財団法人 全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

 

私立幼稚園における第三者評価の在り方とその推進に関する研究

(1) 研究の目的

 学校評価が構造的に機能するために、自己点検・評価、学校関係者評価と第三者評価の関係についての整理をした上で、第三者評価を実施する場合の課題等について、現段階での見解をまとめることにより、幼児教育の質向上に資する学校評価について考察する。

(2) 研究の内容及び方法

ア 本財団の組織力を活かし、全国規模で「現場の幼稚園園長・理事長」「学識経験者」等による「私立幼稚園における学校評価等検討委員会」(以下、「委員会」という。)を設置する。
イ 委員会において、私立幼稚園における自己評価、学校関係者評価、第三者評価の取り組み状況や評価実施上の課題を把握するため、全国の私立幼稚園200園を対象として、「第三者評価の取り組みに係るアンケート調査」を実施する。
ウ 特に第三者評価について、アンケート調査の実効性を高めるため、アンケート実施園の内、第三者評価を既に実施している2園を対象として面接調査を行う。
エ アンケート結果を分析し、学校評価実施上の課題を整理する。
オ 報告書を作成し、関係各所に配付するとともにwebサイトで公開し、広く普及に努める。

(3) 研究の成果及び今後の課題

 本研究を通じ、学校評価実施上の課題を明らかにした。

ア 学校評価の充実に向けて

 今回の調査から、学校評価の意義や具体的な手法について周知されれば、自己評価、学校関係者評価はさらに充実・発展していくと思われる。そのために、園外での研修会の実施とともに学校評価の充実のための園内研修の支援も必要と考えられる。
 学校関係者評価については、その目的や具体的な実施の方法、結果の公表等の手続きが周知されていないので、特に「委員の選定と依頼」「委員会で提供する情報」等について、様々な園の実践事例を収集し、事例集のようなものを取りまとめることも必要と考えられる。

イ 第三者評価の意義と可能性

 第三者評価については、これまで保育所等の福祉施設で行われてきたような運営面を中心に評価基準のはっきりとした(数値等により評価しやすい)、評価項目を中心に書面上で行うだけのものでは保育の質の向上等が難しい。客観的な基準で評価するだけではなく、自己評価や学校関係者評価の実施状況も踏まえつつ、学校の優れた取組や今後の学校運営の改善につなげるための課題や改善の方向性等を提示したり、両者の性格を併せもつ評価を行ったりするなど、地域や園の実情等に応じて柔軟に対応することが必要である。
 また、実際に幼児教育の実践の過程や子どもの様子の観察、公開保育等も含めた第三者評価の手法の研究が必要である。各幼稚園ごとの実情を考慮すると共に、すべての子どもに共通して必要とされる環境の構成、教員のかかわり、家庭との連携等の評価項目についても研究を進めることで、「保育の質」について、園はもとより保護者、地域でも共有されていくと考えられる。

ウ 第三者評価実施上の課題

 学校評価者については、学校運営に関与した経験のある者や幼児教育を専門とする大学教員、園と地域との連携に取り組んでいる団体の役員などが望まれている。しかし、評価者の質が評価を実施する園の教育水準の向上を左右することが考えられることから、評価者の研修プログラム等によりその質を担保することが必要であり、その研修プログラムの内容等についても研究が必要である。
 また、各園の評価の取り組みそのものを充実させるための支援や、第三者評価により明確になった課題を解決するための提案や支援等が求められることを考えると、第三者評価システムを通して幼児教育施設自身による自己評価を支援する仕組み等を参考に、仕組みそのものを研究していくことも必要である。

 

お問合せ先

初等中等教育局幼児教育課

-- 登録:平成23年07月 --