幼児教育課調査研究事業

 

 
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幼・小連携に関する総合的調査研究指定地域の研究概要

【H13〜14年度指定】

指定地域

研究協力市町村

研究協力園

研究協力校

概            要

北海道

伊達市

市立さくら幼稚園

市立伊達小学校

1幼児児童の実態把握
   幼児児童にどのような資質や能力を育てていくのかという具体的なねらいをもつために,幼児と児童の学校生活や日常生活に関するアンケート調査を実施した。
2教師間の交流
   幼稚園と小学校相互の教育課程や教育方法等についての理解を深めるため,定期的に合同研修会を開催するとともに,日常からの情報交換や異年齢交流の事前の打合せ,事後の評価などの継続した取組を行ってきた。
3幼児児童の交流の工夫
   幼児児童の発達の特性を踏まえながら,幼児が年長者への憧れや成長への期待をもったり,児童が成長の喜びを感じたりするなど,双方にとって有意義な異年齢交流の在り方について研究を進めてきた。
4保護者間の交流の場の設定
   幼稚園・小学校教育の理解を得たり,親子関係を振り返って今後の在り方を考えたり,子育てを支援したりできるよう,幼児と児童双方の保護者による情報交換の場を設定した。

山形県

飯豊町

町立手ノ子幼稚園

町立手ノ子小学校

   めざす子ども像を「相手も自分も大切に,かかわり合いを豊かに生きる子ども」と設定し,〈共生〉〈創造〉〈自立〉のキーワードをもとに,温かな人間関係を育む教育活動を展開した。
   研究推進にあたっては〈日常化〉と〈互恵性〉に配慮し,心を育む豊かな交流にすること,育ちが実感でき次の機会が楽しみになる活動にすることで,特色ある学校づくりにもつながった。
   子どもの連携については,幼・小のカリキュラムに位置付けた意図的・計画的な活動にするとともに,子供の思いを発展させた共有の時間〈さくらの木の下の出会い〉を創設し,子どもが参加・参画し,自ら育ちを実感できる交流活動にまで高まってきた。
   また,教職員は指導案を共同作成して互いの指導法を学んだり,保護者は合同研修で互いの考えを述べ合ったりして,連携することのよさを実感し,子どもを共に育てようとする意識が生まれた。
   幼・小がめざす子ども像を共有し,発達段階に応じた適切な経験を積み上げることが,子どもの確かな育ちを生み,幼・小の段差が確実に低くなった実践である。

栃木県

宇都宮市

ミネ幼稚園
石川幼稚園
駒生幼稚園
すずめ幼稚園

市立峰小学校
市立泉ヶ丘小学校
市立宝木小学校
市立五代小学校

   幼(保)・小のスムーズな連携が図れるよう,4つの小学校区において研究を進めた。
   峰小学校区では,豊かな心を育てるための交流を目指し,主に生活科において,1・2年生と幼・保が,また遊びにおいて幼と保が交流を行った。幼・保・小の教諭・保育士間の意志疎通を図るための打ち合わせにも時間をかけた。
   泉ヶ丘小学校区では,体験的活動・道徳教育に関連した心の教育を推進するため,幼・保・小の現状から目指す子ども像を設定し「人・場所・雰囲気・物」に十分かかわったり親しんだりする活動を通して,道徳性の芽生えを育む研究をした。
   宝木小学校区では,アンケート調査により「伝え合う力」に関する実態や教員・保育士・保護者の意識などを把握した。また「伝え合う力」について項目ごとに目標や指導内容,指導の場を決め,あいさつ・お話などに取り組んだ。
   五代小学校区では,行事をを中心に児童会活動,総合的な学習の時間,生活科などの幅広い交流活動を通して豊かな心を育むことを目指して研究を進めた。
   4つの研究地域を核として市内全域の幼児教育期から小学校低学年の教育・保育の充実に努めている。
   免許併有については,県教育委員会で実施している認定講習に幼稚園教諭の枠を設け,15年度から実施することとした。

群馬県

宮城村

村立宮城幼稚園

村立宮城小学校

1   研究推進体制の整備
   宮城幼稚園は,県教育委員会の教育課程研究開発校として,平成13〜15年度の3年間,幼小連携に視点を当てた教育課程の開発に取り組んでいる。研究協力地域の宮城村には,以前から「宮城野会」という組織ができており,幼保小の連携の実績がある。その組織を基盤として村全体で研究を推進してきた。幼稚園と小学校との研究主題の関連を図り,さらに幼小の研究班ごとの連携を取りながら推進してきた。
2   特徴的な取組
   相互の理解推進のために,幼稚園教育要領と学習指導要領を読み合い,講読演習会を行ったことは,互いの教育内容の理解に役立った。教員間の交流の推進のために,TT交流(幼小の教員が一緒に指導する)を実施した。指導案を共同で作成することで,互いの教育内容や方法の理解を深めるとともに効果的な指導を行うことができた。幼児・児童の交流活動は,計画的な交流と日常的な交流とを行った。計画的な交流は交流相手を決めて継続して実施した。日常的な交流では幼小の両方から行き来ができる「なかよし広場」で,小学校の休み時間を使って実施した。

岐阜県

八幡町






養老町

町立八幡幼稚園
妙高幼稚園





町立養老幼稚園
町立上多度幼稚園
町立池辺幼稚園
町立笠郷幼稚園
町立養北幼稚園
町立日吉幼稚園
高田幼稚園

町立八幡小学校
町立川合小学校
町立相生小学校
町立相生第二小学校
町立口明方小学校
町立西和良小学校
町立小那比小学校
町立養老小学校
町立上多度小学校
町立池辺小学校
町立笠郷小学校
町立養北小学校
町立日吉小学校

   幼稚園と小学校の連携・交流を図る体制を構築し,幼児期の教育と小学校以降の教育との適切な接続の在り方を探るため,養老町と八幡町の2地域を指定し,次の3点を中心に総合的な調査研究を行った。
   (1)教員の合同研修や教育活動への相互参加を通して,幼稚園・小学校の教育内容の相互理解と円滑な移行を図る相互の指導の在り方を追究する。
   (2)幼児や児童のそれぞれの発達や教育内容を踏まえた幼稚園・小学校の教育効果を高める交流活動の在り方を追究する。
   (3)地域における幼稚園や保育所,小学校,教育委員会,関係諸機関との連携の在り方を追究する。
   その結果,幼稚園と小学校の連携・交流を図る体制が構築され,職員間の連携の大切さが再認識された。また,幼児・児童についてはその年齢に応じて,リーダーシップ等が見られ,特に幼児については学校生活への不安等を取り除くことができた。継続的な交流を位置付けることにより,幼児と児童が共に育つ幼・小連携のあり方が明らかになった。

大阪府

箕面市
和泉市
泉南市

市立かやの幼稚園
市立南松尾幼稚園
市立鳴滝幼稚園

市立萱野小学校
市立南松尾小学校
市立鳴滝第一小学校
市立鳴滝第二小学校

   本府における幼稚園と小学校との連携は,公立幼稚園と小学校の連携が中心であり,私立幼稚園との連携が13%(57園/436園)しか行われていないことからも,地域における小学校入学前の子どもとその保護者を対象としたものにはなりえていない状況にある。そこで,「地域の子どもは地域で育てる」という観点の下,3市3幼稚園4小学校において調査研究に取り組み,保育所や私立幼稚園との連携とともに,保護者や地域を巻き込んだ幅広い活動を展開してきた。その結果,地域における小学校入学前の子どもとその保護の豊かな育ちと学びを培うため,小学校との連携や交流活動の体制づくりを家庭,幼稚園,保育所,小学校,地域との協働により進めていくことが重要であるという結論にいたった。
   今後,本調査研究事業の成果を,市町村との協力のもと,様々な取組の展開に活かすとともに,「地域の子どもを地域で育てる」観点に基づく実践事例の収集発信に努めたい。
   また,免許併有については,集中講義の開設内容,時期,期間等,多くの課題が残っており,今後継続して研究に取組む必要があると認識している。

兵庫県

加古川市
姫路市

市立陵北幼稚園
市立広峰幼稚園

市立陵北小学校
市立広峰小学校

   平成14年度の取組としては,以下のような課題と対応方法を地域連絡会において明確にし,各協力校園の実践につなげた。
   ・幼・小連携の事業を充実発展させるためには「教師間の連携」がキ−ワ−ドになる。そのため,時間を確保しながら幼稚園と小学校の教員の合同研修を工夫する必要がある。
   ・幼児・児童の交流を連携にまで発展させるために,年間の見通しをもって計画的に推進していく。
   ・保護者をはじめ地域へも幼稚園と小学校とがともに協力して教育を推進していく大切さを呼びかけ幼・小合同の行事等への参加を促す。
   年間,2回の地域連絡会を開催し,各地区における取組を情報交換しながら以下のように課題を絞り解決に向けての方策とした。
   ・幼稚園から小学校へのスム−スな接続の工夫
   ・幼稚園における幼児の自発的な活動としての遊びを中心とした保育を小学校以降の生活や学習の基盤とする工夫
   ・双方の教員同士の交流や研修の工夫
   ・保護者との連携の工夫
   ・“幼稚園と小学校”に保育所を交えた連携の工夫

鳥取県

東伯町

町立八橋幼稚園

町立八橋小学校

   東伯町の八橋幼稚園と八橋小学校は隣接しており交流しやすい環境にある。そのため,以前から合同でプール遊びや造形活動を行うなどの交流をしてきた。
   しかし,近年,1年生入学時に不適応を起こす児童が見られるようになり,幼稚園と小学校の連携の必要性を強く感じるようになってきた。
   そこで,幼小連携を進めることで,特に,入学時の不適応の問題を改善したいと考え,以下のような取組を中心に研究を行った。
   1  幼稚園と小学校の職員が連携・協力することにより,子どもの発達や学びの姿に対する相互理解を図り,幼稚園と小学校の連続性を考慮に入れた子どもの援助・指導の工夫に取り組んだ。
   2  我が子の成長を振り返るとともに,小学校教育への理解を深め,入学に関わる不安感や過剰な期待を解消するために,幼稚園と小学校の保護者の交流に取り組んだ。
   3  思いやりの気持ちやコミュニケーション能力を育てるために,幼稚園児と小学校児童の交流など異年齢の交流の工夫に取り組んだ。

広島県

広島市

福山市

尾道市
芸北町
呉市

市立上温品幼稚園
みみょう幼稚園
市立新涯幼稚園
市立桜丘幼稚園
市立木ノ庄西幼稚園
町立芸北幼稚園
白鳩幼稚園

市立上温品小学校
市立段原小学校
市立新涯小学校
市立桜丘小学校
市立木ノ庄西小学校
町立芸北小学校
市立仁方小学校

研究の観点
   (1)教員に関すること
   (2)幼児・児童に関すること
   (3)保護者との連携に関すること
研究協力幼稚園,小学校
   公立幼稚園5園,私立幼稚園2園,公立小学校7校
幼稚園と小学校の連携に関する取組み
   (1)合同指導案,年間計画の作成について
   (2)幼稚園でつけておきたい力について
   (3)保護者・地域と結ぶ連携の在り方について
研究成果及び今後の対処方法
   研究の成果を踏まえ,幼小連携の趣旨やねらいを周知するとともに,以下の観点から実効ある連携教育の普及を図る。
   ○小学校側の連携意識の高揚
   ○相互理解の場の充実
   ○連携カリキュラムの作成
   ○保育所も含めた小学校との連携推進
   ○私立幼稚園窓口の設置

福岡県

北九州市

市立足原幼稚園
市立黒崎幼稚園
あおば幼稚園
尾倉幼稚園

市立足原小学校
市立黒崎小学校
市立富野小学校
市立皿倉小学校

   幼小推進事業地域連絡会を構成して,幼小連携や免許併有に関する地域における推進体制の在り方についての検討や情報交換を行うとともに,幼稚園4園(公立2・私立2)・小学校4校を研究協力園・校として実践研究を進めてきた。
   各園・校は,行事を中心とした交流を糸口に一つの学年から複数学年へ,そして,幼稚園と全校の子どもたちとの異年齢交流へと発展し,活発に交流活動が行われるようになった。このような幼児と児童の交流を通して,子どもにやさしさや思いやりなど心の成長を感じることができた。また,教師同士の交流を通して,それぞれの発達や教育内容を理解する合同研修へと発展し,相互理解の必要性を感じるとともに,連携も徐々に深まってきた。
   一方,幼稚園,小学校教員の免許併有の促進に関する調査研究,大学等の関係機関との連携は難しく,免許に関する情報収集や研究校・園の教師の併有に関する調査にとどまった。
   今後は,これまでの取組を他の地域へと広め,小学校が核となった連携を推進する。

佐賀県

厳木町

町立厳木幼稚園

町立厳木小学校

   本調査研究を始めるに当たって,当初は厳木町『保・幼・小連絡協議会』を研究母体として計画を進めようとしたが,研究の焦点化を図るため,1幼稚園と1小学校(厳木幼稚園・厳木小学校)に対象を絞って進めることにした。そして本調査研究の趣旨を踏まえ,単なる幼稚園と小学校の交流活動のみに終始しないために次のように研究のねらいを定めた。
   長期的視野に立った幼・小連携教育を推進することによって,積極的に人やものと関わり,主体的に生きていく子どもを育成する。
   そして次の3点を研究の観点として研究の意義の理解を図った
   (1)教員が,幼稚園・小学校の相互訪問等の交流をすることによって,いわゆる小学校への『段差』を解明しスムーズな幼・小教育の接続を図る。
   (2)幼稚園・小学校の教育内容の相互理解を図り,また,その指導法を理解し,相互に意義のある連携とは何かを探る。
   (3)教職員同士,園児と児童の交流のみならず,保護者同士の交流も推進し『地域で子どもを育てる,地域で子どもの育ちの過程を支援する』教育的風土を醸成する。
   このことから,本調査研究における研究主題を次のように設定して研究に取り組むことにした。
   研究主題『感性豊かに生き生きと活動する子どもをめざして』

熊本県

八千代市

市立代陽幼稚園
八代白百学園幼稚園
聖愛幼稚園

市立代陽小学校

   本県では,幼稚園から小学校への円滑な接続を図るために,文部科学省より示された研究の観点に沿って,研究協力園・校とともに調査研究を進めてきた。特に14年度は,前年度の反省を踏まえ,
   ・教師が小学校と幼稚園の学びの相違点と共通点を理解し合うという観点から「小学校における学びと幼稚園における学びの相互理解のための工夫」
   ・豊かな人間性を育むという観点から「異年齢集団による区的な交流学習の工夫」
   ・小学校への期待を持たせる交流という観点から「幼稚園児と全校児童との広い交流の場の工夫」
   ・長続きする連携という観点から「連携・交流年間計画の工夫」
   以上の4点に重点をおいた実践を通して,調査研究を行った。その結果,小学校生活に早く慣れ,落ち着いた学校生活を送れる子どもが育つことや,職員同士が気軽に連絡がとれるようになり,連続的に子どもの発達段階に応じた指導ができるようになった等の成果や小学校区単位で,幼・小連携を広めていくための手だて等の課題が明らかになった。

鹿児島県

国分市

カトリック国分幼稚園
カトレア幼稚園
鹿児島第一幼稚園
国分幼稚園
国分愛の園幼稚園
竹の子幼稚園
あおば幼稚園

市立国分北小学校
市立青葉小学校
市立木原小学校
市立川原小学校
市立国分小学校
市立向花小学校
市立上小川小学校
市立国分西小学校
市立平山小学校
市立塚脇小学校
市立国分南小学校

   研究協力市町村である国分市で,公立小学校11校と私立幼稚園7園で研究を推進した。指定研究以前は,お互い連携の必要性は認めつつも,公立小学校と私立幼稚園ということもあり,なかなか連携の機会がとれない状況があった。しかし,この2年間の研究を通じ,幼・保・小の連携の必要性を再確認するとともに,連携を深めていく素地ができたと考える。
   国分市の2年間の主な実践内容は,次のとおりである。
   1   幼・保・小合同の研究保育・授業(年3回)
   2   子育て講演会
   3   小学校・幼稚園合同保健研究協議会
   4   各園(校)の近隣園(校)との交流活動
   5   地域連絡会(年2回)
   6   リーフレットの作成
   今後も,国分市を中心として本研究を継続し,連携・交流の在り方の方向性を探っていきたい。
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