命の大切さを学ばせる体験活動のプログラムの作成と実施
昨年度は、総合的な学習の時間を中心に、道徳や特別活動、教科の学習と関連付けながら、命を大切にする心を育ててきた。今年度も「命の誕生と成長」プログラムを軸に、体験活動の配列や実施時期を工夫し、家庭・地域との連携を図ることで、より一層自他の命を大切にする心を育む。
体験活動開始前(4月下旬)に、学年で一斉にガイダンスの時間を設け、年間の学習の見通しを持たせた。体験学習実施に際しても、事前学習の中で活動の見通しや課題意識を持たせた。
体験活動内容 | 活動の展開 | |
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命の誕生と成長 |
妊婦ふれあい体験
頸城中学校(多目的教室) |
妊婦さんとの交流を通して、命が宿ったときの気持ち、妊娠中の生活の様子や家族の協力の様子などを知り、親の気持ちを考えた。妊婦さんのおなかに直接触ったり、妊婦体験スーツを着たりすることで、おなかの中に宿っている命を実感として捉えることができた。 |
いのちの講演会 |
テーマ 「いのちの尊厳をつながり合って深める」 妊婦体験を受けて、授業形式による講演会を実施した。 「いのちのリレーを仲間と一緒につながり合ってつなげていこう、一緒に生きていこう」というメッセージをもらい、かけがえのない命について考えることができた。「この世界に生まれてきて嬉しい、お互い支え合って生きていくことの大切さを実感した」等の感想があった。 |
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いのちインタビュー |
命が宿ったとき、妊娠中、出産の時の様子や子育てのエピソード、自分の名前の由来などを調べた。「望まれて生まれてきた、生まれてきてよかった」等、親の話を聞くことで、大切に育てられたことに気付くことができた。 | |
赤ちゃんふれあい体験
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赤ちゃんを抱く、おんぶする、おむつを替えるなど、肌を通してぬくもりを感じることができた。 子育ての楽しさ、苦労、親の願いなどを母親から聞いたり、母親と赤ちゃんの絆に気付いたりすることで、自分も親から大切に育てられ、自分の命も人の命もかけがえのないものだと考えることができた。 |
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幼児ふれあい体験
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手作り絵本の読み聞かせをした。園児と接するときに同じ目線に立って話したり、思いやりの気持ちをもって接したりすることができた。家族や地域の人たちのお陰で、成長していると考えることができた。 |
体験を通して感じたことや考えたことを自分の言葉で率直に文章表現させた。
生徒はこの書く活動を通して、考えを整理したり深めたりしながら、体験の内面化を図ることができた。
近年、少子化傾向の状況の中で、思春期の子供たちが、乳児の成長過程を見たり、触れたりする機会が少なく、命の尊さを自然に学びとることや地域社会や家庭の中で培われていた父性や母性が育っていくことが難しくなってきている。そこで、心身共に成長発達途上にある中学生が、生後4ヶ月頃の赤ちゃんやその母親の交流する場を設定し、命のぬくもりを肌で感じることを通して、命そのものを実感としてとらえさせる。同時に、生命を尊重する心やおもいやりの心を育てていく。
時間 | 生徒の動き | 乳児・お母さん | 備考 |
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9時50分〜9時55分 |
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9時55分〜10時45分 |
赤ちゃんとのふれ合い体験
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自己紹介、赤ちゃん紹介
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10時45分〜11時20分 |
助産師さんの話を聞く | ||
11時20分〜11時30分 |
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今後も赤ちゃんふれあい体験を行うことで、自分の誕生や子育ての時の親の気持ちや願い、そして自分の命について考えるきっかけにしていきたい。この授業を行う上で欠かせない地域の保健師、助産師等との地域連携を図りながら協働して実践していきたい。
校内の「研究推進委員会」の中に、「命の大切さを学ばせる研究」部会を立ち上げた。
学校医、保健師、助産師会長、保育園長、PTA役員(会長、副会長、保健部長)
妊婦さんや赤ちゃん、幼児等とのふれあい体験を通じて、肌と肌のふれあいによるぬくもりや温かさを感じ、命の重さやすばらしさを実感することができた。
我が子に対する親の心情に思いを馳せたり、自分の誕生や成長を振り返ったりする学習を進めることで、親への感謝の気持ちを深め、自他の命の大切さを考えることができた。
命に関わる多様な学習を行うことにより、「生まれてきてよかった」「命のバトンをつなぐ役割を担っている」「限りある命を大切に精一杯生きる」「親や仲間などの支えてくれる存在への気付き、感謝の気持ちを深める」など、命を多面的に見つめ直すことができた。
自分の命を大切だと実感できるには、自分はとても大切にされている、生まれてきて良かったという自己肯定感をもつことが必要である。自分の命は価値ある存在だと思うことができて、初めて他者もかけがえのない命をもつ存在だと感じることができると考える。今後は、さらに自己肯定感を高める活動を進めるとともに、より効果的な体験活動を組み合わせて、実践を積み重ねていきたい。そして、生徒一人一人が自他の命を大切にし、命を輝かせて生きていってほしいと願っている。
-- 登録:平成21年以前 --