第1章 5.国語資料編(アンケート結果)

第1部 調査実施概要

1.アンケート調査の目的

 教科書記述の内容、教育現場での問題点、改善すべき点などを把握するため現職教員並びに保護者を対象としたアンケート調査を実施する。アンケートは、小学校国語の研究対象3社の教科書を対象として行う。

2.アンケートの対象

(1) 対象(注1)

「A社」「B社」「C社」のいずれかの社の教科書を使用している現職の教員。「A社」「B社」「C社」のいずれかの社の教科書を使用している児童を持つ保護者。

  • (注1)「対象」の教科書のうち、使用していない(または使用数が少ない)教科書がある都道府県においては、使用している教科書についてのみアンケートに協力

(2) 1都道府県あたりのアンケート依頼人数

教員21名
7名(小1~6年担当の教員各1名足す1名(任意学年)イコール7名)かける3社
保護者9名
3名(PTA3名(学校長の任意選定))かける3社

3.回収結果

教員
発送数:714件、有効回答数:456件、有効回答率:63.9パーセント
保護者
発送数:306件、有効回答数:206件、有効回答率:67.3パーセント

4.調査結果を見る際の留意事項

調査結果を見るに際しては、以下の点に留意。

(1) 調査対象の特徴(流れ)

 各都道府県教育委員会から、調査対象の教科書を採択している地域のうち最も人口数の多い市区町村の教育委員会へアンケートを送付。
 市区町村教育委員会では、採択地区で最も児童数の多い小学校の校長へアンケートを送付。
 アンケートの送付のあった小学校は校長から教員、保護者に配付。
 ただし、本基準に合わない場合は、各都道府県教育委員会の裁量に任せた。
 また、返信方法は、教員、保護者ともに記入者個人が返信用封筒にて委嘱先であるみずほ総合研究所宛に直接送付し回収した。

(2) サンプルの特徴

 本調査は、以上のような調査対象選定の過程を経ており、無作為抽出とはならないことから、集計結果を全国平均の姿と言い切ることはできない。
 しかし、以上のような調査対象選定プロセスを経ることで、教育への関心の高い保護者層、全国規模での現場の教員の意見を収集することができ、本調査目的である現場教員、保護者などの意見を参考とした教科書の改善・充実に向けた検討に資する結果を得ることができた。

第2部 回答結果(国語教員)

Q1.現在、勤務している学校の都道府県名と市区町村名をご記入ください。

 回答者の勤務地は省略。無回答1件を除く455件の回答を得ることができた。

Q2.小学校での勤務年数をお選びください(ひとつだけまる)。

図表1-1 勤務年数

 回答者の勤務年数は「21年以上(51.8パーセント)」が最も多く、次いで「1年~5年(15.6パーセント)」、「16年~20年(14.9パーセント)」の順になっている。

Q3.中学校の教員免許をお持ちですか(あてはまるもの全てにまる)。

図表1-2 中学校の教員免許の保持

 中学校の教員免許の保持は(複数回答)、「国語(21.3パーセント)」が最も多く、次いで「社会(15.8パーセント)」、「保健・体育(6.6パーセント)」の順になっている。また、回答者のうち、34.2パーセントの教員が中学校の教員免許を保持していない結果になっている。

Q4.あなたが現在国語を担当している学年をお選びください(あてはまるもの全てにまる)。

図表1-3 国語の指導の担当学年

 現在国語の指導を担当している学年(複数回答)は、「3学年(18.6パーセント)」が最も多く、次いで「1学年(18.2パーセント)」、「4学年(16.9パーセント)」の順になっている。

Q5.現在、使用している国語の教科書の会社名をご記入ください。

図表1-4 教科書出版社名

 国語の指導に使用している教科書は、「A社(46.7パーセント)」が最も多く、次いで「B社(35.7パーセント)」、「C社(16.4パーセント)」の順になっている。

Q6.国語の指導は好きですか(ひとつだけまる)。

図表1-5 国語の指導の選好度

 国語の指導が好きかどうかについては、「まあ好き(41.7パーセント)」と答えた教員が最も多く、「好き(39.0パーセント)」の教員と合わせると約8割(80.7パーセント)の教員から指導が好きだとの回答があった。

Q7.国語は指導しやすい教科だと感じますか(ひとつだけまる)。

図表1-6 国語の指導のしやすさ

 国語が教科として指導しやすいかについては、「まあ指導しやすい(31.1パーセント)」が最も多く、「指導しやすい(14.9パーセント)」と合わせると、46.0パーセントの教員から指導しやすいとの回答があった。

Q8.日頃の授業で、国語の教科書をどのように使っていますか(ひとつだけまる)。

図表1-7 授業での教科書の使用方法

 授業での国語の教科書の使用方法は、「常に教科書を中心に授業を進める(48.2パーセント)」に対し、「単元によっては副教材を組み合わせている(47.4パーセント)」と「常に教科書と副教材を組み合わせている(3.3パーセント)」を合わせると50.7パーセントとなっており、常に教科書を中心に授業を進める教員と教科書と副教材を組み合わせて授業を進める教員は、ほぼ同じ割合となっている。

Q8-1.Q8で2,3(副教材を組み合わせて授業を進める)を選択されたかたは、その理由を教えてください。

 副教材を利用する理由(Q8-1.自由回答形式)では、「児童の理解が深まるため」、「教科書の内容だけでは不十分なため」、「指導がしやすい、授業を進めやすい」といった回答が多く寄せられた。

Q9.国語の授業形態

図表1-8 国語の授業形態

 国語の授業形態(複数回答)は、「クラス単位の一斉指導(93.9パーセント)」がほとんどを占めている。また、その他の回答の内容では、「グループ学習」や「単元によりコース別少人数学習」等の回答が寄せられた。

Q10.現在担当している学年の国語の教科書全般について、工夫や配慮をどの程度感じますか。(1)~(5)の該当欄にそれぞれ1つずつまるをお付けください。

図表1-9 教科書の内容の工夫や配慮の度合いについて

 現在の教科書がどの程度工夫されているか、5つの項目について調査を行った。
 なお、「十分に工夫されている」を5点、「やや工夫されている」を4点、「どちらといえない」を3点、「やや工夫が足りない」を2点、「工夫が足りない」を1点として、3点を平均点とした加重平均を行ったものを「評点」とした。
 評点別に見ると「学習活動の方法、手順(3.76)」が最も高く、「単元の学習内容が定着したかの確認(2.86)」が最も低い結果になった。「児童の理解度に応じた指導が行えること(2.87)」、「単元の学習内容が定着したかの確認(2.86)」については平均の3ポイントを下回っている。

Q11.イラスト・写真等の使用は本文と適切に関連付けられていると思いますか(ひとつだけまる)。

図表1-10 イラスト・写真等の本文との関連付けについて

 イラスト・写真等の使用が本文の内容と適切に関連付けられているかについては、「まあ関連付けられている(52.2パーセント)」が最も多い結果となっている。「適切に関連付けられている(43.6パーセント)」を合わせると、ほとんどの教員(95.8パーセント)が本文の内容と関連付けられていると回答している。

Q12.使用されているイラスト・写真等の分量は適切であると思いますか(ひとつだけまる)。

図表1-11 イラスト・写真等の分量について

 イラスト・写真等の分量については、「適切な分量になっている(84.0パーセント)」が最も多い結果となっている。

Q13.重要な学習上のポイントや学習内容を明確にするための色分け・強調が、効果的に用いられていると思いますか(ひとつだけまる)。

図表1-12 色分け・強調の効果について

 重要な学習上のポイントや学習内容を明確にするための色分け・強調が効果的に用いられているかについては、「まあ効果的に用いられている(64.3パーセント)」が最も多い結果となっている。「効果的に用いられている(15.1パーセント)」と合わせると、約8割(79.4パーセント)の教員が効果的に用いられていると回答している。

Q13-1.Q13で3,4,5(どちらでもない、あまり効果的でない、効果的ではない)を選択されたかたは、その理由は何ですか(ひとつだけまる)。

図表1-12-1 色分け・強調が効果的でない理由

 色分け・強調が効果的に用いられていないと答えた教員の効果的に用いられていない理由については、「必要な箇所に色分け・強調がされていない(72.2パーセント)」が最も多く、次いで「不必要なものが多い(12.2パーセント)」の順になっている。

Q14.現在、児童の理解を深める目的で、国語の教科書に準拠した副教材や補助教材を使用していますか(ひとつだけまる)。

図表1-13 教科書準拠の副教材や補助教材の使用有無

 教科書に準拠した副教材や補助教材の使用については、「使用している(49.3パーセント)」、「使用していない(48.7パーセント)」と回答した教員がほぼ半分となっている。

Q14-1.副教材や補助教材を使用している理由は何ですか(あてはまるもの全てにまる)。

図表1-13-1 教科書準拠の副教材や補助教材の使用理由

 教科書に準拠した副教材や補助教材の使用理由(複数回答)については、「教科書の練習問題の分量が少ないから(59.6パーセント)」、「教科書の練習問題が多様性に欠けるから(27.6パーセント)」の順になっている。
 また、その他の回答の内容では、「学力の定着をはかるため」や「漢字学習を反復的に行ないたいため(漢字ドリル使用)」等の回答が寄せられた。

Q15.取り扱われている教材の選択は適切だと思いますか(ひとつだけまる)。

図表1-14 取り扱われている教材の選択について

 取り扱われている教材の選択が適切かについては、「まあ適している(53.5パーセント)」が最も多い結果となっている。「適している(13.8パーセント)」と合わせると、約7割(67.3パーセント)の教員が適していると回答している。

Q16.教科書は、児童が自宅で自習(予習・復習)しやすいように、配慮された構成になっていると思いますか(ひとつだけまる)。

図表1-15 自習への配慮

 自習しやすいように配慮された構成になっているかについては、「あまり自習に適していない(46.7パーセント)」が最も多い結果になっている。「自習に適していない(14.7パーセント)」と合わせると、約6割(61.4パーセント)の教員が自習に適していないと回答している。

Q17.以下のような事項について、現在の国語の教科書は、どの程度工夫されていると感じますか。(1)~(8)の項目についてそれぞれ1つずつまるをお付けください。

図表1-16 教科書の内容の工夫や配慮の度合いについて

 現在の教科書がどの程度工夫されているか、8つの項目について調査を行った。
 なお、「十分に工夫されている」を5点、「やや工夫されている」を4点、「どちらともいえない」を3点、「やや工夫が足りない」を2点、「工夫が足りない」を1点として、3点を平均点とした加重平均を行ったものを「評点」とした。
 評点別に見ると「自分の考えを述べることを意識させる工夫(3.69)」が最も高く、「複雑な字形の定着(2.83)」が最も低い結果になった。
 「使用頻度・範囲が少ない漢字の定着(2.87)」、「複雑な字形の定着(2.83)」については平均の3ポイントを下回っている。

Q18.現在の国語の教科書に掲載されている教材の分量はどの程度適していますか。(1)~(10)の項目についてそれぞれ1つずつお付けください。

図表1-17 教科書の分量について

 教材の分量について、「文章の量」、「教材の数」の2つの観点で調査を行った。
 なお、「多い」を5点、「やや多い」を4点、「適している」を3点、「やや少ない」を2点、「少ない」を1点として、3点を平均点とした加重平均を行ったものを「評点」とした。「文章の量」と「教材の数」を評点別に見た結果は以下のとおり。
 文章の量については、「話すこと、聞くこと(3.18)」が最も高く、「読むこと(文学的文章)(2.73)」が最も低い結果になった。「話すこと、聞くこと」以外は平均の3ポイントを下回っている。
 教材の数については、「話すこと、聞くこと(3.31)」が最も高く、「読むこと(文学的文章)(2.38)」が最も低い結果になった。「話すこと、聞くこと」以外は平均の3ポイントを下回っている。
 「話すこと、聞くこと」、「書くこと」及び「言語事項」に比べ、「読むこと」について、文章の量及び教材の数(特に文学的文章)が少ないと感じている教員が多い結果になっている。

Q19.国語の授業を進めていく上で、現行の教科書の記述・説明について、困ったところ・うまくいかなかったところがあればご記入ください。

 主に、学習活動の取り扱いや教科書の構成についての意見が多くなっている。代表的な意見を列挙すれば以下のとおり。

(1)1年生

  • 取り扱っている題材について、地域性への配慮をしてほしいといった点や児童がバス等に乗った経験が少ないといった実態からみて書くことが難しいのではないかといった指摘があった。(例.乗り物・バスなど)(同様の意見3人)
  • 「書くこと」を教えるなかで、話し言葉(なになにいたよ、なになにだよ)で書かせる活動については後で書き言葉に直すのが大変なので最初から書き言葉で指導するようにしておくべきとの指摘があった。
  • 配当している教材に対して、1年生に配当するには文章が長いといった点や児童のレベルからみて早すぎるとの指摘があった。(例.うみへのながいたび、大きなかぶ)(同様の意見4人)
  • 教科書が求めている学習活動が予定される授業時期からみて適当ではないとの指摘があった。(例.12月頃にみのまわりの生きものを観察する活動)(同様の意見2人)

(2)2年生

  • 「話すこと・聞くこと」の単元が続いている箇所があり構成を見直してほしいといった指摘があった。(同様意見3人)
  • 読書教材として扱われているものについて、もう少し内容理解や読解に重点をおいてもいいのではないかといった指摘があった。(例.スーホの白い馬)(同様意見4人)
  • グループでの学習といった活動について時間がとてもかかる、難しいといった指摘があった。(同様意見2人)
  • 扱われている教材が児童の生活実態から離れているといった指摘があった。(例.「書くこと」でのモデル教材、「糸で生きる虫たち」)(同様意見3人)
  • 「人に聞いたり、調べる」という活動が、2年生にはまだ聞ける相手の範囲も狭く、取材機会などを作ることも大変であり、児童にとって難しく、学習活動としても大変であるといった指摘があった。(同様意見2人)

(3)3年生

  • 国語辞典の使い方などについて、丁寧な記述、詳しい説明などが必要との指摘があった。(同様意見3人)
  • 「書くこと」の単元が続いており、構成に配慮してほしいといった指摘があった。(同様意見4人)
  • 作文の書き方、特に原稿用紙の使い方(一字下げ、かぎかっこ」の表記)などの指導につきわかりやすい表現・記述にしてほしいといった指摘があった。(同様意見2人)

(4)4年生

  • じっくりと読ませたい教材であるが、予定されている指導時期が3学期の終わり頃で十分な指導ができない状況にあることや、書くことなどの活動と結び付けられており、十分な読み取りがさせられないといった指摘があった。(例.ごんぎつね:3学期)(同様意見5人)
  • 読む足す書くや調べる足す書くという活動が多く、似たようなことが続いているといった指摘、新聞づくりなどは社会科でも同時期に実施しているといった指摘があった。(同様意見4人)
  • 読み取り、話し合う活動での授業では、その内容を扱う上で非常に多くの時間が必要であるといった指摘があった。(例.くらしの中の和と洋)(同様意見3人)

(5)5年生

  • 文学教材として教える時期を早めてほしいといった点やもっと読み取りを行うようにしたほうが良いといった指摘があった。(例.大造じいさんとがん:2月末~3月中旬)(同様意見4人)
  • ニュースを作るといった活動において録画機材や編集能力などの点で現実的に難しい活動場面が設定されているといった指摘があった。(例.ニュース番組づくりの現場から)(同様意見3人)
  • 討論会などの活動はクラスの人数によっては大多数が聞くだけに終る恐れもあり、時間が足りなくなるといった指摘があった。
  • 使用されている教材の内容について児童の興味や関心がわかない、あるいは作られた時代が古すぎる、知的感動のない教材であるといった指摘があった。

(6)6年生

  • 6年生の3学期の2月に「書く」活動を7時間配当しているのは現実的に難しいといった指摘があった。
  • ニュース番組をつくるなどは5年生国語あるいは社会でも同じような内容があるといった指摘があった。
  • 「想像しよう」という目標設定がされているところでの挿し絵は控えたほうがいいのではといった指摘があった。(例.やまなし)

Q20.全体を通して、現在の国語の教科書は児童に学習内容を理解させる上で、どの程度適していると考えますか(ひとつだけまる)。

図表1-18 学習内容を理解させることについて

 児童に学習内容を理解させる上で適しているかについては、「やや適している(49.8パーセント)」が最も多い結果になっている。「適している(12.3パーセント)」と合わせると、約6割(62.1パーセント)の教員が適していると回答している。

Q21.あなたが指導をする上で、現在の国語の教科書にどの程度満足していますか(ひとつだけまる)。

図表1-19 教科書への満足度

 国語の教科書全般に関する満足度は、「まあ満足している(43.6パーセント)」が最も多い結果になっている。「満足している(5.3パーセント)」と合わせると、約半数(48.9パーセント)の教員が満足と回答している。他方、「やや不満(27.4パーセント)」と「不満(3.3パーセント)」を合わせると、約3割(30.7パーセント)の教員が不満と回答している。

Q22.今までお答えいただいたこと以外で、現在使用している国語の教科書について、日頃感じている問題点、改善点などに関する意見をご自由にお書きください。

 自由意見につき、三領域一事項及び全体という観点で代表的な意見などを列挙すれば以下のとおり。

(1)話すこと・聞くこと

  • 教科書の内容が、「話すこと・聞くこと」や表現に傾倒し過ぎている
  • 本領域の学習活動には時間がかかるため想定時間では時間数が足りない
  • コミュニケーション能力を育てるため、生きて働く力を育てるためにという方針からの学習活動が多く組まれすぎている

(2)読むこと

  • 読解のための教材、文学教材が減っている
  • 読解にかける時間配当が少ない
  • 詩が少ない

(3)書くこと

  • 作文教材が少ない
  • 計画的・系統的に書く力を高められる教科書になっていない
  • 作文の基礎を教えるための単元・学習時間が少ない

(4)言語事項

  • 漢字の配当が言語事項の単元に集中しすぎていて、児童の学習負担が多い
  • 言語事項だけを取り出すのではなく物語などを読みながら自然に学習できるようにしてほしい

(5)全体的事項

  • 表現的事項(話す・聞く)などに教科書の単元、学習内容が重点化した結果、読み取り、書き取りにかかる単元、配当時間、教材数が減っている
  • 取り上げる教材を地域性などに配慮した身近なものにしてほしい

Q23.現在使用している国語の教科書について、うまく工夫されていると感じる点がございましたらご自由にお書きください。

 主に、レイアウト、学習活動、言語事項、単元構成といった点での意見が多くなっている。代表的な意見を列挙すれば以下のとおり。

(1)レイアウト

  • 写真・挿し絵が効果的であり、文章との関連性が高い
  • 視覚に訴える資料で見やすく意欲的に取り組める
  • 大事なポイントが枠囲い・カラーで示されている

(2)学習活動

  • 「作文」で子供が書いた作文のように手書き風に作文用紙に表記している箇所など、子供の競争心を刺激するなどの工夫がされている

(3)言語事項

  • 「書き順」が明示されている
  • 漢字に興味を持たせるために工夫されたコラムなどがある

(4)単元構成

  • 「読む」から「書く」などひとつの単元で領域をまたいだ、つながる学習ができるようになっている
  • 題材が始まる前にオリエンテーション的なページが設定してあり導入が容易である
  • 上下巻それぞれに3領域1事項がバランスよく配置されている

Q24.他教科の教科書に比べて、国語の教科書が優れている点、劣っている点がありましたら、ご自由にお書きください。

 「優れている点」、「劣っている点」についての意見の代表的なものは以下のとおり。

(1)優れている点

  • 単元として学習のまとまりを示せる
  • イラストや写真が美しく、子供たちの興味、意欲を高めるもの、視覚面から理解を高めるものとなっている
  • 指導に工夫ができる(指導を工夫しないと力がつかない)

(2)劣っている点

  • 書き込めるところがもっと多くてもよい
  • 定着を確認できる箇所がない・少ない
  • 他教科は、教科書をみただけで教えなければならないことがわかるが、国語では指導書を見る必要がある
  • 「今、何を学習しているのか」「重点は何なのか」、日々のステップアップがわかりにくい

Q25.今後、国語の教科書の改善、充実に向けて望むことがございましたらご自由にお書きください。

 意見について大別すると、「三領域一事項のバランス」に関するもの及び「教材選定」に関するものがある。

(1)三領域一事項のバランス

  • 読むこと、書くことをもっと重視してほしい
  • 教材を読んで、すぐにまとめて発表という伝えることを重視した学習活動ではなく、もっと深く教材を掘り下げ読解力をつけていく学習活動を重視した教科書としてほしい
  • 言葉や文法の基本的なことを増やしてもよい
  • 基礎基本が定着する内容としてほしい
  • 新出漢字の配当の年間でのバランス、分散化をはかってほしい

(2)教材選定

  • 豊かな感性・想像力を育てるための心に響く物語教材を選定し教材数も増やしてほしい
  • 暗唱させたい詩などを追加、導入してほしい
  • 低学年から、少しずつ古典にふれさせたい
  • 外国の翻訳ものではない、日本人が書いた物語文を入れてほしい
  • 児童の実感・実態に合った教材(地域性への配慮、海外題材の転換)にしてほしい
  • 不朽の名作は残してほしい

(3)その他

  • ついた力が確認できる単元(コーナー)がほしい
  • 教科書はもっと厚くすべき、教材を選んで読めるくらいの教科書でもよい
  • 指導上、工夫できるように教科書本文や画像の電子データを提供してほしい

第3部 回答結果(国語保護者)

Q1.現在お子さまが通っている小学校の都道府県名と市区町村名と学年をご記入ください。

 回答者の居住地は省略。206件の回答を得ることができた。

図表2-1 子供の学年

 回答した保護者の子供の学年(複数回答)は、「5年生(32.5パーセント)」が最も多く、次いで「6年生(29.1パーセント)」、「4年生(28.6パーセント)」の順になっている。

Q2.現在お子さまが使用されている国語の教科書会名をご記入ください。

図表2-2 教科書会社名

 回答した保護者の子供の使用している教科書は、「A社(49.0パーセント)」が最も多く、次いで「B社(34.5パーセント)」、「C社(16.0パーセント)」の順になっている。

Q3.現在お子さまが使用されている国語の教科書について、以下の点はどの程度適していると思いますか。(1)~(7)の項目についてそれぞれ1つずつまるをお付けください。

図表2-3 教科書の適切度

 教科書の内容について、「適している」を5点、「まあ適している」を4点、「普通」を3点、「あまり適していない」を2点、「適していない」を1点として、3点を平均点とした加重平均を行ったものを「評点」とした。
 評点別に見ると個別の教科書内容については、「児童の興味・関心を引く教科書の内容(3.84)」が最も高く、「自宅で自習するための学習課題(2.59)」が最も低い結果になった。
 「練習問題等の量(2.76)」、「つまずいた時にわかりやすく理解させる構成(2.71)」、「自宅で自習するための学習課題(2.59)」では平均の3ポイントを下回っている。

Q4.現在お子さまが使用されている国語の教科書にどの程度満足していますか(ひとつだけまる)。

図表2-4 保護者の教科書に対する満足度

 国語の教科書全般に関する満足度は、「まあ満足している(53.4パーセント)」が最も多い結果になっている。「満足している10.2パーセント」と合わせると、63.6パーセントの保護者が満足と回答している。他方、「やや不満(12.1パーセント)」、「不満(2.9パーセント)」を合わせると、15.0パーセントの保護者が不満と回答している。

Q5.現在、お子さまが使用されている国語の教科書をご覧になって、どのようなことでも結構ですので、ご感想やご意見をお書きください。

 児童の学年別に保護者の代表的な意見(キーワード)を列挙すれば、以下のとおり。
 全体的に、写真などが豊富であり子供にやさしいという意見の一方で、分量、特に読む量が少ないのでは、といった意見が多い。

(1)1年生

  • バランス良くまとまっている印象
  • 挿絵や写真が豊富で、子供の興味をひく
  • カラフルすぎて大事な点がわかりにくい
  • イラストが多すぎる
  • 分量的にやや物足りなさを感じる
  • 練習問題を多くしてもらいたい

(2)2年生

  • 子供が楽しく勉強できそう
  • 教材の分量が少ない
  • 子供は、もう少し難しい文章や長い文章でも読み、理解できるのではないか(簡単すぎる)
  • 漢字の勉強がやりづらいため、漢字部分を分冊にしてしまってはどうか
  • 上の学年で配当される漢字はルビ付きで提示してほしい

(3)3年生

  • 写真、挿絵も豊富でわかりやすい・見やすい
  • 昔の名作があり、親子で共有できる点に共感を覚える
  • 国語が面白いと思わせるような作り方を期待したい
  • 分量(教材分、練習問題)が少なすぎる・内容が薄くなっている
  • 当該学年配当ではない漢字も熟語の場合などルビ付きで表記してほしい
  • 内容と学年があっていない教材があるのではないか

(4)4年生

  • 写真やイラストが豊富で興味が持てる
  • 教科書の分量が少ない(本が薄い)
  • 写真や図が多く、目でみて理解できることはわかるが、国語としてどうなのか疑問
  • 読み取る教材が少ない
  • 自宅学習するための課題が不足

(5)5年生

  • 写真やイラストが多く、子供には親しみやすい
  • 分析、推論、表現などが学べる構成、表現などを具体的に学習できる点がよい
  • 読書の嫌いな子には入っていきやすいが、国語や読書が好きな子には物足りない
  • 薄くて分量が少なく、内容のレベルが下がった
  • 書く力をつけるようなものであってほしい
  • 総合的学習を含めた表現する力の構築を考えていると思われる一方、作文、書く力が備わっていないのではないか
  • 写真・イラストがかえって文章に集中できなくさせていないか

(6)6年生

  • 古文などに親しむ機会をもっと増やしてはどうか
  • 復習、自学自習できるつくりになっていない
  • 必要以上にイラストが多い
  • 付録の占める量が多く、授業で扱う量が少ない
  • 分量が少なすぎる

Q6.お子さま自身は、現在使用されている国語の教科書にどの程度満足していますか(お子さまの現在の学年についてまる。複数いらっしゃる場合は、それぞれ該当学年ごとにご回答ください)。※お子さま自身にお聞きください。

図表2-5 児童の教科書に対する満足度

 親から子供に聞く形態での児童の教科書に対する満足度を調査した。なお、「満足していると答えた」を5点、「まあ満足していると答えた」を4点、「どちらともいえないと答えた」を3点、「やや不満と答えた」を2点、「不満と答えた」を1点として、3点を平均点とした加重平均を行ったものを「評点」とした。
 評点別に見ると、どの学年も平均の3ポイントを上回っているが、「3年生(4.20)」が最も高く、「6年生(3.49)」が最も低い結果になった。

-- 登録:平成21年以前 --