5.児童生徒の発達の支援

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(2) キャリア教育の充実

 学習指導要領においては、キャリア教育の充実について以下のとおり示しています。 [脚注1]

 児童(生徒)が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科(・科目)等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。(その中で、生徒が自ら(自己)の(在り方)生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。)

 キャリア教育については、これまで狭義の「進路指導」と混同されてしまったり、将来の夢を描くことばかりに力点が置かれ、「働くこと」の現実や必要な資質・能力の育成につなげていく指導が軽視されてしまったりしているのではないかとの指摘があります。キャリア教育の充実に当たっては、小学校から高等学校までを通じ、各教科等での指導を含む学校教育全体でその実践を行いつつ、総合的な学習(探究)の時間において教科等を横断して自ら学習テーマを設定し探究する活動や、特別活動において自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価する学習活動などを充実していくことが求められます[脚注2]

 学習指導要領では特別活動を要としながら、各教科等における学習や、個別指導としての教育相談等の機会を生かしつつ、学校の教育活動全体を通じて必要な資質・能力の育成を図っていくことを示しています。将来の生活や社会と関連付けながら、見通しをもったり、振り返ったりする機会を設けるなど、個別最適な学びを充実し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進めることも重要です。

 例えばICTも生かしながらキャリア・パスポート等も活用し、児童生徒が自覚するまでに至っていない成長や変容に気付いて指摘したり、一人一人が自らの成長を肯定的に認識できるように働きかけたりするなど、教師が対話的な関わりを持ち相互作用の中でキャリアを創り上げていくことが期待されます。

脚注

  • [1]小学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第4の1の(3),中学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第4の1の(3),高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章第5款の1の(3)
  • [2]令和3年答申p.41,教育課程部会における審議のまとめp.12

関係資料等