もありますので必要なんですけれども、一方で、これからの方向である深い理解とか、あるいは、思考力、思考を促すような教材とか、こういうようなことについてさらなる開発により力を注いでいくべきだと思うという意見が出ています。
 あと、デジタル教材、いろいろあるんですけど、どこにどういうものがそもそもあるのかということが現場教員から見て分かりにくいということが指摘され、これを改善するための例えばウェブサイトができないかとか、あるいは、デジタル教材が体系化できないかとか、それはもうちょっと言うと、学習指導要領が新しく構造化されて出てきたら、そこの構造をうまくコード化して、コードに対応させてデジタル教材をマッピングできないかと、そういうようなことが議論され、一方で、いろんな参入障壁を下げる意味では、各企業が作りやすいように、共通の何か基盤ですね、ルール、そういうようなことについて、標準化を進める必要があるだろうというようなことが議論になっております。
 4番に参りますが、4番では、ICT活用による教育がどういう効果があるかとか、これは常に議論になりますが、ICT活用はあくまで場面に機能しますので、何か能力、大きな能力に直接的に利くわけではないと、一種の学習環境だというふうに考えれば、この測定、効果測定というのは非常に難しゅうございます。
 そういう状況の中で、あえてやるんだとすれば、ICTを用いることによって顕著に変化が見られるようなもの、そういうものについて、ICTがなかった頃にはできなかったことがこのぐらいできますという形の測定方法の検討を進めていくべきではないかという意見が出ています。
 5番の官民連携のコンソーシアムについてですが、これについては、政府の意向もありますので、これをどういう形で行っていくかということを検討していく必要があると。今、首長、全国の首長サミット等が行われていますけれども、そういうようなことの動きも続けていただきながら、小学校のプログラミング教育の報告書でもあったように、学校だけで、教員だけで進めるというのは難しいので、このコンソーシアムをどういうふうにすべきか、ということの議論を進めていくということになります。
 めくりまして、6番ですけれども、プログラミングなど特にすぐれた才能と書いてありますが、才能があるかどうかの前に、まず、興味があるかどうかというのもありますので、興味を持ったお子さんに、その学習機会をどのように提供するかというのは、教育課程内で行うだけではやっぱり十分ではない部分があると。社会に開かれた教育課程という今回のスローガンから考えると、そういう発展的な場をどういう形でもうけるかということについて、プログラミング教育の動き等も含めまして検討していく必要があるし、あるいは、全ての学校で全ての子供たちにどこまでということとの線引きがまだ難しいわけですけれども、その部分については、国が先導して教材を開発して提供していくような、そういうような枠組みも必要ではないかというふうに言われております。
 簡単ではありますが、私の報告は以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、スマートスクール構想検討ワーキング、WG2ですけれども、藤村主査より、お願いします。

【藤村委員】
 スマートスクール構想ワーキングの主査をしております、鳴門教育大学大学院の藤村でございます。これまでの検討状況等について御説明をさせていただきます。
 スマートスクール構想検討ワーキングの方については、1枚目のスライドにありますとおり、これまで2回のワーキングを実施いたしました。1回目は、現在の統合型校務支援システムの課題と洗い出し、2回目については、その普及促進について検討してまいりました。
 どのようなことが議論されたかについて、2枚目のスライド以降で御説明させていただきます。
 検討事項につきまして、大きく3点ありまして、そのうちの一つ目、統合型校務支援システムの普及促進については、統合型校務支援システムを教員の負担軽減、つまり、日本の教員は世界一忙しいと言われていますので、先ほど、業務改善タスクフォースの話もありましたけれども、そういった意味でもこの負担軽減を図りつつ、同時に、教育の質等の改善につなげるということで考えていこうということになっております。
 また、現在、約5割の導入率でございますが、それを飛躍的に向上させて、10割、100%にするためにどのようにしたらいいかということについて議論してまいりました。この統合型校務支援システムを導入することにより目指す姿、どういうものが目指されるのかという具体例をそれぞれの委員の方たちから御説明いただいたりしながら、次のようなことを検討すべきだということが明らかになりました。
 まず、システム化の対象とすべき業務の分類・整理の在り方について検討すると同時に、システムを入れただけでは意味がないということが御発表がありまして、業務改善のあるべき姿、システムの導入運用コストの低廉化、また、利便性向上に向けたもの、また、システム化の対象となる業務の手順(プロセス)のモデル化、また、標準化等についても検討していくと。特にこの標準化等につきましては、初等中等教育局さんと生涯学習政策局さんの方で協力しながら検討することの必要性なども触れられました。
 また、非常に課題となっているのが中小自治体、特に町、村については8%しか導入されていないという大きな課題がございますので、複数の自治体間の共同調達、共同運用、クラウド等低廉なシステムの利用等も検討すべきだという意見を頂戴しております。
 ページをめくりまして、2番目の検討課題について御説明いたします。データの安全な管理と情報セキュリティの在り方ということですけれども、校務支援システムというのは成績情報、生活情報その他、機微情報を多数含んでおりますので、セキュリティが大きな課題となります。そこで、学校現場におけるデータの安全な管理方策の在り方を、学校現場の現状、また、自治体の現状等を踏まえながら検討してまいりたいということで考えております。
 特に、情報セキュリティポリシー、それから、個人情報保護条例等が自治体によって大きく異なることから、その改善方策やこの条件を満たせば安全だという、そういったような安全・安心なデータ活用を実現するための対応策というものを検討し、指針も示していこうというふうに考えている次第です。
 3番目の検討課題は、「スマートスクール構想」に係る実証研究の在り方でございます。そもそも、スマートスクールというのは学習系と校務系とを連携させながら、より高い、質の高い教育を実現しようというものでございますので、このスマートスクール構想において、目指すべき姿は何で、そのために対象とすべき校務の範囲や、また、その学習系との連携の在り方について、どのようなものとするのかを考えていこうということになっております。これにつきましては、今後予定している第4回のワーキングで検討することにしております。
 また、スマートスクール構想にどのような成果が得られるのか、それを実証研究として行っていこうと考えておりますが、その在り方、また、課題等について、今後検討してまいります。
 また、その過去2回の中で出された主な意見について御紹介させていただきます。4枚目のスライドをごらんください。統合型校務支援システムの普及につきましては、業務を可視化し、システム化する校務の範囲を明確にする。全てのものを電子化すればいいというものではないということも分かっておりますので、その辺について考えるということと、業務プロセスの標準化を行うことによって、ただシステムを入れるだけではなく、トータルとして業務が改善されていくということも考えていくことになっております。
 また、自治体、極論しますと、学校単位で帳票がばらばらだということもございますし、毎年改訂される調査書のような書類もございますので、それらを標準化して、カスタマイズへのコストの増大を抑制する。それによって、容易に導入可能になるということをしようと。これについては、初等中等教育局さんとの連携が是非とも必要になりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 また、標準化すべき部分と各学校の独自性が認められる部分の分類をして、標準化すべき部分にシステム化し、各学校に委ねられる部分については容易にカスタマイズ可能なシステムをそこに装着するですとか、若しくは、手書きのまま残すですとか、そういった可能性もあるかという意見が出ておりました。
 また、システム導入による業務改善を行うためには、学校の文書管理規定その他の文書規則を改正して、電子文書を公文書とし、紙を補助簿とすることが必要であろうと。特に指導要録、健康診断表などの法定帳票にきましては、東日本大震災、今回の熊本の震災等でも大きな被害を受けておりますので、安全なデータセンターで、どのような大規模災害が起きても大丈夫、しかも、しっかりとバックアップを取っているような状態を実現することが必要であろうという議論が出ております。
 また、一つの統一的なシステムを国が作ってくれれば、自治体は金を払わなくていいので助かるという意見もあったんですが、それは継続的に国が費用を出し、また、どんどん改善をしていくということも困難であるということで、それは現実的ではないなということになりました。
 また、どこの会社の製品を買っても、同じような見た目で、同じように動くというような御意見もあったんですが、それも切磋琢磨すべき部分で、それは避けて、実は競争しながらいいものを作っていただこうということになりました。
 ただし、そうはいっても、標準化すべき部分はありまして、データ間の連携のルールについてはしっかり定めて、会社が違ってもデータのやり取りができ、転向や何かがあっという間にボタン一つでできるですとか、進級、進学等も問題がない、また、業者の移行等も大丈夫というような中間標準レイアウトのようなものの整理も必要だろうということになっております。
 また、認証につきましては、教員免許状との連携した認証システムと何らかの形で国の方が提供できていくといいなというような話になっておりました。
 また、データバックアップの仕組みについても統一化して、安全にどこかでバックアップを取れるようなことを支援するということ、そういったような共通化した方が良いところは何なのかということを明らかにしようということになっております。
 また、中小自治体では、予算確保が大変困難ということでしたので、先ほど申し上げたような複数の自治体での共同調達、また、パブリッククラウドの利用による低廉な調達、運用についても検討しようということで、それについての指針等も必要であろうということと、また、エビデンスに基づく授業計画の策定を支援する仕組みがないと、財政を説得できないということがありましたので、そのようなものも提示したいと考えております。
 また、システム活用による校長支援等ということで、業務の効率化のためにシステムが役に立つといった点を考えておりますので、そのような点で、現場の教員に説明できるような仕掛けを考えております。
 また、研修会等での改善、それから、校長のリーダーシップの向上ということも考えております。また、データの安全な管理と情報セキュリティの仕方については、先ほど申し上げたとおり、バックアップとかクラウド上のセキュリティのガイドライン等についても考えるということで示してございます。
 最後に、「スマートスクール構想」に、検討に関する実証研究の在り方ですが、学習用コンテンツと教員の指導の様子、生徒の活動の記録、家庭の学習履歴を蓄積し、データを活用することで教育の質の向上が図られるとともに、蓄積したデータを成績関係の帳票や通知表の出力に利用することにより、業務の改善も可能となるように今後検討を進めていきたいと考えている次第です。
 そこに補足資料、付いておりますが、これまでの政策等についての補足資料ですが、従来は、積極的に文部科学省としては政策を校務支援のために打ってきていませんでしたけれども、今後は、共同調達についての補助金その他についても御検討いただいたり、そのようなことについての御要望もありまして、セキュリティガイドライン等、また、整理すべき点が何なのかということの課題整理等についても御支援いただけるようにお願いした次第でございます。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、最後に、教育情報化加速化検討ワーキング、WG3、福田主査から、お願いします。

【福田委員】
 失礼いたします。教育情報化加速化検討ワーキングの主査の福田でございます。私の方からは、資料8-3に沿って御説明させていただきます。
 これまで、2回の検討会を行いましたが、1回目は、各委員から、それぞれの御立場からのお考えをお聞きしまして、その上で、2回目につきましては、特に推進体制の在り方、産学官が連携した支援体制の在り方にテーマを絞りまして、具体的な事例発表と協議を行いました。
 この教育情報化加速化検討ワーキングにつきましては、名前が示すとおり、これまでの取組を振り返るとともに、加速化をどう実現するかという観点で進めております。中でも、推進をする上で、壁、課題となっております教育委員会の独自性、そして、全国の教育委員会の現状などを踏まえまして、組織の在り方等についての検討を行いました。
 その際の留意点といたしまして、今後、国としての方針などを示す際には、それを誰が読むのか、誰が使うのか、こういったことをきちんと見極めた上でまとめていくことが重要と考えております。
 例えばICT環境整備につきましても、課題となっております予算の確保、こういったものがございますが、首長部局の後押し、首長様の御支援というのが不可欠であります。こういったこと、そして、教職員の資質向上、人材育成につきましても、教員研修の在り方、進め方について議論を行っているところでございます。
 主な論点につきましては、お手元の資料にまとめております。これをごらんいただきたいと思います。
 私からは、まず、右下に小さい数字がございます、3ページを見ていただきますと、そこのところの少し網掛けをしておりますので、網掛けのところを見てください。例えば、ICT環境整備及び利活用の両面から、教育委員会の機能の整理・強化、これが必要である。また、国としても、そういった具体的な取組、例えばガイドライン等を講じる必要があるということ。次の4ページにつきましては、これも国としてということでございますけど、国として、地方自治体の置かれた状況、こういったものに配慮しつつ、ICT環境整備計画の策定に資する指針、例えば仮称でございますけど、「教育ICT教材整備指針」、こういったものを整備する必要があるということを示しております。
 次に、5ページをごらんください。ここにも縷縷、書いておりますが、網掛けのところを見ていただきますと、網掛けの三つ目の丸でございます。教育委員会・学校関係者に対しまして、ICT利活用、特に指導面、そして、調達面、この両面からの情報を同時に入手できるような機会の確保、こういったものが必要であるという意見も出ております。
 続きまして、1枚めくっていただきまして、7ページ、8ページ、またがりますけれど、ここでは特に人材育成、これはワークの1でも出てきましたが、人材育成の観点からの御意見でございます。このうちの網掛けの二つ目の丸をごらんいただきますと、新規に研修を追加するということではなくて、研修全体を見直しつつ、その内容を充実させていくべきだという意見がありました。
 この研修の在り方につきましては、これはここには詳しくは出ておりませんが、例えば現在、地方では、少子化の中で、小・中学校、高等学校とも、空き教室等が出ております。そういったものを利用しまして、そこに産業界等の御協力も得ながら、身近な研修の場を設定いたしまして、学校の先生方が、OJT、日頃から日常的に研修ができるような場を作っていく、こいうったことも考えていきたいというふうに考えております。
 続きまして、まためくっていただきまして、9ページ、10ページを見ていただきますと、この9ページ、10ページにつきましては、先ほど申しました地方自治体、特に10ページの網掛けの分です。自治体毎の実態を踏まえたICT機器の整備の在り方が、在り方のガイドライン、これを整備する必要性についての提言を行っております。これについては、全ての委員からの共通理解というふうに受け止めております。
 続きまして、資料をめくっていただきまして、11ページ、そして、12ページでございます。ここにつきましては、いわゆる情報端末の持たせ方、BYODという言葉も出ておりますけど、先般、3.6人に1台という指標が示されておりますが、これにつきまして、早期に目的を達成するとともに、次のステップといたしまして、いわゆる1人1台体制に向かってどう進むかということで、現在協議を進めているところでございます。
 13ページにつきましては、先ほどワーク2でも出ましたが、防災拠点としての学校の在り方、中でも、無線LAN等の整備についても、「必要である」という前向きな意見等が多数出されております。
 最後に、事例といたしまして、資料を15ページ以降、付けております。例えば15ページ、これは富士通総研さんの方で行っていただきましたアンケート調査の結果、全国の自治体、教育委員会を見渡したときに、いわゆる担当者がなかなか確保されていないと、こういった実情が浮き彫りになっているという状況。
 続きまして、16ページ、これは私が在籍していた佐賀県の事例でございますけど、佐賀県の場合には、県と10市10町のいわゆる横並びで一緒にやりましょうということで、推進協議会を設けてやっているという事例。そして、先ほど、教育委員会の体制が今後課題と申し上げましたが、17ページでは、県の教育委員会の組織体制、18ページでは、現在私が席を置いております武雄市教育委員会の推進体制ということで付けております。佐賀県も、そして、武雄市も決して大きな自治体ではございませんけど、こういった推進体制を自治体に作って取り組んでいるということで、こういったものも御参考になればということで付けております。
 最後に、20ページをごらんください。別紙2ということで付けておりますが、これは先ほど、産学官の連携等々の話を申し上げましたように、いわゆる今後推進していく上で、教育委員会の在り方、そして、それをバックアップしていく産業界、そして、大学等の在り方、そして、さらには、財政的な負担等を伴いますので、いわゆる首長部局の在り方について、一つのイメージ図を示したものでございます。
 以上でございます。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。3人の座長、主査から御説明を頂きました。
 それでは、このワーキングの報告を踏まえまして、自由討論に移りたいと思いますが、御意見を頂く場合に、WG1、2、3、どのWGのどのポイントに関する御意見ということが分かるようにお願いしたいと思います。
 分かりやすい言い方は、資料8-1、8-2、8-3がありますので、例えば8-2の何ページのこの項目に関連した意見と冒頭言っていただいた上で、意見を頂きたいと思います。できるだけ多くの委員から頂きたいと思いますので、長々とした演説でなくて、簡潔にお願いしたいと思います。どなたからでも、どこからでも構いませんが、お願いします。はい、どうぞ。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 NHK、田中でございます。8-2の5ページ、教職員の認証基盤のところについて、藤村先生から御紹介がありましたが、これ、例えばコンテンツ側で認証が必要になる、教材で認証が必要になるといったものとうまく連携させることで、非常に効率的に動くのではないかと思いますが、その辺について、どのように御検討されているか、ちょっと教えていただければと思いますが。意見も含めて。

【藤村委員】
 御質問、ありがとうございました。これにつきましては様々な認証の可能性について検討しております。ここにも若干書いておりますが、番号制度との連携についても検討してみたりですとか、様々なことですね。教職員認証と児童生徒認証、さらには、保護者認証についても検討しております。
 それについて、今、実現することができる、御指摘いただいたように、教材を使うときの認証にも使える。なおかつ、家庭から保護者が、例えば成績情報等を見るときの認証にも使える。もちろん教職員もということで、これは総務省様とも連携しながら検討を進めているところでございます。これについては、また、今後更に検討を進めたら、情報を提供させていただければと思います。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ、牛来委員。

【牛来委員】
 町田高校の牛来です。よろしくお願いします。私は、現場を預かっている視点から、全ての資料に関わることなんですが、特に資料6-1ですね。これが非常に学校教育のIT化を推進している大きな鍵になっていくだろうと、きょうの説明を聞いていて感じています。これだけの、きょう報告された内容を取り組んでいくことは大変重要であるという認識を持っております。
 しかし、学校現場には、こうしたことをすぐに指導できる教員というのは非常に少ないですし、育てていくためにも大変な時間が掛かります。そのためには、前からお話ししている部分もあるんですが、学校の先生方というのは一つの役割を頂くと、その役割でもって成長していくというような特徴があります。役割が人を育てて、役割が学校を大きく変えていく。その役割が学校校務全体のいい流れを作っていくという、そういう動きが出てきます。
 そこで、私は、東京都の場合は、主幹教諭とか指導教諭というのが配置されているんですけれども、それと同等に匹敵するようなIT指導教諭というものをやっぱり全国的に展開して、校長の推薦により、自治体が認定していく、そして、そういう先生が校内の役割を持って次の人材を、確実にOJTを推進して2人、3人というふうに育成していくというような取組をやっていかないと、学校はなかなかICTの活用の積極的な芽は出てこないというふうに私は思っています。
 ですから、是非このIT指導教諭のような法的な設置をしっかりと位置付けて、これだけの事業を推進していく、日本の教育を変えていくという大きな意気込みを学校現場に示してほしいなというのをつくづく感じております。
 以上です。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 はい。稲垣委員。

【稲垣座長代理】
 東北学院大学の稲垣と申します。ワーキンググループ1の話と3の話と、あと、再興戦略、資料2の関係で、特に児童生徒の端末整備のことについて御確認させていただきたいんですけれども。
 ワーキンググループ1の方のところでは、2枚目のスライドのところで、3.6人に1台というハードありきの目標ではないという話がありました。一方で、ワーキンググループ3の中で、先ほど福田委員のお話の中では、まず、3.6人に1台のところをしっかり達成しつつ、その次へ向けてというお話があったと思います。
 ちょっとこの辺の関係性がこれからどんなふうに整理されていくのかという展望と、もう一つ、先ほどの再興戦略の中で、KPIとして三つ指標が出ているわけですが、この中にはちょっとそういう児童生徒の端末整備の話が抜けているわけですが、こういった方向性について少し今後の展望を教えていただければと思います。ちょっとどなたに聞いたらいいのか分からないです、申し訳ないですけど。

【清水座長】
 この懇談会の前に、9時から調整会議で、座長、主査と懇談したんですけど、私、そのとき申し上げたのは、今、我々懇談会として、これからの2020年代の教育情報化ということを検討しているので、この整備の在り方、3.6人に1台というのは2003年か4年に決めて、来年度が目標になっているんですね。
 この延長上で考えていったのでは推進にならないし、決めても全く改善にもならない平行線の結果になっているので、今後どういう形で整備を考えるかという基本的な考え方を、WG1の堀田先生がさっき言われたような形で検討した上で、WG3でも、特にWG3でも検討してほしいということを申し上げました。
 そういうことで、文科省がうまくいくという方針が出れば、この懇談会のまとめの中で、うまい形で、今後こういう方針で整備目標をしていく。それには、今大きく、きょう四つの状況を御説明いただきましたし、WG1、2、3でも検討していただいて、その上で、WG全部が関係していますので、そういう形を取れればいいなというふうに考えてお願いしたところであります。

【稲垣座長代理】
 ありがとうございます。

【清水座長】
 小林委員、はい、お願いします。

【小林委員】
 NECの小林でございます。資料8-3の(3)のネットワークと情報セキュリティのところにちょっと関連しまして、御質問というかお願いというか、あるんですが、サイバーセキュリティの問題、非常に重要な状況に今、攻撃型標的メールが相当出てきていまして、これに対応できるような強靱なネットワークが必要だというふうな認識をしています。
 行政においては、既にLGWANという大きな全国規模のネットワークがございまして、多分、学校、教育委員会、校務システムとか授業支援のネットワーク基盤が整備されていくことになると、そういった全国のネットワーク基盤というものが、LGWAN相当のようなものが必要じゃないかなというふうに思っているわけですが、その辺に関しての討議とかは今後なされる、あるいは、その辺の話も既になされているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

【福田委員】
 済みません、福田でございます。今ごらんいただいております資料8-3の2ページのところの、今の部分は(3)番だと思いますけれど、そこに青字で、「今後検討」ということで、第3回目のワーキング会議等で検討するということで、現在そこら辺についてはこれからのテーマとして、今後掘り下げていこうということで考えております。

【藤村委員】
 関連して。ネットワークセキュリティを含めて、セキュリティ関連につきましては、WGのスマートスクール構想検討ワーキングの方でも、第3回で中心課題として検討する予定になっておりますので、その話題についてはまた御提供したいと思います。

【小林委員】
 はい。ありがとうございます。

【清水座長】
 ほかにいかがでしょうか。新井委員、お願いします。

【新井委員】
 資料8-1で、WG1の1の項目、アクティブ・ラーニングの視点に立ったという、この整備の在り方というところなんですが、この中で、児童生徒の活動という視点だけでなくて、先生方の活用とか、それから、社会に開かれたという観点からすれば、家庭、地域との連携という観点から、環境整備がどうあるべきか、ということが必要なのかなというふうに思いました。
 アクティブ・ラーニング、児童生徒が中心なんですが、それを支えるに当たってどういう整備が必要かという観点からすると、もう少し広く、この今後の整備考えてもいいのかなというふうに思いました。
 それから、3の教材の観点なんですが、先ほどもデジタル教科書の話がありましたけれども、これらを考えますと、指導要領の内容がコード化されている、コード化というのは片仮名のコードですね、漢字の高度じゃなくて。コード化されていることが教科書とか教材の作成には非常に有効なんではないかなというふうに思いますので、そのことも含めて、提言いただけばいいのではないかなというふうな印象を受けました。
 それから、もう一つは、三つ目、WG3は私も参加させてもらっているんですけど、その最後の資料の中で、これを推進する組織、自治体の組織がないという自治体が大半であるという、資料8-3の後ろの富士通総研さんのデータで、最初の1、丸の円があるんですけれども、組織化されていないというところは今後の推進の加速化については問題なのではないかなというふうに思います。
 つまり、いろいろガイドラインが出ても、いろいろな政策が出ても、それを引き受けて実行する組織が自治体側にないということになりますと、業務がアサインされていないと考えるのが普通ですので、そうすると、特定のエリアしかそれを引き取って推進できないということになりますので、ここをどうするかというところが一つ加速化のポイントかなというふうに思います。
 以上でございます。

【清水座長】
 堀田主査、説明ありますか。

【堀田委員】
 ありがとうございます。少しだけコメントします。
 まず、今後の学習指導要領の改訂に向けたICT環境の整備の観点で、教師の観点や家庭の観点という話ですが、これはもちろん子供たちの学習活動の学習場面に、学習活動と学習場面、これ、言い分けが難しいんですけど、要するに、教科の内容と関係する部分もあれば、活動だけ見れば、形態が近いみたいな話はあると思うんですけど、そういう学習形態に近い学習場面という観点で色々議論すると、当然、家庭学習はその中に含まれてくると思いますし、それをトータルに検討し、デザインするのは教師だと考えれば、その教師がぱっと何か提示、教師の教材を提示したり、あるいは、子供のやっていることを提示したりするような場面というのは当然想定されますので、その辺はもちろんトータルに検討してまいりますと。
 学習指導要領のコード化については、同じような意見がこちらでも出ていますが、それがどこまで実現するかはまたこれから調整して検討してまいりたいと思います。
以上です。

【福田委員】
 それでは、私、福田の方から、先ほどありました資料8-3の恐らく今15ページの富士通さんの資料をごらんいただいての意見だったと思いますが、確かに昨年度のアドバイザリーの事業のときにも、全国見渡したときに、担当者がいないとか組織がないというのがもう本当にたくさん見られました。
 例えば、ただ、その中で、佐賀にもあるのですが、教育長と指導主事と、あと、庶務担当の3名ぐらいでその小さい町とかは教育委員会を回している状況もございますので、そういったところは少し横連携を図るなどして、少し組織化、これもワーキングの中で検討できればと思っております。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 学習指導要領のコード化については、2002年か3年ぐらいだったと思うんですが、ナイサー(NICER)のサイトを私が開発したときには、学習指導要領の項目で全部分類したんですね。それは非常に有効だったんですけれども、指導要領が改訂したときのその作業の膨大さには苦労したというか、途中で諦めようかというぐらいな作業になったという記憶があります。
 はい。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。コード化ということが意味するところを是非教えていただきながらということになると思いますし、ある意味、言語で表されているものですので、どのようなコード化も可能かとは思いますけれども、やっぱり今、指導要領がしようとしていることは、各教科の本質的な意義とは何かとか、そこで育まれる資質・能力の構造化、そして、それにひも付けられた内容と学習課程の在り方ということで、そういう構造はかなり見えやすくなってくるのだろうと思います。
 そうしたことが、本日御議論いただいたことにも少しつながってくるのではないかなというふうに思っておりますので、御紹介だけさせていただきます。

【清水座長】
 どうも御説明ありがとうございました。
 それでは、西田委員。

【西田(光)委員】
 柏第二小学校、西田です。学校にいる立場から、まず、ワーキンググループ1の方の8-1の1の部分で、基準等のことですけれども、ここにあるように、今、学校では3.6人に1台と言われても、数だけ入ってもどうしたらいいのというのが現実としてあります。
 お話の中でもあったように、これはデジタル教科書、デジタル教材といったものが入ってきたときに、学習場面がまた変わっているかと思います。学校あるいは教育委員会等においては、その具体的な場面というのが想像が付かない状況がまだあるかと思いますので、数だけではなくて、どのような学習場面、学習スタイルに活用しているものが求められているのかということを示していく必要があるのではないかと考えています。
 と同時に、先ほど、堀田主査の方からもありましたように、学校に導入するには非常に時間が掛かります。例えば来年度導入しようと思うと、もう今の段階で仕様がほぼ決まっていないと、予算折衝等はできません。あるいは、学校は5年間のリースでやっていますので、柏市の場合でも、5年たたないと、次の学校には入りません。
 そういったことを考えると、次の学習指導要領に合わせた、多様な学習場面を想定したスタイル、こういうICT環境が必要なのだ、こういうシステムが必要なんだというものをなるべく早く示していただく必要があるのではないかと考えています。
 環境の整備が進むことによって、教員もそれに慣れていくという形ができます。うちの学校でも、教員が慣れるまでに非常に時間が掛かるというのを経験しています。教員が慣れないと、子供たちの学習に使うというのはなかなかできない状況がありますので、少しでも早く、その指針というか、ものを示していただくといいのではないかと思います。
 そして、同じくワーキンググループ1のコンテンツですけれども、柏市内でも、モデル事業等でやってきた中で、期限が切れて、コンテンツが使えなくなった途端に、授業等での活用ができなくなってしまったという事例が起きてきています。学校でこれから授業等で進める中では、学習用のデジタル教材は欠かせないものになってきていると思います。
 先ほど、デジタル教科書の話の中でもありましたが、その教材の質の担保というのがこれから大きな課題になっていくと思います。どのような形で質を担保していくのか、学校等で導入してみて、これは良くなかったから使えないということがあると実際問題なかなか難しいので、その前の段階で何とか質の担保ということを考えていただけると良いと思います。
 なるべく利用しやすく安価にするためには、そういった開発の仕組みであるとか、ベースを作るとか、いろんな方法もあるかと思いますが、そこも含めて、コンテンツが使えるようにということで進めていただけると、有り難いと思います。
 最後に、ワーキンググループ3の方の資料8-3のスライド8にありますICT支援員のことですけれども、学校等におきましては、ICT支援員はかなり有効というか、機能していただいています。ただ、自治体によって、そのICT支援員さんの資質や能力に求めるものが多様で、そこが非常にばらつきがあるということが今課題ではないかなと感じています。
 教員のICT活用指導力と同様に、ICT支援員に求められる力、あるいは、位置付け、そういったものをはっきり示していくことで、ICT支援員が有効に学校で機能するようになるのではないかなと考えています。
 以上です。よろしくお願いします。

【清水座長】
 貴重な御意見、ありがとうございました。
 次。済みません、三宅委員。

【三宅委員】
 経団連から参りました三宅と申します。今の西田委員の、どのようなシーンでICTを使うのか、イメージをというお話でございますが、私も全く同感であります。学校教育を終えた人材をお預かりする企業の側から申し上げますと、最近の若い人には、グローバルなビジネスを意識しますと、自ら課題を設定したりとか、自分の意見を恐れず発信したりといった部分にやはり弱みがあると思っております。したがって、こういうことを克服するために、アクティブ・ラーニングが非常に有効であるという期待感を持っております。
 したがって、私どもから、ICTをこう使ってほしいという場面としては、アクティブ・ラーニングを有効にやるためのツールとしてお使いいただくということが一番急がれるのではないかと思っております。コンテンツもそういったようなことを目指していただきたいですし整備もアクティブ・ラーニングを実際にやるために必要な最低基準、例えば1人1台の端末であるとか、ブロードバンドのネットワーク環境であるとか、そういったものが必要だという認識で、その整備計画を立てていただきたいと思っております。
 いずれにしましても、時間がもう余りありませんので、しっかりと予算を確保した上で、早急な実現をお願いしたいと思っています。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 先ほど、加藤委員が手を上げられましたね。加藤委員から、それから、市原委員にお願いします。

【加藤委員】
 ソフトバンクの加藤でございます。私からは、ちょっとこれだけの皆様が集まられている場ですので、全体感というところで改めて確認したいなと思っていますが、資料の3の3ページにありますとおり、今ここに集まられている方々の共通の課題、やっぱりグローバル化と情報化、こういったところと将来に対する不確定さというのがあるんだと思っております。
 その中で、どのように教育という場を変えていくのかという議論だと思っておりますので、一人一人が間違いなくデバイス等は持つ、もう持っている、そういう世界をまず想像して、どういうふうに使っていくのかを議論していきたいなと改めて思っています。
 持ってない人がいるかも分からない、持たせられないかも分からないというところからスタートすると、多分積み上げ型になりますので、そのときにコンテンツがどうあるべきかということではなくて、全員が持っているという前提で、どのように子供若しくは先生が活用するのか、若しくは、支え合うのかという視点を改めて持っていただきたいなと。
 その中で、「日本再興戦略」の抜粋のところにありますけれども、やはりデバイスインフラの上にコンテンツが必要だというのは、皆様、西田委員中心に言われていると思いますが、先生のリテラシーも上げていかなければいけない、教育の質も担保しなければいけない。これはやっぱり教科書というのが真ん中にあるべきだと思います。一番使いやすくて使うべきもの、それがデジタルのデバイス環境の上で使えるんだということ。
 ただ、これをこれだけにとどめると、子供側の方がもっともっと進化しているんだと思います。グローバル化に備えなきゃいけないのは子供たちだと思いますので、子供たちのリテラシーを制限するような壁になってはいけないと思いますので、この再興戦略の2であるコンソーシアム型等でやはり官民が連携して、その教科書というコンテンツの上に、様々な個性に適合したアプリケーションを作っていかないと、1人1台持った子供たちは、学校の中で、教科書で学んだ後、何をすればいいのか、やっぱり止まってしまうんだと。当然そこの質を担保していかなければいけないと思いますが、一方で、そのコンテンツはどのような形になるのか、皆さんも分からないんだと。
 ですから、民間の力等を活用するということなので、そこをどうやってつなぐのかは多分肝になるのは教科書というコンテンツなんだと思いますし、そのコンテンツを使って何をしているのか分かりませんけれども、環境というところで教育の情報がこれだけの議論をしているんだと思いますので、是非そういう前提を全員が持っていて、全員が使える環境にあると。そのときにどうするのかという視点で、三つのワーキングをしっかりと同じ方向に向かって進めていっていただきたいなと。私もワーキングの1に参加させていただいていますので、そういう視点を持ってしっかりと議論を深めていきたいと思います。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 では、市原委員、お願いします。

【市原委員】
 中身の議論は本当に大変だと思います。専門家の皆様が本当にしっかりしていただいて、これからこのICTを活用した教育が普及することによって、大変すばらしい効果が出るだろうというお話は、今伺って、実感をさせていただきました。
 ただ、ひとつ御理解いただきたいのは、多分、自治体の関係者で来ている方はほとんど今日はいないと思いますけれども、財源を確保する、財源を手当てするのはどこかというと、やっぱり市長部局なり、知事部局なり、自治体でいうと、そちらの方がやはり財源を手当てするわけです。
 やはり市長なり知事なり、その財源を確保する側が、やはりこの必要性であるとか効果であるとか、こういうものを認めないと、なかなか財源を確保する、また、財源を手当てするというのは非常に難しいということをまず御理解いただきたいというふうに思っております。
 先ほど、資料2の、5で「エビデンスに基づく授業計画の策定を支援する仕組みが必要」だという文章がございましたが、エビデンスというのが私は非常に重要だと思っております。
 私、つくば市ですが、つくば市では、非常に教育水準は手前みそですが高いと思います。ICTを活用した教育や授業は非常に充実していると思います。ただ、残念ながらいわゆる機器の整備からいうと、よその自治体ほど整備は進んでないところがたくさんあると思います。
 ただ、なぜかといいますと、非常に教育の現場の中で、学校の先生方が自分たちで工夫をしながら、いろいろな授業をやっていただいております。そういうことで、いわゆる効果が出たものに関しては、私たちも積極的に予算を付けていきたいというように今思っておりますので、そういう意味では、現場の方で積極的にエビデンスといいますか、そういうものをきちんと見定めた上で、やはり予算措置を要望するというようなことが各自治体でできると、首長もやはりそれらに積極的に予算を付けていくのかなということをちょっと感じました。
 なぜかといいますと、教育の情報化は、非常にこれから必要だと思っております。しかし、首長の立場で言いますと、教育関係は、この10年間、大変多くの予算がハード面で必要になっております。地震が起こるたびに、耐震化を一刻も早くやってほしい。暑くなると、エアコンを全部学校に付けてほしい。それから、トイレが古くなって汚くなると、トイレを洋式化してほしい。それから、今、統廃合しております。統廃合一つするのにも、非常に多くの財源が必要になります。そうすると、それに伴ってスクールバスを整備してほしい。
 これらについて、交付金なり補助金なりがほとんどございません。市の単独の予算の一般会計の中で、全てとは言いませんが、かなり持ち出しをしなければいけないと。私どものところ、ちょっとお話長くなって恐縮ですが、エアコンを今、3年間掛かって全ての学校に付けろということで、これだけで20億から30億掛かります。補助金はほとんど付きません。ということになりますと、やはりなかなかそういう厳しい予算措置の中で、情報化のために、各お子さん方に一人一人端末を持たせろとかパソコンを整備しろとかというのはなかなか難しい状況にあると思います。
 そういう中で、資料の一番最後で佐賀市さんにお示しいただいた資料3の20ページのところで全国ICT教育首長協議会と書いてありますが、昨年の11月に、つくば市で初めて、この全国ICT教育首長サミットというのをやりました。これは今度、佐賀県の多久市さんで第2回目をその首長サミットをやっていただけることになりました。幾つかの自治体で手を挙げていただきましたが、最終的にやっていただけるところがなかなか見つかりませんで、最後に、佐賀県の多久市さんがその首長サミットをやっていただくことになりました。このようにサミットを一つ開催するだけでも、非常に皆さん、大変な負担になるということで、なかなか実現をしないというような状況もございます。
 ということで、自治体のそういう状況も十分御理解いただいた上で、私は最後に一つ申し上げたいと思います。私のところは市長部局と教育局、教育委員会部局が非常に良好な関係でやっています。教育委員会も、多額の予算請求を余りしません。徐々に効果を出しながら、少しずつ整備の要求をしていくというような関係にございまして、私どもはそういうことで、まちづくりの中に教育の充実というものがまず必要だということを十分理解した上で予算を編成しております。
 そういう考え方がやはり各自治体にも浸透するということが、これからの教育におけるICTの充実、整備、そういうものにつながり、逆にそれがなければ、なかなかつながらないのではということを、自治体の責任者としてちょっとお話をさせていただきました。
 長くなって、大変申し訳ございませんでした。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、はい、どうぞ、お願いします。

【関委員】
 新経済連盟の関でございます。デジタル教科書についてと、プログラミング教育につきまして、今回、資料4-2と資料5-2という形で御説明がありましたので、コメントしたいと思います。
 新経済連盟の方は、以前からデジタル教科書の解禁を早期に実現してほしいということでお願いしてきまして、そういう方向になっているということで一定の評価をさせていただいております。一方で、デジタル教科書によって、アクティブ・ラーニングを早期に実現して、それによる深い学びをやっていくということが非常に重要かなと思っていまして、そういう意味でいうと、現状は、デジタル教科書として考えているイメージが紙の教科書をほぼ同じ内容でデジタルにしたものだという認識で捉えておりまして、その考え方から、もう少しアクティブ・ラーニングとか、動画や音声を取り入れた、デジタルの有効性を活用できるような形でのデジタル教科書という形に変えていくべきではないかと思っています。
 そのためには、一つには、先ほどもお話が出ました著作権の権利制限規定の整備でありますとか、あるいは、それも含めた形での無償化の実現、こういったことも必要だと考えております。
 また、今の紙ベースの教科書でビジネスが成り立っているという仕組みを、デジタルでも単独成り立つようにすることも必要だと思います。そういう意味で、デジタル教科書単独で存在し得るような環境整備を是非実現していただきたいと思っております。
 それから、もう一つ、プログラミング教育につきましても大分前進しているということで評価させていただいていますけれども、各教科において、応用的にプログラミングの勉強をするということも非常にいいことだと思うんですが、一方で、プログラミング言語は何でもいいんですけれども、コーディングの経験によるプログラミング思考というものをしっかりその基礎から教えるといったプログラミング教育そのものの教科、それの必修化を是非実現すべきではないかと思います。
 その際に、プログラミング言語につきましては、発達の過程に応じて、簡単なものから複雑なものまでいろいろありますので、それは適宜、その発達の過程に応じて選べばいいかなと思いますが、いずれにしましても、プログラミング教育の教科としての必修化を是非目指すべきではないかと思います。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかにございましたら、お願いします。

【山本委員代理(山本(圭)氏)】
 大阪市教育委員会から参りました山本です。大阪市で校務支援活用事業をしているということを踏まえて、意見を申し上げたいと思います。
 先ほど、学校にICTの指導教員という位置付けを置けないかという御意見がありましたけれども、非常に賛成です。
 実は大阪市も、各学校にCIOということで教員を置いていますけれども、そこには、システムを操作するに当たって、学校の行事であったり、教務活動であったり、生活指導であったり、多くの情報が集約してきます。校長を助けながら、情報セキュリティの徹底など学校の中で中心的な役割を果たしていただいておりますので、キャリアポストという形で置けないかなということを考えます。大阪市ではCIOをしながら、校内では職能成長されているということを感じます。
 2点目には、財政との関係ですけれども、やはりもう未来への先行投資というような時代ではなくなってきたように思います。財政への説明責任として事業のエビデンスも整えるということですけれども、一方では、市民の税金を使わせていただいているということから、やはり公表した上で市民への説明が重要になってきているんではないかなと思います。
 そういう意味で言うと、校務支援というのは内部業務で。今後は校務から授業支援、学習支援、教員支援というような形で、校務と教育の連携のような形で、いわゆる教育委員会の中のICT事業を連携させていくということも見据えて今後、大阪市としてもシステムやデータの高度利用考えていく必要はあるのかなと思っています。
 3点目は、非常に細かいことを申し上げて恐縮ですが、データの遠隔地保管を、しているんですけれども、これも自治体任せとはなっていますが、やはり国が提供いただいたところで、データ保管ができれば一定の費用も縮減できますし、あるいは、クラウドを提供いただいて、幾ばくかの使用料も払うというようなことをしていただいたら、クラウド活用の市町村の負担も減っていくんではないかなというようなことも今、実際、実務をしながら、感じているところです。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。はい、田中代理。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 二度目の発言になって恐縮です。指導要領のコード化、先ほど出た話について、ちょっと1点だけ、情報提供をさせていただければと思います。
 私たちNHKでやっている取組で、現行の指導要領をコンピュータで言語解析しまして、その中から、ネットワーク的なものを取り出すという作業をしております。このやり方ですと、毎回、要するに、何かあったたびに、改訂のたびにIDを振り直すとか、そういったことが必要なくなるものですから、そのようなやり方をして、結構うまくいっておりますので、もしどこかでごらんいただける機会があれば、ごらんいただいてもいいかなというふうに思います。

【清水座長】
 ありがとうございました。最新的なお話と思います。
 ほかはよろしいでしょうか。
 よろしいようでしたら、最後、私の方で少し、まとめじゃないんですけど、お話しさせていただければと思います。
 本日は、WG1、2、3の主査から、大変精力的に検討していただいた結果、また、これから検討する事柄について御説明を頂きました。また、多くの委員から、いろんな意見を頂いたところでありますけれども、WG1に関連して考えますと、堀田主査が説明されましたように、このWG1での検討事項というのは、教育課程部会とか、その他の関係が非常に多いわけですね。主体的に教育部会でやってくださっているものを踏まえて、こちらが検討するというこの方針はスタートから維持しています。
 そうでないと、別の言い方をしますと、ICTの観点からというこちらから意見を申し上げるということは、主体が教育部会であるということから、まずいだろうということでスタートしているわけですけれども、先ほど堀田主査が言いましたように、もうだんだん方向性が見えてきた段階なので、その方向性に合うような部分というのを踏まえて、少しずつ、学習活動との関係とか、そういうのは作業をしていってもらいたいと考えております。
 そういう整理をするというのは時間も掛かることですし、先ほど、西田委員から、できるだけ早く出せと言われていましたが、作業からということでスタートをしてほしいと考えております。
 最終的には、財政当局へ説明する観点が非常に重要なわけですけれども、御意見ありましたように、ICT機器に求められる機能、学習活動を踏まえたということですけれども、スペックとか性能、そういう議論が展開できるようにしていただいて、ICT活用の場面がどういう使い方をしてどのぐらいの頻度でという具体的な作業が、WG1で行っていっていただきたいという視点、事項でございます。
 もう一つ、WG1で上げられているのは、教材開発に向けた官民コンソーシアムというのがございます。これはWG1が主体的に検討していただくという事項よりも、文部科学省としての考え方というのが最初に整理していくということになると思いますけれども、プログラミング教育という話題もありますので、教育課程部会における議論も踏まえての整理とはなるわけですけれども、官民コンソーシアムでどのような考え方で教材を開発していく必要があるかとか、期待している官民コンソーシアムの機能、それから、文部科学省だけで実施するということではなくて、総務省、あるいは、経済産業省との連携で、官民コンソーシアムということになるかと思いますので、その協力、連携協力の在り方、こういったことが事務局側というか文部科学省側で案として早めに出していただいて、それをWG1で少し検討していただくということが必要であろうというところであります。
 それから、WG2につきましては、主査から説明ありましたように、統合型校務支援システムについては、かなりまとまってきているという印象を受けております。そういったことからしますと、この統合型支援、校務支援システムをどういうふうに普及促進していったらいいかというその方向性とか国の取り組むべき事項とか、そういったことを、既にかなり進んでいますけれども、この方向で具体的に検討していただいて、この懇談会終了段階では、例えば指針とか工程表とか、先ほどもいろいろ言ってくださっていますけれども、それが取りまとめられるということと、やはり普及という観点からいきますと、校務支援システムの導入とか運用の手引きですね。これを現場に分かりやすい形でまとめていただければ、懇談会の役割が果たせるのではないかというところであります。
 スマートスクールについては非常に大きな話でもあるんですけれども、後ろに回していますが、校務、統合型が非常に重要だから、先行しちゃってくださっているわけですが、情報セキュリティは非常に重要ですので、そういう観点で少し整理していただくということと、WG1との連携ですね。それをうまく取っていただければというところであります。
 それから、WG3ですけれども、新井委員が先ほど言われました教育の情報化の企画立案する担当課が85%存在しないという調査結果で、これはかなり大きな課題かなと、さっき岩本総括官からの御説明もありましたけれども。これはどのようにしていけば、うまくいくのかというのは少し、市原委員ほかの指導も受けながら、考えていく必要があると思います。
 今まで、私はこれほどパーセントが多いとは知らなかったんですね。ということは、今までどういうことを申し上げていたかというと、やっぱり市長さんとか知事さんとか、首長さんにアプローチすればいいということばかり考えていたんですけれども、それよりも、やっぱり担当課が、推進の担当する課があるということが非常に重要であるということが今回分かりましたので、その辺、またWGさんで具体的に検討していただいて、教育委員会や事務局の組織強化とか、そういったことも踏まえて、この懇談会から、どのようなメッセージを出せばいいのかということではないかというところであります。
 それから、磯課長からも説明がありました第2期教育振興基本計画における目標ですけど、先ほどから議論ありますように、やはり考え方、目標の考え方をここで変えないと、2020年代としては、進むということはできないのではないかという危機感があります。ですから、そういった観点で少し検討していただけないかと。WG1との関係もあるかと思います。
 あとは、教育委員会と学校への支援体制ですけれども、従来型の教育方法の研究とか、そういったことだけではなくて、機器の設置とか使い方の技術的な観点、あるいは、調達、検討してくださっていますけれども、そういう点、あるいは、研修の仕組みとか、これは産官学連携ということが重要になりますけれども、そういったことを具体的なことを検討していただくということが必要であろうと思います。
 必要であろうと申し上げているのは簡単なんですが、WGの主査からすると、短期間でやってくれと、こう申し上げているわけですので、大変だなというのはよく分かっておりますが、どうぞよろしくお願いいたしたいというところであります。

【大杉教育課程企画室長】
 座長、1点だけよろしいでしょうか。済みません。

【清水座長】
 どうぞ。

【大杉教育課程企画室長】
 ありがとうございます。指導要領の方向性とも足並みをそろえた形で御検討いただいて、大変感謝申し上げます。
 1点だけ、教育課程部会の議論とそごがあってはいけませんので、感じたことを紹介させていただきながらと思いますけれども。アクティブ・ラーニングにつきまして、様々な理解の仕方がある中で、教育課程部会では、かなり慎重に、これは指導改善のための視点であるということを御説明をさせていただいております。何かアクティブ・ラーニングのやり方があって、これに沿ってやればうまくいくということではなくて、先生方がしっかりその視点を踏まえながら、授業改善をし続けていただくということであろうかと思います。それが何のための視点かといえば、子供たちに必要な能力、ICTの活用能力、プログラミング的思考を育むための視点であるということであろうかと思います。
 そういうことで申し上げますと、先ほど座長からおまとめいただいた場面と頻度のお話でございますけれども、場面については、この場面ではこれを必ず、このICTを必ずするということになり過ぎては恐らくいけないと。一方で、その頻度につきましては、子供たちにICTを活用する能力を育むために必要な頻度は何かということをしっかり考えていく必要がある。そういう意味で、頻度を少し明確にしながら、場面に関連付けていく。場面は縛り過ぎないということも極めて重要かと思いますので、そのような形で是非御相談させていただければと思います。

【清水座長】
 どうも、御指導、ありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成28年08月 --