別紙2
本調査研究は、児童生徒の規範意識の醸成に焦点を当て、そのための学校全体としての意識の共有化、そして生徒指導体制の在り方について調査研究したものである。
生徒指導をめぐる状況は時代とともに変化しているが、現在、社会環境等の変化とともに、生徒指導上の問題は、極めて多岐にわたるものとなっている。
規範意識の醸成のためには、学校内のすべての教職員が共通認識のもと、組織的に一貫性をもって対応するよう、校内の生徒指導体制を整備することが重要である。
生徒指導においても、その基盤となるのは社会のルール(法)やマナーであり、その理解に基づく指導が求められる。
生徒指導に当たっては、児童生徒の発達段階や個々の子どもたちの成長に合わせた指導が大切である。
児童生徒の個別の事情や、特別な背景等に対する考慮も必要であり、その場合には、児童生徒又はその家庭に対する特別な配慮が必要である。
「自分の大切さとともに他の人の大切さを認める」という人権感覚を育成することを通じて、生徒指導上の諸問題の未然防止に努めることが重要である。
生徒指導体制の充実・強化にあたっては、児童生徒の健全育成と問題行動の予防や解決に向け、学校全体で一致協力して取り組むことが基本である。
しっかりとした生徒指導体制を構築するには、教職員がお互いの役割や業務分担(専門性など)を十分に理解し、助け合い、創意工夫する協働性が大切である。
家庭や地域の協力を得るには、学校が積極的に自校や校区における生徒指導の実態や指導体制に関する不断の情報提供を行うことが重要である。
「毅然とした対応」、「共通理解に基づく対応」を進めるためには、生徒指導の対応に関する基準を明確にし、また、積極的に外部に公開することが必要である。
成長過程の子どもには、間違っていることは間違っていると指摘し、毅然として粘り強く指導することが大切であり、それが、規範意識の内面化につながる。
児童生徒の規範意識の醸成については、学校教育だけで展開されるだけでなく、地域社会の青少年の健全育成の観点から問い直すことが必要である。
指導を通じても事態が改善されない場合には、あらかじめ定められた罰則に基づき、懲戒を与えることを通じて、学校の秩序の維持を図るとともに、子ども自身の自己指導力を育成することは、教育上有意義なことである。
出席停止制度は、日頃の生徒指導の延長として、日頃の指導では統制しきれなくなった場合に行われる生徒指導上の有効な手段の一つであることを、各学校及び教育委員会は改めて認識する必要がある。
教育委員会がその役割を十分に発揮するためには、各学校の生徒指導に関する様々な情報を多面的に情報収集・分析し、的確にその課題を把握することが基本であり、学校訪問の明確な位置づけと計画・実施が大切である。
関係機関等との連携に当たって、学校と関係機関をつなぐコーディネーターとして教育委員会の果たす役割は重要であり、日頃からそうしたネットワークづくりの形成に取り組むことが求められる。
社会の急激な変化に伴う様々な状況に適切に対応できるよう、生徒指導に関する研修についても不断の見直しを図ることが課題である。
「出席停止の措置」を効果的に運用していくためには、「措置までの手順」「措置する場合の支援」「措置後の対応」などに関する教育委員会規則等での提示、保護者・住民等への周知について、具体的な手だてを講じる必要がある。
高等学校においては、退学・停学等の懲戒処分は、各学校の校長が行うことになっているが、教育委員会とも密接な連携をとり適確な執行ができるよう支援することが必要である。
学級担任の思い込みや抱え込みに陥ることなく、学級運営と生徒指導が相互に補完し合って学校全体としての生徒指導の充実・強化を図ることが必要である。
規範意識の育成のためには、社会的ルールやマナーの意味や大切さを子ども自身が実感していく学校の生徒指導体制を進めていくことが大切である。
学校内において課題解決に向けた協働的な取り組みを行うためには、生徒指導主事が協働体制の中核となり、コーディネーターとしての役割を果たすことが重要である。
個々の教師が個人で判断し対応するのではなく、学校間の連携などにも留意して多面的な視点から情報を収集し、協働的に指導・援助することが大切である。
学校生活は、規律や社会的ルールを学ぶ場であるという認識に立ち、学習環境の整備や学校内規律の維持に、家庭教育とも連携をとって取り組むことが大切である。
客観的資料やデータを基に教職員の共通理解を図り、その上で、各学校の教育目標と生徒指導の関連性を明らかにし、全体構想を立て実践することが大切である。
法的効果を伴う懲戒処分が学校長に認められていることは、高等学校の生徒指導の大きな特質であるが、これまでの生徒指導措置状況について、その方法・内容面や効果面等から評価・点検し、懲戒処分の適切で効果的な運用を検討すべきである。
学校が保護者や地域住民の信頼に応えて説明責任を果たしていくためには、学校評価(自己評価・外部評価)を実施し結果を公表することが必要であり、それが相互の連携協力を深めていくことにつながる。
生徒指導体制の確立に当たっては、校長のリーダーシップ、教職員の意欲、保護者との信頼関係、関係機関等との連携協力など、学校運営における組織マネジメンの視点からの見直しも求められている。
-- 登録:平成21年以前 --