【A14】
中高一貫教育校にどのような学科を設けるか,さらには,どのような特色を持つ教育内容にするかは,各設置者の判断によります。いずれにしても,6年間の学校生活の中で,計画的・継続的な教育指導を展開し,生徒の個性や創造性を伸ばすという,中高一貫教育の趣旨を踏まえた特色あるものにしていくことが期待されます。
このため,中高一貫教育校においては,特色ある教育課程を編成することができるよう,教育課程の基準の特例を設けています。詳しくはQ15を御参照ください。
なお,中高一貫教育校における教育の例として,例えば次のような例が考えられます。
<1>普通科タイプ:複数のコースを設け,様々な選択を可能とするものや,比較的小規模の中学校と高等学校が一体化し,幅広い年齢層を通じた生徒間交流により学校の活性化を目指すもの。
<2>専門学科タイプ:芸術・スポーツ・伝統文化・外国語等の専門的分野に興味・関心・才能を有する生徒に対し,6年間の計画的・継続的な教育を行うもの。
<3>総合学科タイプ:複数の系列を設け,その中から生徒が能力・適性や興味・関心に応じて主体的に選択できるもの。
【A15】
中等教育学校及び併設型中高一貫教育校における教育課程の基準については,前期課程及び併設型中学校は中学校の,後期課程及び併設型高等学校は高等学校の教育課程の基準を準用しつつ,中高一貫教育の利点を生かして6年間を通じた特色あるカリキュラムを編成することができるよう,以下のような特例措置を設けているところです。
<1>中等教育学校前期課程及び併設型中学校については,各学年において各教科の授業時数を70単位時間の範囲内で減じ,当該教科の内容を代替できる内容の選択教科の授業時数に充てることができること。ただし,各学年において,各教科の授業時数から減ずる授業時数は,一教科当たり35単位時間までが限度となっていること。
<2>中等教育学校後期課程及び併設型高等学校については,普通科における学校設定教科・科目について,卒業に必要な修得単位数に含めることができる単位数の上限を20単位から36単位に拡大することができること。
<3>中等教育学校前期課程及び併設型中学校と中等教育学校後期課程及び併設型高等学校における指導の内容については,各教科や各教科に属する科目の内容のうち相互に関連するものの一部を入替えて指導することができること。
<4>中等教育学校前期課程及び併設型中学校における指導の内容の一部については,中等教育学校後期課程及び併設型高等学校における指導の内容に移行して指導することができること。
<5>中等教育学校後期課程及び併設型高等学校における指導内容の一部については,中等教育学校前期課程及び併設型中学校における指導の内容に移行して指導することができること。この場合においては,中等教育学校後期課程及び併設型高等学校において,当該移行した指導の内容について再度指導しないことができること。
<6>中等教育学校前期課程及び併設型中学校における各教科の内容のうち特定の学年において指導することとされているものの一部を他の学年における指導の内容に移行することができること。この場合においては,当該特定の学年において移行した指導の内容について再度指導しないことができること。
なお,これらの特例を活用した教育課程を編成・実施する際には,以下の点に配慮する必要があります。
<1>学習内容の系統性に留意し,学年ごとの各教科等の目標が概ね達成されるとともに,学習指導要領の内容のうち,6年間で指導しない内容が生じることのないよう留意し,各学校段階の教育目標が6年間の教育課程全体の中で確実に達成されるようにすること。
<2>生徒の転校や進路変更等に際しては,転校先や進学先の学校における教育課程の実施に支障が生じることのないよう,必要に応じ,当該生徒に対する個別の補充指導を行うなど十分な配慮を行うこと。
<3>本特例は,中高一貫教育校としての特長を最大限生かし,6年間の見通しを立てた教育課程を編成・実施することを目的とするものであり、この趣旨を踏まえ,各学校における教育課程の編成・実施に当たっては,生徒に過重な負担をかけるものとならないよう十分に配慮するなど,適切に教育課程を編成・実施すること。
連携型中高一貫教育校においても,中高一貫教育の特質を生かした特色ある教育課程の編成・実施が可能となるよう,次の事項について教育課程の基準の特例が設けられています。
<1>連携型中学校において,必修教科の授業時数を減じ,当該必修教科の内容を代替できる内容の選択教科の授業時数の増加に充てることができること。
<2>連携型高等学校普通科における学校設定教科・科目について,卒業に必要な修得単位数に含めることができる単位数の上限を20単位から36単位に拡大すること。
【A16】
連携型高等学校においては連携型中学校の生徒についても入学者選抜の対象とすることとしています。中等教育学校や併設型の中高一貫教育と異なり,生徒は必ずしも6年間の一貫教育を受け入れられることを保証されていないため,中学校と高等学校の指導内容の入替え等は制度化していません。
【A17】
高等学校における指導の内容の一部を中学校へ移行した場合,移行した内容について高等学校の単位数を減じ,高等学校で再度指導しないことが可能です。その際,中学校においては,移行した指導の内容について確実に指導できるよう,生徒の理解に必要な指導時間を十分に確保することが求められます。
一方,中学校から高等学校に後送りした場合には,中学校の教育目標を教育課程全体の中で確実に達成する視点から,中学校における各学年の各教科等の標準授業時数を下回って教育課程を編成することはできません。
なお,中等教育学校についても同様の考え方です。
【A18】
指導内容の移行により中学校で高等学校の内容を指導し,高等学校で再度指導しない場合,評価については,高等学校学習指導要領に示す目標・内容に照らして評価規準を作成するなどにより,中学校における学習として適切に評価を実施することが求められます。
また,この場合,指導要録には,例えば特記事項として高等学校の内容を履修していることを明記するなど,特例を活用して指導内容を移行したことがわかるように記載することが求められます。
なお,中等教育学校についても同様の考え方です。
【A19】
高等学校においては,中学校へ移行した指導内容に相当する単位数を減ずることによって生じた時間を活用して,より発展的な内容の指導を行ったり,丁寧な指導を行ったりするなど,各学校の特色を生かした教育課程をより柔軟に編成することが考えられます(他の教科や特色ある学校設定教科・科目に当てることも可能)。
なお,中等教育学校についても同様の考え方です。
【A20】
併設型中学校からの進学者と高校からの入学者との学習進度が異なる場合は、個別に配慮する必要がありますが、両者を同一のクラスに編成することは特段問題ありません。
初等中等教育局参事官(高等学校担当)付
-- 登録:平成24年02月 --