1.本資料作成の趣旨

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 2030年の社会と子供たちの未来を見据え、平成29(2017)~31(2019)年に改訂された学習指導要領(以下「学習指導要領」という)が小学校では令和2年度から、中学校では令和3年度から全面実施され、高等学校では令和4年度から年次進行で実施されます。

 学習指導要領の公示以降、学校教育の情報化が急速に進展しています。令和元年6月には学校教育の情報化の推進に関する法律が公布・施行されました。その後、GIGAスクール構想により、1人1台端末及び高速大容量の通信ネットワーク環境の早期実現に向け、学校におけるICT環境整備の取組が進められています。

 一方、令和元年度に始まった新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、学校においても長期にわたる臨時休業を余儀なくされるなど、甚大な影響を及ぼしています。社会全体のデジタル化が推進される中、学校においてもICT環境を最大限に活用して学びの保障を進めること、また学校教育の本質的な意義を踏まえ、この事態に対応するためのカリキュラム・マネジメントを展開することが全国の学校に求められました。

 このような状況を踏まえ、中央教育審議会では「教育課程部会における審議のまとめ」(令和3年1月25日中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会。以下「教育課程部会における審議のまとめ」という。)、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」(令和3年1月26日中央教育審議会。以下「令和3年答申」という。)が取りまとめられました。令和3年答申に盛り込まれた教育課程に関係する事項についてより詳しい内容が取りまとめられた教育課程部会における審議のまとめでは、今後の教育課程の在り方について、学習指導要領において示された資質・能力の育成を着実に進めることが重要であり、そのためには新たに学校における基盤的なツールとなるICTも最大限活用しながら、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、子供たちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実が図られることが求められるとされています。また、その際にはカリキュラム・マネジメントの取組を一層進めることが重要とされています。

 学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」を目指し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善や「カリキュラム・マネジメント」の確立を図っていくことなどを示しています。本資料では「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」(平成28年12月21日中央教育審議会。以下「平成28年答申」という。)や学習指導要領と令和3年答申や教育課程部会における審議のまとめとの関係を整理し、学習指導要領に基づいた児童生徒の資質・能力の育成に向けて、ICT環境を最大限活用し、これまで以上に「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげるとともに、カリキュラム・マネジメントの取組を一層進めるに当たり、留意することが重要と考えられる内容を学習指導要領の総則の構成に沿ってまとめました。

 幼稚園等においても、これらの基本的な考え方は同じであり、社会の変化を前向きに受け止め、生涯にわたって能動的に学び続けるようになるための基盤を育成しています。したがって、小学校以降の教育では、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえ、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図ることが求められます。

 本資料の内容は作成時点での情報を前提にしたものであり、今後政府の関係施策や各学校における教育の情報化の進展等の状況を踏まえ、適宜更新していく予定です。また、関連の具体的な事例についても、文部科学省として情報収集・発信を進めていきたいと考えています。

 各設置者や学校におかれましては、本資料を参考に「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図り、学習指導要領の着実な実施につなげていただけますと幸甚です。

【関係資料等】