2.交流体験 40.高知県大豊町立大杉中学校

海洋体験を通してふるさとの自然を考える

【活動のポイント】

 本校では、2年生の修学旅行で沖縄を訪れる。沖縄で、本県以上に美しい海での強烈な体験をし、独自の文化・歴史にふれるとともに、沖縄に行く前に高知県の海岸地域の文化や生活とふれあうことにより、沖縄での体験を、山間地域である故郷再発見のきっかけとし、故郷では何ができるか考えさせる。

【活動内容(対象:2年生)】

○沖縄修学旅行へ向けた活動

 沖縄の素晴らしい自然に出会ったとき、驚きや感動だけで終わらないよう、まず高知県内での海洋体験をすることとし、故郷とのつながりを学ぶことを活動の中心に置いた。

1シーカヌーやドラゴンカヌー、外海ツーリング体験

 体験実施地域の香南市教育委員会から推薦してもらった地域のNPO法人「海の駅クラブ」の方に指導・サポートしていただいた。ドラゴンカヌー大会の記録に挑戦するなど、仲間とともに海の伝統的なスポーツの体験ができた。

2青少年自然の家での宿泊体験(1泊2日)

 シュノーケリング、ホエールウォッチング、海洋深層水施設見学などを通じ、沖縄への期待が膨らんだ。

○沖縄への修学旅行(2泊3日)

  • 旅行会社から斡旋してもらった、体験学習プランを実施する民間グループ「ゆめ舎リゾート」から、郷土色いっぱいの指導を受け、シーカヌーやシュノーケリング等を行い、沖縄の自然を満喫した。
  • 修学旅行生への平和ガイドとして活動する民間グループから、沖縄戦に関わるビデオ教材や読み物教材を活用した歴史学習や平和学習を受け、沖縄の歴史や暮らしを学ぶ中で、伝統を守ることの大切さを考えるきっかけとなった。
  • 地元の青年団員にエイサーを指導してもらった。島外で就労している人が多いにもかかわらず、若者自ら自分たちの楽しみや団結のために故郷に集まって活動し、子ども達にそのことを話しながらエイサーを教えてくれたことにより、地域の中で若者の果たす役割を考えるきっかけとなり、秋の文化祭での郷土芸能の発表にも生かせた。

○事後指導

  • 一人一人が学んだことを綴り、支援団体の方にお礼の手紙を出した。また、沖縄での体験をもとに班ごとにまとめ、保護者や生徒を対象に報告会を行った。
  • 文化祭では、沖縄の歌に取り組み、情感たっぷりの歌を披露した。また、大豊町を題材として、過疎問題や自然保護に関する脚本を生徒自らが作り、見事な劇を発表し、高い評価を得た。

【体験活動の支援体制】

  • 該当学年教員3名と教頭、NPO「海の駅クラブ」のメンバー2名と生徒代表2名の8名で学校支援委員会を組織し、計画段階で支援団体や講師との意見交換をし、今年度の活動内容を決定した。生徒代表を支援委員会に参加させることで、生徒たちがより主体的に活動に取り組むことができた。
  • 各体験ごとに、1海から考えたこと、2実験や体験を通して分かったこと、の項目を入れた感想を書かせ、支援者からも、毎回感想を書いていただき、それを踏まえ、次の活動の計画の確認、修正を行った。
  • 「ゆめ舎リゾート」とは、メールを利用して、数ヶ月前から詳細を打ち合わせた。

【体験活動の成果と課題】

○成果

  • ドラゴンカヌーでは仲間と協力する体験をし、9月の体育祭では団結の大きな力となった。支援スタッフが必要以上に手を貸さず生徒の自主的活動を見守ってくれたため、波による転覆などから復旧した経験など、人に頼らず自分の力で自然と関わることの大変さと充実感を感じたという感想が多くあった。
  • 体験が繋がって沖縄への旅となったため、故郷の海と沖縄の海の違いに高い関心を持ち、意欲的に学習をすることができた。

○課題

  • 学んだことを上級生から下級生に伝えていく仕組みをつくっていきたい。
  • 本校の取組の評判をもとに、町内小学校の合同合宿で海洋体験を始めたが、中学生が指導に加われるよう考えていきたい。

-- 登録:平成21年以前 --