コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成18年度コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(東京都足立区立五反野小学校)

学校名 足立区立五反野小学校
所在地 足立区足立三丁目11番5号
電話番号 03-3889-9304

1.実践発表のテーマ

  1.  地域の教育ニーズの把握…「五反野未来ブックの発行」
  2.  教育力の向上と学校の点検・評価の在り方…「授業診断・意見交換会」の実施
  3.  保護者・地域の要望を反映させた教育活動等…「パワーアップタイム」の実践

2.実践の推進体制

五反野小学校 理事会 理事11名

理事会

  1. 開かれた学校づくり協議会代表3名
  2. PTA代表3名
  3. 五反野小学校教職員代表4名
  4. 行政代表1名

※ 五反野小学校開かれた学校づくり協議会
 ○学校のオ-プン化部会○地域の学校化部会○授業診断・学校評価部会
 ○企画運営部会○事務局部会の5つの部会の活動があります。

3.実践の成果と課題

1 成果

(1)地域の教育ニ-ズの把握

 平成15年度から3年間、五反野小学校の子どもの生活実態調査(五反野未来ブック)に取り組み、この調査をもとに始まった「あいさつ運動」は、学校・地域・家庭の連携により継続して取り組んでいる。18年5月には最終報告書を発行し、全保護者に配付した。
 また、PTAでは、「学校支援カード」を作成し、1年間に1家庭1回は、PTA行事・学校行事に参画する活動に取り組んだ。さらに、全保護者の協力を得て、登校時の交通安全指導等も実施するなど、PTA活動の充実を図ることができた。
 保護者や地域の方に、コミュニティ・スクールの事業や学校の様子を広報するため「理事会・開かれた学校づくり協議会・PTA」の三団体合同の広報誌を年3回発行している。また、行事ごとに参加者にアンケートを実施し、自由記述欄を設けるなど工夫した結果、多くの意見が寄せられた。たとえば、学校の安全管理に関する要望が寄せられたことを受け、防犯カメラの設置等を行うなど保護者や地域の方のニ-ズに応えるよう努めた。
 さらに、コミュニティ・スクール推進事業・開かれた学校づくり協議会活動を報告するための全体協議会を18年3月に開催した。第1部は、17年度の活動報告を中心に発表し、第2部では分科会形式をとり、地域・保護者の意見交換の場を設定した。この分科会では、下校時の安全対策あいさつ運動学力向上の3つの課題について協議し、今後の活動の参考となる多くの意見を集約することができた。

(2)教育力の向上と学校の点検・評価の在り方

 開かれた学校づくり協議会の「授業診断・学校評価部会」では、年2回の授業診断と年1回の学校評価を実施している。ここでは、平成18年度の実践について報告する。
 授業診断は、6月と10月の学校公開週間に合わせ行った。保護者・地域の方々の協力を得て、6月は577枚、10月は512枚の授業診断シートを回収した。さらに、7月と11月には、授業診断結果をもとに保護者・地域の方々と教職員との間で意見交流会を実施した。特に、11月の意見交流会については、理事会と教職員で意見交換の在り方などについて協議を行い、できるだけ多くの保護者の参加を促すため、保護者会との連携を図った。この意見交流会は、教員の授業力・指導力の向上を目指し実施しているが、授業を診断する方・される方の相互理解や相互信頼を深めるためにも役立っている。授業診断を通して、学校、家庭、地域がそれぞれの立場で望むこと、課題解決に向けて全体で協力することなどを話し合う場でもあり、保護者・地域の要望を取り入れたより良い授業の提供を目指すものとして定着しつつある。
 学校評価については、18年2月に専門家を招いて保護者や地域の方が評価の在り方を学ぶ「評価の事前研修会」を実施した。これまでは、開かれた学校づくり協議会のメンバーを中心に診断してきたが、17年度は保護者の参加も得て学校評価を実施し、207枚の評価シートが集まった。
 これら、授業診断と学校評価から得られた地域や保護者の評価・意見・要望を理事会において検討し、来年度の学校経営計画へ反映させていくという、計画-実施-評価-改善のプロセスを確立することができた。

(3)保護者・地域の要望を反映させた教育活動等

 保護者・地域の要望を反映させた教育活動として、まず、学校理事会が提案したパワーアップタイムの取り組みが挙げられる。これは、1時間目の開始前15分間を活用し、フラッシュカード・十(百)マス計算・音読等を実施しているものである。保護者からは、子どもたちが朝から集中し、熱心に取り組んでいる姿を見て、多くの満足の声が寄せられている。このようにパワーアップタイムの取り組みは、2年間の実践を経て学校全体で取り組まれるようになり、地域や保護者からの満足度が高い評価が得られるようになり、地域立の学校として成果を出している。
 また、地域の方や保護者の方27名をゲストティーチャーとして迎え、道徳地区公開講座を実施した。ゲストティーチャーを全クラスに配置して、子どもたちに教員以外の方から授業を受ける機会を設定した。子どもたちにとっては、普段の授業とは違って、保護者や地域の方々の話しに触れる良い機会となり、一方で、ゲストティーチャーにとっては、学校教育に興味・関心を持っていただく絶好の機会となった。
 さらに、月2回、土曜事業「のびのびスクール」を、33名の講師の協力により実施している。地域の方から講師を募集し、ボランティアで協力いただいているが、子どもたちに学習サポートの外、少林寺拳法やパソコン、囲碁、将棋等、教育内容の幅を広げて提供している。このように、地域の方から学ぶ機会を与えられた子どもたちは、地域の人々によって支えられていると実感する割合が増加傾向にあり、のびのびスクールは地域が子どもを育てる実践の場となっている。

2 課題

 (1)地域の教育ニ-ズの把握

 これまで子どもの生活実態調査(五反野未来ブック)の結果を踏まえ、3年間「あいさつ運動」に取り組んできたが、期待ほど成果が挙がっていない。18年度が調査の最終年であるため、調査結果の分析と今後の活動の方向性について企画運営部会で協議し、地域・保護者・学校の責任と役割について検討を加え、全保護者に向け今後の活動について提案していく。

(2)教育力の向上と学校の点検・評価の在り方

 授業診断は、「授業を開く」ことによって、教員の意識改革や指導技術を向上させることを目的とし、これまで積極的に取り組んできた。この2年間で、授業診断と学校評価により得られた保護者・地域の方の意見や評価等を、学校経営計画立案のデータとして取り組むことで、PDCAサイクルをシステムとして確立してきた。今後は、授業診断や学校評価により得られた結果を活用して、教師力・学校力の向上にどのようにつなげていくかが課題である。

(3)保護者・地域の要望を反映させた教育活動等

 パワーアップタイムの取り組みやあいさつ運動を通じ、児童の授業における集中力の向上や生活習慣の見直しに改善が見られるようになった。今後は、保護者・地域の関心が高いいじめや不登校など、児童の心の問題について、どのように教育活動に反映させ、学校としてその期待に応えていくのかが課題である。

4.今後の取り組み

 平成14年度から3年間の「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」の成果に加え、「コミュニティ・スクール推進事業」の2年間、計5年という長い年月に及んだ五反野小学校の研究は、研究期間としてはこれで終了となる。19年3月3日には、17・18年度に「コミュニティ・スクール推進事業」の研究を行った2年間の活動報告書の発行と合わせて「コミュニティ・スクール推進事業・開かれた学校づくり協議会の全体協議会」を開催する予定である。

-- 登録:平成23年11月 --