学校図書館

3.これからの学校図書館に求められる課題

1.子どもの読書活動のより一層の推進に向けた対応

○ 上記2.1のような状況を踏まえれば、学校教育における読書活動を今後さらに推進する上では、例えば次のような観点からの充実を図り、多様な読書活動の取組をより一層普及・定着させていくことが求められる。

※家庭や地域との連携等により、読書の習慣付けを図る取組を活性化させること。

※特に、中・高等学校において読書の楽しさを伝える効果的な指導・活動の手法(自ら図書館に足を運ぶ生徒だけでなく、すべての生徒に向けたアプローチ)を開発すること。

※読書の楽しさを知る児童生徒にも、さらに読書の幅を広げる指導を充実すること。

など

○ これらの課題に対しては、学校図書館やそのスタッフを有効に活用しながら、学校全体として組織的に取り組むことにより、的確に対応していく必要がある。

2.教科等の学習における活用促進に向けた対応

○ 上記2.2のような状況を踏まえ、教科等の学習における学校図書館の活用促進に向けて、次のような取組を進めていくことが求められる。

(1)授業における学校図書館の活用の拡大

○ 読解力の向上に向けた要請に応えるため、また、言語活動の充実を図ることとした新しい学習指導要領の趣旨を踏まえ、その適切な実施を進めるため、授業における学校図書館の活用を拡大していくことが重要となる。

○ 授業における学校図書館の活用については、教科書等によってもその活用の度合いに大きな差があるが、「言語活動の充実」は、各教科書等の指導全体を通じて推進していくものであり、従来から活用が進んでいる教科書等だけでなく、様々な教科書等における活用を促進していくことが必要である。

(2)教員サポート機能の発揮

○ 言語活動等以外の活動も含め、各教科等の授業を改善し、充実させる上で、学校図書館が教員サポート機能を発揮していくことは、特に大切である。

○ 学校図書館法による明確な位置付けにもかかわらず、教員のサポート機能については、これまで長年にわたり発揮されてこなかった実態があるが、その背景としては、以下のような事情もあったことも考えられる。

※学校図書館の蔵書整備においては、児童生徒用の読み物(とりわけ文学作品等)の購入が最優先され、教師用の指導資料や、授業研究のための文献資料等までは、整備が行き届かない現実があること。

※学校図書館法附則の規定により、本来置かれるべき司書教諭の配置が長年にわたり猶予された経緯があり、学校図書館を活用した教科等の指導内容・方法等について、他の教師に指導・助言できるような人材を、校内に得られなかったこと。

※教員の間で、自主性・主体性を尊重した指導の重要性に対する認識が十分に浸透せず、そのため、それぞれの教師自身も、学校図書館活用への意欲・動機付けに乏しいといった状況が、長くあったこと。

○ しかしながら、近年においては、1.学校図書館図書標準の達成を目指した計画的な地方財政措置や、2.12学級以上の全学校への司書教諭配置義務付けと未配置校における発令の促進、3.「生きる力」をはぐくむ教育についての理念の共有など、上記のような背景事情にも変化が生じており、各学校・教育委員会等の努力により、学校図書館の教員サポート機能を格段に向上させることが可能な状況となってきている。

○ 教育指導の専門職たる教員にとって、もとより情報資料等のサポート環境は不可欠であり、学校図書館においても、学校図書館法の規定に基づき、そのための相応の役割を果たしていくことが、当然に求められる。

○ また、とりわけ最近では、個々の教員の創意工夫による教育活動の充実がますます重要となる一方、それぞれの教員について見れば、その業務は一般に多忙となっており、子どもたちへの指導の準備に要する時間も含め、子どもと向き合う時間の確保に困難を抱えている実情がある。こうした中にあって、教員に最も身近な情報資料拠点である学校図書館を、教材研究や授業準備等の支援に有効に活用していけるようにすることは、もはや猶予を許されない課題であると考える。

○ 以上を踏まえ、学校図書館が本来有すべき教員サポート機能を発揮するよう、あらためて、必要な取組を促進していく必要がある。

3.多様な要請への対応

○ 上記2.3で見たように、学校図書館については、子どもの居場所づくりや地域住民への開放など、学校・地域の中で、当初の施設目的の範囲に止まらない新たなニーズが寄せられるようになっている。

○ 学校図書館が、図書資料を児童生徒や教員に利用させるという本来機能の向上に基本を置くことは当然であるが、さらに、これらのニーズに応えていくことで、子どもたちの学校生活の充実や、地域における読書活動等の活性化に貢献していくことも重要である。

○ 特に、学校図書館の地域開放については、その実施に当たり、児童生徒の本来利用を妨げないための配慮等が必要となるものの、適切な運営により、読書を通じた異年齢の子ども同士の交流や、大人との交流を促進できるなど、子どもの読書活動を充実させる上での効果も大いに期待できる。
 さらに、「地域開放型」の図書館と位置付けられることで、蔵書や人員等の整備が進めば、学校側にとっても、日常の指導においてこれを活用できるなど、大きなメリットがある。

○ 以上を踏まえ、学校図書館に対するこれらの要請に対しては、各学校・地域の実情に応じつつ積極的に対応していくことが、期待される。

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総合教育政策局地域学習推進課

(総合教育政策局地域学習推進課)

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