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庄司 一幸さん(読書コミュニティネットワーク代表、 福島県立あさか開成高校教諭)

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『後世への最大遺物』
 内村鑑三 著
庄司 一幸さん
(読書コミュニティネットワーク代表、
福島県立あさか開成高校教諭)

 内村鑑三を知っていますか。内村鑑三は、明治時代にキリスト教的愛国心をもって生きた人です。「明治」という近代日本の建設期にあって、イエス(Jesus)と日本(Japan)という二つのJに生きました。
 君たちは日本の国をどのように思っていますか。日本に生まれてきてよかったと思っていますか。内村は、はじめは日本を無用の長物(あっても役に立たないもの)と思っていました。
 内村は札幌農学校で、「少年よ、大志を抱け」ということばで有名なウィリアム・スミス・クラークと出会い、キリスト教徒となりました。その内村が「日本」のために生きようと思ったのは、アメリカでの体験がきっかけでした。渡米する前は、アメリカは高貴で信仰熱心な清教徒の国というイメージを持っていました。しかし、実際に行ってみると、(彼の表現を借りれば)金がすべてという拝金主義が蔓延する人種的偏見に満ちた醜い国でした。この体験によって、内村は、祖国日本が世界と人類のために崇高な使命を課せられた存在であると考えたのです。24歳の時でした。
 内村は次のように言っています。「私どもにとりましては、愛すべき名としては天上天下ただ二つあるのみであります。その一つはイエスでありまして、その他のものは日本であります。」(「失望と希望」)
 君たちは、「なぜ生まれてきたのか」、「どうしてここにいるのか」、そんなことを考えたことがありますか。私は高校から大学時代に、そのことについて真剣に考え、答えを探し求めました。その時出会ったのが、内村鑑三の『後世への最大遺物』だったのです。この本を読んだ時、身震いするような感動が、全身をかけめぐったのを覚えています。自分の生涯を後に続く人たちへの贈り物とするという考えに共感し、勇気と希望を与えることができるような人生を送りたいと思うようになりました。
 この本は、1894(明治27)年7月、箱根、芦ノ湖畔で開かれた、第六回キリスト教徒夏期学校における講演の記録です。内村が君たちに呼びかけているように感じられる一冊です。このほか、内村の『余は如何にして基督信徒となりし乎』や『基督信徒のなぐさめ』なども、是非読んでください。

──子どもたちに対する読書メッセージ
 鋼鉄王といわれたカーネギーは、図書館での読書によって貧しさを克服しました。高校生は忙しいからといって本を読みません。しかし、高校時代こそ君たちが必要とする本と出会える好機なのです。一冊の本が君の人生を変えるかも知れません。
 
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-- 登録:平成21年以前 --