【A21】
中等教育学校や併設型の中学校・高等学校に在学している生徒が,他の中学校や高等学校に転学又は編入学するなどの進路変更を希望する場合には,
〈1〉中等教育学校の前期課程及び併設型の中学校の段階では,当然,一般の中学校に転学できます。
〈2〉中等教育学校の後期課程の段階では,一般の高等学校へ編入学が可能です。なお,中等教育学校の前期課程を修了した者は,高等学校への入学資格があります。
また、併設型の高等学校からは、一般の高等学校に転学が可能です。
【A22】
中高一貫教育校は地域の実情や生徒・保護者のニーズを踏まえ,地方公共団体等の設置者の判断により設置されるものであり,具体的な設置に当たっては,おおむね以下のような手続が必要になります。
(1)中等教育学校の設置については,都道府県立の場合,〈1〉設置計画の策定,〈2〉設置条例の制定,〈3〉入学者選抜方法の決定が,また,市町村立の場合には,これらに加えて都道府県への設置認可申請及び都道府県からの設置認可が必要になります。
(注)〈 〉は都道府県立の場合の手続であり,《 》は市町村立の場合の手続である。
(2)併設型の中学校・高等学校については,都道府県立の場合,〈1〉設置計画の策定,〈2〉設置条例の制定,〈3〉併設型の教育課程の編成手続の定め,〈4〉入学者選抜方法の決定,〈5〉中学校と高等学校における教育課程の編成に係る協議,〈6〉教育課程の編成等が,また,市町村立の場合には,これらに加えて高等学校についての都道府県への設置認可申請及び都道府県からの設置認可が必要であるとともに,中学校については設置の届出が必要となります。なお,併設型の教育課程の編成手続を定める際には,教育委員会規則により,中学校及び高等学校においては,学校教育法第71条の規定により中高一貫教育を施すものである旨を明らかにするとともに,各学校においては学校間の事前の協議を経て教育課程を編成する旨を定めることが必要となります。
(注)1 教育委員会規則により,A中学校及びB高等学校は学校教育法第71条の規定により,中高一貫教育を施すものである旨を明らかにするとともに,各学校においては,学校間の協議を経て,教育課程を編成する旨を定める。
2 教育委員会規則の規定に基づき,A中学校及びB高等学校の間で協議を行った上で,各学校の校長がそれぞれ教育課程の編成を行う。
3 〈 〉は都道府県立の場合の手続であり,《 》は市町村立の場合の手続である。
(3)連携型の中学校・高等学校については,〈1〉設置者間における連携型の実施に関する協議,〈2〉連携型の教育課程の編成手続に係る定め,〈3〉高等学校の入学者選抜方法の決定,〈4〉中学校と高等学校における教育課程編成に係る協議,〈5〉教育課程の編成等が必要となります。なお,連携型中学校の設置者及び連携型高等学校の設置者は,それぞれの教育委員会規則等により,これらの学校が学校教育法施行規則第75条又は第87条の規定により中高一貫教育を施す旨を明らかにするとともに,各学校においては学校間の協議を経て教育課程を編成する旨を定めることが必要となります。また,連携型中学校及び連携型高等学校において教育課程を実施するに当たっては,例えば,連絡協議会など連携を確保するための方策等についても定めることが望まれます。
(注)1 中学校及び高等学校の設置者が同じである場合には,〈1〉の手続は必要ない。
2 教育委員会規則により,A中学校は学校教育法施行規則第75条の規定により中高一貫教育を施すものである旨を明らかにするとともに,A中学校においては,B高等学校との協議を経て教育課程を編成する旨を定める。
3 教育委員会規則により,B高等学校は学校教育法施行規則第87条の規定により,中高一貫教育を施すものである旨を明らかにするとともに,B高等学校においては,A中学校との協議を経て教育課程を編成する旨を定める。
4 教育委員会規則に基づき,教育課程の編成に際して,A中学校及びB高等学校の間で協議を行った上で,各学校の校長がそれぞれ教育課程の編成を行う。
なお,A中学校とB高等学校において教育課程を実施するに当たっては,例えば,教育委員会規則において連絡協議会を設けるなどの連携を確保するための方策についても定めることが望ましい。
私立の中高一貫教育校を新設する場合は,従来の高等学校,中学校等の新設と同様に所轄庁である都道府県知事の認可を受けることが必要です(既存の高等学校及び中学校を中等教育学校に転換する場合は,既存の高等学校及び中学校の廃止認可とともに,新たな中等教育学校の設置認可を行うことになります。)。 なお,既存の高等学校及び中学校が,併設型又は連携型の中高一貫教育校となるためには,教育課程及び入学に関する事項等,学則に必要な事項を定め,都道府県知事に学則変更の届出を行う必要があります。
【A23】
現在,公立の小学校・中学校については「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(以下「義務標準法」という。)によって,公立の高等学校については「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」(以下「高校標準法」という。)によって,それぞれ学級編制及び教職員定数の標準が定められています。
中等教育学校は,中学校段階の教育と高等学校段階の教育とを一貫して施すものですが,前期課程・後期課程においてそれぞれ中学校・高等学校と同様の目的及び目標の達成に努めるものであり,それぞれ従来の中学校・高等学校に相当するものです。
したがって,公立の中等教育学校の学級編制及び教職員定数については,義務標準法・高校標準法の改正により,前期課程については中学校と,後期課程については高等学校と同等の標準が定められています。
なお,教職員定数については,前期課程・後期課程をそれぞれ一つの学校とみなして義務標準法及び高校標準法を適用することとしていますが,校長及び養護教諭について以下のような調整措置を行うこととしています。
〈1〉中等教育学校に1人しか置かれない校長は,義務標準法に基づき中等教育学校に1人措置し,高校標準法では措置しない。
〈2〉養護教諭は基本的には義務標準法によって中学校と同等の定数のみを措置することとし,大規模校である場合(前期課程と後期課程を合わせて生徒の収容定員が801人以上)又は定時制課程を置く場合に高校標準法によって加算する。
(単位:人)
(注)義務標準法,高校標準法を参考に試算した教職員配置の例である。
事務:事務職員,養教:養護教諭,実助:実習助手
【A24】
都道府県立中等教育学校の場合には,その教職員の給与費等は学校経費の設置者負担の原則(学校教育法第5条)により,設置者である都道府県が負担することとなります。 他方,市町村立中等教育学校の場合には,前期課程に係る教職員の給与費等及び後期課程に置かれる定時制課程に係る教員の給与費等は,設置者負担の原則の例外として,市町村立学校職員給与負担法第1条及び第2条の規定により,市町村立の小・中学校等と同様に都道府県が負担することとなります。
また,都道府県立及び市町村立の中等教育学校の前期課程に係る教職員の給与費等については,義務教育費国庫負担法第2条により,従来の市町村立中学校の教職員の給与費等と同様に国庫負担の対象となります。
なお,同法により,都道府県が併設型の中学校を設置した場合も,その教職員の給与費等については国庫負担の対象となります。
【A25】
学校は一つの組織体であり,中等教育学校における前期課程・後期課程とは,教育課程の区分であって教職員組織の区分ではありません。したがって,中等教育学校の教職員は,中等教育学校全体の職務を遂行するものであり,前期課程・後期課程に区分して置かれるのではなく,一つの組織体である中等教育学校に置かれます。
各学校においては,校務すなわち学校としてなすべき仕事を適正かつ効果的に処理するため,各教職員が仕事を分担し,その仕事を一定の秩序の下に処理するため,校務分掌が整えられています。
中等教育学校においては,中学校教育と同様の「義務教育として行われる普通教育」と高等学校教育と同様の「高度な普通教育及び専門教育」を一貫して施すことを目的とするもので,それぞれの課程で完結した教育を施すものではなく,6年間の一貫した教育課程により,全体として特色ある教育課程を編成するものです。
したがって,中等教育学校における校務分掌は,学校全体の連絡調整とは別に前期課程・後期課程を単位として校務を処理するよりは,むしろ学校全体を通じて主任等を位置づけ,学校全体として校務を処理していくことが適当であると考えます。
なお,中等教育学校には,学校教育法施行規則第113条の準用規定により,教務主任,学年主任,生徒指導主事,進路指導主事,保健主事,事務長を置くものとされ,更に後期課程には,学科主任(2以上の学科を置く場合),農場長(農業に関する専門教育を主とする学科を置く場合)を置くこととなっています。
ただし,公立学校の場合は,教職員定数の算定や給与費等の負担等の行財政措置について,前期課程と後期課程とで取扱いが異なることから,これらの措置を適切に講じるため,あらかじめその区分を明確にしておく必要があります。
したがって,一般的には,「○○中等教育学校の教諭」という職に任用するとともに,例えば,「給与の負担区分は前期課程(後期課程)とする。」との決定を行うことが適当であると考えています。
便宜上個々の教職員が前期課程・後期課程のいずれの行財政上の区分に属するかについては,実際の職務内容に照らして,主に前期課程を担当する者と主に後期課程を担当する者とに区分することになります。例えば,それぞれの職に係る区分の標準については,次のように考えられます。
〈1〉教頭…担当する校務の軽重(実際の職務上の役割分担)
〈2〉教諭・助教諭・講師…持ち時間数の多寡(生徒指導担当など授業時数が限定される場合は,持ち時間数と担当する校務の軽重を総合して判断)
〈3〉養護教諭・養護助教諭…担当する校務の軽重(実際の職務上の役割分担)
〈4〉事務職員…担当する校務の軽重(実際の職務上の役割分担)
また,
〈1〉校長は各学校に1人しか置かれない(給与負担,定数算定上は前記課程に区分する)
〈2〉実習助手は後期課程に置かれる職である
〈3〉学校栄養職員は前期課程に置かれる職である
ことから,これらの職については改めて行財政上の区分を行う必要はありません。
なお,これらの区分はあくまで行財政措置を適正に行うために便宜上区分するもので あり,この区分が個々の教職員の校務分掌に影響を及ぼすものではありません。
初等中等教育局参事官(高等学校担当)付
-- 登録:平成24年02月 --