第1章 4.2.(4)読書量確保のため文章数・量を増やす

 読書活動は、国語力を形成する基礎・基本となるものである。その中で「読書離れ」という状況は、国語教育の中でも看過することの出来ないものである。現職教員や保護者アンケートの自由意見においても「読む」ことの充実についての意見が多かった。また教科書の分量についての議論においても読書教材の不足といった点が専門家会議の意見として多かった。国語は他教科の学習活動の基本となる言語活動の充実に重要な役割を果たしており、「読む」ことの学習活動を繰り返し行うことにより基礎・基本となる力の育成を果たすべきであり、そのための読書教材などを増やすべきである。

1 読書確保のための文章数・量の増加具体例1

 国語力を育成するために読書が重要であることは言うまでもない。朝の読書活動を実施する学校が増えてきており、読書活動への関心は高い。しかし、現行教科書では読書単元が少ないため、読書指導が単発的で年間の見通しをもったものになりにくい。また、読書の時間は確保したが、何をどのように読ませればよいのかがわからないという現場の声も聞く。読書活動の質を高めるような工夫も大切である。

a.学校で工夫した取組の例

  • ア.ブックリストを学校・地域で作成し紹介(必読図書にする例もある)。
  • イ.読書カード等による読書量の拡大と習慣形成。
  • ウ.読み聞かせ活動による読書への興味関心の喚起。

b.今後、さらに読書の量と質を向上させるために、教科書に次のような工夫改善を提案したい。

  • ア.紹介する本の冊数を増やす。
    (現在の図書紹介ページを増やし、多くの作品を紹介する。)
    (物語教材の後に、同じ作家の作品や同じテーマの作品等を紹介し読書へつなぐ。)
  • イ.シリーズ作品を取り上げ、シリーズの読み方を示す。
  • ウ.比べ読みを取り入れた読書会やブックトークを想定して、読書単元で複数の作品を取り上げる。

c.読書量確保に直接結びつかないが、読書活動の充実という点から次のような点も提案したい。

  • ア.本をまるごと1冊読むという視点から、表紙を読む、楽しむことも取り入れる。
  • イ.読書単元の充実
    (読書単元で取り上げた第1教材の読みと、その後の表現活動とのつながりを明確にする。例えば、物語を読むということは学年に応じてどのような系統性があるのか、それに対応して読書紹介のポイントはどのようなことか。)
  • ウ.図書館(学校・地域)の活用・利用の方法を系統的に取り上げる。

2 読書確保のための文章数・量の増加具体例2

  • 1:「読むこと」の領域に当たる学習内容にあった図書の紹介
  • 2:小学校各学年で読んでおきたい図書リスト掲載。
    学年単位、学校単位、または市町村単位などで様々なブックリストがすでにあるが、教科書に掲載することで、児童が日ごろから図書に接するきっかけとなりやすい。
    参考:さいたま市教育研究会学校図書部「この本読んだ?小学生・中学生にすすめるブックリスト」
  • 3:巻末に、上記の図書リストの中から読書教材を3編ずつ掲載。
    子どもが自由に読めるページとして掲載する。教師向けには、この作品について教科指導では取り扱う必要の無いことを明示。文字のフォントは他教材のものより小さめで表記。6年間を通して物語、科学読み物、伝記、歴史読み物等、を偏りの無いように配列。アニマシオン的なページを配置。

(鈴木 美香子、渡辺 文子)

-- 登録:平成21年以前 --