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その他

Q40 日本語指導を行う教室を準備するに当たり,教室環境及び教材の整備は,どのように行えばよいでしょうか。

A
 日本語指導を受ける児童生徒は,例えば,小学校であれば低学年から高学年にまでわたり,また,自校で受ける場合もあれば,他校に通学する場合もあるなど様々です。
 教室の掲示物を整えたり,児童生徒の背丈に合った机と椅子を用意したりするなど,快適に学習することができる環境を整えることが必要です。
 また,教材については,児童生徒の日本語の習得状況に合わせた日本語教材を用意したり,カードやゲームを活用した日本語指導も行われていたりするなど,創意工夫の下,児童生徒の学ぶ意欲を維持する取組が期待されています。なお,実物を用いた指導は臨場感があり効果的ですが,例えば「甘い」「辛い」などを実感させる時などに扱う食品等については,アレルギー等にも十分な配慮が必要です。
 文部科学省では,帰国児童生徒や外国人児童生徒等の受入実績が豊富な教育委員会などが作成された,日本語指導の教材や多言語の学校文書を検索することができる,情報検索サイト「かすたねっと」(http://www.casta-et.jp/)を開設しています。必要に応じて当該サイトを活用するとともに,是非地域で蓄積されてきた教材等の情報を御提供ください。

Q41 保護者との連携をどのように図っていけばよいでしょうか。

A
 「特別の教育課程」による日本語指導を行う場合は,保護者の希望や児童生徒の将来等についても踏まえ,指導内容についてよく相談の上,保護者の理解と協力を得るよう努めることが必要です。
 児童生徒が受ける指導の内容,授業時数,指導者の名前,指導の場所,学習評価の結果等について,必要に応じて母語が分かる支援者の協力を得ながら,保護者に対して説明を行い,理解を求めたり,保護者の疑問に答えたりすることが必要です。

Q42 校内の指導・支援体制をつくるためには,どのような取組が考えられますか。

A
 日本語指導の対象となる児童生徒に対する適切な指導及び支援の充実を図るためには,在籍学級の担任や教科担当教員と日本語指導担当教員の綿密な連携協力を得ることが必要です。
 また,対象の児童生徒が,総じて学校生活を快適に過ごせ,学べる環境作りを目指して,校内委員会を設置するなど校内で指導・支援体制を整えることは重要であり,以下のような取組が考えられます。
  1 学校教育目標・学校経営方針等に示す
   学校経営のもととなる教育目標や経営方針に,日本語指導が必要な児童生徒への教育について項目を立てて示すことが望まれます。
  2 校務分掌に位置付ける
   「日本語指導担当教員」を校務分掌のひとつとして位置付けることが必要です。どのような組織のメンバーとするかは,各校の実情や目指す方向にもよりますが,教育課程に関係する教務部や,授業づくりなどに関する研修部,学校全体の国際化の視点から生徒指導部などが考えられます。
  3 理解啓発を図る
   日本語指導が必要な児童生徒や外国につながりのある児童生徒について,継続的に理解啓発を図ることが必要です。教職員に対しては校内研修会による事例検討会や授業公開などが考えられます。また周りの児童生徒に対しては,学校全体の国際化に向けて教育活動全体を通して進めていきます。さらには,保護者同士の関係を構築するために,PTA活動の一環として取り組むことも考えられます。

Q43 日本語指導の成果を生かすために,在籍学級担任・教科担当と日本語指導担当教員との連携をどのように図っていくことが必要でしょうか。

A
 学級担任と日本語指導担当教員は,在籍学級と日本語指導を行う教室のそれぞれにおける生活・学習の様子等について情報交換を行い,対象となる児童生徒の教育内容や方針について相談することが必要です。連携を図ることで,学習面では,内容を関連付けたり連続性を持たせたりすることが期待できます。生活面でも在籍学級担任と日本語指導担当教員の間で,一貫した教育的対応をすることが可能になります。
 また対象児童生徒は,大半の時間を在籍学級で指導を受けています。在籍学級担任や教科担当も,児童生徒の日本語能力などを把握し,学習活動に取り組むことができるよう,指導上配慮することが必要です。そのために,日本語指導担当者による情報提供や助言,場合によっては関係者による対象児童生徒の今後の指導・支援について検討する個別の会議の開催なども考えられます。
 さらに,対象児童生徒が在学する学校以外で日本語指導が行われている場合,日本語指導担当者は定期的に児童生徒の在学校を訪問し,情報交換を行うなど連携を図ることが必要です。
 これらの情報提供や助言,学校訪問などの取組は,日本語指導を効果的に行うために必要な内容であり,これらの活動を日本語指導担当教員の重要な職務の一環として位置付けることが求められます。

Q44 「特別の教育課程」を編成・実施した場合,在籍学級での授業の内容をどのように補えばよいでしょうか。

A
 在籍学級とは別の教室で,「特別の教育課程」による日本語指導を受けた場合,その時間に行われている在籍学級における学習ができなくなることが考えられます。この場合,特定の教科の学習に遅れが生じることを,できるだけなくすための工夫が必要です。
 例えば家庭学習で行えるような課題を出すことや,必要に応じて放課後等に補充的な指導を行うことも考えられます。
 「JSLカリキュラム」により,教科の内容と日本語学習を同時に行う日本語指導を行っている場合は,在籍学級の教科学習と連携しながら行っていることも考えられますが,それ以外の場合は,積み上げが必要な学習で,その指導を受けないと内容が分からなくなるような教科を避ける工夫や,家庭学習で補いやすい内容を学習する時間に指導時間を当てるなど,それぞれの学校や学級での工夫や調整が必要となります。

Q45 新しく日本語指導の指導・支援体制を整備する場合,設置者としてどのように進めたらよいでしょうか。

A
 指導・支援体制の構築に向けてどのように進めていくかは,設置者の裁量によるところですが,例えば,次のようなことが考えられます。
 1 実態調査
  域内の対象となる学校に,日本語指導を要する児童生徒がどの程度在籍するかを把握します。その際,可能な限り次年度の入学予定者の中に対象となる子供がいるかも把握するようにします。
 2 担当教員の配置についての検討
  1校につき,対象児童生徒が多い場合は教員の複数配置,少ない場合は1人の教員が複数校を兼務し巡回による指導等も考えられます。
  同時に,各校における対象児童の母語別構成や地理的条件なども考慮しながら,日本語指導補助者や母語がわかる支援員等の配置についても検討します。
 3 協議・連携
  関係する学校長等と,指導場所の確保や校内体制の位置付け等について,十分な事前協議が必要です。
 4 人材確保
  特に外国人児童生徒やその保護者との信頼関係を構築するためには,母語が分かる支援者の役割は大きく,人材の確保・育成が大切です。急な編入学等にも対応できるよう,人材を把握し,各校の要請に応じて派遣するなど,組織的な体制づくりが求められます。
  また,日本語指導の補助を行う支援者やボランティアを確保するためにも,大学や地域のNPO等との連携を設置者として積極的に行うことが大切です。
 5 予算措置
  これらの取組を円滑に進めるために,必要な予算を計画的に計上することが必要です。

Q46 対象児童生徒が少なかったり,散在したりしている地域においては,どのような指導・支援体制が考えられるでしょうか。

A
 1校当たりの対象児童生徒数が少ない地域においては,1人の指導者が複数校を巡回して指導を行うことや,児童生徒にとって通いやすい学校等に指導する教室を置くことなどが考えられます。
 対象人数が少ない地域では,各学校の体制整備だけでなく,市町村教育委員会が地域全体として体制整備を進めていくことが求められます。また場合によっては,都道府県教育委員会が,域内全体への支援体制を構築することが,効果的な体制整備に資することもあります。

Q47 日本語指導が必要な児童生徒教育の充実のために,設置者や学校でできることにはどのようなことがあるでしょうか。

A
 就学前の段階にある日本語の能力が不十分な子供たち及びその保護者に対して,就学相談や就学前教育を行ったり,進学・就職を希望する生徒への進路指導の充実,高等学校等における受入体制の整備に努めたりすることが考えられます。
 具体的には,土曜日などに就学前の子供たちを対象として,日本の学校生活を体験したり,日常よく使う簡単な日本語表現を練習したりする教室を開いたり,保護者を対象とした相談会や就学ガイダンスを開いたりするなどの取組が考えられます。地域の実情を踏まえながら,年間の行事なども入れた日本の学校を紹介するビデオなどを作成すると,急な編入の際にも活用することができます。
 また,地域のハローワークや高等学校と連携して,どんな仕事があり,どんなことを学べる学校があるかを紹介したり,希望する進路へ進むために,いつごろからどんな準備をしておいたらよいかなどを紹介したりする進路ガイダンスの取組も広がってきています。

Q48 「特別の教育課程」による日本語指導体制がすぐに整備できない場合,現在実施している指導を継続することはできないのでしょうか。

A
 これまで地域の実情に応じて構築されてきた日本語指導の体制を,否定するものではありません。放課後指導などで日本語指導経験が豊富な地域の方や,日本語指導の専門性を持つ方が指導する際に,「特別の教育課程」において作成されている「個別の指導計画」を参考に指導計画を作成するなど,きめ細かな指導を実現するための対応をとることが望ましいと考えられます。
 また,教員養成や資質向上のための研修機会の充実,人的配置のための予算措置等,今後引き続き取り組むべき課題を踏まえて,将来的に「特別の教育課程」を実施できる体制整備を進めることが求められます。

Q49 「特別の教育課程」による日本語指導を受けるために他校へ行く場合の児童生徒の事故は,災害共済給付の対象になりますか。

A
 災害共済給付の対象となる範囲については,独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令に定めがあり,その定めに該当する学校の管理下で発生した災害について給付対象となります。(同施行令第5条)
 正規の教育課程に位置付けて行われる「特別の教育課程」による日本語指導であれば,他校における日本語指導やその途上についても災害共済給付の対象となると考えられます。

Q50 高等学校等における日本語指導はどのような取扱いになるのでしょうか。

A
 学校教育法において,我が国の後期中等教育機関においては「高度な普通教育及び専門教育」を行うべきものとされています。これに替えて「学校教育において生徒が日本語を用いて学校生活を営むとともに,学習に取り組むことができるようにすることを目的とする指導」を行うことについては,現在の実態等も踏まえ,今後慎重な検討を要します。
 これらに鑑み,高等学校,中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部に在籍する日本語指導が必要な生徒については,当面は「特別の教育課程」による日本語指導の対象とはせず,現行制度の枠組みの中で,必要な支援を行っていくこととなります。

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総合教育政策局国際教育課

-- 登録:平成26年01月 --