12.学齢経過者の中学校等への入学許可について

Q 様々な事情から義務教育を修了しないまま学齢を経過した方が中学校等への入学を希望しているのですが、許可して差し支えないでしょうか。

A
  学齢を経過した方が中学校等に就学することについては、学校教育法第36条には学齢に達しない子は小学校に入学させることができないとあるのに対し、学齢経過者についてはそのような規定はありません。また、本来、社会で自立的に生きる基礎を培い、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うといった義務教育の目的に照らせば、義務教育を受ける機会を全ての者に実質的に保障することが極めて重要です。

  過去に学齢超過者を中学校等に受け入れた事例においては、学齢生徒と同じ教室で学ぶ形態のほか、別室で指導を行ったり、教育支援センター等に設置した分教室で指導を行ったりしたケースもあります。

  このため、様々な事情から義務教育を修了しないまま学齢を経過した方の中学校等への就学については、こうした過去の事例も勘案し、本人の立場や希望を踏まえつつ、学校の収容能力や他の学齢生徒との関係等必要な配慮をした上で、柔軟に認めることが望ましいものと考えます。
 
 なお、義務教育を修了した方が生涯学習の一環として再度中学校等に入学することはできません。ただし、様々な事情から、学齢時にほとんど学校に通えず、実質的に十分な教育を受けられないまま学校の配慮等により中学校等を卒業した方は夜間中学への入学が認められることがあります。詳しくは次のQを参照ください。

  なお、文部科学省としては、義務教育未修了の学齢経過者等の就学機会の確保に重要な役割を果たしている夜間中学について、その設置を促進しているところであり、当面、各都道府県及び各指定都市に少なくとも1つの設置を目指して取組を進めています。

夜間中学についてはこちらを参照ください。
「夜間中学の設置推進・充実について」別ウィンドウで開きます

 

 

Q 様々な事情からほとんど学校に通えず、実質的に十分な教育を受けられないまま学校の配慮等により中学校を卒業した方で、改めて夜間中学で学び直すことを希望する方がいるのですが、入学を許可して差支えないでしょうか。

A
  様々な事情からほとんど学校に通えず、実質的に十分な教育を受けられないまま学校の配慮等により中学校等を卒業した方で、改めて夜間中学で学び直すことを希望する方(以下「入学希望既卒者」という)が、以下の要件に該当すると認められる場合は、各夜間中学の収容能力に応じて、積極的に入学を認めることが望ましいものと考えます。

<不登校や親による虐待等により中学校の課程の大部分を欠席していた又はそれに準ずる状況であった等の事情により、実質的に義務教育を十分に受けられておらず、社会で自立的に生きる基礎を培い、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うといった義務教育の目的に照らして、再度中学校に入学を認めることが適当と認められる>

  入学希望者のうち夜間中学への入学を認められる方は、基本的には、不登校や親による虐待等により中学校等の課程の大部分を欠席していた方を想定していますが、様々なケースが考えられるため、入学の許可に際しては、出席日数等の一律の外形的な基準によって決定するのではなく、個々の事情に応じて柔軟に判断することが望まれます。
 
  なお、特に学齢期に不登校を経験した方など、入学希望既卒者の中には、もう一度学校という場で学ぶことに不安を抱えている方や、夜間中学への入学を含め、今後の進路の選択に悩みを抱いている方も多いと考えられます。市町村教育委員会及び夜間中学を置く中学校等は、こうした方から夜間中学への入学希望の提出に先立って相談があった場合は、入学希望既卒者の立場や心情に配慮した対応が望まれます。その際、例えば夜間中学の見学や試験登校を認めるなど、きめ細かな対応に努めることが望まれます。

〔参考通知〕
義務教育修了者が中学校夜間学級への再入学を希望した場合の対応に関する考え方について(通知)(平成27年7月)別ウィンドウで開きます

夜間中学についてはこちらを参照ください。
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