(平成18年3月31日)
文部科学省初等中等教育局児童生徒課
1 「経済」という言葉があります。語源は、「経世済民」から来ておりますが、その語源の言葉が意味する通りの「世の中を治め、人々の苦しみを救うこと」の趣旨は、どこに行ってしまったのでしょう。どうも、「経済」と聞くと「金儲け」のイメージがあります。
2 広辞苑の言葉を引けば、経済は、人間の共同生活の基礎をなす生産活動・分配活動・消費活動の過程です。
世に「勝ち組」・「負け組み」という言葉がありますが、勝ち組と言われる人達が一体何を生産しているのでしょうか。そして、逆に、負け組と言われる人達が何を生産しているのでしょうか。例えば、会社の社長と一般社員とを比較して、どちらがより多くの生産活動をしていて、どちらがより多くの消費活動をしているのかと考えると、「身分の偉さとやっていることの偉さは比例しないのではないか」と思ってしまいます。
3 そして、ふと、自分の日常を省みると、毎日、生活していると、朝・昼・晩と3回の食事をし、職場に行くために交通機関を使い、服を着て、電気・ガス・水道を使い、限られた資源・エネルギー等を消費しています。それ自体は、生きていて、社会的な生活をしていく上でやむをえないことですが、ふと考えると、「自分は、毎日、消費する以上に何を生産しているのだろうか」ということを考えてしまいます。
その視点から、実際、自分の毎日を振り返ると、「なんと無駄な時間、無駄なエネルギーを費やしていることが多いことか。」と反省させられます。
自分の周囲を振り返っても、生み出すものが少ない会議に、なんと多くの人の時間と労力が消費され、お互いにストレスをかけ合っていることか。生み出すものが少ない仕事に、なんと多くの人のエネルギーが費やされ、本人のみならず、その家族や私生活までが犠牲になっていることか。自分がやっていることが、世のため、人々のためにどんな役に立っているのか考えずにいる人々が多いことか。
そして、自分のことを再度振り返り、「自分が消費しているものの背景には、常に、大勢の、様々な業種の人達が生産活動に関わっているのに、自分はどの生産活動にかかわっているのだろうか。」と思ってしまいます。
4 自分なりに、日々、「世の中の子ども達のために」と思って遅くまで仕事をし、子ども達のために少しでも良い教育を提供することを通じて、社会を良くし、社会を良くする事を通じて日本を良くし、日本を良くする事を通じて世界を良くする事を目指しているつもりですが、しかし、それは、「『つもり』だけなのではないか」と思ってしまいます。
自分のやっている仕事は、自分が思っているだけの自己満足ではなくて、「本当に子ども達のためになっているのだろうか。国民のためになっているのだろうか。ただ単にいたずらにエネルギーを消費して、仕事しているつもりになっているだけではないだろうか。」ということは、仕事をする上で、常に胸の中におかなければいけないことなのでしょう。
5 「お金をより多く稼ぐ人が偉いのではない。世のため、人のために働く人が偉い。」という、本来、当たり前に存在するべき哲学が、もっと世の中を支配していれば、さらに良い社会になるのではないかと考えます。そして、さらに言えば、「『世のため、人のために働く思いを持っている人』は確かに偉いのですが、本物ではない。『世のため、人のために働く思いを持ち、そして、実際に何かを生み出している人』こそ、本当に偉い。」と思います。
そして、自分への反省として、「単なる『思い』だけでなくて、本当に、この1分、1秒を使って、世のため、人のために何かを生産しているのかということを常に肝に銘じながら、肝に銘じるだけでなく、現に何かを生み出していく仕事をしなければならない」、と改めて思う今日このごろです。
不登校、保健室登校等の児童生徒の心の問題に対応するため、平成13年度から国の委嘱事業を活用して、学校現場にスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)を派遣している。
児童生徒が抱える心の問題は複雑化、多様化している。このような問題を解決するために、学校内はもちろん、家庭や専門機関との連携が重要になってきている。
しかし、学校で関係者会を開催しても、情報交換のみで終わり、問題解決の方向性が定まらなかったり、学級担任や養護教諭が自ら問題を抱え込んでしまったりすることも少なくない。
そこで、関係者間の調整役として、スクールソーシャルワーカーを学校に派遣することにより、チームで行う支援の在り方を具体的に学び、学校と家庭の連携や、学校外の専門機関を効果的に活用する方法を研究し、各学校の対策に生かしていくこととした。
スクールソーシャルワーカー1名を県の非常勤職員として採用し、パイロット校1校に、1日8時間で週2日派遣している。スクールソーシャルワーカーは、保健室登校や不登校など、様々な問題に対して、専門的な立場から支援を行っている。
派遣先のパイロット校は、保健室登校等の実態調査を基に、ニーズが高く、効果的な活用が見込める学校の中から、保健体育課において決定している。
県内の小・中・高等学校・障害児教育諸学校からスクールソーシャルワーカーの派遣申請を受け、事例検討会や校内における現職教育、学校保健委員会等に派遣し、具体的な援助活動や研修会の講師をお願いしている。
特に、児童生徒の抱える問題に対して、緊急に対応が必要な場合は、電話やFAXによる申請も受け付ける体制を整えている。
平成16年度は35回、平成17年度は37回、それぞれ派遣した。
校外の専門相談機関等との連携が図れるように、相談内容に応じて公的専門機関を一覧表にした「かがわメンタルヘルスネット」を作成し、平成15年3月に県内の学校等へ配付した。
スクールソーシャルワーカーについて事例検討会や研修会等への派遣希望が多く、学校の希望に添えないことがある。また、スクールソーシャルワーカーとして活動できる人材が不足している。
いじめ・不登校など小学校と中学校の接続に関わる課題に対応するため、教員研修や学校の創意工夫を生かした小中連携調査研究等の施策を総合的に行う。
いじめ・不登校の早期発見・早期対応や未然防止に向けての魅力ある学校づくりを進めるため、県内8地域(昨年度からの継続3地域、本年度新規5地域)を研究指定し研究を推進すると共に、小中連携教員研修において実践発表を行い、普及・啓発に努めた。
小中連携調査研究地域の特色ある取組や県内小・中学校の効果的な取組を中心にリーフレットを作成し配布することで、小中連携に対する教職員の意識の向上や効果的な取組を実践するための啓発・普及を図った。
ア いじめ・不登校の未然防止や早期発見・早期対応のために
イ コーディネーター的な不登校担当教員の役割
ウ 学校、保護者、関係機関の連携ネットワークによる支援
「深刻ないじめは、どの学校にも、どのクラスにも、どの子どもにも起こりうる」。
これは、1996年に出された文部大臣の緊急アピールである。特別な問題がない児童生徒でも、いじめの被害者にはもちろん、加害者にすらなりうる。そんな認識を他国に先駆けて公にした意義は大きい。
だが、この基本的認識は日本の学校関係者に広く知れ渡っている一方、比喩的なメッセージとして聞き流されている可能性も否定できない。まして海外では、研究者でさえもが日本のこの認識を知らないばかりか、それを聞いてもなかなか受け入れようとはしない。
さる2月21日に、国立教育政策研究所が文部科学省と主催した国際シンポジウム『子どもを問題行動に向かわせないために ーいじめに関する追跡調査と国際比較を踏まえてー』は、いじめ問題にどう向き合うかを科学的なデータに基づいて検討するために開かれた。そこでの論点の一つは、このアピールが日本のみならず国際的にも妥当なものか否かであった。
この議論に終止符を打ったのは、小4から中3までを対象に日本国内で半年ごとに実施された6年間にわたる追跡調査と、小5と中1を対象に同じく半年ごとに実施された、日豪韓加の1年半の追跡調査の結果である。
結論から言えば、日本の場合、1週1回以上という高頻度のいじめは、どの調査時点でも同じように発生する(被害経験は小学生で1割前後、中学生で6パーセント前後、加害経験は小中とも6パーセント前後)。2週1回以上のいじめ経験に着目すると、被害も加害も各調査時点で常に経験している児童生徒はまれで、1パーセントに満たない。3頻度を問わず、その学期に1度でも経験がある場合に着目すると、被害も加害も小学校や中学校の3年間でそれぞれ7~8割の児童生徒が経験する。ちなみに、小4から中3の6年間で見ると、被害も加害も9割以上の子どもが経験する。
要するに、いじめはどの学校やクラスでも起きているうえに、「いじめっ子・いじめられっ子」と称されるような高頻度の常習的な子どもはほとんど存在せず、反対にほとんどすべての子どもが数年間に1回以上は何らかのいじめを体験することが示された。しかも、国際調査の結果も同様であり、日本の基本認識は国際的にも正しいことが立証された。
このような単純な事実が、なぜこれまで正しく認識されてこなかったのか。一番の理由は、既存のイメージにとらわれ、データに基づかない議論が繰り返されてきたからであろう。だが、海外の研究者までが間違ったのはなぜか。それは、1回限りの調査で議論してきたからに他なるまい。国立教育政策研究所主導で実施した調査が追跡調査の形をとってきたのは、そうした海外の研究の不備を補うためであった。
ところで、なぜ一般の子どもが簡単にいじめ加害に向かうのだろうか。
そもそも相手に精神的苦痛を与えるには、腕力も武器も不要である。しなくてもよい意地悪な物言いやイヤな態度で相手を不快にさせた経験は、誰にでもあろう。「虫の居所が悪い」時、そうした失敗は起きやすい。
子どもたちも、勉強や友人関係、家族関係、対教師関係などで不快なことが続くと、精神的に疲れ、時に自我も傷つく。そんな傷ついた自我を意識的にせよ無意識的にせよ回復させる手っ取り早い方法の一つが、誰かをおとしめ、失墜した自我を相対的に高めるやり方である。弱い立場の者に矛先を向けてしまう背景には、そうした心の動きや集団力学を考えなければならない。いじめられた子どもが別の子どものいじめに加わるのも、単純に被害にあわないためとばかりは限らない。
今回の調査では、児童生徒のストレスを高めたり加害行為に向かわせたりする要因(勉強や人間関係にまつわる不快感)や、それらを抑える要因(良好な人間関係)の影響力も明らかにした。学校や家庭がいじめの促進要因を減らし、抑制要因を増やすよう努力することで、子どものストレスを下げ、いじめに向かわせなくする効果が期待できることを示唆した。
ただし、せっかくの良好な友人関係や家族関係が、皮肉にも教師との溝を深める日本特有の現象も確認された。近年、学校でも家庭でも共感的に子どもを支援することへの認識が高まってきたが、家庭と学校が相互理解を怠り、相対立する価値観で子どもに寄り添うなら、互いの努力は相殺されてしまう。
学校と家庭や地域が子どもを同じ目線で支援すること(善いことは善い悪いことは悪い、等)は、いじめのように一見些細で直接制止がむずかしく、しかし被害が集中した子どもには深刻な危害となる行為を減らす上で不可欠なのである。
今回のシンポジウムは、研究上の成果にとどまらず、日本のいじめ政策に大きな誤りがないことを裏付け、いじめをもう一段階減少させるために何が必要かを示唆した点でも大きな意義があったと思われる。
(1)児童生徒の主体的な学習活動やよりよく問題を解決する能力、豊かな感性や思いやりの心などを育んでいく上で、学校図書館は欠くことのできないものであり、小・中・高等学校の学習指導要領においても、「学校図書館を計画的に利用しその機能の充実を図」ることと記述されています。
(2)また、その他にも平成14年8月に閣議決定された「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」において、学校図書館は、児童生徒の自由な読書活動や読書指導の場としての「読書センター」としての機能と、児童生徒の自発的、主体的な学習活動を支援し、教育課程の展開に寄与する「学習情報センター」としての機能を有することが指摘されています。
(3) こうした中、昨年(平成17年)7月に公布・施行された「文字・活字文化振興法」においては、司書教諭等の人的体制の整備や物的条件の整備等が求められており、昨年10月の中央教育審議会の答申(「新しい時代の義務教育改革を創造する」)においても、学校図書館の充実を図る必要性について指摘されているところです。
このように、学校図書館をめぐる機運が大変盛り上がっていることを踏まえ文部科学省では、平成16年度から実施している「学校図書館資源共有ネットワーク推進事業」に加え、平成18年度より新たに、「学校図書館支援センター推進事業」を実施することとしています。本事業は、教育センター等に置かれる学校図書館支援センターに、学校図書館間の連携や地域開放に向けた支援を行う学校図書館支援スタッフを配置することなどを通じて、学校図書館の機能の充実・強化が図られるよう、学校図書館支援センターの在り方について調査研究を行うものです。
(1) また、公立義務教育諸学校の学校図書館図書の整備については、学校図書館図書標準に足りない分を整備するため、「学校図書館図書整備5か年計画」として、平成14年度から5年間で毎年約130億円、総額約650億円の地方財政措置が講じられているところです。
(2) 文部科学省としてはこれまでも、学校図書館の蔵書の充実について、各都道府県教育委員会に対して通知を発出するとともに、各種会議等の場を通じて指導を行ってきました。今年度は特に、1同計画は図書標準に足りない分の地方財政措置であること、2来年度が同計画の最終年度であることを明確にするなど、一層の指導を行ってきたところです。なお、昨年11月に文部科学省のホームページにおいて、市町村別の図書標準の達成校割合を掲載いたしましたので、ご活用いただければと存じます。
(1) 司書教諭とは「学校図書館資料の選択・収集・提供や子どもの読書活動に対する指導等を行うなど、学校図書館の運営・活用について中心的な役割を担う」ものをいい、学校図書館法上「教諭をもつて充てる」こととされています。
(2) 文部科学省においては、平成18年度以降の教職員配置等の在り方について、「第8次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(案)」を策定し、当該計画(案)において、「読書活動推進のための司書教諭の配置」に係る定数を要求したところです。
(3) しかしながら、現下の厳しい財政事情の下、昨年12月に閣議決定された「行政改革の方針」において「特に人員の多い教職員については、児童・生徒の減少に伴う自然減を上回る純減を確保する」こととされたことなどから、平成18年度においては、総人件費改革をめぐる議論もあり、第8次定数改善計画の策定・実施は見送ったところです。
(4) 他方で、今後とも計画的に「読書活動の推進のための司書教諭の配置」など今日的な教育課題に対応していく必要性に変わりはなく、引き続き検討してまいります。
文部科学省としては、こうした取組を通じ、子どもたちが進んで学校図書館を訪れ、充実した調べ学習や読書活動を行えるよう、学校図書館の一層の充実に努めてまいりますので、教育委員会や学校におかれましても、子どもたちが生き生きとした学校生活を送ることができるよう、学校図書館の意義や重要性を十分認識し効果的に活用いただくようお願いいたします。
(全てを記載しているわけではありませんので、必ず正式文書で確認をお願いします。)
今回は特になし。
「生徒指導室での二年間を振り返って」(生徒指導第1係主任赤坂真弓)
この春児童生徒課を卒業させていただくことになりました。
児童生徒課での私の通知表はどのような評価になるのだろうかと思いながら,ただ今、異動に向けて残務整理と引継書を作成しています。
日頃の整理整頓を行わないまま2年が経ち,埋もれていた昔の書類を見ながらこんなことがあったものだという思いが押し寄せてきます。
2年間をざっと振り返って一番思うのが,「連携」の大事さを学んだ2年間だったということです。大変でしたが,本当にやりがいのある仕事でした。
不登校への対応,問題行動の対応についても学校,家庭,関係機関の連携が大切なのと同様に,人と人とが連携をしていくことの大切さも学ばせていただきました。
各都道府県教育委員会の方々との出会いも貴重な経験をさせていただいたと思います。
今年度は,亀田室長の新体制下での生徒指導の在り方について勉強会を行ったり,フリースクールに訪問を行ったりして,文部科学省とフリースクールとの垣根は、意外と高いようで低いものだと感じることができたこと,都道府県教育委員会や市町村教育委員会を訪問する機会をいただき,机上の事務作業では知り得ない各教育委員会の先生方の生徒指導に対する思いなどを伺うことができ,貴重な経験をさせていただいたと思います。
色々なことを考えたりもさせていただいたと思います。
思い起こせば、「もう少しああすればよかった、こうすればよかった。」と心残りのことの方が多いのですが、異動しても、児童生徒課で経験したことを行かしていきたいと思います。
生徒指導室の方々をはじめ,各教育委員会の方々に感謝して、明日の卒業式を迎えたいと思います。
特に,各都道府県教育委員会の方々には、このメルマガを借りてお礼を申し上げたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
これからも,児童生徒にとってより楽しく,よい学校になるような生徒指導に励んでいただければと思います。
初等中等教育局児童生徒課
-- 登録:平成21年以前 --