はしがき

 文部科学省は、平成19年4月、小学校第6学年及び中学校第3学年の全児童生徒を対象に、全国規模の悉皆調査としては43年ぶりに、「平成19年度全国学力・学習状況調査」を実施しました。
 本調査は、1全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力・学習状況等を把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ること、2各教育委員会、学校等が全国的な状況との関連において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図り、併せて児童生徒一人一人の学習改善や学習意欲の向上につなげることを目的としています。

 これらの調査の目的を踏まえ、全国各地における全国学力・学習状況調査の結果を活用し、教育や教育施策等の改善につなげる取組を積極的に支援するとともに、その成果の普及展開を図るため、平成19年度事業として「学力調査の結果に基づく検証改善サイクルの確立に向けた実践研究」を実施しました。
 この実践研究事業は、1都道府県・指定都市ごとに設けられた「検証改善委員会」において、全国学力・学習状況調査の結果等の詳細な分析とその分析結果を踏まえた改善方策等の提言である「学校改善支援プラン」の作成等を行う事業(「学校改善支援プラン作成等事業」)、2学校改善支援プランに基づく学校改善に向けた取組を先行的に実施し、早期に具体的な取組につなげる等のための公募事業(「学校改善支援促進事業」)の2つの枠組みで行いました。

 本報告書は、各検証改善委員会等のご協力をいただき、これらの実践研究事業を概括し、実践研究の実施主体である検証改善委員会の体制から、全国学力・学習状況調査の分析結果と多面的な分析・検証の工夫の状況、学校改善支援プランにおける改善に向けた提言の内容とその取組状況、学校改善支援促進事業で行われた主な取組の内容など、検証改善委員会における取組の概略等について掲載したものです。
 各教育委員会や学校等におかれては、本報告書を活用して多種多様な取組の状況を俯瞰する中から、今後の改善に向けた取組のヒントを得たり、自らの状況と類似する事例を見出し、お互いに情報を交換すること等により取組の一層の推進を図るなど、それぞれの教育や教育施策の改善に積極的につなげていただくことを期待します。

 文部科学省としては、今後とも教育委員会、学校等における全国学力・学習状況調査の調査結果等を活用した改善に向けた取組を支援・推進していくこととしており、その一環として、平成20年度においては、本事業で作成された学校改善支援プラン等を踏まえ、全国学力・学習状況調査等の結果から、学力や学習状況等に課題の見られる学校の改善に向けた具体的な取組に関する実践研究を実施することとしています。

 最後に、本実践研究事業の実施に当たりご尽力、ご協力いただきました検証改善委員会、教育委員会、学校等の関係者の皆様に心から御礼申し上げます。

平成20年6月
文部科学省初等中等教育局
教育水準向上PT総括リーダー
藤野 公之

-- 登録:平成21年以前 --