10年経験者研修実施状況調査結果(平成19年度)について

 本調査は,平成19年度の各教育委員会における「10年経験者研修」の実施状況について,47都道府県,17指定都市,35中核市(以下「県市」という。)を対象に調査し,取りまとめたものである。

【10年経験者研修の概要】
趣旨 教諭等の個々の能力,適性等に応じて,教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修を行う
対象者 公立の小学校等の教諭等のうち,在職期間が10年に達した者
実施者 各都道府県,指定都市,中核市教育委員会
根拠法 教育公務員特例法第24条
実施内容例 (長期休業期間中)年間20日程度,教育センター等で模擬授業や教材研究等を実施
(課業期間中)年間20日程度,主として学校内で研究授業や教材研究等を実施

【10年経験者研修の流れ】

10年経験者研修の流れ

【調査結果の概要】

1 実施体制について(調査結果1,2)

 平成19年度の10年経験者研修の対象者の総数は,14,408名(幼稚園493名,小学校5,125名,中学校4,332名,高等学校3,358名,特別支援学校1,080名,中等教育学校20名)であった。
 研修日数については,小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・中等教育学校の平均は約36日で,幼稚園は約21日となっている。

2 研修の内容・方法について(調査結果3,7,8,9)

 具体的な研修内容としては,「教科指導」や「生徒指導・教育相談」がほとんど全ての県市において,10年経験者に必要な研修内容として取り上げられている。
 研修の実施にあたって,大学・大学院と連携しているのが75県市(75.8%)あり,大学の開設する講座等を利用した専門的研修の活用や教育委員会の主催する講座への大学からの講師派遣などが,主な連携分野としてあげられる。また,52県市(52.5%)が民間組織等と連携しており,教育委員会が主催する講座への講師派遣や社会体験研修の受け入れ先としての活用が多くみられる。
 なお,国・私立学校教員に対する10年経験者研修への協力については,56県市(56.6%)が希望に応じるなど研修への参加を受け入れている。

3 研修計画及び研修評価について(調査結果4,5,6)

 10年経験者研修は,実施するに当たって,研修を受ける者の能力,適性等について評価を行い,その結果に基づき,研修計画書を作成することとなっている。研修計画書の作成に当たっては,92県市(92.9%)が当該教諭等の自己評価を活用している。
 研修実施後の評価については,90県市(90.9%)が研修対象者に対する評価を実施し,その結果をその後の指導や研修へ活用している。また,研修内容の評価についても,研修対象者に対するアンケートのほか,約半数の県市が学校長等から意見を聴取したり,実施協議会等を開催したりするなど,各自治体において次年度以降の研修の改善への取組がなされている。
 なお,具体の調査結果については,以下の表のとおりである。(表の見出し内のカッコ書きは,母数を示す。なお,19年度に10年経験者研修の対象者がいない県市は含まない。)

図A 大学・大学院、民間組織等と連携している県市の割合

図B 研修実施後の評価に関する県市の割合

10年経験者研修実施状況調査結果(平成19年度)

1 研修対象者数

幼稚園 小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 中等教育学校
都道府県 431人 3,949人 3,379人 3,241人 1,037人 20人 12,057人
指定都市 45 641 466 99 39 0 1,290
中核市 17 535 487 18 4 0 1,061
総 計 493 5,125 4,332 3,358 1,080 20 14,408
 

(10年経験者研修実施都道府県市数)

  幼稚園 小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 中等教育学校
都道府県(47) 39県 47 46 47 46 7
指定都市(17) 9市 17 16 13 8 0
中核市(35) 6市 35 35 8 2 0
総計(99) 54県市 99 97 68 56 7

※10年経験者研修対象者がいない県市は除く。

2 研修日数(実施要項等に示している研修日数の平均)

  幼稚園 小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 中等教育学校
校内研修 都道府県 9.4日 18.4日 18.5日 18.3日 18.6日 19.1日
指定都市 10.8 18.6 18.6 18.8 18.3 20.0
中核市 11.0 18.5 18.5 19.9 20.0 0.0
全体 10.4 18.5 18.6 19.0 19.0 19.6
18.6
校外研修 都道府県 9.4 16.8 16.9 17.1 17.1 17.9
指定都市 11.0 18.2 18.2 17.9 18.1 20.0
中核市 11.0 17.2 17.2 17.9 18.0 0.0
全 体 10.5 17.4 17.4 17.6 17.7 18.9
17.3
研修全体 都道府県 18.8 35.2 35.3 35.4 35.7 37.0
指定都市 21.8 36.8 36.8 35.4 36.4 40.0
中核市 22.0 35.7 35.7 37.8 38.0 0.0
全 体 20.9 35.9 36.0 36.2 36.7 38.5
35.8

3 研修内容〔校外研修〕(複数回答)

研修項目 小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 中等教育学校 幼稚園
(99県市中) (97県市中) (68県市中) (56県市中) (7県市中) (54県市中)
教育課程の編成 51 49 37 32 3  
(51.5%) (50.5%) (54.4%) (57.1%) (42.9%)  
教科指導 99 97 67 55 7  
(100.0%) (100.0%) (98.5%) (98.2%) (100.0%)  
道徳教育 90 86 39 39 4  
(90.9%) (88.7%) (57.4%) (69.6%) (57.1%)  
特別活動 78 75 47 39 5  
(78.8%) (77.3%) (69.1%) (69.6%) (71.4%)  
総合的な学習の時間 78 73 50 40 5  
(78.8%) (75.3%) (73.5%) (71.4%) (71.4%)  
カウンセリング 78 75 53 41 4 42
(78.8%) (77.3%) (77.9%) (73.2%) (57.1%) (77.8%)
生徒指導・教育相談 99 97 66 55 7  
(100.0%) (100.0%) (97.1%) (98.2%) (100.0%)  
進路指導・キャリア教育 62 62 55 48 6  
(62.6%) (63.9%) (80.9%) (85.7%) (85.7%)  
特別支援教育 95 91 62 55 7  
(96.0%) (93.8%) (91.2%) (98.2%) (100.0%)  
人権教育 82 79 58 45 6  
(82.8%) (81.4%) (85.3%) (80.4%) (85.7%)  
環境教育 53 51 42 38 5  
(53.5%) (52.6%) (61.8%) (67.9%) (71.4%)  
国語力向上に関する教育 52 48 33 29 2  
(52.5%) (49.5%) (48.5%) (51.8%) (28.6%)  
情報教育 85 83 59 50 6  
(85.9%) (85.6%) (86.8%) (89.3%) (85.7%)  
国際教育 67 62 40 32 5  
(67.7%) (63.9%) (58.8%) (57.1%) (71.4%)  
福祉教育 50 48 34 30 3  
(50.5%) (49.5%) (50.0%) (53.6%) (42.9%)  
男女平等・男女共同参画 38 37 27 27 1  
(38.4%) (38.1%) (39.7%) (48.2%) (14.3%)  
社会奉仕に係る教育 55 54 43 39 6  
(55.6%) (55.7%) (63.2%) (69.6%) (85.7%)  
地域理解に係る教育 53 50 37 31 4  
(53.5%) (51.5%) (54.4%) (55.4%) (57.1%)  
食育(給食指導を含む) 50 45 29 26 3 24
(50.5%) (46.4%) (42.6%) (46.4%) (42.9%) (44.4%)
学校保健・安全指導 63 59 43 36 5 28
(63.6%) (60.8%) (63.2%) (64.3%) (71.4%) (51.9%)
公務員倫理(セクシャルハラスメントを含む) 71 69 49 42 5 25
(71.7%) (71.1%) (72.1%) (75.0%) (71.4%) (46.3%)
対人関係能力(コミュニケーション能力) 69 66 51 43 5 36
(69.7%) (68.0%) (75.0%) (76.8%) (71.4%) (66.7%)
家庭・地域との連携 55 50 40 38 4 42
(55.6%) (51.5%) (58.8%) (67.9%) (57.1%) (77.8%)
学校間連携 44 43 26 28 3  
(44.4%) (44.3%) (38.2%) (50.0%) (42.9%)  
学級経営(ホームルーム経営) 71 71 50 43 5 35
(71.7%) (73.2%) (73.5%) (76.8%) (71.4%) (64.8%)
学年経営 39 36 26 22 4  
(39.4%) (37.1%) (38.2%) (39.3%) (57.1%)  
学校経営(組織マネジメントを含む) 63 61 47 40 6 23
(63.6%) (62.9%) (69.1%) (71.4%) (85.7%) (42.6%)
教科経営 45 46 33 27 4  
(45.5%) (47.4%) (48.5%) (48.2%) (57.1%)  
指導計画の作成           32
          (59.3%)
5領域を踏まえた総合的指導           43
          (79.6%)
環境の構成           39
          (72.2%)
幼児理解           51
          (94.4%)
障害のある幼児の理解           51
          (94.4%)
社会性           25
          (46.3%)
小学校教育との連携           41
          (75.9%)
子育て支援への対応           30
          (55.6%)
その他 60 59 37 36 4 35
(60.6%) (60.8%) (54.4%) (64.3%) (57.1%) (64.8%)

※ 「その他」の主なもの

・服務 ・体験研修 ・各県市の教育課題と施策 ・学校評価 ・危機管理 ・メンタルヘルス
・教育法規 ・教職員のキャリアデザイン など

4 事前評価の際の自己評価の活用及び研修計画書の作成方法(複数回答)

事前評価を行う際に自己評価を活用している 研修計画書の作成に携わる者
校長のみ 教頭 教務主任等 指導主事 その他
都道府県 43県 5 39 31 16 10
(47) (91.5%) (10.6%) (83.0%) (66.0%) (34.0%) (21.3%)
指定都市 17市 0 14 10 4 6
(17) (100.0%) (0.0%) (82.4%) (58.8%) (23.5%) (35.3%)
中核市 32市 5 25 25 9 7
(35) (91.4%) (14.3%) (71.4%) (71.4%) (25.7%) (20.0%)
総計 92県市 10 78 66 29 23
(99) (92.9%) (10.1%) (78.8%) (66.7%) (29.3%) (23.2%)

※ 「その他」の主なもの

・管理職と研修対象者との面接、確認、合意の下に作成する
・計画書案を提出後、教育センターが助言を行い作成する  など

6 研修実施後の評価(実施内容・方法への事後評価については複数回答)

  研修対象者に対する事後評価の仕組みがある 研修の実施内容・方法についての事後評価
評価結果を本人に通知 指導・研修等への活用 研修対象者にアンケート 学校長等から聴取 実施協議会等での報告 その他
都道府県 45県 28 40 46 23 29 2
(47) (95.7%) (59.6%) (85.1%) (97.9%) (48.9%) (61.7%) (4.3%)
指定都市 16市 5 13 13 8 5 1
(17) (94.1%) (29.4%) (76.5%) (76.5%) (47.1%) (29.4%) (5.9%)
中核市 29市 8 25 29 21 12 4
(35) (82.9%) (22.9%) (71.4%) (82.9%) (60.0%) (34.3%) (11.4%)
総 計 90県市 41 78 88 52 46 7
(99) (90.9%) (41.4%) (78.8%) (88.9%) (52.5%) (46.5%) (7.1%)

※ 「その他」の主なもの

・大学や関係者から意見をいただく など

7 大学・大学院との連携

  大学・大学院と連携している 連携している分野(複数回答)
研修対象者の事前評価 研修プログラムの作成 研修内容の企画・立案 講師派遣・研修教材等の作成 講座等を利用した専門的研修の活用 その他
都道府県 40県 1 3 7 26 27 3
(47) (85.1%) (2.1%) (6.4%) (14.9%) (55.3%) (57.4%) (6.4%)
指定都市 15市 0 1 1 5 10 2
(17) (88.2%) (0.0%) (5.9%) (5.9%) (29.4%) (58.8%) (11.8%)
中核市 20市 1 1 2 10 10 3
(35) (57.1%) (2.9%) (2.9%) (5.7%) (28.6%) (28.6%) (8.6%)
総計 75県市 2 5 10 41 47 8
(99) (75.8%) (2.0%) (5.1%) (10.1%) (41.4%) (47.5%) (8.1%)

※ 「その他」の主なもの

・大学教員との共同研究を実施 ・実施協議会への参加 など

8 民間組織等との連携

  民間組織等と連携している 連携している分野(複数回答)
研修対象者の事前評価 研修プログラムの作成 研修内容の企画・立案 講師派遣・研修教材等の作成 民間組織等が開設する研修の活用 その他
都道府県 29県 0 3 5 16 11 11
(47) (61.7%) (0.0%) (6.4%) (10.6%) (34.0%) (23.4%) (23.4%)
指定都市 10市 0 0 2 4 2 5
(17) (58.8%) (0.0%) (0.0%) (11.8%) (23.5%) (11.8%) (29.4%)
中核市 13市 0 1 1 5 2 8
(35) (37.1%) (0.0%) (2.9%) (2.9%) (14.3%) (5.7%) (22.9%)
総計 52県市 0 4 8 25 15 24
(99) (52.5%) (0.0%) (4.0%) (8.1%) (25.3%) (15.2%) (24.2%)

※ 「その他」の主なもの

・社会体験研修の受け入れ

9 国・私立学校教員に対する10年経験者研修への協力

都道府県 指定都市 中核市 総計
(47) (17) (35) (99)
県市数 43県 9市 4市 56県市
(割合) (91.5%) (52.9%) (11.4%) (56.6%)

※ 主な協力内容

  • 要請があれば、研修への参加を受け入れている
  • 協定を結んで受け入れている
  • 実施案内を送付し受け入れている など

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)

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