学校名 熊本県菊池市立泗水小学校
所在地 熊本県菊池市泗水町豊水3481
電話番号
0968-38-2028
「保護者や地域住民の意向を適切に反映させたコミュニティ・スクールの在り方」
平成17年1月県教育委員会より泗水町教育委員会に調査研究校として委嘱の打診。結果、泗水小学校、泗水中学校が引き受ける。
平成17年3月教育委員会において協議会委員の人選が行われる。
学識経験者1名、PTA2名、地域代表4名、保護者代表1名、教育委員会代表1名、学校3名、合計12名から構成された学校運営協議会を設置した。
学校運営協議会の役割は、学校運営の承認、人事、予算、学校裁量等であるが、実際には学校運営の承認のみを実施している。それというのも、唐突に任命された委員はコミュニティ・スクールそのものがよく理解されておらず、現在手探りの状況である。しかし、関わる中で地域の実態を見据えた上で、協力的な意識や活動が深まりつつある。中でも喜ばしいことは、学校に対する全面的な支援協力を得られていることと学校理解が深まったことである。人事に関しては教育委員会への具申を行っているが、公募等に関しては18年度の課題である。
第1回 | 6月下旬 | コミュニティスクールについての説明
本校における学校教育の方針についての承認 |
第2回 | 9月中旬 | 役員選出
教育課程についての承認 |
第3回 | 11月下旬 | 学校運営協議会の在り方
登下校の安全対策について |
第4回 | 1月中旬 | 小学校中学校合同運営協議会を開催
登下校の安全対策について(泗水町内) |
児童の学習、生活実態調査、保護者のニーズ調査、地域各種団体長によるニーズ、教職員フリーディスカッションを通して「こんな子どもを育てたい」「こんな学校にしたい」という願いを明らかにした。
(平成17年6月実施)
その結果から、本校におけるコミュニティの在り方を模索することにした。
本校、学校運営組織の3つのプロジェクトに関わるコミュニティボランティアの募集を保護者、地域を対象に行った。その結果、当初十数名の参加しか得られなかった。そこで、具体的な授業、事業を企画・実施するごとに保護者や地域の人に支援要請を行った結果、現在では300名を越えるコミュニティ・ボランティアの参加を得ている。中でも「学びコミュニティ」は各学年でそれを活用した授業が展開され軌道にのったところである。
〈各コミュニティ部におけるボランティアの活用状況〉
コミュニティ部 | 具体的な実践内容 | 連携 | 人数 | |
---|---|---|---|---|
しあわせP | 地域産業コミュニティ | もうもう探検(1年)、米づくり(5年) | 保護者、地域住民 | 80名 |
文化コミュニティ | 琴、お花、お茶(クラブ)、ふれあい体験、花房台飛行場跡調べ(4年) | NPO法人、地域住民 | 45名 | |
人権コミュニティ | 集会所学習(6年) | 地域住民 | 2名 | |
すこやかP | 生活・安全コミュニティ | 補導、防犯パトロール | 保護者、地域住民 | 100名 |
体づくりコミュニティ | 鍛錬遠足補助 | 保護者 | 40名 | |
保健・食育コミュニティ | 食に関する学習、歯の指導 | 栄養士、歯科医 | 2名 | |
いきいきP | 学びコミュニティ | 算数、社会、家庭科、保健等のAT | 保護者 | 45名 |
図書コミュニティ | 読み聞かせボランティア | 保護者、団体 | 20名 | |
国際理解コミュニティ | 異文化交流 | 保護者、団体 | 2名 | |
未来科学コミュニティ | 科学の実験 | 大学関係 | 3名 |
ア 研究指定を契機に、教育の近代化、新しいタイプの学校づくりという視点から、学校教育全体を根本から見直すよい機会となった。その結果、学校経営の明確なビジョンの確立、機能する校内運営組織のプロジェクト制の導入等を行うことができた。
イ 保護者や地域住民にゲスト・ティーチャーやアシスタント・ティーチャー、ふれあいボランティアなどの教育支援ボランティアとして参加してもらった。その結果、子どもたちに細やかな指導が行き届き、わかる喜びや学ぶ楽しさを感じ取っていた。子どもの学びの姿が変容してきた。
ウ しあわせプロジェクトでは、地域産業の教材化や地域産業に関する人材発掘が行われ、生活科や総合的な学習の時間における体験学習の内容等が充実してきた。また、「泗水小瞳かがやきフェスタ」でのふれあいタイムの取り組みを通して、地域人材の掘り起こしができた。また、伝承遊びなどの地域文化を媒介としてのふれ合いを通して、地域について知りたいと思ったり、人とのふれ合いを楽しんだりする豊かな心を持った児童の育成につながっている。
エ すこやかプロジェクトでは、健康・食育コミュニティの取り組みにおいて、栄養士をG・Tとして招いた食育に取り組む学年が多く、家庭での食生活や給食に対する理解が深まっている。また、生活・安全コミュニティでは、交通安全パトロールやパトロールボランティアの募集などの取り組みを通して、家庭や地域と協力した児童の安全確保の取り組みができている。
オ いきいきプロジェクトでは、学びコミュニティの活動として、アシスタント・ティーチャーの協力を仰ぎ、児童に力をつける取り組みが充実してきた。単元のまとめや「算数まつり」といった、反復練習の時間などにアシスタント・ティーチャーを活用し、個に応じた指導の充実が見られる。また、図書コミュニティの活動では、読み聞かせボランティアによる取り組みが継続して行われ、読書の好きな児童やそうでない児童にも楽しい時間となり、読書への興味関心を高めることにつながっている。
カ 泗水小学校プランを設定し、コミュニティ部による取り組みを行ってきたため、地域や保護者と協力し、子どもたちの育成に取り組む支援システムが整ってきた。
キ ボランティアの方との打ち合わせとして、コミュニティルーム「ゆめ」を設置した。ソファーや食器棚、冷蔵庫等の寄贈を「学校だより」で依頼したところ、地域からたくさんの寄贈があり、充実したルームとなった。学校に対して関心をもっておられるところが多いと感じた。
ア 学校運営協議会は学校と地域、保護者をつなぐパイプ役である。これまで学校教育目標や教育課程の承認を得てきた。しかし、学校運営協議会の円滑な活動をしていくためには、具体的な活動計画や活動規則等が必要である。教育委員会への、人事、予算、学校裁量等の権限並びに地域や保護者への説明責任等について協議していかなければならない。
イ 泗水プランの学びの支援では、今後コミュニティ部とPTAの組織の一本化を図っていかなければならない。学校力・地域力・家庭力アップに向け、協働体制を確立していきたい。
ウ 事業を行うとき、企画、準備、実行がまだ学校側が主体となっている。地域や保護者が主体となって取り組めるベースを作っていかなければならない。
エ 教育支援ボランティアを導入する場合、それを効果的に発揮するため、教師側に教師力としての豊かな素地が備わっていなければならない。教師力・授業力においては、まだまだ個人差があり、教師としての力を高める必要がある。
(1)学校運営協議会における活動規則等の作成
(2)学校裁量権の拡大に関する取り組み
(3)地域自治体との連携
(4)学びの支援コミュニティの構築
(5)企画・推進委員会の設置と具体化
(6)家庭・地域ホットラインの設置と具体化
-- 登録:平成23年11月 --