科学的リテラシーとは、「自然界及び人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力」である。
初等中等教育段階における児童・生徒の算数・数学及び理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定し、各国の教育制度、カリキュラム、指導方法、教員の資質、児童・生徒の学習環境条件等の諸要因との関係を明らかにする。
2000年及び2003年調査の正答率を基にして分析すると、全般的にはOECD平均を上回っているが、特に、科学的プロセスにおいては、「科学的証拠と結果の解釈」に、出題形式においては「論述形式」に課題がある。
合計 | 科学的プロセス | |||
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現象の記述・説明・予測 | 科学的探究の理解 | 科学的証拠と結果の解釈 | ||
全体問題数 | 25 | 10 | 7 | 8 |
経年変化で正答率が下がった問題数 | 15 | 6 | 4 | 5 |
%(当該問題数/全体問題数) | 60.0% | 60.0% | 57.1% | 62.5% |
上記のうち前回との差が5%以上の問題数 | 7 | 1 | 2 | 4 |
%(当該問題数/全体問題数) | 28.0% | 10.0% | 28.6% | 50.0% |
OECD平均より正答率が低い問題数 | 3 | 0 | 1 | 2 |
%(当該問題数/全体問題数) | 12.0% | 0.0% | 20.0% | 25.0% |
上記のうちOECD平均との差が5%以上の問題数 | 3 | 0 | 1 | 2 |
%(当該問題数/全体問題数) | 12.0% | 0.0% | 20.0% | 25.0% |
合計 | 出題形式 | ||||
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選択形式 | 複合的選択形式 | 求答形式 | 論述形式 | ||
全体問題数 | 25 | 11 | 5 | 1 | 8 |
経年変化で正答率が下がった問題数 | 15 | 7 | 0 | 0 | 8 |
%(当該問題数/全体問題数) | 60.0% | 63.6% | 0.0% | 0.0% | 100% |
上記のうち前回との差が5%以上の問題数 | 7 | 3 | 0 | 0 | 4 |
%(当該問題数/全体問題数) | 28.0% | 27.3% | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
OECD平均より正答率が低い問題数 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 |
%(当該問題数/全体問題数) | 12.0% | 9.1% | 20.0% | 0.0% | 12.5% |
上記のうちOECD平均との差が5%以上の問題数 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 |
%(当該問題数/全体問題数) | 12.0% | 9.1% | 20.0% | 0.0% | 12.5% |
2003年調査の平均得点を前回(小学校については1995年調査、中学校については1999年調査)と比較すると、小学校4年の理科については有意に低下している。また、同一問題の正答率については、中学校2年の理科については有意に低下している。
2003年調査の国際報告書で内容が公開された問題16問のうち、小学校4年で2問、中学校2年で2問、国際平均値を下回っている。
国/地域 | 2003年 | 1995年 | 差 |
---|---|---|---|
日本 | 543 | 553 | -10 |
国際平均値 | 489 | 514 | -25 |
国/地域 | 2003年 | 1999年 | 差 |
---|---|---|---|
日本 | 552 | 550 | 3 |
国際平均値 | 474 | 488 | -14 |
国/地域 | 理科問題数32題 | ||
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2003年 | 1995年 | 差 | |
日本 | 79.3 | 79.7 | -0.4 |
国際平均値 | 75.4 | 73.6 | 1.8 |
国/地域 | 理科問題数74題 | ||
---|---|---|---|
2003年 | 1999年 | 差 | |
日本 | 61 | 63 | -2 |
国際平均値 | 52 | 52 | 0 |
問題数 | 国際平均値を上回った問題数 | 国際平均値を下回った問題数 | 下回った問題の出題形式 | |
---|---|---|---|---|
公表問題 | 8 | 6 | 2 | 選択肢2題 |
うち同一問題 | 1 | 0 | 1 | 選択肢1題 |
問題数 | 国際平均値を上回った問題数 | 国際平均値を下回った問題数 | 下回った問題の出題形式 | |
---|---|---|---|---|
公表問題 | 8 | 6 | 2 | 自由記述2題 |
うち同一問題 | 3 | 3 | 0 | - |
※ 国際平均値を下回った問題には、小学校4年の問題例5「ロウソクの消える様子」(燃焼)、問題例8「積み木の質量」(重さ)など日常生活と関連の深い問題が目についた。
今回の調査結果について,科学的プロセス別にみると「科学的証拠と結果の解釈」,出題形式別にみると「論述形式」に課題がみられた。このことを改善するためには,科学的に解釈する力や表現する力を育成することが重要である。例えば,観察・実験において,結果を整理して科学的に解釈し,考察するとともに図やモデルなどを使って別の角度から考えることが大切である。また,これらについての自分の考えをまとめ表現するといった学習活動が求められる。
特に,観察・実験を探究的に行う中で,自分の予想や仮説,その検証方法や結果,考察等を自分なりにまとめ表現する経験を積むことが大切であり,こうしたねらいを明確にした上で,観察・実験などの活動を年間指導計画の中に位置付け指導する必要がある。
PISAの問題に取り上げられる題材は,「クローニング」,「オゾン」など現代社会がかかえる課題や「昼間の時間」など日常生活に見られる自然事象と関連しているものが多い。教科で学習した範囲を超えたことを扱った文章や資料から,これまでに身に付けた知識や技能をもとに,自分なりに考察,判断し,結論を導き,それらを表現していくことが求められている。このような内容については,他の教科や総合的な学習の時間との関連を図ることが重要である。関連を意識しながら授業展開することで,生徒の思考がより多角的になっていくことが期待される。なお,TIMSSにおいて,公開された問題のうち国際平均値を下回ったものの中にも,日常生活との関連が深い問題が見受けられる。
初等中等教育局教育課程課
-- 登録:平成21年以前 --