教科書検定の方法

  文部省は、教科書の記述が客観的で公正なものとなり、かつ、適切な教育的配慮がなされたものとなるよう、教科用図書検定基準に基づき、教科用図書検定調査審議会の議を経て、教科書の検定を行っています。
  この教科書検定の方法については、臨時教育審議会の答申を踏まえ、適切な教育内容を確保し、個性豊かで多様な教科書が発行されるようにすることをねらいとして、平成元年4月、検定の手続きと基準の大幅な簡素化・重点化、検定結果の公開等を内容とする全面的な見直しが行われました。
  また、平成14年度から新しい学習指導要領が順次実施されることに伴い、この教育課程の基準の改善の趣旨を適切に踏まえた教科書が作成されるとともに、より一層簡素かつ透明な検定制度を目指して、 教科用図書検定調査審議会の建議 を踏まえ、平成11年1月、 検定の手続き義務教育諸学校の教科書の検定基準 を改正しました(なお、 高等学校の教科書の検定基準 等は、平成11年度初めに改正される予定です。)。この改正は、新学習指導要領に基づいて編成される教科書の検定から順次適用されます。

1.教科用図書検定基準に基づく検定
  文部省は、あらかじめ検定における審査の基準として義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準を定め、これを告示しています。検定における教科書の審査は、この検定基準に基づいて適正かつ公正に行われています。
  検定基準は、検定審査の基本方針である総則のほか、各教科共通の条件と各教科固有の条件とから成り立ち、それぞれの条件は、「範囲及び程度」、「選択・扱い及び組織・分量」、「正確性及び表記・表現」の3つの観点に整理して示されています(総則と各教科共通の条件の概要については、下記を参照してください。)。

2.教科用図書検定調査審議会の答申に基づく検定
  文部省には、教科用図書検定調査審議会が置かれており、検定は審議会の答申に基づいて行われています。審議会の委員は、大学教授や小・中・高等学校の教員等の中から選ばれています。
  審議会の審査に先立ち、検定申請のあった図書について、調査員及び教科書調査官の調査が行われます。調査員は審議会に置かれ、全国の大学や小・中・高等学校の教員の中から、学校の種別、教科の別に応じて毎年度数百人の人が選ばれています。教科書調査官は文部省の常勤職員であり、大学等の教職の経歴をもつ人が採用されています。
  審議会においては、調査員及び教科書調査官が調査した結果並びに委員自らが調査した結果を総合して審議されます。このように審議会における審査には、多くの専門家による様々な角度からの調査の積み重ねが反映されるようになっています。


〇教科用図書検定基準(抄)
(総則及び各教科共通の条件についてそのごく大要を示しています。)

第1章  総則
  教科書検定においては、教科書が教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童または生徒用図書であることにかんがみ教育基本法に定める教育の目的、方針など並びに学校教育法に定めるその学校の目的及び教育の目標に基づいているかどうかを審査する。

第2章  各教科共通の条件
〔範囲及び程度〕
1.学習指導要領に示す事項を不足なく取り上げ、不必要なものは取り上げていないこと。
2.その学年の児童・生徒の心身の発達段階に適応していること。
〔選択・扱い及び組織・分量〕
1.選択及び扱いには、学習指導要領に照らして不適切なところ、その他児童・生徒が学習する上に支障を生ずるおそれのあるところはないこと。
2.政治や宗教の扱いは公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと。
3.一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないこと。
4.全体の分量及びその配分並びに内容の組織及び相互の関連は適切であること。
〔正確性及び表記・表現〕
1.誤りや不正確なところ、相互に矛盾しているところはないこと。
2.児童・生徒が理解するのに困難であったり、誤解したりするおそれのある表現はないこと。
3.表記は適切であって、不統一はないこと。

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-- 登録:平成21年以前 --