2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会(第2回)

1.日時

平成28年3月1日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

東海大学校友会館 阿蘇の間

3.議事

(1)関係者からのヒアリング

・柏市立柏第二小学校
・長野県喬木村
・大阪市教育委員会
・東京都豊島区

(2)委員からの意見発表
(3)論点整理素案に関する意見の整理等
(4)その他

4.配布資料

5.議事概要

(1)座長挨拶

(2)堂故政務官挨拶

 清水座長さんはじめ、委員の皆さんには前回に引き続き、お忙しい中、ありがとうございます。
 前回もICTを活用しての教育をさらに高めるという話、それから、そのための環境整備や指導体制など、課題もいろいろ御議論いただきました。きょうは引き続きその議論を深めていただきますようによろしくお願いしたいと思いますが、事例発表いただく皆様方にも、大変お忙しい中、きょうはありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

(3)関係者からのヒアリング(柏市立柏第二小学校・長野県喬木村)

【西田(光)委員】
 柏市立柏第二小学校校長、西田光昭でございます。本日はこんな形での参加になり、申し訳ございません。千葉県柏市を例に挙げながら、公立小学校の教育の情報化の歩みと現状、そして、これからの課題についてお話しさせていただきます。
 柏市では昭和61年からコンピュータ活用検討委員会が発足し、教育の情報化の歩みがスタートしています。これは、それまでの視聴覚教育の歩みに続くもので、国内でも早い方です。先行導入校でパソコン室に1人1台のパソコンを整備し、チュートリアルを中心にCAIでの学習授業から始まり、普通教室に1台持ち込んだとき、複数台持ち込んだときと検証を重ね、市内全校に広め、現在は普通教室で1人1台の環境で学びのツールとしてのコンピュータの活用を検討しています。
 市内の公立小学校の導入の変遷をお話しします。さきにお話しした昭和61年のコンピュータ活用検討委員会での検討を経て、昭和62年に先行研究をする学校への導入から始まりました。パソコン室への導入は、こうした先行研究を経て市内全校に一般化を図ってまいりました。平成3年には、学習指導要領で中学校の技術・家庭科に指導内容として入ったことから、全中学校に41台のパソコンが導入されました。小学校は、財政的なこともあり、グループに1台での導入から全校へと広めてまいりました。平成10年度は、当時の基準であったパソコン室で2人に1台の環境で、21台の導入、平成12年度には基準が変わったことで、41台の導入を進めてまいりました。
 普通教室は平成12年に研究的導入を始め、ミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」の基準に沿って、各教室2台とプロジェクターが配置されました。平成18年には、実物投影機が安価になったことから、実物投影機が配置され、平成23年からは、より使いやすい環境を目指して、プロジェクターは天吊りとなりました。
 導入に際しては、先行導入から一般化を進める。学習指導要領の内容が実現できる環境を作る。国の示す基準に基づいて計画を進める。ということを大切にしてきています。しかし、機器更新が5年周期ということがあり、長いスパンがかかっています。
 これらの検討は、教育委員会職員、学校の代表からなる委員会で検討された内容を基に予算措置を進め、導入に対応しています。この組織は、コンピュータ活用検討委員会、情報教育推進委員会、教育の情報化推進委員会と名前を変えてきていますが、学校の立場からの意見を尊重しながら、国の施策を踏まえ、進む方向を検討することでは一貫しています。
 学校のネットワーク環境についても、段階的に全校へと広めていきました。校内LANは、平成12年に研究的導入を進め、整備を早く希望する学校からネットデイでの構築を進めました。その後、平成15年からは、全校に機器更新の際に普通教室や特別教室へのLAN整備を行ってきました。
 Wi-Fi化については平成19年から、実証研究への参加等で利用環境の研究を進め、平成24年からの中学校は普通教室の学習用ネットワークをWi-Fi化。平成26年からは、小学校に可動式のアクセスポイントでの整備を進め、全校固定でのアクセスポイントの運用に向けての研究をしています。
 インターネット環境は、平成9年に県の研究事業と地域のボランティア団体、柏インターネットユニオンの協力を得て研究を進め、平成11年からの国の事業に参加する中で、全校参加の地域教育ネットワークを作り、運用してきました。
 ネットワーク環境についても、先行導入での実証実験を進め、そのデータを基に一般化を進めました。また、ここでは学校外組織との連携、協力が不可欠でした。次第にノウハウを得て、市教委での運用へと進んできています。
 写真を御覧ください。左は平成9年のグループ利用の様子です。パソコン室にしかないため、パソコン室でしか実現できませんでした。右は今年度の様子です。普通教室で必要に応じてグループ利用をしています。いずれも協働的な学習ですが、必然的に、グループ1台しかない環境と、1人1台まではある中でのグループ利用を選択できる環境と、その指導内容も大きく変わってきています。
 普通教室の提示環境では、平成13年は自作かフリーの教材が使われていましたが、平成27年の教室では、デジタル教科書や実物投影機を使って、教科書、ノート、実物が提示されるようになりました。
 現在の環境では、提示することに関しては教育実習の学生もベテランの教員も同じように使えますが、そこでの発問や見せ方などを話題にし、練り上げることで、教師の指導力の向上にもつながっています。
 市のネットワーク環境の変遷の様子です。リース期間の関係で、ほぼ5年ごとに見直し、更新を進めてきました。元になった学校インターネットの環境をモデルにし、時代の状況に合わせてハウジング、ホスティング、クラウド運用と変わってきました。この過程では、教育のネットワーク利用の特質性を踏まえた上で、専門家のアドバイスを受けることが欠かせませんでした。
 この4月から新システムでの運用になりますが、1年半の経過があります。柏市は中核都市ですので、市長部局の協力もあり、ここまで進みましたが、市町村教育委員会ごとにこれを全てやることは、体制的には無理なところも多くあります。適切な構築単位を考え、県教委との協力関係も必要な状況だと思います。また、今年度行われたアドバイザーの派遣事業が、こうした長いスパンに対応できるようになると、さらに教育委員会は助かると思います。
 こうして整備されてきた環境の活用状況についてです。このグラフは、いずれも平成26年に本校のリプレイスがあったときに校内でとった資料です。コンピュータ、実物投影機、プロジェクター、電子黒板と、リプレイス前と年度末に調査しています。デジタル教科書はこのときに導入されたので、年度末の利用状況です。
 社会科は5、6年生のみ、あと、中学年の地域教材だけです。これを見ると、それまでと整備数は変わらなくても、完全に常設になったことでの利用が大きく増えています。数だけあっても使いにくいのでは日常化にはつながりませんでした。柏市では、ICT支援員が学校の利用をよく支援してきていることがこの1つの原因と思われます。また、リプレイスに伴い、校内でのヘルプ体制を教頭中心にとったことも大きく影響しています。接続や設定が何らかの理由で変わってしまったときに、声を掛けてすぐ対応できるかどうかが、躊躇なく、安心して使えるかどうかにつながっています。
 現在、モデル事業に参加している学校で、校内研究に市内から助言者が入り、授業づくりの研修を進めたこと。Wi-Fiのアクセスポイントが不足しているということで、アクセスポイントを貸し出して常設にしたこと。この2点で教室のタブレット利用が大きく増えました。また、他のモデル事業が終了した学校では、コンテンツが使えなくなったことで利用が減少しました。
 柏市ではこの5年間、教員が普通教室でICTを活用した授業をすることに焦点を当て、環境整備とともに研修を進めてきたことで、教員のICT活用指導力の調査結果、大項目Bが大きく向上してきました。児童生徒の活用に向けてがこれからの課題となっています。
 現在の整備状況を、県ごとだけでなく、市ごとや学校ごとに目を向けると、千葉県内でも平均に比べて最大2倍、柏市内では3倍の格差があります。県ごと以上です。これでは学習指導要領に示された教育活動が十分に行えなくなることが心配されます。また、現在の目標値である3.6人に1台を考えると、ほど遠いところも少なくありません。柏市の場合でも、3.6人に1台にするには5,000台の整備が必要になります。現実的に整備できるのはどこまでか、財政部局との相談が必要になっています。
 イメージとされているPC室40台、可動式40台、特別教室6台、各普通教室1台を学校規模に合わせるには、可動式で調整する方向で検討を進めています。これまで学校に何台という指標から、1台当たり何人と変わってきている背景を周知し、今後の新学習指導要領の実施に向けての必要性を伝えていくことで、各自治体の予算措置に生かせるものと思われます。
 柏市では、教室の環境が整っても、タブレットPCの活用はなかなか進んでいませんでした。今年度、本校では教師がなじみ、日常的に使う環境を作っての実践を進めてきています。次第に授業の中で児童生徒の活用の場面が増えてきました。物が導入され、なじむことで活用の場面が一般化し、広がっていく、この段階を踏んでいくことが欠かせないと思います。
 教師がタブレットパソコンを持ったときの可能性として、校務の一元化が望まれます。教員は授業準備、授業中、授業後に児童生徒の情報を記録し、その記録を基に授業を考えています。また、それが学期末や年度末には校務支援システムに記録され、保護者への通知にも利用されています。このほかに、日常的に多くの児童生徒の情報が取り扱われています。これらが、タブレットPCを持ったときに、情報の一元化やその情報を生かした細かな対応につなげられないでしょうか。
 手軽に記録し、必要に応じて入力したデータを簡単に利用することが望まれますが、現状ではすぐにはできず、実証実験を重ねて、安全性を確保し、段階的に同意を得ながら進めていくことで実現できるものと思います。
 柏市の事例をお話しさせていただきました。幸いなことにこれまで国の事業に参加させていただく機会を頂いたことを生かし、計画的に、段階的に整備を進めてきたことで、ここまでできたと思います。関心のある人が使うことから、全ての先生が、そして児童生徒が活用できるようになるために、全ての学校教室で環境が整い、必要に応じて選択して利用できることになる取組ができるようになることを願っています。
 以上、私からの発表を終わらせていただきます。お聞き苦しいところもあったかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

【市瀬氏】
 こんにちは。きょうは21世紀のICT教育に係る懇談会という大変大切な会議にお招きいただきまして、ありがとうございます。はるばる信州の片田舎から5時間かけてやってまいりました。また、きょうは議会開会2日前ということで、夜も大切な会議がございますので、途中で中座させていただく失礼をお許しいただきたいと思っております。
 ふだん時間を区切られて話したことがないので、一生懸命頑張りますが、多少のことは御勘弁いただければ有り難いなと思います。資料はどんどん飛ばしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、着座のまま、失礼をいたします。
 私は教育のプロではございませんので、細かなことはよく分かりませんが、行政としてできる教育環境の整備についてお話をさせていただきたいと思っております。こちらの資料は、過日行われましたつくば市の教育サミットで発表した資料を基に、レジュメを担当に作っていただきましたので、私も精緻していないので、余分なことが入っているかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、長野県喬木村は、こちらを見てのとおり、南アルプスと中央アルプスに囲まれた伊那谷に位置しておりまして、これは飯田市街地から喬木村の全景を見た様子になります。
 喬木村については、村発足140年ということで、今まで合併したことはございませんで、大変長い歴史を持っております。今、地域ではアジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区ということで、信州大学のサテライトキャンパスを設けるとか、いろいろな動きが起こっているところになります。
 人口は6,500人ということで大変小さな村でございまして、この中に公立保育園が3園、小学校が2校、うち1校が小規模校ということで今回の実証事業に参加させていただいております。公立中学校が1校になります。
 村はこんな感じで、農業ですとか伝統産業を守るですとか、小学校の教科書に御採択いただいています『大造じいさんと雁』の作者の椋鳩十先生の生誕地ということで、また見ておいていただければ有り難いなと思っております。
 大変日較差が激しくて気候の変動が大きいということで、大変おいしい果物がとれるということなので、是非皆さんに1度お越しいただければ有り難いと思っております。
 では、なぜ喬木村でICTの教育環境整備をやろうかというきっかけですが、こちらは小規模校消滅の危機に直面してきたからということにほかなりません。これが喬木村の航空写真になります。画面左側、飯田市街地で、上部にはリニア駅と書いておりますが、これはリニア中央新幹線のルートになっておりまして、村の中心部からリニア駅までは車で5分という直近の地になります。また、下には三遠南信という文字が入っておりますが、浜松から中央道と結ぶ高規格幹線道路の建設が今始まっておりまして、村内に2つのインターチェンジが将来できる予定となっております。役場がここにありまして、今回実証を行います小学校、中学校、第二小学校の位置になっております。
 村の中心部をもうちょっとアップしてみたいと思います。こちら、下側が今回の小規模校の第二小学校、上が適正規模校といいますか、第一小学校エリアになりまして、ここの間に九十九谷という急峻な山地がございまして、ここで地域が分断をされている状況になっております。ということで、小規模校でも地域コミュニティーの核として何とか存続を図っていかなければいけないという大きな問題がございます。
 かつて、昭和26年に中学校を統合して第一小学校エリアに持ってくるときに、第二小学校区の保護者の皆さんが反旗を翻しまして、半年間、学校に子供を通わせなかったという事件も村史には書かれておりましたので、学校を統合するというのは大変大きなエネルギーが必要になると。それよりも、この地域の伝統文化を守るために、また、地域コミュニティーの核として小さな学校でも残していかなければいけないなという思いであります。
 第一小学校エリアでは、伝統産業ということで、江戸時代から伝わるような傘の生産体験学習を取り組んでいたりということで、また、第二小学校では、小規模校ですので、全校で一丸となって取り組めることということで、和太鼓の演奏ですとか、これはわざわざ諏訪まで行って太鼓の稽古をつけてもらうわけですが、みんなで一緒になって活動しましょうというところに特色ある学校作りということで励んでおります。
 これは、第二小学校では学有林を持っていまして、ここににょきにょき生えているのは、傘が開いてしまっていますが全部マツタケです。今年も200本ぐらいとれまして、学校給食にはマツタケ御飯ということで、そのお米も第二小学校の子供たちが作った御飯を使ってマツタケ御飯で給食を提供するというようなこともやっています。
 さて、人口減少の課題ということですが、学校規模によって縮小・統廃合を考えていかないといけない、これは地方消滅・地域の縮小につながってくるわけですが、グラフで見ますと、このように学校の数はどんどん減っております。
 そんな中で、昨年1月19日に文部科学省から、小中学校の統廃合の手引案が出されました。こちらでは、小学校6学級以下ですとか通学距離が4キロの場合、通学時間1時間以内の場合には統廃合について真剣に考えるときが来たという手引が出されたところであります。まさにこれがうちの喬木第二小学校に当てはまるわけです。
 そこで今回、人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業に参加させていただきまして、地域のコミュニティー機能の存続及び活性化を図るために、第二小学校を残すための手段を探ろうということで事業の取組をさせていただいております。
 まず、遠隔地における双方向の一斉学習・協働学習の実現によって課題解消を図りましょうということで、ICTを活用しまして、テレビ会議システムで教室間を結んで連携授業、合同授業の取組をさせていただいております。そんな中で、小さな学校でも何とかやっていけるのだ、適正規模校と遜色のない授業展開ができるのだということを実証していきたいという取組をさせていただきました。
 第二小学校では、集団の中で多様な意見に接する機会がないですとか、いつも同じ固定のメンバーで9年間過ごすわけですから、切磋琢磨するライバルがいないという問題がございます。また、第一小学校の方では、集団の中で自分の意見が埋もれてしまうですとか、少数の人の立場を理解する機会が少ないという問題がございまして、互いに答えや考え方を交換して学び合う中で学びの質が深まるということで、電子黒板ですとかテレビモニターを通じて両方の教室を結ぶような取組をさせていただいております。そのための学習機器としては、タブレット端末を活用した個別学習、協働学習にも取り組んでいくことを考えてみました。
 こちらは、オレンジ色の下の部分、電子黒板システムとタブレット連携システム、テレビカメラ中継システムが今回の実証事業で導入をさせていただいて、遠隔授業を行っております。また、第二小学校、第一小学校、それぞれアクティブラーニング教室を整備いたしまして、より発表の機会ですとか集団学習の機会を与えようということで、教室の整備もさせていただいております。
 こちらは、改修前の喬木の学校のコンピューター教室の様子ですが、こんな教室をアクティブラーニングということで、可動式の机や椅子、遮光カーテン、壁面も全部ホワイトボードにいたしまして、さらに可動式のホワイトボードも設置しております。そこに電子黒板やタブレットを使って、授業を展開させていただいております。
 こちらが授業風景になります。今までノートを見せるということはなかなかないのですが、タブレットだと皆さん抵抗なく、私はこんなのだよなんてみんなで話し合うような光景も見られて、今までとは違った授業展開ができるのかなと思っております。
 こちらは、12月に初めて行いました公開授業の様子になります。画面下の電子黒板に写っております右上が小規模校、左下が適正規模校の授業の様子ということで、一元化して、2人の先生が1つの授業を担当して授業をしていただきました。
 さらに効果を高めるために、小学校間の遠隔接続だけではなくて、中学校にも広げまして、こちらでも中1ギャップ解消ということで、2つの小学校から中学校が1つになるわけですので、その中で疎外感ですとか友達関係が築かれるまでにかなりのエネルギーがかかるということなので、小学校のうちから仲よく顔見知りになりましょうということで、中学校まで広げて、遠隔の授業を行っているところでございます。
 これまでの成果ですが、これは児童、先生、それから保護者の方々からの意見の代表的なものを書いてございますが、おおむね肯定的な御意見を頂きました。これはお世辞かもしれませんけれども、もっといろいろな問題があると思いますが、比較的前向きな御発言を頂いておりますので、またレジュメの方で御覧を頂ければと思っております。
 喬木村では、地方創生を見据えた基本目標ということで、リニア中央新幹線、三遠南信道の開通を見据えた村作りという中で、喬木村への新しい人の流れを作るということで、雇用の確保、それから子育てのしやすい環境に加えまして、移住と二地域居住の可能性を高めるために、ICTを活用した魅力的な教育環境を整えてしまおうということで、人の流れを生み出そうということで、地方創生の総合戦略を立てております。
 財源ですが、地方財政措置において、コンピューター教室とかICT関係の整備については講じられておりますけれども、お金に色は付いておりませんので、末端の小さな自治体にしてみますと、どうしても生活環境の整備ですとか、どんどん増え続ける社会保障財源に充てる部分が多くて、なかなか教育の方にお金が回らないというのが実態かと思います。我が村でも、財源の確保には大変苦労しておりまして、どうしたらこの事業ができるかなということを検証させていただきました。
 そんな中で、まず最初に、文部科学省のこの実証事業に応募すること、ふるさと納税の制度を積極的に活用していこうということ、今度出ました地方創生交付金を活用していきましょうということ、それから、補正の補助事業が出ておりますので、こちらにも手を挙げていくという活動をさせていただいております。
 最初に、人口減少地域における実証事業の関係で整備をいたしました内容を言いますと、小学校では遠隔合同授業システムの整備、それから、村単独分と併せまして、小規模校については1人1台のタブレット環境の整備、中規模校については6人に1人のタブレット環境の整備をさせていただきました。
 また、これにふるさと納税を活用いたしまして、平成27年度は、小学校に先ほど言いましたアクティブラーニング教室の整備、それから中学校、これも全生徒になりますが、220台のタブレット端末の整備を一気に整備させていただいております。
 それから、地方創生の補助金、タイプ2の交付金を活用いたしまして、中学校の普通教室、特別教室、全教室に電子黒板を整備し、さらに中学校にデジタル教科書を整備させていただいております。
 また、今度出ました文科省の補助事業を活用いたしまして、学校を核とした地域力強化プランという事業申請をさせていただきました。学習の遅れがちな児童生徒ですとか不登校、それから生徒対策としてタブレット端末を整備いたしまして、放課後ですとか土曜日を活用した学習支援を行うということで、タブレット30台、学習ソフトを整備する予定となっています。
 この結果、こちらに表がございますけれども、ICT機器の整備状況ですが、まず第一小学校ですけれども、平成27年度には5.8人に1台のタブレットを整備させていただき、電子黒板は3台になっておりますが、平成28年度には2人に1台の環境を作っていきたいと思っております。電子黒板も各学年に1台。小規模校の第二小学校については、遠隔システムに加えて、タブレット端末が今1.3人に1台という環境になっておりますが、こちらも1人1台の環境を早急に整備したいと思っております。中学校については1人1台の環境が整っておりますので、さらに電子黒板10台を普通教室に整備をしていくという内容になっております。
 こちらは、学遊館といって、遊び場がない子供たちですとか児童クラブに通う子供たちのために整備した施設になりますが、大きな芝生のグラウンドと、その横には図書館と体育館を用意してございます。こちらの教室を利用して、放課後のタブレットを活用した新たな学習の形態、また、貧困家庭ということが問題になっておりますが、学習環境の整わない子供たちにも、ソフトを提供しながら学習環境を整備していきたいと考えているところです。
 喬木村、もう一度元に戻りますが、これから東京・名古屋間のリニア中央新幹線が走ってまいります。そうしますと、品川まで47分、名古屋まで25分で行き来ができるということになりますので、大変近くなります。また、下の三遠南信道、東名と中央道を結ぶ道路が来ますと、浜松まで90分で行き来ができる環境が整ってまいります。
 これは喬木村内を走るリニア中央新幹線のイメージ図になります。
 そうしますと、長野県喬木村から、現在、公共交通機関を使って3時間以内に移動できるのは長野県以西6府県に限られていたものが、右図のように、喬木村から3時間で到達できるのは、北は宮城県から西は九州、福岡まで行くことができるということで、日帰りでこれだけのところを行き来することができる、用を足すことができるというふうになってまいります。
 そうしますと、今から広い視野に立つ次代のリーダーの育成に取り組んでいかなくてはいけないと考えておりまして、そのためにも、都会と変わらない教育環境を整備して、できるだけ大きな視野に立った子供たちを育てていくのが自治体の責務かなと考えているところです。
 それに加えまして、スーパーメガリージョン、東京から関西圏まで結ぶ大きな経済圏ができますので、ちょっとした田舎暮らしをしてみたいなという方、通勤圏に入りますので、UIJターンによる人の流れを作って、定住人口の増加に努めていきたいと考えているところです。
 村としましても、現在、9戸が完成しておりますが、今年も7軒の個別の若者定住のための住宅を用意いたしまして、転入促進について行政も側面から学校の維持のために一生懸命頑張っていくということで取組をさせていただいているところです。
 先ほどから申しておりますふるさと納税、こちらが喬木村のICT整備の核になってまいりますので、きょうは大変大きな団体から、それぞれリーダーの方々、お集まりでございますので、気の毒だなとか役に立ちたいなというお気持ちがありましたら、是非ふるさと納税、喬木村でサーチをしていただきまして、いろいろな商品を見ていただければ有り難いなと思っております。
 大変拙い説明で失礼をいたしましたが、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

(4)委員からの意見発表

【稲垣座長代理】
 稲垣です。すいません、西田委員と喬木村の方、1つずつ質問させてください。
 西田委員に御質問なのですけれども、昭和の頃からパソコン室、それから普通教室も平成12年からということで、非常に長く整備をしながら着実にICT活用を広めてこられたというお話を伺ったのですが、それだけ長い時間をかけたとしても、ICT支援はやっぱり必要だというお話があったと思うのです。
 今、柏市でそのICT支援員の方はどれぐらいの人数だったりとか、頻度だったりとか、あるいは継続的な雇用体制をどういうふうにしているのかとか、その辺のところの情報を少し頂ければと思います。
 それからあと、喬木村の話に関して伺いたいのですけれども、整備の予算をどう確保するかというのは本当にいろいろな形で取り組まれていることを伺ったのですが、ふるさと納税を充てるというのは非常におもしろいというか、そういった方法もあるのだなと思ったのですが、それを進めていく上で何かネックになったこととか、こんなふうにして続けていったみたいなところを少しお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 西田委員、お願いします。

【西田(光)委員】
 申し訳ありません、今、はっきりと聞き取れなかったのですけれども。

【清水座長】
 ICT支援員の状況をお願いします。

【西田(光)委員】
 ICT支援員は、当初、他の自治体と同じように緊急雇用対策から始まりまして、学校のニーズが非常に強いということで、市費での委託運用になっています。
 現在、柏市内で5人のICT支援員が62校を回っている状況です。主に授業支援ですが、それ以外にもウェブの補助、それから、校務支援のエクセル等の小回りの効くものの作成といったことでICT支援員さんは動いていただいています。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、喬木村の市瀬村長さん、お願いします。

【市瀬氏】
 財源確保のためにふるさと納税の活用ということなのですが、私がこの商売に就きましてまだ2年足らずということで、選挙というおっかないものがあるものですから、いろいろな方の御意見をお伺いして均衡ある予算配分をしていかなければいけないということになりますと、なかなか思い切ってこういうお金を投資することができないということで、昨年は全国から2,000万円ぐらい御寄附を頂きまして、今年はもうちょっと工夫をしましょうということで、クレジット決済等を入れましたら、今年は8億円を納税いただいたということになります。
 うちの場合は返礼品が充実しておりますので、手取りになる部分といいますか、活用できる部分はそのうちの4割弱になりますけれども、皆さん、税金を使って教育という目に見えないものにも道を作ったりということが喜ばれるわけでして、では、自分で稼いだお金だからここの部分には投資をさせてということで、御理解を頂くことが必要だという動機付けがございます。
 本当にこんなことでいいのだろうかと思いますけれども、それと加えて、できるだけこのICTを使うことで、どんなに世界が広がるかということは議会の方にも御理解を頂かなければいけないということで、喬木村の議会は議案以外、全ての補足説明資料はタブレットで配信をさせていただいております。これがよかったのか悪かったのか、どっちかと言うと悪いと思うのですが、年の大きな方は充電すらできない方もいらっしゃいまして、ただ、議会のたびにきょうも紙が7,000枚節約できましたとかいう話をずっとさせていただきながら、村中がこの活用について、子供が活用することに御理解を頂かなければいけない環境というのは、地道にやらせていただいている状況になっています。

(5) 関係者からのヒアリング(大阪市教育委員会・東京都豊島区)

【山本氏】
 失礼します。大阪市教育委員会の山本でございます。教育の情報化に関する懇談会にヒアリングいただきまして、大変恐縮しております。
 と申しますのも、この画面に出てまいりますように、校務支援ICT活用事業が動き出したのが平成25年からでして、事業自身は平成23年からスタートをしました。この平成23年に、学校の実態調査、教員の繁忙と学校のICT環境の実態調査に入りました。と申しますのも、平成22年以前から、大阪市の場合、教頭のなり手が出てこないという中で、学校が非常に繁忙であるということを聞いておりましたので、その調査に入ってまいりました。
 それを受けまして、平成24年に予算要求、これは補正予算で予算要求をしまして、そこから仕様書作成、総合評価の一般競争入札、提案型の調達に入りまして、10月に業者決定をした上で、平成25年にグループウェアとコミュニケーション、それから校務システムの試験導入、31校をスタートしました。そして、平成26年度に校務支援システムの全校稼動を行いまして、平成27年に教育の質の向上ということで、文部科学省の調査研究を受けて、平成28年に向かおうとしているのが、今の事業の状態になっています。
 御存じのように、大阪市は政令指定都市ではありますが、横浜に次ぐ大きな市ではありますものの、前回の資料でもお示しをさせていただいていますように、文科省の平成23年度の全国のICT整備状況調査では、パソコンで言いますと、全国は102.7%のところを大阪市自身は37%の整備率、それから、学校実態調査をしましても、校務のICT化の遅れで、校務の運用面、セキュリティー面で課題が非常に連鎖をしており、問題が深刻化していました。パソコン不足、機種が古い、セキュリティー不足、ウイルス感染、それから、お恥ずかしいことですけれども、教員が私物のパソコンを持ち込んでいると。一方で、5人に1人はUSBで個人情報を持ち帰って家で仕事をしているというようなことが、この平成23年の調査の中で分かってまいりました。個人情報をUSBで持ち帰るさなかに紛失することによって、大阪市の教員の場合は懲戒処分にもなっていくという、環境が非常に劣悪な状況にありました。
 一方で、校務の実態はどうかと言いますと、これは教頭の1日の校務の状況を当時調べました。下が、5分刻みで教頭が何をしているかということをチェックしました。うちの職員を8時に行かせたので、8時からの調査になっております。8時から8時15分まで対人対応、それから、8時15分からデスクワークを5分間されたら、5分間電話対応が入ってきて、子供の欠席電話をとる。それが終わったと思ったら、8時25分からまた簡単にデスクワークを始めたら、8時30分になると職員朝礼が始まるということで、この教頭先生はずっと何らかの形で校務を処理されているわけですけれども、大阪市の教頭は校務の処理を落ち着いて行う環境にないということがわかりました。
 教頭への校務の集中、それから本来業務以外は全て教頭に回っている、あるいは保護者や地域のクレーム対応も教頭に回っている。一方で、校務は手書き転記作業への負担感、いわゆるルーチン業務が残っているのが学校の校務の実態でした。
 統合型校務支援システムとしておりますけれども、財務会計として校園ネットワークを構築して平成22年から財務会計をスタートいたしました。ここでは、学校の公文書の文書管理、それまでは逓送で送達しておりましたけれども、平成22年から、文書管理、備品管理、公金会計、校医等報酬、あるいは授業料、保育料、それから学校徴収金、就学援助、こういったことの機械処理を平成22年からスタートしておりました。
 この端末を事務室と職員室、校長室に引いて会計処理をしていたのですけれども、ここへ、平成24年からは、右側にありますように校務支援システム、この部分につきましてはプライベートクラウドを作りまして、ここで校務について取り扱っていこうと。その校務の中身は、下にありますように、コミュニケーションツール、グループウェア、それから校務支援システム、各機能につきましてはまた読んでいただいたら結構かと思います。平成25年から、このグループウェアとコミュニケーションツールをスタートして、校務支援の試験導入を行いました。こういう基盤の上で、システムを運用していきました。
 この事業をスタートいたしますときに、事業目的を3つ作りました。学校経営の効率化・高度化、学校から保護者・地域への情報発信を促進しよう、それから、教員のICTリテラシーの向上と情報セキュリティーの強化をしようということでやりました。
 狙いは大きく2つあります。1つは、これら3つの目的とKPIを示すことによって、この事業をスタートしましたときに、校務支援システムを先行導入されていた他都市の効果公表がなかったために、大阪市で予算要求するときに、財政に対して効果的な説明が十分できなかったという事情がございましたので、今後、大阪市以降に導入されるような市町村がありましたら、その方々がお使いいただけるようなデータを作って、活用してもらいたいと。これは実際その後、効果公表結果については各市町村でデータとして、予算要求のときにはお使いいただいているとお聞きしています。
 もう1つは、ここで効果時間を出したいと言いましたのも、31校で試験導入しますけれども、入れて終わりというシステムになってはならないので、使えば効果が出るよということを残りの四百数十校に示したかったというのがありました。
 使えば効果が出るというのは、次のエビデンスベースドで得た確信ということで、これは前回のこちらの資料でもこういった表現がされていましたので、踏襲させていただきましたけれども、データで効果を確認した上で展開していこうと考えています。つまり、アンケートは感覚という形になりますので、それだけではなくて、システム上、取得できるエビデンスを見ようということで、導入時のデータと、それから約1年後のデータを見て、利用率が上がればその分何らかの効率が上がっているという相関関係をデータ上で把握することができましたので、アンケート調査に入って効果を出していこうということに自信を持って取り組みました。
 それが次のデータになります。平成25年度の利用実態について試験導入校31校528名の教職員からアンケートをとりまして、教頭で年間136時間、1日換算しますと34分、担任の先生で年間168間、1日で42分という効果が出て、これを平成26年8月にポータルでアップして公表しました。
 それから、支援システム自身ですけれども、左側が平成23年当時、検討フェーズで学校現場実態調査をしたときの、事務処理が非常に多い、持ち帰る仕事が多い、膨大な調査事務がある、全て手作業で紙文化であるというような学校から聞いたことについては、システムに置き換えることによって省略する、あるいはなくすことができたのではないかと思います。統合型システムも3年目に入りまして、平成27年については課題の多くは解消しながら、教育の質の向上にどういうふうに転換できるかということを進めているところです。
 次の資料は、丸2年たったときに、平成26年度にはさらにどのくらい効果が出たかということを試験導入校にお聞きしました。これも同じ内容で聞いたのですけれども、やはり時間数が伸びておりまして、教頭で年間229時間、1日換算で57分、平均ですけれども、それから、担任で224時間、1日で56分。これは、成績処理のタイミングとかいろいろなことがありますので、毎日というわけではありませんけれども、大体平均するとこの時間の効果が出ている。このことをもう一回学校に戻りましてアンケート、インタビューをしまして、校長、教員からこの裏付けもとって、この程度は十分簡略はしているということもお聞きしているところです。
 この理由は、ICT自身がこれまでだったら1つ、2つを使っていたのが、3つ、4つと、たくさんの機能が使えるように先生自身が習熟していっていることでシステムの活用増となってきているということと、それから、私どもも運用や定例会などでいろいろな代表者の方からシステムについてお話を聞きますので、そこで改修をしながら使い勝手のいいものに改めていっているということがあります。この200時間越えについても、公表させていただいているところです。
 それから、もう1つ大きなものは、テレワークを導入したことでした。テレワークの仕組みについてはそこに書いておりますので省略させていただきますけれども、もともと導入した理由は、冒頭申しましたように、教員の児童生徒情報の持ち出しによる情報漏洩事故防止策として導入しました。持ち帰ってでも一生懸命家庭で仕事をしようとしている人に限って、USBを紛失して懲戒処分の対象になるということについては教育委員会の責任も非常に重たいということで、導入に踏み切ったところです。
 これは、テレワークの実際入れてからの実績と効果ですけれども、やっぱり校長先生からはセキュリティーの強化、情報漏洩リスクは低減したと伺っています。これを導入してからは、今、個人情報をUSBで落とすと、大阪市の場合、以前より罪が1等、2等重くなっています。環境を整えているのに、まだ個人情報を落とすということについては非常に重たくなりました。これを導入してから以降のUSBによる成績など個人情報の流出、漏洩、紛失という事故はゼロになっています。
 私たちは、入れたときは情報漏洩事故防止の目的で入れたのですけれども、実際に学校の方からお声を聞きますと、親の介護の先生もたくさんいらっしゃいます、あるいは子育て中の先生もたくさんいらっしゃいます。そういう意味で言うと、5時半になったら慌てて飛び出していた先生が、家からも仕事ができる、土日も出勤せずに家でできるということで、ワークライフバランスの実現に非常に役立っていると。併せて、いわゆる成績処理ですので、家でしたらじっくりと安全に職員室でないところで行えるという利点も多いという話を伺っております。これは非常に有り難いことだなと思っています。
 これは決して家に帰ってまで仕事をせよということを強制しているわけではありませんので、利用率自身は、繁忙期で大体15%、6人にお一人ぐらい。でも、一万四、五千人いる職員のうち、やっぱり15%は使っていると。それから、体験率で言うと40%です。これは試験導入校だけではなくて全教員を対象にした結果、こういう数値になっています。
 それから、次にCIOです。事業の特徴としてCIOを導入しました。これは、ICT支援員を内製化することでコストをセーブしたかったということと、それから、教員の場合は人事異動がありますので、4年、5年で異動していけば、A中学校で頑張っていたCIOがB中学校でも校務支援システムを活用させてくれるだろうと。あるいは、校長を助ける役割も含めてやっていただくということで、これまで校長や教頭に新しい仕事の負担をかぶせていたのですけれども、教員にこのCIOという形で役目を持っていきました。
 結果的に、先生方が異動することによって、ろうそくの炎を順に灯していくような形で年々、段々とこのCIOの活躍で校務支援ICT活用事業があちこちの学校で伸びていっているという状況を期待しています。

【清水座長】
 山本課長、恐縮ですが、時間が終わりなので、残りはポイントだけお話しいただけませんでしょうか。

【山本氏】
 すいません。次は、統合コールセンターを設けたということが1つのよかった点ではないかなと思います。今後はIDでのユーザー管理や統合認証基盤を作っていくことと。それから、先ほど申しましたように、各種システムがたくさんございますので、これのID管理の課題が出てまいっております。
 それから次に行きますが、統合認証基盤を導入するということと、先ほどちょっと出ているのですけれども、15ページですが、校務系と学習系の連携を今後キーワードとして考えていきたいと思います。できたら、校務の方にたくさんの情報がありますので、学習系の方に手を伸ばしていく。具体的に言いますと、総務省から出されておりますドリームスクールの構想ですけれども、児童生徒情報を生徒アカウントというふうに提供していって、学習データを逆に校務の方に持ってきて、成績処理に使えるのではないかなと。そういう形でできないかなと、今後、構想としては検討してまいりたいと思っております。
 それから、本来はナショナルクラウドであればいいかと思うのですけれども、それぞれ自治体は大きいところ、小さいところ、様々あります。小さな自治体では高価なものを導入することはなかなか難しいと思いますので、割り勘効果のような形で、いわゆるシステムの共同クラウド化で、双方がウィン・ウィンの関係で使えるような環境ができないかなと。これは平成28年度に調査研究に入りたいと思っています。
 あと、それぞれのメリットですが、21ページからは、現在、文科省の初等中等教育局の調査研究を受けて、今後のICTが、時間の効果だけではなくて、教育の質の向上にどういうふうに資することができるのかということを今年度調査研究をしています。また御覧いただいたらと思います。
 少し長くなりまして、大変申し訳ありませんでした。

【高橋氏】
 皆様、こんにちは。今、御紹介賜りました豊島区役所で情報管理課長をしております高橋と申します。よろしくお願いいたします。
 きょう、私は政策経過部ということで首長部局の職員でございますが、なぜ私がここで皆様の前で事例を発表するかというと、主に2つのことをお伝えしたいと思います。1つは、今、座長さんからお話がありましたように、私どものようなシステム部門と教育委員会さんとで連携してシステムを作ったということの御報告が1つと、もう1つは、昨年末に出ましたけれども、総務省さんからセキュリティーの強靱性向上ということで、そちらの委員もやっておりましたので、その辺の動向も踏まえて、学校現場のセキュリティーをどうしたらいいかというようなお話もさせていただきたいと思いまして、きょう、光栄にもこのようなお話をさせていただく機会を頂きました。よろしくお願いいたします。
 それでは、前半はシステム部門と教育委員会さんとで一緒にやった取組でございますが、きっかけでございますが、内情もお話ししますのでお恥ずかしいこともたくさんあるのですけれども、元を正せば平成20年、平成21年にスクールニューディールということで、豊島区はお金がもらえるということで大いに飛び付いて、パソコンをたくさん買ってしまったということで、それが5年たって次のモデルを買い替えるときに、教育部門からはICT関連予算が毎年のように上がってきたと。それに対して財政部門は、本当にこれを使っているのだろうか、ちゃんとうまく使いこなせるのだろうかというような不信感を抱いているということでございまして、私は先ほど言いましたように政策経営部におりましたので、どちらかと言うと査定をする側でございます。そういったことから、財政部門としてはこの予算必要なしという査定をするのですが、やはり教育長等からうちの首長にどうにかならないかというような御相談が来ましたので、うちの区長としては必要性は理解していると。ただ、どうにか予算を抑えられないかということで、現場にもう少し頑張れよと言うのですが、実際には教育委員会の担当者は現状の運用管理業務で手一杯でございまして、なかなか新しい手法を見出すというところまでは手が回らないということです。
 苦渋というか、うちの区長が下した判断というのは、高橋、おまえがやれということで、システム部門の担当者の私に、どうにか予算を抑えて、なおかつ機械の更新等ができるような方向性をやらないと、特にお金の出っ張りなく、今までの維持経費でどうにかできないかという、非常に高い宿題を頂きまして、いろいろ悩みまして、最初にまず私がやったことは、教育委員会の現場がよく分かりませんので、教育委員会の担当者を私の部下として兼務発令をさせていただきまして、その職員を通して現場の実態をいろいろとお聞きしたということでございまして、最終的には我々、私の部下ですね、システム部門の職員が全体となって教育委員会さんのフォローアップをして、特に基盤部分、ネットワークですとかパソコン、それから認証といったところをシステムの方で調達して、教育委員会さんは浮いたお金で新しいシステムを入れることができたということでございます。
 私が手を付けるまでの状態ですけれども、どこの学校にもあると思いますが、3種類のネットワークが入ってございました。1つは授業用のネットワークが入っておりまして、これを使って生徒さんたちが授業を行っていると。基本的にはパソコン教室が主でございまして、普通教室にも1台ずつ入っていたということです。それから、2番目が校務用のネットワークということで、これは先生方がお使いになるということで、校長室、職員室等を中心に学校の中のネットワークを組んでいまして、この当時はそこから直接インターネットに出ているという状態でございました。さらに私どもが作っておりました庁内LANと言われています事務用のネットワーク、これは校長先生と副校長先生、それと事務職員の方が使っていたという現状でございます。
 これを切り替えるのですけれども、方向性としまして、実は当初から授業用のパソコンも一緒にできたらもっと安上がりになるのかなと思っていたのですけれども、こちらは平成25年がリースアップということでして、そういったことから、ここまでは今回手が回らなかったのですけれども、こちらのお子さんがお使いになるパソコンについてはリース満了を迎えるとともにデスクトップPCを全てタブレットPCにしました。タブレットPCと言いましても、ウインドウズタブレットでございまして、ドッキングステーションを使ってキーボードとかマウスが使えるような形で、これを機会にパソコンルームをなくしてしまって、各教室に学校で合計40台から80台のパソコンを入れまして、1クラスないし2クラスが同時に使えるという体制を整えてございます。
 パソコンルームは、その場所を、今、非常に生徒数が増えているということもあって、普通教室に配置を変えたり、又は図書館の隣に自習室みたいなものを作って、そこで生徒さんが放課後、勉強ができるような体制を作ったりもしてございます。
 一方、校務支援システムにつきましては、平成26年度が置き換えということでしたので、こちらはまだ時間的に余裕があるということで、それまで学校ごとにインターネットに出ていましたけれども、これはセキュリティー上、問題があるだろうということと、それぞれの学校同士の情報交換が進んでいないということもありましたので、今回は校務支援システムを入れることにしまして、なおかつ、先ほどお話ししましたように、ネットワーク、パソコン等は我々システム部門で調達することとして、お金的な出っ張りを作らずに新しいシステムが導入できたということでございます。
 このような結果に至るまでにはいろいろ検討がございました。まず1つは、先生たちが使っていますパソコンと、お子さんたちが使っている授業用のパソコンとを統合できたらどうだろうかと考えました。メリットは幾つかございます。特に学校の中の備品管理という意味では非常に楽だということです。それから、職員室で作った教材を学習パソコンに配布するというところ、そういった手間が省けるということ。それから、ネットからダウンロードした教材を校務と授業用と両方使えるということで、ダウンロードを2回しなくて済むということもございます。
 ただ、一方でデメリットがありまして、これが非常に大きな問題でしたが、やはりお子さんが使うパソコンに対して、先生方がふだん管理していますお子さんの成績情報等を入れることに対するリスクを感じました。特に都会の中学校だからかもしれませんけれども、中学生の中には非常にITリテラシーというのですか、ITスキルがあって、先生以上にパソコンに詳しいと。それこそ先生が多分入れそうなIDとパスワードを想定して、先生の情報に入ってくるような子供たちがいるということもあります。一方の先生方は、残念ながら当時はまだリテラシーが高くなかったということもありまして、パスワード等を平気でパソコンに張りっぱなしの先生がいるというような状況もございましたので、こういうことから断念したということでございます。
 そういった意味では、セキュリティーレベルが割と近い庁内LANと校務ネットワークとの統合ができるのではないかということでしたけれども、問題点となるのはやはり、先生方はいろいろと独自の運用をされています。特に御自宅での作業等もあるので、USBのデータ交換が非常に多いということ。それから、ユーザー情報ですね。先生方の情報は、私どもは区の職員でございますが、教員は全て都の職員でございますので、そういった身分の違いということからも、人事異動の時期のメンテナンスなどが非常に難しくなると。それから、利用するシステムが違うということで、校務支援システムは我々が使うわけではございませんし、逆に先生方は先生方用のファイル交換システムの方が便利だということもございまして、基本的には別の管理体系が必要ではないかと考えたところです。
 ただ、相反する要件としまして、やはりセキュリティーレベルは一定保たなければいけないと。少なくとも最低限の個人情報を扱うというセキュリティーポリシーはきちんと担保しなければいけないだろうということです。また、さらに、利用システムの相互利用ということで、校長、副校長は我々の首長部局のシステムを使いますし、一方で先生方と情報共有する必要がございますので、そういった場合に、校長先生、副校長先生にパソコンを2台渡すのかということも非常に問題になるのではないかということです。そして何より大きいのは、インフラを統一することで認証が1回で済む、それから、先ほど大阪市さんの話もありましたけれども、ID・パスワードを幾つも管理しなくて済むという問題もありまして、結果として、インフラは我々システム部門が作って、その上に独自のドメイン、難しい言葉ですけれども、教育委員会用の新しいネットワークイメージを作って、そこにセキュリティーポリシーは一定そろえながらも違う運用をしていくということで、この問題を解決しようとしたところでございます。
 具体的な図がこのような図なのですけれども、我々が使っています情報系と言われているポリシーの下に、先生方の校務系ネットワークを作りまして、お互いが情報の交換ができるようにということでございます。一方で、こちらの右側に基幹系と書いてあります。これは後ほどお話ししますけれども、住基とか税とかという、我々首長部局の職員がより秘匿性の高い個人情報を扱うネットワークでございまして、こことは一線を画しているということになっております。
 このようなことを実現することによりまして、先生方の、一番大きかったのは教育委員会の担当職員が非常に楽になったということです。我々システム部門のノウハウを活用することができたということと、現場ではデータのやりとりが楽になったということ。特に副校長はそれまでは我々から出したメールを一旦USBに落として、それを自分の学校のネットワークに移してという作業をしていましたけれども、そういった教員管理職の負担が軽減されたということです。
 それから、インターネットの閲覧でございますけれども、やはり一定のフィルタリングルールが必要だということで、まさかお子さんと同じようなフィルタリングルールというわけにもいかないでしょうから、校務独自のインターネット閲覧のルールは作りつつも、その監視は我々がしっかりしまして、そういった事故が起きないようなということをしています。
 また、印刷環境についても、独自のプリンターを買わずに済むような形で費用を抑えたということで、それ以外のやりとりは原則禁止とさせていただきました。
 校務支援の選定については教育委員会が行いまして、私も選定委員の1人ではございましたけれども、基本的には教育委員会さん主導で校務支援システムを導入しまして、大阪市さんのように具体的な数値は今口頭でしか言えませんけれども、導入1年目で、やはり大阪市さんと同じように、教員1人当たり1日45分程度の事務にかかる時間が削減できたという効果が出ております。
 また、副次的な効果としまして、京都市さんに続いて全国で2例目ですけれども、指導要録を完全に電子化しまして、今は紙では指導要録は持っていないという状態になっております。
 残り時間わずかなのですけれども、その中で御説明させていただきますが、もう1つの視点としまして、年末に総務省さんが打ち出しました情報セキュリティーの強靭策ということで、総務省さんは今回何を打ち出したかというと、マイナンバーという新しい制度が始まるに当たって、よりセキュリティーを高めてくださいということで、全自治体にこのような通知を出したわけでございます。
 文字で言うとちょっと難しいので、図で見ていただきますけれども、現在は基幹系という先ほど言いました住民記録や税、国保と言われる非常にセンシティブな情報を扱っているデータと、それから庁内LANと言われています財務会計や文書管理を扱っているネットワーク等を、今は何となく曖昧なままやって、片方はインターネットに出て、片方は住基ネットに出ているというような状態ですが、これを完全に分離しましょうと。さらに、情報系と言われている中にも個人情報はたくさん含まれております。町会長さんの名簿ですとか民生員さんの名簿とか、たくさん入っておりますので、これについてもインターネットからきちんとリスクを分けましょうということで、今までの庁内LANと言われているものから、さらにインターネットに出ていく部分についてはよりセキュリティーを高めなさいということです。
 なおかつ、インターネットに出ていく部分については、都道府県がクラウドを作って、そこでしっかりした監視をしてくださいということでございますので、豊島区が今まで既にやってきたことと非常に似ていることではございますけれども、これを全自治体に求めているところでございまして、これは教育の現場においても同じだと思います。生徒さんの情報、特に成績の情報などは非常にセンシティブな情報でございますので、これについてはインターネットのリスクから一定分離しなければいけないと。ただ、インターネットと全く遮断してしまって、教材作りができなくなるようでも本末転倒でございますので、この辺のところを我々首長部局の知恵を、工夫を利用していただいて、リスクを最小化していただければと考えているところでございます。
 豊島区も将来は事業用のネットワークも一元化して、インターネットの出口をきちんと監視できるような仕組みを作っていきたいと思いますし、今、無線の方が非常に問題になっておりまして、やはり教育委員会さんで今は学校の天井に無線のアンテナを付けてございますけれども、一方で、我々は新しい庁舎を作ったときに、来訪者用と職員用と1つのアクセスポイントでバンド帯を分けて運用しているという実績がございます。こういったことから、学校現場の地域情報化、それと生徒さんに対する教育の情報化、こういったものが同時に実現可能ではないかと私は考えておりますので、そういったものも今後、私どもの教育現場を基に全国的にこういった取組を広げられたらいいのではないかなと考えてございます。
 非常に雑駁な説明になってしまいましたけれども、私の説明は以上で終わりにします。ありがとうございました。

(6)委員からの意見発表

【小林委員代理(田畑氏)】
 本日は小林の代理で出席しています田畑と申します。よろしくお願いいたします。
 今、大阪市様の御発表を伺っていましたが、思い起こすと、ちょうど3年前の平成25年3月1日にシステム稼動ということで、丸3年が経過したところでございます。
 NECも大阪市様の委託を受けてこの事業のお手伝いを差し上げたのですけれども、先ほど山本課長からも100時間の創出というお話がありましたけれども、まず100時間の効果を創出をする前には、教員の皆さんに使っていただくのがベースで、それを定着させるということを実現しないことには意味がないということを当初からおっしゃっていただいていまして、我々、何を考えたかというと、まず我々の立場からすると、適正なサイジングをしてシステムを常に安定稼働させるということと、学校現場に即した適正なサポートをすること。我々の場合はコールセンターのメンバーが学校現場にも研修会等でお邪魔をする形でローテーションを組んでいました。そういう形で学校現場の先生方の業務のこともちゃんと分かった状態でコールセンターとしてお電話を受けるということと、朝8時半から9時、若しくは夕方の数時間の間がそのピークになりますので、そこで必ず、ほぼ100%、電話をおとりして、適正に5分10分でお答えするというようなことを心がけました。
 あと、最後ですが、先ほどもデータに基づいてというお話がありましたけれども、我々もいろいろな統計データをとっていく中でいろいろな情報提供をさせていただいたのですが、効果的だったなと思うのは、成功体験のある学校様の成功談を広報紙に載せてほかの学校様に御案内するというようなことをやりました。そういう成功体験を同じような学校様でやられていることをほかの学校が見ることで、自分たちもできるのではないかということで全体的に盛り上げていくというお手伝いはしました。
 そのように、我々が御協力していく中で培ったいろいろな方法論を今後普及段階に入る校務システム、校務の電子化等に役立てられればいいかなと考えております。
 以上です。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日のヒアリングは終了させていただきまして、これから論点の議論に入りたいと思います。
 その前に、第1回懇談会を御欠席された委員より、前回と同様に3分以内で今後のICT活用に関する教育の進め方等について、御意見を頂きたいと思います。
 初めに、三宅委員。

【三宅委員】
 富士通の三宅でございます。本日は、経団連の教育問題委員会の一員として参加させていただいております。
 まず、今回の議論でありますが、教育を情報化することによって、教育にどういう効果を出していくのかを明確にしていく必要があるかと考えております。
 私も企業で学校教育を受けた学生さんを採用させていただきますが、そのときに課題と考えているものが3つございます。1つは、発信力が弱いということ。それから2番目は、正解のない問題について対応力が弱いということ。3つ目が、リベラルアーツをもっと強化する必要があるということですが、特に前2つの問題につきましては、学校教育の中でメソッドを変えていく必要があるのではないかと強く思っております。
 その中で1つ有力な方法がアクティブラーニングではないかと思います。ICTを活用いたしますと、アクティブラーニングにおいて多様な意見を整理したり、あるいはみずから発信したりという場面で、教育効果を上げるのにICTの機能が非常に有効ではないかと思っております。教科書をタブレットで見るような、そういうタイプの使い方も有効であろうとは思いますが、加えて、思考力を高めていくようなツールとしての活用が期待できると思っております。
 もう1つ、校務の話も多々出ておりますが、やはり学びの記録をとることも重要であろうかと思います。これを活用することによって、エビデンスに基づく教育改革が可能になると考えております。
 ただし、それはは、今日も御指摘ありましたが、高度なセキュリティーがあるということが前提になります。世の中は、オープンイノベーションとかオープンソースを使っての開発手法等が進む中で、ICTリテラシーが重要であり、そういった面の強化も必要ではないかと考えております。
 以上でございます。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして、堀田委員、お願いします。

【堀田委員】
 東北大学の堀田でございます。1回目は欠席となりまして、大変申し訳ございませんでした。
 私の意見としては、まず中教審の委員等をさせていただいているのですけれども、教育の情報化と絡めますと、アクティブラーニングというのは1つの重要なキーワードでございまして、子供たちがアクティブラーニングを行うときに、様々なリソースに当たるとか情報を整理するとか、そういうことが非常に大切になりますが、これを実現しようと思ったときのICT環境が本当に学校現場に十分に入っているのか、あるいは措置は様々されていますけれどもなかなか地方自治体によっては入っていない現実があるときに、学習指導要領がそういうふうに大きくかじを切るこの時期に、導入推進をもっとすべきではないかと考えます。
 もう1つ話題になるのは、教員の多忙化です。チーム学校とか、そういう言い方をされますけれども、学校教育を教員以外の方々のリソースもお借りしながら力強く進めていこうとしたときに、それぞれの専門性を発揮し合うためにも、最新の子供たちの状況、情報が共有されている必要があります。これはいわゆる校務支援システムにつながってくると思うのですけれども、学校教育は個人情報を使わずにはできませんので、セキュリティーを高く、それぞれの権限の範囲の中ではありますが、子供たちの情報を共有する必要がある。このための校務支援システムが必ずしも充実しているとは言えない現実が今はあります。
 今のような状況の中で、これからの教員養成とかいうようなことも議論されていくわけで、新しい学習指導要領の基盤となる整備を力強く進めていただくということが何よりも重要かと思っております。その具体的な方策について、先ほどの個人情報セキュリティーのことも含めまして、様々な検討が必要かと思います。デジタル教科書の議論をしていましても、デジタル教科書が有効に活用されていくためのタブレットはどのぐらいあるのかとか、ICTはどのぐらいあるのかという議論と、それがネットワークにつながったときの地方の公共団体のネットワークを通るわけで、そこのセキュリティーポリシーとのバッティングと、そうすると個人情報が共有できないので、子供たちの個別の学習進度みたいなことが管理できない、流通させることができない、あるいはビッグデータの取得なんていうのはほぼあり得ない。様々な条例とか、そういうところとのバッティングもあるかと思っておりますので、こういうのも含めてトータルに検討していく必要があると。
 そのためにも、モデル校のようなものが設置され、そこで行われていることが上手に開示されながら全国の推進のモデルになるというのがよい方法かと思っております。
 以上でございます。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。お二人の委員から大変貴重な御意見を頂きました。
 それでは、論点の議論に移りたいと思いますけれども、教育の情報化加速化プランを策定するに当たりましての論点整理案が事務局から提出されております。委員の方々には昨日事前にお送りさせていただいておりますので、お目通しいただいているとは思いますが、事務局より簡単に御説明をお願いいたします。

【磯課長】
 それでは、簡単にですけれども、論点整理素案につきまして御紹介いたします。本素案ですけれども、懇談会を設置した事務局の問題意識ですとか、前回御意見を頂戴しました、懇談会以降にもメール等で頂いた御意見も含めますけれども、こういった御意見、さらには教育のICT環境整備につきまして、成長戦略の観点ですとか、あるいは第4次産業革命の下で求められる人材といった視点でも議論が進められておりますので、そういった検討の場で御指摘いただいているような事項も踏まえまして、座長と御相談しながら議論を進めるたたき台として、事務局において作成したものでございます。
 詳細は、昨日お送りしておりますので、時間の関係もありますので割愛いたしますけれども、1点だけ申し上げますと、本懇談会の検討事項について、どのような子供の資質・能力を育てようとしていくのか、あるいはどのような学びを実現しようとしているのか、基本的なところについて議論が必要ではないかという御指摘を委員の方から頂戴しております。
 実はこの点につきましては、中教審の教育課程部会等で既に深く議論が進んでいるところでございまして、きょうもアクティブラーニングの議論を御紹介いただきましたけれども、この懇談会ではそこに示された考え方を前提としながら、そのような学びを実現するためにICTの側で何ができるか、何をすべきかということを具体的な方法論を含めて検討するという観点での議論が中心になろうかと考えております。
 改めてその前提を確認する意味で、資料5ですけれども、論点整理素案の1枚目の冒頭に、教育の情報化が目指すもの、基本的考え方として、そういったところに示されている考え方を具体的に記述させていただいたところでございます。
 参考でございますけれども、昨年12月9日の産業競争力会議の点検会合で文部科学省から御説明した資料です。「未来を見据えた初等中等教育改革」にこの考え方等をコンパクトにまとめられておりますので、参考資料2として本日添付して配付させていただいております。適宜御参照いただければと思います。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。残りが30分程度となりました。この論点整理案について御議論を頂きたいと思いますけれども、本日は限られた時間内で多数の委員から御意見いただきたいということになりますので、ポイントを絞って御発言を頂きまして、その他いろいろな意見につきましては、今週いっぱいに御意見をメールで頂きたく思います。
 本日の議論及びメール等の意見を踏まえまして、座長が中心となりまして、稲垣座長代理、それから委員の方々とさらに意見交換を重ねまして、案をまとめていきたいと考えているところでございます。
 したがいまして、本日は細目というよりも、大きな構成について議論ができれば有り難いと考えております。また、ここだけは是非言っておきたいといういろいろな思いもおありでしょうから、そういったことについても御発言いただいて構わないかと思います。
 限られた時間ですけれども、積極的に御発言いただきたいと思います。きょうは指名でなくて挙手方式をとりたいと思います。どなたからでも結構です。最初に手を挙げるのは勇気が要るというのは小学生なので、大人の世界ですから、どうぞ。

【稲垣座長代理】
 では、稲垣から口火を切らせていただきます。今回の論点整理の2のところで、大きい枠組みとして全体的な整理、それから授業面、校務面、それから授業・校務両面という形で整理されていると思うのですけれども、この授業面というところなのですが、実際、これの中身を見ていくと、例えば個に応じた学習をどうするかという話であるとか、あるいは下の方に行くと、家庭用情報機器端末の学校での利用みたいな話だったりとか、授業という枠内に収まらない話が結構入ってしまっていると思うのです。
 もう少し、例えば学習面みたいな形にしておいて、あるいは、もちろん当然のことながら先生方は授業で勝負しますし、子供たちの学習の中心は授業になるわけですけれども、その前後みたいなところ、それは授業時間外の学校での学習であるとか、あるいは家庭での学習であるとか、そこを少し見据えたような整理ができるといいのかなと思いました。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかに、どうぞお願いいたします。さっとたくさんあがるといいのですが。
 堀田委員。

【堀田委員】
 私、この論点整理案ので一番注目しているところは、マル3にある授業・校務両面というところです。理由は、今まで教育の情報化の文脈では、授業でのICT活用と校務の情報化は、校務の情報化はとりわけ教員中心ということもありますので、割と分けて議論されてきたと思うのです。でも、これは実は結構つながっていて、特にこの学習指導の情報をどういうふうに共有し、様々なプレーヤーがどういうふうにそれを子供たちに様々な立場から還元していくかという、あるいは保護者に説明責任を果たしていくかという点では非常に重要なことかと思いますので、ここを中心に前に進めていただければと思います。
 1つだけ具体例をお話ししたいのですけれども、例えば小学校ではどこでも教科書に従ってある程度授業をやっていきますが、各単元が終わったときにワークテストのようなものをします。そのワークテストはもちろん子供たちの実態に応じて、保護者負担で、学校が選定して教育委員会に届けて行いますけれども、そういうワークテストの情報が十分に公開されているわけではないので、例えば校務支援システムには自分の手で入れるのです。みたいなことがある。つまり、そういう関連情報の流通みたいなことを促進し、学校で作っている、あるいは使っている校務支援システムにそういう情報をどんどんインポートできるようなことがないと、結局システムが入っても先生たちの忙しさが減らないということになります。そういう、ハードウェアだけではない、目に見えないところの流通促進がされるといいなと思います。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 次、お願いします。
 市原委員。

【市原委員】
 きょう、豊島区さんのお話を伺って、区長さんが何とか予算を抑えたいという気持ち、本当に私、身にしみて分かります。首長としては、当然教育の重要性も分かりますし、教育の中のICTの活用も十分理解できます。ただ、それ以上に何とか自治体の財源の中でより効率的にICTを活用するためにはどういう方法があるのか。こういうものが、首長全てがICTに物すごく精通している者ばかりではない、また、精通していても、それをいかに活用するか、財源をどうやって抑えていくかということになりますと、本当にこの矛盾にいつも突き当たって、日々葛藤する状況でございます。
 そういう意味では、やはり生徒1人1人にパソコンを1台ずつ手当できれば一番いいのですが、なかなか難しい状況もありますし、これは自治体の規模によっても、状況によってもかなり異なっております。
 先ほどお話しになった長野の喬木村の村長さんは、うちも大変なんですよと言っていましたけれども、やっぱり規模が大きくなればなるほど1人1人に全部充当するというのはなかなか難しくなってくるのかなと感じているわけでございます。
 それと、やはり使い方の問題に関しても、校務用に活用するという考え方、非常に重要だろうと思っておりますし、今後、教育の現場でも、ただ単に授業に子供たちに活用するかということだけではなくて、教育の場の効率化といいますか、そういうものにもこのICTは非常に重要になってくるのかなと思っておりますし、どんどん進めば進むほど、やはりその活用の場というのが広がってくるのかなと。それに伴って、財源、それからセキュリティー、いろいろな問題が出てくると思いますので、私ども首長の立場からすると、大変課題の多い分野かなと思っております。
 とは申せ、子供たちにもっと伸び伸びと、自分たちがみずからこのICTを活用して、自分たちで課題を見付け、そして自分たちでいかにICTをうまく活用したりするか、こういうふうに子供たちの自由な発想にひとつ任せてみたいなと時々感じておりますが、感想でございますので、よろしくお願いします。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 ほか、お願いします。
 どうぞ、福田委員。

【福田委員】
 福田でございます。まとめ方ということですので、論点整理を見ておりまして、マル4に体制がありまして、次に学校・地域連携がございますけれども、やはりこれまでの議論を考えますと、環境についても議論をもう少しまとめていく必要があるのかなと。例えばICT環境整備についても、どこかに起こしておかないと、市町、県レベルが取り組むときにはそこを見落としてしまうのではないかと思いますので、環境というフレームも1つ作っていただければと思います。

【清水座長】
 非常に重要な視点をありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】
 加藤でございます。私からは、コンテンツ面に関してのコメントになります。論点整理素案のマル2の授業面のところです。上から2つ目の箱の右側ですけれども、各教科等、専門家、知見を活かして、低廉・無償で提供できる教材、指導案等の開発と。ここと、後ろに少しだけコメントがありますけれども、コンテンツというところが2020年代に向けてというところで考えたときには、環境整備はしっかりやっていきましょうと。残り4年間、2020年までにやっていきたいということだと思いますが、20年代を考えたときには、きっとその環境はもう何がどうあっても達成していると。インフラはあるのだと。その上で、子供1人1人の学びにどうやって寄り添っていくかといったところで、コンテンツの課題はもう実践されている自治体様の中では明確な課題になっていますので、このコンテンツをいかに増やすのかといったところも、もう少し具体的な議論をしていかないと、いいコンテンツを作る、作る人はなぜ作るのかというと、やっぱりかけたコストでいいクオリティーを保つわけですから、それを上回るだけのリターンがないといけないといったところもありますので、この点も含みおきいただきながら、どうやってそのエコシステムを作るのかというところが、恐らく第2段階、2020年ぐらいにはそういう世界が実現していないと、コンテンツが足りないという声は明確に上がってくるのだろうなと思っております。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほか、どうぞお願いします。
 大川委員。

【大川委員】
 先ほど稲垣委員からもあったように、授業ということでくくってしまうのは広がりがないと思うので、子供の学びという視点で少し広げていただきたいと私も思います。
 それに関連しますと、教材・指導案等の開発とデータベースの構築というのが、教員と学校というふうに非常に閉じた世界になっています。これは実はマル4のところのICTによる学校・地域連携のことまで考えますと、もう少し広い視野で、例えばティーチングコンポーネントの共有というような、オープンな形で構築した方が効果がある部分もあるのではないかと思うので、教員と学校が利用できるデータベースの構築というのを、もう少し広く捉えられるといいのではないかと思います。
 また、データベースという言葉自体も誤解を生みますので、もう少し共有することを中心とした、使えるものであるようなイメージになるようにワーディングを考えていくのもいいのかなと思います。
 ありがとうございました。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかに、どうぞ。牛来委員。

【牛来委員】
 私は、高校で実際に経験している視点からお話しさせていただきますと、確かにここ30年間でいろいろと機種が変化、成長していきているのは分かりますけれども、学校の教職員を使って、学校がICTを活用した学習指導等をしていけるような校内体制の仕組みを、そろそろもう少し本格的に議論していく時がきたと感じています。そうした議論をしないと学校では、ICTの活用が普及していかないといった同じような繰り返しが起きるのではないかなと危惧しています。
 例えば、マル4の論点整理案のところに、方向性として学校の情報教育推進の担当者と役割の明確化と書いてあるので、この点における議論が重要です。現在、学校は、確かに数名の熱心な先生のおかげでICTを活用した教育が積極的に行われ、子供の能力を発揮している学校もあるかと思います。ただ、多くの学校はそういう熱心な先生がいない状況です。ですから、ICTの活用に積極的に関われる教職員を校内で育成し、学校全体でICTの研修を推進していくために、そうしたことを推進できる先生を確保できるようにするための手段としての、例えば、ICT教育推進者の持ち時数を数時間軽減できるような措置をして、全ての学校で時間をかけて人材育成を図っていけるように施策化していくことが必要です。そして、学校がICTを活用した教育に年間で取り組めるような、そういう施策をそろそろ打ち出す頃と思います。
 1つの事例としては、学校には、学校図書を活用するために、司書教諭が配置されています。自治体によって違いがあるかと思いますが、司書教諭には時間軽減措置がされています。学校は、ICT教育推進者にそれに類じたような、時間数の軽減のようなものを求めていると思います。外部からの人材を活用してICTを活用した教育を推進するとともに、学校の先生方の中に、ICTを活用した教育を推進できる教員を沢山育成する時がきたと感じています。
 以上です。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 さらに、お願いします。
 代理の方も委員と同じですから、積極的にお願いします。
 どうぞ。

【関委員代理(小木曽氏)】
 すいません、新経済連盟の関が委員になっておりますが、本日、所用がありまして、代理の小木曽でございます。よろしくお願いします。
 ICTによる学校・地域連携のところがありまして、さっき堀田先生から教員以外のリソースの活用という形もあって、一方で、先ほど校内体制の整備という話もあって、大前提として、確かに学校の校内における情報の体制という整備を進めていくというのが一方でありながら、もう1つ、地域で学校をどういうふうに支えていくかという視点も重要で、そのときに校務支援システムが十分に整備してくるということが今後効いてくるのかなと思うのですが、諸外国、特に北欧で、やはり地域で学校を支えながら情報教育のレベルを上げていくという取組をしている例があるやに聞いております。そのような事例も参考にしながら、また、地域と協働することによって、学校の校内の、先ほどプレゼンのところで、ICT支援の内製化みたいな話もあったと思うのですが、地域で支えることによって学校の校内の体制の強化も、両立しながら回っていく仕組みも考えていく必要があるのかなと思っておりまして、今でも体制とかICTによる学校地域連携というところでその要素は一部入っていると思いますが、そこら辺、ちょっと深掘りして議論できればいいのかなと思いました。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞお願いします。

【高井委員】
 内田洋行の高井でございます。一番重要だと思われましたのが、この中に環境整備の目標設定というのが全体的な整理の中であるのですけれども、今まで成功した事例の中では、各自治体さんが目標を極めて明確に持って進められているところが非常に成功しているのではないかと思うのです。
 そういう意味では、この目標設定の、本来は各自治体が独自に考えればいいことなのかもしれませんけれども、それのヒントとなるようなもののまとめ方とか、あるいはそれをサポートするための財政的なポイントというのですか、ヒントになるようなもの、そんなものがこの全体的な整理の中で1つあるといいのではないかなと思いました。
 それともう1つ、分け方としては、結構技術的なというのですか、テクニカルな部分、そういったものがそれぞれの項目の中にばらけて存在しているような感じもするのですけれども、そういったテクニカルな部分は、まとめ方としては1本にして、技術的な要素をどこかに集約した方が分かりやすいのかなとも感じました。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 太田委員、お願いします。

【太田委員】
 神田一橋中学校、太田でございます。
 目標というか、論点の整理そのものについては異論はないのですけれども、今、目標の設定ということについてお話があったのですが、現場の教員からしてみると、小学校は45分で授業を1単位、中学校は50分で1単位という授業でやっています。そうすると、ICTを活用するような授業というか、環境をどういうふうにしていったらいいのかというと、例えば3.6人に1台あるかないかというのは学校の現場の教員としては全く関係ないと言ったら失礼なのですけれども、そういう状況ではなくて、どこかから何かを持っていって、接続して、そうしないと使えないという環境であったら、3分かかったら教員は授業で使わないです。
 ですから、環境を整備するというのに、何人に1台というようなことではなくて、そこに行けばすぐに使える教室を幾つ整備するのだという考え方、少し考え方を変えたような整備の仕方というのも目標の中に入れていけばいいのかなと思います。
 要は、今までコンピューター室でできていたことが全部の教室でできるようになるのだというのが理想なわけですから、コンピューター室を1つ増やし、2つ増やし、3つ増やしというような目標の設定というのもいいのではないかなと、ちらと思ったりするところです。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかに。
 どうぞお願いします。西田委員。

【西田(文)委員】
 NTTラーニングシステムズの西田です。
 この基本的な考え方及び構成等については非常によくまとめられていると思っておりますが、全体を拝見していて、特に今後、導入とか活用のための予算を確保していくという大きなテーマに向かって何をしていくのかということを考えたときに、効果をどういうふうに横通しで見ていくのか、どんな形で効果を示していくとICTの活用に弾みが付くのかというふうな論点がどうしても必要ではないかと思います。
 それぞれの、例えばICT導入のガイドラインの作成といったところに必ずこういう項目が出てくると思いますが、その効果をどのように計るのかといったところについて、比較的まだ議論が進んでいないところと、ある程度形になっているところが混ざっていると思いますので、こういった点についても一考する必要があるのではないかと思いました。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございます。
 新井委員、お願いします。

【新井委員】
 先ほど西田委員から効果のお話がありましたので、私もずっと効果のところをどうしようかと思って、悩んでいたのですけれども、結局、効果の指標を何にするかというところを検討していくことが必要かなと思います。
 例えば学力が上がりましたか、どうですかのその学力の中身が何であるか。今後、新課程では何ができるようになったかというところがポイントですので、何ができるようになったかということの指標をこの中に折り込むと。
 特にICTを活用した場合には、ICTを活用した思考力とか、ICTを活用した想像力とかというところも視点に入れてもいいのではないかと思うのですが、その具体的な指標のありようも今後は示していく必要があるのではないかと思います。
 単純な学力ということでなく、学力が3要素として定義されてきていますので、そういったことを踏まえて、何ができるようになったかという観点が必要だろうという点が1つです。
 そういうエビデンスを基に整備を進めるわけですけれども、整備を進めるに当たっては、やはりきょうもいろいろ事例をお聞きしても、どうしても調達する規模が大きくなってきていますので、首長であるとか首長部局も含めて自治体が一体になって動いていかないと、従来のパソコン教室でそろえましょうのレベルではないということを認識しなければいけない。そのことをむしろはっきりと、そういう体制が必要なのだということを運用面のところで示していくという点が重要なのではないかと。自治体全体で取り組む課題であることを改めて認識してもらうことが重要ではないかと思います。
 ただ、全体の論点の整理としては非常にいい内容ではないかと思います。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。

【山本委員代理(源氏)】
 大阪市の源と申します。本日は市会の関係で、教育長の代理でまいりました。先ほど山本課長から発表させていただきまして、ありがとうございます。
 校務支援システムを導入するかどうかというところに財政的な面があるのですけれども、実感として、導入して終わりではなくて、導入した後にそれが現場でいかに生きた形で納得して利用いただけるかということが非常に重要ではないかと考えております。
 それで、先ほどNECさんも御発言いただいたのですけれども、3点あると思います。1点目はエビデンス。数値化、見える化する。予算を確保するために、どの効果を目指して導入していくのかということ。それは、現場に対してもそうでございます。2点目、学校の教職員の意見を吸い上げていく、例えば通知表を統一していくというようなことの中で機運を盛り上げていく。また、学校にCIO、先ほど授業の軽減というご意見もあり、それも1つの重要な施策だと思うのですけれども、我々は学校に役職関係なく、複数も含めてCIOを配置したということでございます。CIOへの、集合研修のみならず、学校に我々、入り込みまして、2回、現場の先生方に、現場で使い方を研修させていただいています。また、校長会はじめ、現場の方々を含めた検証会議を定例的にやっておりまして、それで我々の進捗状況の報告や現場の声を吸い上げていること。3点目は、先ほどNECさんからございましたように、導入してストレスのない環境を整えていくということで、現在は統合コールセンター、全て機器の故障であるとか使い方について、ワンストップで対応していくということと、やはり在宅、テレワーク機能の充実などが重要になります。以上、3点、エビデンスを見える化する。学校現場との双方通行の仕組みの中で運用する。運用自体にストレスを感じさせない。これらが非常に大阪市としては順調にいっていると考えている3要素であると考えています。
 ここの「体制」というところで関連すると思いまして、御発言させていただきました。ありがとうございます。

(7) 論点整理素案に関する意見の整理等

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。それでは、そろそろ私の方でまとめさせていただきたいと思います。
 本日は4人の御発表者からいろいろ御説明いただいた後、論点整理案につきまして、いろいろ御意見を頂きました。特に今回は論点の構成といったところに御意見をお願いしておりますが、それに加えまして、具体的な点の御提案を多々頂いたところであります。
 先ほど申しましたように、御意見を踏まえて座長を中心としてというのは変ですけれども、少し整理をさせていただきたいと考えております。
 この会議、1時からスタートしましたが、その前にお時間が許される委員が事前に1時間ほどお集まりいただいて、フリーに意見交換をさせていただきました。その中では特に校務に関して議論をさせていただきましたとともに、子供たちが活用するタブレット端末はどういう形がいいか、その整理の仕方、あるいは子供たちが持っている端末をどう使っていくか。例えばスマホが例に挙がっていますけれども、それとの関係ということで議論をさせていただきました。その懇談会の前半の議論も含めまして、よく事務局と相談しまして、論点を整理して、早い時期に見えるような形で整理ができればいいなと考えております。
 それから、この懇談会で扱っております内容は非常に幅の広い内容であります。根本から考えてという御意見もいろいろあるところではありますけれども、中教審は中教審で方向性を出しておられますので、それについて意見を述べるというよりも、こちらとしてはそれを踏まえてどのように2020年代の教育の情報化の在り方という形をいかに絞った形で、見える形でまとめていくと。これもまた短期決戦でまとめていくということが使命でございますので、是非またいろいろ御指導いただきたいと思います。
 また、先ほど申しましたように、今週中に、きょう言い足りなかったこと、言い足りないというよりももっと根本的な、こういう重要な点があるといったようなことをメールで事務局からお願いしたいと思います。

(8) 堂故大臣政務官より一言

 今日はプレゼンを見せていただいた方々、それから委員の先生にも熱心に議論いただきまして、ありがとうございました。
 前回も申し上げましたが、多くの国会議員にも聞いてもらいたかったなと。それから、首長さんにも聞いてもらいたかったなというのが率直な感想ですけれども、いじめや不登校含めて、教育再生を日本の国にとって本当に大きな施策の柱にしていかなければいけないという局面です。
 その中で、馳大臣の下、馳プランを発表させていただきました。地域と学校の創生プランなのですけれども、その中で、教員の資質向上とチーム学校の充実、そして学校と地域の連携という、一体的にこのことについて物事を進めていく。そのためには法整備もしなければいけないし、予算付けもしていかなければいけない。今後5年間、大事な時期を迎えようとしています。その中で、このICTを活用するというのは、先ほどから委員の先生方の議論を聞いていて、本当に大事な視点だなと思って、きょう、改めて聞かせていただきました。
 本当に慌てた、急いだ取りまとめになるかもしれませんが、清水座長の下、大筋で取りまとめていただいて、また詳細については委員の皆様の意見を徐々に聞いていくというスケジュールでお願いできたらなと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

(9)その他

【清水座長】
 ありがとうございました。これからまとめてまいるわけですけれども、中間まとめとしての論点整理案を今後委員の先生方と意見交換をして次の懇談会に向けて準備していきたいと考えているところでございます。
 本日は4人から御発表を頂きまして、具体的に申し上げなくてすいませんが、ありがとうございました。
 それでは、閉会する前に、次回のスケジュールについて事務局から御説明をお願いいたします。

【須原補佐】
 次回、第3回の懇談会につきましては、3月25日金曜日16時から18時を予定しております。詳細につきましては改めて御連絡いたします。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで散会させていただきたいと思います。委員の皆さん、また、傍聴者の皆様も本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

―― 了 ――

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(初等中等教育局情報教育・外国語教育課 教育情報施策調整係)

-- 登録:平成28年04月 --