全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒](上段)と全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営](下段)を併せて見た例

資料3

事例3-1

1特徴

 教科学力及び児童生徒の学習状況に関し、すべての質問領域のスコアが平均を上回っている。一方で、学校運営に関する質問領域では、教科に関する指導や地域の人材・施設の活用のスコアは高いが、教員研修や学校評価、個に応じた指導に関するスコアは平均並かやや低くなっている。

2現状把握

 結果チャート[児童]は全体的に高いレベルでバランスがとれている学校である。
 結果チャート[学校運営]を重ね合わせて見てみると、「学力向上に向けた取組」と「個に応じた指導」が平均程度、「学校評価」と「教員研修」に関わる取組が平均未満となっている。

3授業・学校運営改善のポイント

 結果チャート[児童]から見る限りにおいては、大きな課題は見られないが、家庭での学習習慣のスコアから他の領域に比べてさらに取組を進める余地が見られる。
 一層の学力向上を図るためには、宿題や予習・復習の習慣をより多くの児童に身につけさせるための取組を進めることが考えられる。
 また、この学校の結果チャート[学校運営]ではスコアが低い項目があることから、学校の取組だけでなく地域や家庭における教育が児童の学力・学習状況の高さにつながっていることが考えられる。「教員研修」に更に取り組む余地が見られるので、新しい教育課題をとらえるために教職員を外部研修に出す機会を与えるなど、教員研修を充実させることにより、教育内容の一層の充実を図ることも大切であると考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-1
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-1

事例3-2

1特徴

 国語A、算数Bと総合的な学習の時間の関心等と自尊感情、豊かな体験においてスコアが高くなっている。
 また、学校運営では、学校評価や地域の人材・施設の活用、児童の状況のスコアが比較的高くなっている。

2状況把握

 この学校では、総合的な学習の時間の成果が突出して高く、児童の自尊感情も高くなっている。
 それ以外にも、算数の関心が高いことは学校運営において算数の指導の取組のスコアが比較的高いこと、豊かな体験のスコアが高いことは学校運営において地域の人材活用がなされていることと関係があることが考えられる。
 しかし、児童の生活・学習習慣については、スコアが平均より低く課題が見られる。

3授業・学校運営改善のポイント

 児童の学習への関心は高いので、その長所や自尊感情の高さを失うことなく、生活・学習習慣を定着させることにより、更なる教科学力の向上を目指すことが大切である。
 この学校では、国語・算数においてA問題とB問題の得点に差が見られる。
 例えば、国語Bで出題されている言語活動や言語事項に関する知識・技能を活用する力を伸ばすため、算数の指導で活用の力を伸ばした経験やノウハウも参考にしつつ、国語の指導において一層の指導の工夫を図ることが考えられる。
 また、算数においては、算数Aのスコアが低いことから、スコアが低い学力向上の取組や学習習慣の定着を図っていく中で、基礎・基本となる知識・技能を身につけさせることが重要と考えられる。
 これらの取組を進めるにあたっては、基礎・基本となる知識・技能の定着と活用の力をバランス良く育成することが、児童の学力を一層向上させる上で大切であると考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-2
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-2

事例3-3

1特徴

 教科学力で成果をあげているのに比較して、児童の学習状況に関する質問領域には課題が見られる。
 学校運営に関する質問領域では、算数の指導に対する取組や学校評価、地域の人材・施設の活用に関するスコアが高くなっているが、教員研修や学力向上の取組、児童の状況に関するスコアが低く、課題が見られる。

2現状把握

 教科学力のスコアにおいては、国語と算数の両教科について、A問題でもB問題でも、バランスよく高い水準にあることから、基礎的な知識・技能の学びと活用に関する学びのバランスがとれているといえる。
 また、高いスコアを示している教科指導に関する学校の取組だけでなく、学校評価と地域の人材・施設の活用のスコアも高いことから、地域や家庭の協力もあり、児童の教科学力が高まっていることが考えられる。

3授業・学校運営改善のポイント

 課題が見られた児童の関心や自尊感情・規範意識、学習習慣・生活習慣等の改善に取り組むことが必要であると考えられる。
 特に児童の学習習慣と生活習慣のスコアが低いため、まずこの改善に取組むことが大切である。その上で、学習意欲を喚起するため、授業における教材や活動を工夫することなどが有効な手段として考えられる。
 また、スコアの低い教員研修について、校内外の研修などの取組を一層充実することにより、教員の教科指導や生活指導などの力を伸ばし、児童の学力や学習意欲の一層の向上や学習習慣の確立につながることが期待される。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-3
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-3

事例3-4

1特徴

 教科学力のスコアが低いのに対して、豊かな体験、学習習慣、生活習慣、規範意識、自尊感情、教員研修などにおいてはスコアが高くなっている。

2現状把握

 この結果チャート[児童生徒]からは、教科学力とそれ以外の質問領域のスコアの間に、大きな乖離がみられる。また、結果チャート[学校運営]では、教員研修と児童の状況のスコアは比較的高いが、それ以外の質問領域のスコアが低く、課題が見られる。ただし、学習習慣や生活習慣には成果も見られるので、学校運営の状況が改善していけば、学力が向上することが考えられる。

3授業・学校運営改善のポイント

 結果チャート[児童]を見ると、すでに児童の豊かな体験、学習習慣、生活習慣、規範意識・自尊感情が形成されているので、児童の学力向上に向けた授業改善などの取組により、児童の学力向上が実現しやすい状況にあると考えられる。
 このような学校では、まず、低いスコアとなっている児童の教科学力を向上させるための授業改善に取り組むことが大切である。
 そのため、スコアの低い教科指導における工夫を図ったり、学力向上に向けた取組を進めたりすることが重要である。
 また、この学校では、教員研修は充実している傾向が見られるため、今後、校外の研修を活用して最新の知見を取り込むとともに、校内研修において、その研究テーマを明確にし、内容を工夫することで、教員の授業を行う技能を向上することが、授業改善を図る上で有効な手段と考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-4
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-4

事例3-5

1特徴

 国語と算数のA問題において一定の成果が見られるが、児童の学習状況についてのスコアは低く、課題のある質問領域が多く見られる。
 学校運営では、教科指導に関する質問領域や地域の人材・施設の活用のスコアが平均を下回っている。

2現状把握

 基礎的な学力と算数における関心等については一定の成果をあげているが、特に児童の状況に課題が多いと考えられる。また、教科学力についてはこれまでの学校の取組により、基礎・基本となる知識・技能は定着しているが、活用に関する力には課題が見られる。
 また、学校評価のスコアは高く取組が進んでいると考えられるが、個に応じた指導や地域の人材・施設の活用、学力向上の取組のスコアが低く、課題が見られる。

3授業・学校運営改善のポイント

 この学校は、教科の基礎的な学力において一定の成果を上げているが、児童の知識・技能を活用する力を伸ばす必要がある。また、教師の取組としては、教科指導に関する領域は平均程度であるが、個に応じた指導については低くなっている。このため、活用する力を伸ばすための指導方法を工夫して授業に取り入れるなどの授業改善を行うことや、地域の人材・施設を活用した取組を充実させることが考えられる。その際には、児童の基本的な知識・技能を定着させるための取組と活用する力を伸ばすための取組にバランス良く取り組むことが、児童の学力向上を図る上で大切であると考えられる。
 さらに、児童の生活・学習習慣や、規範意識、自尊感情に大きな課題が見られることから、生活・学習習慣の改善や児童の状況の改善を図ることが重要であり、そのために、家庭との連携のもと、学校全体として改善に向けて取り組むことが必要であると考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-5
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-5

事例3-6

1特徴

 教科学力は概ね平均的な状況であるが、算数Bのスコアは高くなっている。また、児童の学習に対する関心・意欲・態度や自尊意識、生活習慣などのスコアは非常に高くなっている。学校運営では、算数の指導のスコアが高くなっており、その他の質問領域のスコアは概ね平均的である。

2現状把握

 教科学力が平均的にバランスがとれている状況の中で、児童の学習状況にも良好な傾向が見られる。一方で、学校運営は概ね平均的な状況にあることがうかがえ、学校の取組の改善により、学力向上につながる可能性があると考えられる。

3授業・学校運営改善のポイント

 この学校の結果チャート[学校運営]を重ね合わせて見ると、算数の指導においては指導方法を工夫している状況が見られ、算数Bのスコアが高いという成果につながっていると見られる。しかし、その他の学校運営にかかる質問領域のスコアは、全体的に平均的な状況にあり、教員研修や学校評価については十分な取組が行われていないと考えられるので、今後、学校運営の取組について一層の改善を図ることにより、児童の学力の更なる向上が期待される。
 また、このような学校は、結果チャート[児童]から見ると、児童の関心・意欲・態度、規範意識、生活・学習習慣などは充実しているため、学校の取組の成果が出やすいことが考えられる。
 そのため、全教職員が学力向上という共通の目標を持ち、成果が見られた算数の指導における経験・ノウハウを校内研修で共有することなどにより、授業改善に取り組むことが有効な手段として考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-6
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-6

事例3-7

1特徴

 生徒の学習状況と教科学力は全体として平均的な傾向にあるが、学習習慣と豊かな体験のスコアは高くなっている。
 また、学校運営に関する質問領域のスコアについては、全体的に高い傾向が見られる。

2現状把握

 教科学力は、国語・数学ともに平均的なスコアを示しており、学習習慣も身についているが、生活習慣などに課題が見られる。

3授業・学校運営改善のポイント

 学校運営については、比較的充実している質問領域が見られ、特に学力向上の取組に力を入れている。その取組が学習習慣や豊かな体験のスコアの高さにつながっているものと考えられる。他に比べて低いスコアとなっている生活習慣の改善にしっかりと取り組むことによって、学力の向上につながる可能性があると考えられる。
 一般的に、中学生になると生活習慣を改善することが難しくなる傾向があるため、学校において、家庭や地域とも連携しつつ、生徒の生活習慣の改善に取り組むことが重要である。
 また、学校の取組についても、その内容を見直すことにより、生徒の学力向上につながる可能性がある。そのため、各教科の一層の授業改善によって学習意欲の向上を図ることや、指導にあたって多様な学び方を習得させるよう努めることなどが有効な手段として考えられる。また、数学においては、問題Aは比較的高いスコアとなっているが、問題Bのスコアが低いことから、活用する力を伸ばすための指導の工夫を行うことが重要であると考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-7
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-7

事例3-8

1特徴

 数学への関心等、規範意識、豊かな体験のスコアについて平均的な状況にあるが、全体としてスコアの低い質問領域が多い。学校運営についても、生徒の状況のスコアは平均的だが、その他の質問領域のスコアは比較的低い傾向にある

2現状把握

 全体として、スコアの低い質問領域が多く、学校の運営と生徒の学力・学習状況の両方に課題が見られる一方で、規範意識、生徒の状況などの質問領域については、平均的なスコアであり、生徒の規範意識等の高さを維持・向上しつつ、比較的低い学習習慣と生活習慣の確立や自尊意識の向上を図ることが必要と考えられる。

3授業・学校運営改善のポイント

 学習習慣と生活習慣の確立が、学力向上において大変重要であり、まず、保護者や地域との連携の下、全教職員で生徒の学習習慣と生活習慣の改善に取り組むことが重要と考えられる。
 その際には、教科担当のみならず学級担任を含むすべての教職員が、現状の認識を共有し、協力して改善に向けた方策を考え、実行していくことが重要であると考えられる。
 その上で、スコアの低い教員研修などを充実するとともに、指導方法の工夫・改善に取り組むことなどにより、学校全体として教科の指導の改善に取り組んでいくことが、学力や学習意欲を向上させるために有効な手段と考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-8
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-8

事例3-9

1特徴

 国語A・B、算数Aの教科学力のスコアと国語の指導、学力向上の取組や学校評価のスコアが比較的高いが、児童の学習に対する関心等や学習習慣・生活習慣、児童の状況や算数の指導等のスコアが比較的低くなっている。

2現状把握

 国語については、教科指導の取組が進んでおり、教科学力のスコアについても高い傾向が見られる。
 一方で、算数については指導の取組状況のスコアが低く、また、算数Bのスコアも低くなっており、児童の学力と学校の教科指導の取組とも教科の偏りが見られる。
 また、児童の教科に関する関心、生活・学習習慣、自尊感情・規範意識や児童の状況に課題が見られる。

3授業・学校運営改善のポイント

 国語のB問題においても、かなりの成果をあげていることから、この学校では必ずしも基礎学力に限定した授業を行っているわけではないことが分かる。したがって、算数の授業においても、基礎学力の定着を図るとともに、知識・技能を活用する力を育てる工夫を取り入れることによって、学力がバランスよく高まる可能性がある。
 また、教科指導だけでなく、総合的な学習の時間の充実や、地域や家庭と協力した生活・学習習慣の見直し、さらには、規範意識や自尊感情の育成などに取り組むことが重要と考えられる。
 教員相互の協力が少ない場合などに、今回の結果チャートに見られるように、学級担任の得意な分野や一定の教科の指導に重点が偏ることが考えられる。教員研修の取組に改善の余地があると考えられることからも、今後、国語の指導における経験・ノウハウも生かしつつ、校内研究授業などを通して学校内の様々な教員と広く意見交換できる校内教員研修の場づくりや校外研修を活用するなど、教員研修の充実を図ることが有効と考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-9
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-9

事例3-10

1特徴

 生徒の学力・学習状況のスコアは低いが、個に応じた指導や教員研修、学校評価、人材・施設活用のスコアが高くなっている。

2現状把握

 2つの結果チャートから、学校として学力向上のために様々な取組を進めているが、教科学力のスコアは比較的低い状況が見られる。
 また、生徒の学習状況、特に生徒の規範意識や生活習慣に課題がある。さらに、教科指導のスコアは低く、教科指導の工夫は進んでいない状況が見られる。

3授業・学校運営改善のポイント

 結果チャート[学校運営]における生徒の状況と、結果チャート[生徒]の規範意識、生活習慣のスコアが特に低いことから、まず、授業中の生徒の落ち着きや集中力を回復させるために、指導方法を工夫して授業改善を行うとともに、生徒の生活・学習習慣の見直しを図ることが重要と考えられる。私語が少ないなど、生徒が学びに集中できるようになり、生活習慣・学習習慣の改善が進んだところで、生徒の学習意欲を高める教材や活動の工夫をするなど教科の授業改善に取組むことが有効と考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-10
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-10

事例3-11

1特徴

 豊かな体験のスコアは比較的高くなっているが、教科学力やその他の生徒の学習状況のスコアは低い傾向が見られ、特に自尊感情や規範意識、学習習慣のスコアが低くなっている。また、学校運営については、生徒の状況と学校評価のスコアは比較的高くなっているが、教員研修と学力向上の取組のスコアが低くなっている。

2現状把握

 この結果チャート[生徒]からは、生徒の学力・学習状況の改善、特に学習習慣・生活習慣、自尊感情や規範意識において課題が見られる。結果チャート[学校運営]からは、教科指導に関するスコアが平均的だが、教員研修や学力向上の取組のスコアが低いことから、教科指導の工夫は一定程度進んでいるが、教員研修は進んでいない状況がうかがえる。また、学校における生徒の状況のスコアが比較的高く、授業での生徒の状況についての課題は少ない状況もうかがえる。なお、学校評価のスコアについては高くなっている。

3授業・学校運営改善のポイント

 この学校では、学校評価は進んでいるが、教員研修や学力向上の取組など教職員による組織的な取組に課題が見られる。まず、校内での教員研修の機会を増やすなどして、学級と教科の担任だけでなく、すべての教員が目標を共有し、共通の認識の下、生徒の学力・学習状況を改善するための方策を検討・実施する体制を作ることが有効であると考えられる。併せて、特に課題が見られる生徒の生活・学習習慣の見直しや、自尊感情・規範意識の改善に取り組むことが重要と考えられる。その上で、教員研修を通じてノウハウや経験を共有化し、教科の授業について一層の工夫・改善を図ることにより、教科への関心等を高めつつ、学力の一層の向上に取り組むことが重要と考えられる。

全国学力・学習状況調査結果チャート[児童生徒]事例3-11
全国学力・学習状況調査結果チャート[学校運営]事例3-11

-- 登録:平成21年以前 --