9. 入学期日に出席しない学齢児童生徒や1年以上居所不明の学齢児童生徒の手続について

Q 入学期日に出席しない学齢児童生徒や1年以上居所不明の学齢児童生徒については、どのような手続をとればよいでしょうか。

A
   市町村教育委員会は、その区域内にある学齢児童生徒の就学機会を確保するため学齢簿を編製しなければなりません(学校教育法施行令第1条)。学齢簿は、学齢児童生徒(満6歳から満15歳までの児童生徒)及び10月1日現在で市町村に在住する、翌年度の初めまでに満6歳に達する者(就学予定者)について編製することとなります(同施行令第2条)。

  学齢簿は編製したものの学校の入学期日に出席しない学齢児童生徒については、校長はすみやかに事情を調査し、他の学校に在学している場合その他当該学校に入学し難い事情があると認める場合には、当該学齢児童生徒の住所地の教育委員会に連絡の上、入学しなかったものとして取り扱うこととなります。学齢児童生徒が居所不明である場合は、この「入学し難い事情」に該当することとなります。

  そもそも、全ての学齢児童生徒に就学の機会を保障する観点から、学校教育法施行令第20条において学齢児童生徒が引き続き7日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合で、保護者が正当な事由なく学齢児童生徒を出席させないときにおいて、校長が教育委員会に通知をすることとなっています。それを受けて市町村教育委員会は、必要な場合にその保護者に対し出席の督促をしなければなりません(同施行令第21条)
   このため、出席状況が良好でない場合、校長は欠席の事情をすみやかに調査し、居所不明である場合は、教育委員会をはじめとする関係機関・関係者とともに電話・家庭訪問等により学齢児童生徒の実態の把握等に努めることが重要です。

  学齢児童生徒の居所が1年以上不明である場合、学齢簿については、住民基本台帳上の記載がなくなるまでの間、1年以上不明である旨を異動事項欄に記入し、学齢簿の編製上は、就学義務の猶予または免除のあった者と同様に別に簿冊(簿冊に相当するもの(電子ファイル・データベース等であって1年以上居所不明者が抽出・検索できる仕組みになっているもの)を含む)を編製することとなっています。この取扱いを適正、円滑に行うため、教育委員会は、学齢児童生徒の就学状況について関係学校長と十分連絡するとともに、常に住民登録取扱機関と連絡を保ち、児童生徒の転入出の実際と学齢簿の記載との不一致がないように努めるとよいでしょう。加えて、居所不明の学齢児童生徒については、当該児童生徒への教育が適切に行われるよう、学校や教育委員会が民生委員や児童相談所と連携して情報共有すること等により対応することが肝要です。

〔参照条文〕
学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)
(学齢簿の編製)
第1条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、当該市町村の区域内に住所を有する学齢児童及び学齢生徒(それぞれ学校教育法(以下「法」という。)第18条に規定する学齢児童及び学齢生徒をいう。以下同じ。)について、学齢簿を編製しなければならない。
2 前項の規定による学齢簿の編製は、当該市町村の住民基本台帳に基づいて行なうものとする。
3~4(略)
第20条 小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き七日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならない。
(教育委員会の行う出席の督促等)
第21条 市町村の教育委員会は、前条の通知を受けたときその他当該市町村に住所を有する学齢児童又は学齢生徒の保護者が法第17条第1項又は第2項に規定する義務を怠つていると認められるときは、その保護者に対して、当該学齢児童又は学齢生徒の出席を督促しなければならない。

〔参考通知〕
学齢簿および指導要録の取扱について(通達)(昭和32年2月)(※国立国会図書館ホームページへリンク) 別ウィンドウで開きます

義務教育諸学校における居所不明の児童生徒への対応について(通知)(平成23年4月)

Q 居所不明であった学齢児童生徒が発見された場合には、どのような就学手続をとればよいでしょうか。

A
   居所不明であった学齢児童生徒が住民基本台帳に記載されていない者であっても、当該児童生徒に係る学齢簿を編製するとともに、保護者に対面により丁寧に就学の案内を行うなど就学の機会を逸することのないよう取組を徹底することが必要です。

  また、全国の市町村教育委員会において学齢簿の適正な管理が保たれ、居所不明の児童生徒についても正確に把握できるようにするため、住民票のない学齢児童生徒を受け入れた場合は、前住所地の教育委員会に学齢簿に記載した旨を通知する必要があります。

  当該学齢児童生徒の受入れに当たっては、その年齢及び心身の発達状況を考慮して相当の学年に編入させ、学齢簿の編製等の必要な手続を行うこととなりますが、居所不明になる前の学年との連続性を保たなくても、校長の教育的判断によって相当の学年に編入させることが可能です。

  なお、居所不明であった等、特別の事情を有する者が、小学校等の課程を未修了のまま中学校相当年齢に達してから中学校等への入学を希望する場合の取扱いについては、以下の通知をご覧ください。

 

〔参考通知〕
義務教育諸学校における居所不明の児童生徒の把握等のための対応について(通知)(平成25年3月)

小学校等の課程を修了していない者の中学校等入学に関する取扱い(通知)(平成28年6月)
 

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)