第8節 技術・家庭

第1 目標

 生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して、家庭生活や社会生活と技術とのかかわりについて理解を深め、進んで工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。

第2 各領域の目標及び内容

A 木材加工

1 目標

 簡単な木製品の設計と製作を通して、木材の特徴と加工法との関係について理解させ、使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を養う。

2 内容

(1)木製品の設計について、次の事項を指導する。
 ア 使用目的や使用条件に即して、製作品の機能と構造について知ること。
 イ 製作品の構想表示の方法を知り、製作に必要な構想図と製作図をかくことができること。
 ウ 製作工程と作業計画を知ること。

(2)木製品の製作に必要な材料について、次の事項を指導する。
 ア 木材の特徴とその適切な使用法を知ること。
 イ 接着剤や緊結材の特徴とそれらの適切な使用法を知ること。
 ウ 塗料の特徴とその適切な使用法を知ること。

(3)木工具と木工機械の使用法及びそれらによる加工法について、次の事項を指導する。
 ア 木工具や木工機械の仕組みと適切な使用法を知ること。
 イ 木工具を適切に使い、けがき、切断及び切削などができること。
 ウ 木工機械を適切に使い、切断及び切削などができること。
 エ 構想図や製作図に基づいて組立てが的確にできること。
 オ 木製品の用途に応じた塗装が的確にできること。

(4)日常生活や産業の中で果たしている木材の役割について考えさせる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(1)のイの構想図及び製作図については、等角図、キャビネット図及び第三角法によってかくことを標準とする。

(2)内容の(3)のア、イの木工具についていは、のこぎりとかんなを重点的に取り上げるものとする。

B 電気

1 目標

 電気機器の取扱いや簡単な電気回路の設計と製作を通して、電気回路の構成及び電子の働きと利用について理解させ、電気機器を安全かつ適切に活用する能力を養う。

2 内容

(1)電気機器の保守の方法について、次の事項を指導する。
 ア 電気機器の点検ができること。
 イ コードと電気機器及び配線器具との接続ができること。
 ウ 屋内配線について知り、漏電、感電、過熱及び短絡による事故の防止がでること。

(2)簡単な電気回路の設計と製作について、次の事項を指導する。
 ア スイッチ、抵抗器、トランジスタなどの電気回路要素の図記号と回路図を知ること。
 イ スイッチ、抵抗器、トランジスタなどの電気回路要素の働きと使用法を知ること。
 ウ 簡単な電気回路の設計ができること。
 エ 部品の配置、取付け及び配線ができること。

(3)電気機器の仕組み及び電気材料について、次の事項を指導する。
 ア 電気機器の回路図の読図ができること。
 イ 電気機器の仕組みを知ること。
 ウ 導電材料と絶縁材料の特徴を知ること。

(4)日常生活や産業の中で果たしている電気の役割について考えさせる。

C 金属加工

1 目標

 簡単な金属製品の設計と製作を通して、金属材料の特徴と加工法との関係について理解させ、使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を養う。

2 内容

(1)金属製品の設計について、次の事項を指導する。
 ア 使用目的や使用条件に即して、製作品の機能と構造について知ること。
 イ 製作品の構想を具体化し、製作に必要な構想図や製作図をかくことができること。
 ウ 製作工程を知り、作業計画を立てることができること。

(2)金属材料、接合材料及び工具材料の特徴とそれらの使用法について理解させる。

(3)金属用手工具と工作機械の使用法及びそれらによる加工法について、次の事項を指導する。
 ア 金属用手工具や工作機械の仕組みと使用法を知ること。
 イ 金属用手工具を適切に使い、材料の切断、やすりがけ及び折り曲げができること。
 ウ 工作機械を適切に操作して、穴あけや旋削ができること。
 エ 構想図や製作図に基づいて組立てが的確にできること。

(4)日常生活や産業の中で果たしている金属の役割について考えさせる。

D 機械

1 目標

 簡単な動く模型の設計と製作や機械の整備を通して、機械の仕組みやエネルギーの変換と利用について理解させ、機械を適切に活用する能力を養う。

2 内容

(1)機械の機構、機械要素及び機械材料について、次の事項を指導する。
 ア 運動伝達の仕組みを知ること。
 イ 機械要素の特徴と働きを知ること。
 ウ エネルギーを動力として利用する機械の仕組みを知ること。
 エ 機械材料とその特徴を知ること。

(2)簡単な動く模型の設計と製作ができるようにする。

(3)機械の整備の方法について、次の事項を指導する。
 ア 整備の目的に応じた分解と組立てができること。
 イ 各部の異状の有無の点検と調整ができること。

(4)日常生活や産業の中で果たしている機械の役割について考えさせる。

E 栽培

1 目標

 作物の栽培を通して、作物の生育条件と栽培技術との関係について理解させ、作物を計画的に育成する能力を養う。

2 内容

(1)作物の栽培計画について、次の事項を指導する。
 ア 作物の種類とその生育過程を知ること。
 イ 栽培の目的に即した栽培計画を立てることができること。

(2)作物の栽培に適する環境条件について、次の事項を指導する。
 ア 作物の生育と光、温度、水などとの関係を知ること。
 イ 作物の生育と土及び肥料との関係を知ること。

(3)作物の栽培法について、次の事項を指導する。
 ア 作物の生育過程に即した管理作業が適切にできること。
 イ 作物の病気や害虫について知り、適切な防除ができること。
 ウ 環境調節などを利用した栽培ができること。

(4)栽培と生活との関係について考えさせる。

F 情報基礎

1 目標

 コンピュータの操作等を通して、その役割と機能について理解させ、情報を適切に活用する基礎的な能力を養う。

2 内容

(1)コンピュータの仕組みについて、次の事項を指導する。
 ア コンピュータシステムの基本的な構成と各部の機能を知ること。
 イ ソフトウェアの機能を知ること。

(2)コンピュータの基本操作と簡単なプログラムの作成について、次の事項を指導する。
 ア コンピュータの基本操作ができること。
 イ プログラムの機能を知り、簡単なプログラムの作成ができること。

(3)コンピュータの利用について、次の事項を指導する。
 ア ソフトウェアを用いて、情報を活用することができること。
 イ コンピュータの利用分野を知ること。

(4)日常生活や産業の中で情報やコンピュータが果たしている役割と影響について考えさせる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(1)のアについては、入力、演算、制御、記憶及び出力を取り上げるものとする。

(2)内容の(3)のアについては、日本語ワードプロセッサ、データベース、表計算、図形処理などのソフトウェアを取り上げ、情報の選択、整理、処理、表現などを行わせるものとする。

G 家庭生活

1 目標

 家庭生活に関する実践的・体験的な学習を通して、自己の生活と家族の生活との関係について理解させ、家庭生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる。

2 内容

(1)家族の生活について、次の事項を指導する。
 ア 家庭の機能と家庭生活の意義を知ること。
 イ 家族の生活と家族関係について考えること。

(2)家庭の経済について、次の事項を指導する。
 ア 家庭の収入と支出を知ること。
 イ 物資・サービスの選択、契約、購入及び活用について考え、消費者としての自覚をもつこと。

(3)家庭の仕事について、次の事項を指導する。
 ア 家庭の仕事の種類や内容について知り、計画を立てることができること。
 イ 簡単な食事を整えることができること。
 ウ 被服計画を考え、適切な着用及び手入れができること。
 エ 室内の整備と美化の工夫ができること。

(4)家庭生活と地域との関係について考えさせる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(2)のイについては、内容の(3)のイ、ウ及びエと関連させて指導するよう配慮するものとする。

(2)内容の(3)の指導については、日常の家庭生活との関連を図るものとする。

H 食物

1 目標

 日常食の調理を通して、栄養及び食品の性質と選択について理解させ、青少年にふさわしい食事を計画的に整える能力を養う。

2 内容

(1)青少年の栄養及び日常食の献立について、次の指導をする。
 ア 青少年の栄養の特徴を知ること。
 イ 一日に必要な食品の種類と概量を知り、献立を考えることができること。

(2)食品の性質とその選択について、次の事項を指導する。
 ア 食品の栄養的特質を知ること。
 イ 米、魚、肉、牛乳、野菜、小麦粉の調理上の性質を知ること。
 ウ 食品の品質を見分け、用途に応じて適切に食品を選ぶことができること。

(3)日常食の調理について、次の事項を指導する。
 ア 米を用いて、変わり飯の調理ができること。
 イ 魚や肉を用いて、焼き物、煮物又は汁物を作ることができること。
 ウ 野菜を用いて、いため物、ゆで物又はあえ物を作ることができること。
 エ めん類を用いた調理ができること。
 オ 小麦粉を用いた菓子を作ることができること。
 カ 食塩、みそ、しょうゆ、さとう、食酢、油脂について適切な取扱いができること。
 キ 食品や調理用具の安全で衛生的な取扱いができること。
 ク 調理用熱源の適切な取扱いができること。

(4)適切な食事のとり方及び食事作法について考えさせる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(1)、(2)及び(4)ついては、内容の(3)で取り上げる題材との関連を図って指導するものとする。

(2)内容の(3)の題材については、アからオまでの事項を適切に組み合わせて選定するものとする。

(3)内容の(3)のカについては、(3)のアからオまでの事項との関連を図って指導するものとする。

I 被服

1 目標

 日常着及び簡単な手芸品の製作を通して、生活と被服との関係について理解させ、衣生活を快適にする能力を養う。

2 内容

(1)簡単な被服の製作について、次の事項を指導する。
 ア 被服の構成を知り、製作計画を立てることができること。
 イ 製作に適した被服材料の選択ができること。
 ウ 採寸及び型紙の活用ができること。
 エ 裁断、本縫い及び仕上げができること。
 オ 布地や目的に応じた適切な縫い方及び縫い代の始末ができること。
 カ 裁縫用具の適切な取扱いができること。
 キ ミシンとアイロンの安全で適切な取扱いができること。

(2)手芸について、次の事項を指導する。
 ア 日常生活と手芸品との関係について考えること。
 イ 簡単な手芸品の製作ができること。

(3)生活と被服との関係について考えさせる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(1)の題材は、立体構成の基礎について理解させることのできるものを適切に選定するものとする。

(2)内容の(2)の題材は、ししゅう、編み物または染色のうちから適切なものを選定するものとする。

J 住居

1 目標

 住空間の計画及び室内環境と設備に関する学習を通して、快適な住まい方について理解させ、住空間を適切に活用する能力を養う。

2 内容

(1)家族の生活と住居との関連及び快適な住まい方について理解させる。

(2)住空間の計画について、次の事項を指導する。
 ア 食事、団らんなどのための空間の機能を知ること。
 イ 食事、団らんなどに必要な家具の使いやすい形状と寸法を知り、その配置及び空間の使い方の工夫ができること。

(3)室内環境と設備について、次の事項を指導する。
 ア 安全で衛生的な室内の整備の工夫ができること。
 イ 室内の空気調節及び騒音防止の仕方を知り、住まい方の工夫ができること。

(4)家庭生活における資源の適切な使い方と廃棄物の処理について考えさせる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(3)については、内容の(2)との関連を図って指導するものとする。

K 保育

1 目標

 幼児の遊び、食物及び被服に関する学習を通して、その心身の発達に応じた生活について理解させ、幼児に対する関心を高める。

2 内容

(1)幼児の心身の発達について、次の事項を指導する。
 ア 身体の発育及び運動機能の発達の状態を知ること。
 イ 言語、情緒及び社会性の発達の傾向を知ること。

(2)幼児の生活について、次の事項を指導する。
 ア 心身の発達に応じた遊びについて考え、幼児に適した遊び道具の製作ができること。
 イ 幼児の食生活について考え、簡単な間食を作ることができること。
 ウ 幼児の衣生活について考え、簡単な被服の製作ができること。
 エ 発達段階に応じた適切な生活習慣を身に付けさせることの必要性を知ること。

(3)幼児の発達と環境との関係について考えさせる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(1)については、内容の(2)の各事項との関連を図り、具体的な事例を通して指導するものとする。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)学校においては、地域や学校の実態及び生徒の特性等に応じて、第2の内容のAからKまでの11の領域のうちから7以上の領域を履修させるものとする。その際、「A  木材加工」「B 電気」「G 家庭生活」及び「H 食物」の4領域については、すべての生徒に履修させるものとすること。
(2)「A 木材加工」「G 家庭生活」の2領域については、第1学年で履修させることを標準とすること。
(3)第2の内容のAからKまでの各領域に配当する授業時数については、「A  木材加工」「B 電気」「G 家庭生活」及び「H 食物」の各領域はそれぞれ35単位時間を標準とし、それ以外の各領域はそれぞれ20単位時間から30単位時間までを標準とすること。
(4)学習活動は、実習を中心として、各領域及び各領域に示す事項が相互に有機的な関連をもち、総合的に展開されるように計画すること。
(5)第3学年において下限の時数を超えて授業時数を定める場合には、各領域の内容について補充や深化を図るため学校や生徒の実態に応じ適切な指導を行ったり、未修の領域を履修させたりすること。

2 実習の指導については、次の事項に配慮するものとする。
(1)用具の手入れと保管、材料の購入と配分などの管理に関する能力を十分養うようにすること。
(2)衛生や事故防止に十分留意し、服装と学習環境の整備、安全規則の励行などの安全の徹底を図ること。

3 各領域の指導については、知識や技術の単なる習得に終わることなく、習得した知識や技術を積極的に活用する能力を伸長させるとともに、仕事の楽しさや完成の喜びを体得させるよう配慮するものとする。

4 第2学年及び第3学年における選択教科としての「技術・家庭」においては、生徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できるよう各領域の内容について学校において適切に工夫した学習活動や地域の実態に即した学習活動を取り扱ったり、未修の領域を履修させたりするものとする。

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-- 登録:平成21年以前 --