【活動のポイント】
自然豊かな地に暮らしながら、日常生活において、山や川などの自然と関わりをもつ機会は少なく、「自然体験が豊か」とは言い難い。
家庭では、身の回りのことを大人にやってもらうことが多く、必要な技能も十分身についているとは言えない。
- 家庭を離れ4泊5日の共同生活体験を行うことにより自主性・社会性を養うと共に、基本的な生活習慣の定着を目指し、自立を促す。
- 複数学年が、豊かな自然の中で、地域人材との連携も交えた様々な体験活動を行うことを通して、豊かな人間性を養う。
活動内容「森の学校」(対象:4、5年)
- 4泊5日の宿泊体験を2年連続で行うことは、子どもたちの自主性・社会性の伸長、基本的な生活習慣の定着の確立につながる。
4年時に体験したことにより、5年時では、子どもたちの自主性(見通しを持った主体的な動き)や社会性(積極的に下級生の面倒をみる等)をより発揮することができる。
<事前指導等>
- 活動内容・日程理解、目標設定、班編制、係活動等。
- 自炊のメニューと調理方法、分担等について。
- 青少年の家の担当者・ボランティア等との打合せ及び保護者説明会。
<活動の展開>
(教科学習)
- 国語と算数については学年別に通常の教科書を用いての授業を行った。
- 図工、体育、音楽については、全学年で「自然素材を使った工作」「野外での運動」「自然物や野外広場を利用した音楽活動」等、自然環境を生かした学習内容とした。
- 理科、社会についても、「昆虫・植物の観察」「水生昆虫」「生ゴミ」等環境や施設を利用した学習内容とした。
(自然体験)
- 体験学習として「自然探検」「オリエンテーリング」「野外遊び」行った。
- 放課後には、子どもたちが自由に野外で活動できる「自由な時間」を実施した。
- 夜に「暗闇体験」「星座観察」を行った。
(生活体験)
- 野外での自炊は、火をおこすことからはじめた。
- 「五平餅作り」(総合的な学習)では、長谷地域の3名の方にボランティア講師として参加いただいた。
(集団体験)
- 「森の学校」では集団生活を基本として展開している。
- 子どもたちは、男女に分かれつつ全員が同じ宿舎棟で宿泊し、共同生活を送る。
- 食事、持ち物の整頓、清掃、洗濯等の具体的な場面において、お互いに指摘し合ったり協力したりしながら、自らが動けるようになっていく。
<事後指導>
- 活動のまとめ(作文・報告発表)。
- 「森の学校」で行った理科・社会の教科学習のまとめ。
- 「山の学校」(「森の学校」後の別の機会に行う全校飯盒炊さん)において、立候補制の実行委員による企画・運営を任せる、また児童会の縦割りなかよしグループにおいて、リーダー性を発揮できる機会を設ける等、「森の学校」の体験が生きる活動の場を大切にして、指導している。
全体の指導計画
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6月26日(月曜日) |
6月27日(火曜日) |
6月28日(水曜日) |
6月29日(木曜日) |
6月30日(金曜日) |
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学校出発 |
6時起床・洗濯・朝の集い 7時朝食・清掃 8時20分朝の会 |
1 |
学活(入校式) |
理科(学年別) |
国語(学年別) |
算数(学年別) |
学活(環境整備) |
2 |
学活(説明・荷物整理) |
体育 |
国語(学年別) |
国語(まとめ作文) |
3 |
算数(学年別) |
総合
(五平餅作り)
(昼食を含む) |
図工(自然素材を使った工作) |
社会(4年)
理科(5年) |
学活(準備・おわかれ会) |
4 |
国語(学年別) |
昼食 |
昼食 |
昼食 |
昼食 |
昼食 |
5 |
総合(自然観察) |
音楽 |
総合(オリエンテーリング) |
総合(野外遊び) |
学活(閉校式) |
6 |
学校着 |
放課後 |
施設案内オリエンテーション |
自由な時間
日記・宿題 |
自由な時間
日記・宿題 |
日記・宿題 |
自炊 |
自炊 |
夕食 |
自炊 |
夕食・入浴 |
夕食・入浴 |
自炊 |
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入浴・日記
反省会・就寝 |
暗闇体験 |
星座観察 |
入浴
反省会・就寝 |
反省会・就寝 |
反省会・就寝 |
体験活動の支援体制
(1)学校支援委員会の体制
- 学校(校長、教頭、4、5年担任、専科、養護、その他の教諭(夜間)
- 複数の職員による体制となるので安全確保や指導の面でメリットがあるものの、2学年が長期に学校を空けるため、学校行事等が前後に集中したり、小規模校故に、留守中の清掃分担、児童会の当番活動及び職員の校務分担に支障をきたすことがあるのも事実である。
- 信州高遠青少年自然の家(企画指導専門職、研修指導員、ボランティア、その他)
- 家庭や地域(PTA、地域ボランティア(五平餅づくり))
(2)配慮事項等
- 青少年自然の家の企画指導専門職や研修指導員と計画段階から詳細な打合せをする。・学習指導は学校が中心になり、青少年自然の家職員・研修指導員・ボランティア等が支援する。それ以外の活動については、学校職員と青少年自然の家職員・研修指導員・ボランティア等が協力して行う。
- 児童の自立を促すため、期間中は保護者の訪問(支援は別)や電話等の問い合わせは自粛していただく。
期間中の評価・指導の工夫等
- 「森の学校」終了時点の児童のアンケート実施。「普段できない活動をたくさん体験できた」「みんなと仲良くしたり協力したりできた」「自然の中でたくさん遊べた」といった満足を示すものが多い。
- 3ヶ月後にも児童のアンケート、保護者のアンケートを実施。「森の学校が終わってから、今も頑張っていることがありますか(児童向け)」に対して、家事の手伝い、宿題をあげるものが多く、継続して取り組んでいる児童も多い。また「森の学校後、何か変わったなと思うことはありますか(保護者向け)」対して、手伝いのほか、責任感、積極性等をあげる保護者がいる。
- 学校では、学級での活動、児童会活動(縦割り活動等)、「山の学校」(全校飯盒炊さん)等において「森の学校」での体験を生かせるよう、企画立案等において自主性が発揮できるように心掛けている。
体験活動の成果と課題
- 家庭を離れ、4泊5日の共同生活体験を行うことを通して、家事の大変さや家族のありがたさを実感したり、炊事洗濯や掃除なども手際もよく進めるようになったりするなど、自立心を養う貴重な体験となった。また、生活の中で自分の役割を確実にこなしたり、困っている友達に助言したり手を貸したりするなど、仲間と共に助け合いながら積極的に行動しようとする姿が見られた。
- 豊かな自然や恵まれた施設を利用しての様々な体験を行うことにより、自然を利用した活動の楽しさを味わうとともに、改めて自分たちの住む長谷の自然のよさを見直し、生かそうとする関心や意欲が生まれた。
- 体験を重視した教育活動に力点を置き、子どもの興味関心を生かした主体的な活動を引き出すことができたが、子どもが学ぶことができた内容について分析し、ねらいと身に付けるべき力を更に明確にしていきたい。
- 「森の学校」では施設の研修指導員やボランティアと連携が欠かせないが、五平餅作りに講師として参加してくれた地域の方のように、協力や支援をしてくれる地域ボランティア等の支援組織を更に広げていきたい。