事業成果報告書(富山県)

情報化推進による校務効率化に関する研究

1.事業の実施報告

(1)調査研究のねらい

近年、教員が行う業務のなかで事務的な業務の割合が増えており、これが教員の多忙化の一因なっていると考えられる。本県では、平成21年度末に、高等学校及び特別支援学校の教員を対象とした、1人1台パソコンの貸与が実現した。このことを受け、コンピュータ等の有効な活用により、教員が行う事務的業務の効率化を進め、教員が生徒と向き合いやすい環境を整えることをめざして研究を行う。

(2)実践研究の実施状況

ア 方針

教育委員会事務局職員17名によるプロジェクトチームを組織し、そのメンバー内の6名で結成したワーキンググループが中心となって、以下の内容に取り組む。

  1. 各校の情報化に関する現状とニーズの把握
  2. 学校現場の情報化による校務改善

イ 取り組み状況

平成22年6月上旬プロジェクトチーム第1回会議
6月下旬校務情報化アンケートの実施
7月中旬第1回学校パワーアップ推進会議
10月上旬プロジェクトチーム第2回会議
11月中旬校務の情報化推進研修会の実施
12月中旬第2回学校パワーアップ推進会議
平成23年2月上旬第3回学校パワーアップ推進会議
平成23年3月上旬事業での取り組み内容や学校の取り組み事例等をまとめた冊子「とやま学校パワーアップの推進2011」を印刷

※「学校パワーアップ推進会議」は、教員が子どもと向きやすい環境を整え、学校教育の質の維持向上を図るために、平成18年度から設置している。小中高校長会や職員の代表者と関係室課長が参加して、学校業務の負担軽減等の取り組みを検討し、改善に努めている。

ウ 校務情報化アンケートの実施

1 対象:県下全県立学校59校(高等学校48校、特別支援学校11校)

2 主な結果

  • 成績処理システムについては、学校の独自性に対応できるシステムを各学校で開発したものを使用しており、今のところ県下統一のシステムの導入の必要はない。
  • 約4割の学校は指導要録が電子化されておらず、推進を図る必要がある。
  • 約4割の学校で出張等の書類が電子化されていない。学校日誌に連動されるようになっている学校は2割である。約8割の学校で、「出張・休暇等システム」の紹介の要望があった。
  • 約3.5割の学校でグループウェアを導入している。導入校全てにおいて、他校も導入すべきとの意見であった。未導入校の8割で、グループウェアに関する研修会開催の要望があった。
  • 学校間での共有サーバーの利用の要望がある一方で、セキュリティ等での課題が挙げられた。
  • 各学校での校務効率化につながる工夫として、校内共有フォルダの活用が多く挙げられた。
  • サーバーや校内LAN等の情報に関する管理者の負担軽減の要望が多くあった。

エ 校務の情報化推進研修会の実施

1 参加者:県立学校の校務の情報化推進に携わる者(教務主任、ネットワーク管理者)

教育事務所,市町村教育委員会の情報推進関係担当者 計70名
53県立学校58名 2教育事務所, 10市町村教育委員会12名

2 研修内容

  • 研修1「出張・休暇等システム、出欠等管理システムの紹介」
    紹介した「出張・休暇等システム」は、T高校等で使用されているもので、出張、休暇や、部活動付添、旅行届等あらゆる書類が簡単に作成でき、個々の先生のデータを集約して、学校日誌や長期休業中における勤務一覧表が素早く作成できものである。エクセルで開発されているため、操作がシンプルでコンピュータに不慣れな教職員でも使いやすく、費用もかからないものである。「出欠管理システム」は、欠席・遅刻等の生徒をミスなく簡単に入力することができ、これらのデータを集め、毎日の集計や学期毎の一覧表が瞬時に作成できるものである。マニュアルをもとに、パソコン操作を見せながら、設定や使用法を説明した。
  • 研修2「グループウェアと校内共有フォルダの利活用法」
    掲示板や校内メール、スケジュール登録など、「グループウェア」の機能や操作を説明し、例えば、これらの活用により、朝の連絡会や放課後の打合せ及び会議時間の縮減ができること等の利便性を紹介した。次に、校内共有フォルダの管理は、次の担当者にもわかり易く、効率的に業務を進めるため、フォルダ名、ファイル名、保存場所等にルールを設け、校内で統一することを勧め、フォルダの有効活用の具体的な事例や整理の仕方等の説明をした。

2.調査研究の成果

  • 情報化アンケートの実施により、各校の情報化に関する現状とニーズの把握ができた。このことから、校務の改善すべき点が明確になり、改善に向けた検討が可能となった。
  • 校務の情報化推進研修会の実施により、「出張・休暇等システム、出欠等管理システム」を紹介し、そのシステムを全校に配布提供した。数校で導入するという報告は受けているが、他校への波及効果はこれからである。「グループウェアと校内共有フォルダの利活用法」については、研修参加者へのアンケートによると9割を超える者が参考となったと回答。研修会で習得したことの学校現場での活用はこれからである。
  • 学校・市町村教育委員会の実践事例の収集は終了しているが、紹介はこれからである。
  • 次年度に、ICTを活用した事務効率化のためのシステムを開発することとした。

3.今後の取組予定

  • 平成23年度4月に、「とやま学校パワーアップの推進2011」を配布し、実践事例等を紹介
  • 「出張・休暇等システム、出欠等管理システム」の普及
  • ICTを活用した事務効率化のためのシステム開発

○とやま学校パワーアップの推進2011

「とやま学校パワーアップ方針2011」

1 目的

2 基本方針

3 方策
(1)学校で取り組むべきこと
(2)教育委員会として取り組むべきこと

4 県教委による具体策
(平成22年度学校パワーアップ推進会議の成果)
「情報化推進による校務効率化に関する研究」について
平成22年度研究報告

学校パワーアップ事例

1 富山市教育委員会
「校務の効率化・情報化に向けた取り組み」

2 富山県立南砺福野高等学校
「南砺福野高等学校(一部地区校長会を含む)パワーアップに係る取り組み」

3 富山県立富山北部高等学校
「職員間の協力関係づくり」を目指した校内研修

4 富山県立高志支援学校
「教務用パソコンの導入による業務の効率化と情報モラルの向上」

学校パワーアップ推進会議委員名簿

「情報化推進による校務効率化に関する研究」プロジェクトチーム、ワーキンググループ委員名簿

お問合せ先

初等中等教育局 参事官(学校運営支援担当)付

電話番号:03-5253-4111(内線3704)
ファクシミリ番号:03-6734-3727
メールアドレス:hyo-ka@mext.go.jp

(初等中等教育局 参事官(学校運営支援担当)付)

-- 登録:平成23年08月 --