教員の各ライフステージに応じて求められる資質能力

 教員についても,日々の職務及び研修を通じてその資質能力が育成されていくものであり,また,各ライフステージに応じて学校において担うべき役割が異なることから,各段階に応じた資質能力を備えることが必要となる。以下,初任者の段階,中堅教員の段階,管理職の段階に分けて,それぞれの段階に必要な資質能力について検討する。

(1)  初任者の段階

 大学の教職課程で取得した基礎的,理論的内容と実践的指導力の基礎等を前提として,採用当初から教科指導,生徒指導等を著しい支障が生じることなく実践できる資質能力が必要であり,さらに,教科指導,生徒指導,学級経営等,教職一般について一通りの職務遂行能力が必要である。養護教諭については,心身の健康観察,救急処置,保健指導等児童・生徒の健康保持増進について,採用当初から実践できる資質能力が必要である。

(2)  中堅教員の段階

 学級担任,教科担任として相当の経験を積んだ時期であるが,特に,学級・学年運営,教科指導,生徒指導等の在り方に関して広い視野に立った力量の向上が必要である。また,学校において,主任等学校運営上重要な役割を担ったり,若手教員への助言・援助など指導的役割が期待されることから,より一層職務に関する専門知識や幅広い教養を身に付けるとともに,学校運営に積極的に参加していくことができるよう企画立案,事務処理等の資質能力が必要である。養護教諭については,保健室経営の在り方,学校保健の推進等に関して広い視野に立った力量の向上が必要である。

(3)  管理職の段階

 地域や子どもの状況を踏まえた創意工夫を凝らした教育活動を展開するため,教育に関する理念や識見を有し,地域や学校の状況・課題を的確に把握しながら,学校の目標を提示し,その目標達成に向けて教職員の意欲を引き出すなどのリーダーシップを発揮するとともに,関係機関等との連携・折衝を適切に行い,組織的,機動的な学校運営を行うことのできる資質を備え,また,学校運営全体を視野に入れた総合的な事務処理を推進するマネジメント能力等の資質能力が必要である。
 以上検討してきた教員に求められる資質能力を前提として,このような資質能力を備える教員を確保するため,今後どのように採用の改善を行い,また研修の見直しを行い,さらに大学と教育委員会等の連携方策の充実を図るべきか,以下それぞれについて検討することとしたい。

 教育職員養成審議会 「養成と採用・研修との連携の円滑化について」 第3次答申(平成11年12月10日)より


 

-- 登録:平成21年以前 --