千葉県 麗澤中学・高等学校 内堀穣 先生

麗澤中学・高等学校 勤務
内堀穣 先生 高等学校教諭特別免許状 「音楽」

プロフィール

長野県出身。海上自衛隊入隊、艦艇勤務を経て東京音楽隊入団、ホルン奏者。海上自衛隊幹部候補生学校を卒業し、平成4年 東京藝術大学音楽学部指揮科に国内留学。藝大終了と同時に各地で本格的に指揮活動を始め、国内にとどまらず世界各国を歴訪し、音楽活動を通じて国際親善に寄与。その間、大喪の礼、即位の礼、愛知万博、つくば万博、長野オリンピック等の国家行事で演奏。阪神・淡路大震災をはじめ、東日本大震災に至る各地で災害派遣、災害派遣演奏を実施。FMラジオパーソナリティー、東京ドーム・東京スカイツリーオープニングコンサート指揮、その他数々の国家的行事、演奏会を指揮。産業能率短期大学卒。平成23年から麗澤中学・高等学校にて勤務。伝統の日において交声曲「稀人」を指揮。中高教員・吹奏楽部顧問を経て、現在は音楽監督。吹奏楽コンクール千葉県大会にて金賞5回、東関東大会金賞、日本管楽合奏コンテスト全国大会優秀賞。ホルンを輦止隆麿、山本真、音楽学を藤森章、指揮法を遠藤雅古、汐澤安彦、松尾葉子、室内楽を植村泰一、オペラを藤森章、崎田俊治の各氏に師事。
令和3年秋の叙勲に際し「瑞寶雙光章」受賞。宮中拝謁の栄を賜る。

現職における役職や役割

令和6年3月まで教科:芸術科音楽、中学・高校音楽(選択)担当。特活指導部。吹奏楽部顧問。退職後4月から音楽監督(高校吹奏楽部を指導)。

特別免許状の授与を受けて勤務されている先生より

Q:教師を目指したきっかけや理由

A:東西冷戦下に東京ドームが完成(1988年)した時のオープニングセレモニーで自衛隊音楽隊として参加した際、世界中から様々な音楽隊が国境・思想を超えた共演する姿に感動しました。さらに翌年のベルリンの壁崩壊でも音楽の力を目の当たりにして、もっと音楽を勉強し、さらに次の世代に伝えていく仕事をしたいと思うようになりました。

Q:実際に教師として勤務してみての感想・やりがいや、採用前のイメージとの変化

A:吹奏楽部の顧問として、音楽好きな子供たちをさらに伸ばしていくことに心がけた結果、数々の大会・コンクールで優秀な成績を残し、教えた子たちは芸大や音大などに進み、指揮者や舞台監督、国際音楽コンクール優勝などみんな立派に育って行ってくれました。一方で本学は進学校なので、芸術科目などに興味を持たない生徒も少なからずいて、彼らに少しでも興味を持ってもらえるよう、バランスをとって授業を行うことに心がけました。面と向かって音楽なんて嫌いだし必要ない・・と言われたときは、さすがに思い描いていた理想が遠くなる思いでした。

Q:前職の経験が生きていると感じるところ

A:国内にとどまらず世界各国、特に最貧国と言われるような国々を廻り、音楽を通じて子供たちと交流できたこと。世界平和に音楽がきっと大きな役割を果たしてくれると確信できたこと。これらの現実を日本の子供たちに伝えて考えてもらうことができたこと。

Q:これから特別免許状の授与を受け、教師として勤務することを目指している方々への助言やメッセージ

A:音楽に対する思いは人それぞれ、たくさんお持ちかと思います。その思いが強ければ、いつか音楽の世界に活躍の場を与えてもらえるかもしれません。ですが、活躍できることは決して自分だけの力によるものではなく、多くの方々とのかかわりの中で成し遂げられたことなのです。そのことを伝えていかなければならないと考えます。また偉大な作曲家であり指揮者だったレナード・バーンスタイン氏も「晩年は自分に残された人生は教育に使いたい。」と語った言葉に私は感動し、教育で音楽の素晴らしさを伝えていかなければならない、これができないと世界平和も実現できないと感じました。なぜなら音楽とは戦争やテロなどの暴力に訴えなくても、しっかりと人の心に伝わり動かしていくものなので、これを次の世代に伝えていかなければならないものと考えたからです。そこで学んだ人がさらに次の世代に伝え、世界がより良い方向に向かうことを信じています。

特別免許状を授与された先生の授業を受けた生徒より

生徒A

Q:現在の学年、または御職業

A:高校3年生

Q:その先生との当時のかかわり(クラス担任、教科担任、生徒(進路)指導、部活動顧問など)

A:音楽授業担任、吹奏楽部顧問

Q:その先生に対して持っているイメージや、「他の先生とここが違う」と感じたことなど

A:内堀先生は、私達と年が離れていますが、とてもユーモアがありいつも優しい笑顔でどんな生徒とも仲が良い印象があります。
他の先生は持っていない経験をお持ちのため、音楽が当たり前にできることのありがたさを教えていただいたり、自衛隊で働いていた時のお話を聞かせていただけたりしてとても楽しかったです。なかなかない体験だったのではないかと思います。

Q:その先生についての印象的なエピソードや印象に残った言葉など

A:部活動では内堀先生とたくさんの関わりがあるので、部員のみんなをあだ名で呼んだりして先生と部員との仲を深めたり、部員同士でも早く仲良くなれました。
内堀先生はダジャレをよく言っていて、部活の雰囲気が重くなっていてもダジャレのおかげで場が和むことがありました。
内堀先生はホルンの音色がとてもきれいで、休日に部活に早く行くとたまに吹いている音を聞くことができるのですが、とても澄んでいて温かい音色に聞き惚れていました。
私もホルンを吹いているので、低い音を出すときのコツや、吹きやすい姿勢などを教えていただいたり、後輩たちと指導を受けることもありました。
「音楽の神様が私達を会わせてくれたんだ。出会う運命だったんだ。」という言葉は今でも忘れません。この言葉を聴いて、「一緒に演奏する部員みんなや内堀先生のために、また良い演奏を作り上げるためにも精一杯練習しよう。」と思えました。

特別免許状を授与された先生の勤務先の先生より

Q:貴校における教育の特徴やアピールポイントなど

A:本校は、創立者である廣池千九郎法学博士の道徳教育を重視する理念に基づき、生徒の「感謝の心・おもいやりの心・自立の心」を育くむ教育活動を行っています。また、進路指導にも力を注いでいるのはもちろんですが、グローバル教育、探究活動の推進、DX教育の推進にも力を入れています。

Q:特別免許状を授与された教師の採用に当たって期待したこと

A:海上自衛隊音楽隊での40年のキャリアを存分に生かし、生徒に対して、音楽のすばらしさを伝えていただくのはもちろんのこと、世界的な視野で日本をみることや、国際理解の視点を広げること、母国を愛し守ることの大切さなどを、伝えていただくことを期待しました。

Q:特別免許状を授与された教師を採用することで変化したことや得られた成果など

A:教育分野の音楽活動(授業・吹奏楽部の活動)の視野にとどまらず、さらに広い世界的な視野で、生徒に音楽のすばらしさを伝えていただくことができた。吹奏楽部の指導においても、コンクールで優秀な成績に生徒を導いていただいた。また、長いキャリアの中で築かれた人的ネットワークを生かし、高度な経験とスキルを有した演奏者や指導者と、生徒が関われる機会を多く設けていただいた。

Q:今後、特別免許状制度や特別免許状を授与された教師に期待すること

A:教育分野を超えた豊富な経験と広い視野に基づいて、生徒に多くの刺激や機会を与えてくださることを期待します。

都道府県教育委員会の方より

Q:貴教育委員会において、特別免許状の授与に当たっての特徴や力を入れているところなど

A:社会人向けの教員採用に関する就職フェアー等でも人材発掘することで、高い専門性を有する方の人材発掘を行っている。また、公立、私立に関わらず、採用権者から推薦があり、専門性を有する方を採用したい場合には、円滑な特別免許状の授与に努めている。

Q:特別免許状の授与及び採用により変化したことや得られた成果など

A:学校現場以外での仕事を経験した際の高い専門性を生かしていただくことで、児童生徒への授業が充実している。特に、福祉や看護に関する授業では、生徒が福祉や看護の現場をイメージ化しやすい授業を展開できている。また他の教員の教材研究等の一助となっている。

Q:今後、特別免許状制度や特別免許状を授与された教師に期待すること

A:高い専門性と社会人経験の視点も併せて、児童生徒への授業の充実や学校教育の多様化への対応、学校の活性化に力を貸してほしいと考えている。