公立学校施設に係る大規模地震対策関係法令及び地震防災対策関係法令の運用細目

昭和55年7月23日 文管助第217号
文部大臣裁定

(最終改正 平成28年4月1日 27文科施第608号)


    大規模地震対策特別措置法施行令(昭和53年政令第385号)第2条に定める基準並びに地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和55年法律第63号。以下「財特法」という。)第3条に定める基準及び財特法別表第1に定める基準並びに地震防災対策特別措置法(平成7年6月16日法律第111号。以下「特別措置法」という。)第3条及び第4条に基づき主務大臣が定める基準(平成7年8月24日文部省告示第112号)の細目及び財特法第4条及び特別措置法第4条の規定に基づく公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程並びに特別支援学校の幼稚部,小学部及び中学部の校舎,屋内運動場及び寄宿舎の整備事業に係る国の補助金の交付並びに特別措置法第6条の2第1項及び地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律(平成20年法律第72号。以下「特別措置法一部改正法」という。)附則第3条に定める耐震診断の方法については,上記の法令等を定めるところによるほか,この運用細目を定めるところによる。

1 地震防災強化計画及び地震対策緊急整備事業計画中の公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の建物並びに地震防災緊急事業5箇年計画中の公立の幼稚園及び公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程及び公立の特別支援学校の建物に係る主務大臣の定める基準(大規模地震対策特別措置法施行令第2条,財特法第3条,特別措置法第3条)

(1) 改築を要する建物に係る基準
    地震防災強化計画及び地震対策緊急整備事業計画にあっては公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の建物,地震防災緊急事業5箇年計画にあっては公立の幼稚園又は公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校若しくは中等教育学校の前期課程又は公立の特別支援学校の建物で,次のアからカまでのいずれかに該当し,かつ地震防災緊急整備事業計画若しくは地震防災緊急事業5箇年計画の期間中に該当することになると認められること。

ア 文部科学大臣の定める方法により測定した耐力度が,木造の建物については,おおむね6,000点以下,鉄筋コンクリート造,鉄骨造,補強コンクリートブロック造及びこれら以外の建物については,おおむね4,500点以下になったものただし,次のいずれかに該当する場合は,耐力度点数を500点緩和する。

(ア) 特別支援学校の建物

(イ) その他当該学校の実情及びその環境,立地条件等からその改築が真にやむを得ないと認められる建物

イ 別表第1に定めるところにより算定した当該鉄筋コンクリート造,鉄骨造及び鉄筋鉄骨コンクリート造(ウにおいて「鉄筋コンクリート造等」という。)の建物の構造耐震指標の値がおおむね0.3に満たないもの

ウ 別表第1に定めるところにより算定した鉄筋コンクリート造等の建物の保有水平耐力に係る指標の値がおおむね0.5に満たないもの

エ 別表第1に定めるところにより算定した当該木造の建物の構造耐震指標の値がおおむね0.7に満たないもの

オ 別表第2に定める要補強建物判定基準を満たす建物のうち,補強することによって建物の機能が著しく低下すると認められるもの又は地盤の耐力不足等のため補強工事を行うことが不適当であると認められるもの

カ その他文部科学大臣が改築を必要と認める特別の理由のあるもの

(2) 補強を要する建物に係る基準
    地震防災強化計画及び地震対策緊急整備事業計画にあつては公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程,地震防災緊急事業5箇年計画にあつては公立の幼稚園又は公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校若しくは中等教育学校の前期課程又は公立の特別支援学校の建物で,その構造に応じ,別表第1に掲げる方法により診断した耐震性能が別表第2に定める要補強建物判定基準に適合すること又は地震防災緊急事業5箇年計画の期間中に適合することになると認められること。




2 地震対策緊急整備事業計画及び地震防災緊急事業5箇年計画に係る国の補助の特例の対象となる公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の木造以外の校舎又は屋内運動場(地震防災緊急事業五箇年計画に係るものに限る。)の補強(次項に定めるものを除く。)に係る文部科学大臣の定める基準(財特法別表第1,特別措置法第4条)
公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の木造以外の校舎又は屋内運動場のうち,第1項第2号に該当するものの補強で,当該校舎又は屋内運動場の構造に応じ,別表第1に掲げる方法により診断した当該補強後の耐震性能が,別表第3に定める当該構造に応ずる必要補強基準を満たすこと。(補強の方法のいかんを問わない。次項第2号及び第4項第2号において同じ。)


3 地震対策緊急整備事業計画に係る国の補助の特例の対象となる公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の校舎の改築(買収その他これに準ずる方法による取得を含む。次項において同じ。)及び木造以外の校舎で地震による倒壊の危険性が高いものの補強に係る文部科学大臣の定める基準(財特法別表第1

(1) 改築に係る基準
    公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の校舎のうち,構造上危険な状態にある(第1項第1号の基準に該当するものをいう。)もの

(2) 補強に係る基準

ア 鉄筋コンクリート造,鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の建物
    公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の木造以外の校舎のうち,別表第1に定めるところにより算定した当該建物の構造耐震指標の値が0.3に満たない又は保有水平耐力に係る指標の値が0.5に満たないものの補強で,別表第1に掲げる方法により診断した当該補強後の耐震性能が,別表第3に定める必要補強基準を満たすこと。


イ アを除く木造以外の建物
    公立の小学校,中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の木造以外の校舎のうち,文部科学大臣が補強を必要と認める特別の理由のあるものの補強で,当該補強後の耐震性能が,別表第3に定める必要補強基準を満たすこと。


4 地震防災緊急事業5箇年計画に係る国の補助の特例の対象となる公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部,小学部若しくは中学部の校舎,屋内運動場又は寄宿舎で  ,地震による倒壊の危険性が高いもののうちやむを得ない理由により補強が困難なものの改築及び地震による倒壊の危険性が高いものの補強に係る文部科学大臣の定める基準(特別措置法第4条)

(1) 改築に係る基準

ア 鉄筋コンクリート造,鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の建物
    公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部,小学部若しくは中学部の木造以外の校舎,屋内運動場又は寄宿舎のうち,別表第1に定めるところにより算定した当該建物の構造耐震指標の値が0.3に満たないもの又は保有水平耐力に係る指標の値が0.5に満たないもので,コンクリート強度が10.0N/mm2未満のもの又はその他文部科学大臣が改築を必要と認める特別の理由があるもの

イ アを除く木造以外の建物
    公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部,小学部若しくは中学部の木造以外の校舎,屋内運動場又は寄宿舎のうち,文部科学大臣が改築を必要と認める特別の理由があるもの

ウ 木造の建物
    公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部,小学部若しくは中学部の木造の校舎,屋内運動場又は寄宿舎のうち,別表第1に定めるところにより算定した当該木造の建物の構造耐震指標の値が0.7に満たないもので,文部科学大臣が改築を必要と認める特別の理由があるもの置法第4条)

(2) 補強に係る基準

ア 鉄筋コンクリート造,鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の建物
    公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部,小学部若しくは中学部の校舎,屋内運動場又は寄宿舎のうち,別表第1に定めるところにより算定した当該建物の構造耐震指標の値が0.3に満たない又は保有水平耐力に係る指標の値が0.5に満たないものの補強で,別表第1に掲げる方法により診断した当該補強後の耐震性能が,別表第3に定める必要補強基準を満たすこと。

イ アを除く木造以外の建物
    公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部,小学部若しくは中学部の校舎,屋内運動場又は寄宿舎のうち,文部科学大臣が補強を必要と認める特別の理由のあるものの補強で,当該補強後の耐震性能が,別表第3に定める必要補強基準を満たすこと。

ウ 木造の建物
    公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部,小学部若しくは中学部の校舎,屋内運動場又は寄宿舎のうち,別表第1に定めるところにより算定した当該建物の構造耐震指標の値が0.7に満たないものの補強で,別表第1に掲げる方法により診断した当該補強後の耐震性能が,別表第3に定める必要補強基準を満たすこと。


5 地方公共団体が実施する公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程並びに特別支援学校の幼稚部,小学部及び中学部の校舎,屋内運動場及び寄宿舎の耐震診断の方法(特別措置法第6条の2,特別措置法一部改正法附則第3条)
    特別措置法第6条の2第1項の規定により地方公共団体が行わなければならない公立の幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程並びに特別支援学校の幼稚部,小学部及び中学部の校舎,屋内運動場及び寄宿舎の耐震診断の方法並びに特別措置法一部改正法附則第3条の規定により特別措置法第6条の2第1項の規定により行われた耐震診断とみなされる耐震診断の方法は,次のア又はイに該当するものとする。

ア 別表第1に定める方法

イ 学校施設耐震化推進指針(平成15年文部科学省大臣官房文教施設部策定)による耐震化優先度調査


6 経費の算定

(1) 改築に要する経費
    工事費(本工事費及び附帯工事費をいい、買収その他これに準ずる方法による取得の場合にあつては買収費とする。)及び事務費とする。

(2) 補強に要する経費
    工事費(本工事費及び附帯工事費をいう。)及び事務費とする。

(3) 改築に係る工事費の算定方法等

ア 改築に係る工事費は、文部科学大臣の定めるところにより算定するものとする。

イ 1平方メートル当たりの建築単価等
    工事費を算定する場合の1平方メートル当たりの建築の単価は別途通知する。

ウ 工事費の算定方法の特例等
     アに定めるところにより工事費を算定する場合において、保有面積又は1平方メートル当たりの建築単価に乗ずべき面積の構造に応ずる補正及び1平方メートル当たりの建築の単価に乗ずべき面積の特例については、文部科学大臣の定めるところによるものとする。

(4) 補強に係る工事費の算定方法
    補強に係る工事費は、当該校舎又は屋内運動場について別表第3に定める基準を満たす補強を行うため必要であると文部科学大臣が認める工事費とする。

(5) 事務費の算定方法
    事務費は前2号に定めるところにより算定した工事費に100分の1を乗じて算定する。

(6) 本校及び分校
    本校及び分校は、それぞれ一の学校とみなす。


7 その他

(1) この運用細目の規定は,平成18年4月1日から適用する。

(2) この運用細目の用語の意義その他財特法第4条及び特別措置法第4条の規定に基づく国の補助金の交付に関し,財特法及び特別措置法の運用上の必要な事項で,この運用細目に規定のないものについては,「公立学校施設費国庫負担金等に関する関係法令等の運用細目」(平成18年7月13日付け18文科施第188号文部科学大臣裁定)の例によるものとする。


(平成20年5月15日改正)

(1) この運用細目の規定は,平成20年4月1日から適用する。

(2) 第1項第1号アにおける鉄筋コンクリート造,鉄骨造,補強コンクリートブロック造及びこれら以外の建物(木造の建物を除く。)に関する規定は,平成20年度から適用し,平成19年度以前に耐力度の測定を行い,おおむね5,000点以下になった建物については,なお,従前の例による。


(平成20年6月30日改正)
    この運用細目の規定は,平成20年度以降の予算に係る国の補助又は交付金の交付について適用し,平成19年度以前の年度の歳出予算に係る国の補助又は交付金の交付で平成20年度以降の年度に繰り越されたものについては,なお従前の例による。


(平成22年4月9日改正)
    この運用細目の規定は,平成22年4月1日から適用する。

(平成28年4月1日改正)
    この運用細目の規定は,平成28年4月1日から適用する。


別表第1(建物の耐震性能の診断方法)

建物の構造 診断方法
鉄筋コンクリート造、鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造 構造耐震指標(Is)及び保有水平耐力に係る指標(q)を求めて診断する。診断方法は,建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針(平成18年国土交通省告示第184号)によることとする。ただし,この方法によることが著しく不適当であると認められる特別の理由がある場合においては,文部科学大臣が適当であると認める方法による。
上記以外の非木造 建物の状況等に応じて文部科学大臣が適当であると認める方法による。
木造 構造耐震指標(Iw)を求めて診断する。診断方法は,建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針によることとする。ただし,この方法によることが著しく不適当であると認められる特別の理由がある場合においては,文部科学大臣が適当であると認める方法による。

別表第2(要補強建物判定基準)

建物の構造 判定基準
鉄筋コンクリート造、鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造 別表第1に定めるところにより算定したIs値がおおむね0.7に満たないこと若しくはq値がおおむね1.0に満たないこと(Is値及びq値は文部科学大臣の認める他の方法により診断した耐震性能を表す指標を換算したものを含む。以下同じ。)又はIs値がおおむね1.0以下で,かつ補強を必要とする特別の理由があると認められること。ただし,文部科学大臣が適当であると認める方法により診断した耐震性能を表す指標を換算することが不可能又は著しく困難である等の場合においては,文部科学大臣が認めるところによる。
上記以外の非木造 上記に準ずる耐震性能であると文部科学大臣が認めるところによる。
木造 別表第1に定めるところにより算定したIw値がおおむね1.1に満たないこと(Iw値は文部科学大臣の認める他の方法により診断した耐震性能を表す指標を換算したものを含む。以下同じ。)。

別表第3(必要補強基準)

建物の構造 必要補強基準
鉄筋コンクリート造、鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造 補強後の当該建物に係るIs値がおおむね0.7を超え,かつq値が1.0を超えること又は当該補強によってこれと同程度の耐震性能が得られると認められること。
上記以外の非木造 当該補強により上記に準ずる耐震性能が得られると認められること。
木造 補強後の当該建物に係るIw値がおおむね1.1を超えること又は,当該補強によってこれと同程度の耐震性能が得られると認められること。

-- 登録:平成21年以前 --