小・中学校等への就学について

無戸籍の学齢児童・生徒の就学の徹底及びきめ細かな支援の充実について(通知)

                                                      27初初企第12号
                                                      平成27年7月8日

  各都道府県教育委員会教育長
  各指定都市教育委員会教育長
  各都道府県知事
  附属学校を置く各国立大学法人の長  殿
  義務教育諸学校を設置する学校設置会社を所轄する
  構造改革特別区域法第12条第1項の
  認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長
串田 俊巳
(印影印刷) 

無戸籍の学齢児童・生徒の就学の徹底及び
きめ細かな支援の充実について(通知)

 日本国籍を有するものの戸籍に記載がない者(以下「無戸籍者」という。)については、戸籍謄本等により身元を証明することができないために社会生活上様々な不利益を被ることがあるほか、各種の行政サービスを受ける上で困難が生じるものと考えられるため、法務省及び文部科学省を含む関係省庁においては、無戸籍者が適正な手続により戸籍に記載されるための支援を推進するとともに、平成26年8月以降、無戸籍者に関する情報を各地域の管轄法務局において集約し、法務省に報告することとしています。
 法務省が把握している無戸籍者の中には、学齢児童生徒と思われる者も相当数含まれていることから、文部科学省においては、法務省が平成27年3月10日現在で把握した無戸籍者について、就学状況の調査(以下「実態調査」という。)を行い、その結果を取りまとめたところです。(別添1)
戸籍の有無にかかわらず、学齢の児童生徒の義務教育諸学校への就学の機会を確保することは、憲法に定める教育を受ける権利を保障する観点から極めて重要であり、各市町村(特別区を含む。以下同じ。)教育委員会及び各義務教育諸学校においては、今回の調査結果も踏まえつつ、下記に御留意の上、無戸籍の学齢児童生徒の就学の徹底ときめ細かな支援の充実に取り組んでいただくようお願いします。
 各都道府県・指定都市教育委員会教育長におかれては所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対して、各都道府県知事及び構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長におかれては所轄の学校及び学校法人等に対して、各国立大学法人の長におかれては附属学校に対して、本通知の趣旨・内容について周知・指導願います。
 なお、本通知は法務省民事局、厚生労働省雇用均等・児童家庭局及び総務省自治行政局と協議済みであることを申し添えます。

1.無戸籍の学齢児童生徒の居住が判明した場合の対応等について

 実態調査においては、平成27年3月10日現在で戸籍に記載がない学齢児童生徒142名のうち、1名が未だ就学できておらず、また現在就学している者のうち6名は過去に未就学の期間があったことが判明した。
 この点に関しては、戸籍や住民票の有無にかかわらず、学校教育法第17条に基づき、学齢児童生徒の保護者には義務教育諸学校に子を就学させる義務があるが、無戸籍であったり住民基本台帳に記載されていない場合には就学できないのではないかと保護者が誤解している場合や、ドメスティック・バイオレンス被害等の困難な家庭状況が就学の妨げとなっている場合も考えられる。また、戸籍や住民基本台帳に記載されていないことにより、教育委員会が当該児童生徒の情報を把握することができず学齢簿を編製することが困難となることも考えられる。
 以上のことから、市町村教育委員会におかれては、戸籍担当部局、住民基本台帳担当部局、社会福祉部局、児童相談所等の関係機関との間で戸籍や住民基本台帳に記載されていない学齢児童生徒に関する必要な情報共有のためのルールをあらかじめ決めておくとともに、戸籍や住民基本台帳に記載されていない学齢児童生徒が域内に居住している事実を把握したときは、直ちに当該児童生徒に係る学齢簿を編製するとともに、対面により丁寧に就学の案内を行うなど、戸籍や住民基本台帳に記載されていない学齢児童生徒が就学の機会を逸することのないよう取組を徹底すること。

2.無戸籍の学齢児童生徒に対するきめ細かな支援について

(1)戸籍への記載に向けた支援
 法務省においては、「戸籍に記載がない者に関する情報の把握及び支援について(依頼)」(平成26年7月31日付け法務省民事局民事第一課長通知)(別添2)において、市区町村(教育委員会等も含む。)が戸籍以外の所管業務の過程で無戸籍者に関する情報を把握したときは、市区町村の戸籍窓口に当該情報(通称,生年月日,連絡先等)を連絡するとともに、無戸籍者に対して管轄法務局等へ相談するよう案内すべき旨通知しているところである。
 以上のことから、各市町村教育委員会におかれては、当該通知に基づく取組を徹底するため、無戸籍の学齢児童生徒の情報を把握したときは、速やかに戸籍担当部局に連絡するとともに、当該児童生徒の保護者に、無戸籍者支援に係る法務省のホームページを紹介したり、近隣の法務局から就籍手続に関する連絡が行くよう取り計らうなど、戸籍担当部局と連携して、当該児童生徒の就籍に向けた支援を行うこと。  
    
(2)学習上・生活上課題がある児童・生徒への支援
 実態調査においては、無戸籍の学齢児童生徒が義務教育諸学校へ就学している場合であっても、当該児童生徒のうち約16%が困難な家庭状況により児童相談所の支援を受けているなど特別な生活上の課題があり、また過去に未就学期間があった児童生徒のうち半数が、未就学期間があったことによる学習上の課題を抱えていることが判明した。
 以上のことから、義務教育諸学校においては、別添1において、今回の実態調査で把握した、無戸籍の学齢児童生徒が抱える学習上・生活上の課題を取りまとめているので、その内容や「生徒指導提要」(平成22年3月、文部科学省)の第6章2「個別の課題を抱える児童生徒への指導」における記載も参考としつつ、無戸籍の学齢児童生徒が抱える教育上・生活上の課題に適切に対応すること。
特に、当該児童生徒が、未就学期間があったことによる学習上の課題を抱えている場合は、学習内容にまとまった欠落があるなど、日々の教職員の指導の中で補充的に対応するだけでは十分な支援ができない場合も考えられるため、教育委員会と学校とが連携して個別に支援計画を策定し、放課後や長期休業日の活用も含め、修業年限全体を通じた組織的・計画的な学習支援を行うことも検討すること。
児童生徒が児童養護施設へ入所している場合や、貧困、虐待、ネグレクトといった課題を抱えている場合など、児童生徒に特別な生活上の課題がある場合には、児童相談所等の関係機関や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーといった専門職員と緊密に連携しつつ、きめ細かな支援を充実させること。
また、各都道府県教育委員会においては、当該児童生徒の在籍校における学習指導上・生徒指導上の課題の状況を総合的に判断して必要と認められる場合は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置に係る補助や教職員定数の加配の活用も考慮しつつ、当該在籍校の指導体制の充実に努めること。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

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(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年07月 --