第2章第3節 3普及方法等の取組

   各学校及び教育委員会において、人権教育の取組等の情報を発信することは、人権教育の推進・充実並びに普及に大いに寄与するものである。その際、一方向に情報を発信するのではなく、双方向の情報交換が重要であり、意見等をフィードバックし、情報や内容等について評価することが肝要である。なお、情報提供の際、個人情報やプライバシーの取り扱いには細心の注意が必要である。

(1) 学校における取組
 各学校においては、教職員相互の情報の共有及び家庭・地域への情報発信・受信が人権教育の普及には大切なことである。

 
【参考例】 「学校における人権教育の普及の例」
 学校内では、児童生徒の人権に関わる諸問題を共有し、協議することは、学校教育の最も重要な柱である。また、教育委員会主催の研修会の内容や先進的な学校への視察状況の情報は教職員相互で共有する。さらに、家庭・地域との連携の視点から、学校での取組内容を各種の通信を活用した情報発信、学年・学級懇談会、人権をテーマにした公開授業の実施、児童生徒の人権に関わる作品紹介など、多様な方法を工夫し普及を図る。

(2) 教育委員会における取組
 各教育委員会においては、人権教育の指針や推進計画など、教育委員会としての理念や方向性を定めた計画などを作成したり、優れた取組を収集した実践事例集や指導マニュアルなどを作成したり、各学校や地域に作成物等を積極的に提供し、人権教育の普及に努めることが大切である。提供手段としては、紙媒体やWebページの利用が有効である。
 また、人権教育研究指定校及び人権教育総合推進地域(文科省指定事業)の取組をはじめ、教育委員会の教育センター事業等で、研究領域として人権をテーマに取り上げるなど、教育課程の開発や実践研究など取組内容を各学校に普及することも大切である。
 学校と地域との連携の視点からは、保護者を対象に啓発資料を作成・配付することも大切である。幼児教育段階では、子育ての中で、命の大切さ、豊かな心情、道徳性の芽生え等、人権尊重の精神の芽生えを大切に育んでいくことをねらいとした資料、義務教育段階の資料では、親子で共に人権について学ぶ内容などが適していると考えられる。
 なお、現在、人権教育・啓発のナショナルセンターと位置づいている財団法人人権教育啓発推進センターにおいては、各教育委員会で作成した各種人権教育資料などを集積し、全国の情報の核として、教育関係者のフィールドワークや教育委員会の人権教育資料作成の際に有効活用できるよう整備を進めている。
 以上、教育関係者のフィールドワークや教育委員会の人権資料作成の際などに有効に活用することが望まれる。


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