保護者にとっての職場体験の意義としては、日頃見ることのできない子どもの姿を見ることができ、互いに新たな理解を深められるという点があげられます。また、子どもが体験したことを話題にして、学ぶことや働くことの意義や尊さ、保護者の仕事に対する考えを理解させる絶好の機会ともなります。さらに、職業についての会話を通して、これからの子どもの進路や将来の夢に触れることは、子どもの発達を促進する上でも効果的です。職場体験後は、家族の一員としての役割や責任を担うような、協力する意欲や態度を育てることが大切です。また、家庭や地域における立場について共に考え、社会の一員としてのよりよい生き方の自覚を促すことが望まれます。
職場体験の実施は、家庭において子ども、保護者相互に以下のような意義をもたらすものと考えられます。
子ども | 保護者 |
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職場体験は、保護者・地域の協力が必要不可欠な学習活動です。特にPTAの果たす役割はたいへん大きいものとなります。
※ 巡回ボランティア
職場体験中、生徒の体験事業所に訪問する保護者を「巡回ボランティア」として示す。
職場体験後は、保護者を対象に次のようなアンケート調査を実施し、家庭での生徒の様子や保護者の意識やその変容を知り、以後の指導や評価に生かすことが大切です。
文夫:ああ、美味しかった。働いた後のご飯は格別だなあ!
父:そうだ、文夫、確か今日から職場体験が始まっていたはずだね。
文夫:A電機工業株式会社という所だよ。
父:そうか、その会社ならお父さんもよく知っているよ。
母:それで、会社はどうだったの?
文夫:今日は、自己紹介をしたんだ。声が大きいって誉められたよ。
父:そうか!それはとても大事なことなんだぞ、良かったな。
文夫:それから、スケジュールと仕事の内容を説明されたよ。担当の人が親切に教えてくれるんだ。 なんか、お兄さんという感じで、分からないことも聞きやすいしね。
父:そうか、それは安心だな。お名前は。
文夫:宮下さんです。パソコンで建物の中の電気配線の設計をしているんだけど、その時の様子を見ていると真剣そのものだよ。 僕たちに接しているときとは全然違う顔だった。何か近寄れない雰囲気・・・厳しい顔だよ。
母:きっと、集中して仕事をしているんでしょうね。電気は小さなミスでも危険を伴うし、失敗は許されないものね。
文夫:明日は、現場に連れて行ってもらうことになっているんだ。
母:それは楽しみね。 お母さんも機会があれば、文夫の働く姿を見てみたいわ。
文夫:はい。前から電気機械に興味があって電機会社の体験を希望したんだけど、会社の人の説明を聞いてまだまだ詳しく知りたいと思った。
父:文夫は理数系が得意だから、将来の仕事として向いているかもしれないよ。
文夫:来年は、高校受験だし真剣に考えてみるよ。
母:まあまあ、頼もしいこと、お母さんも嬉しいわ。 まずは、明日もがんばってね。
この度は、巡回ボランティアに参加させて頂き、ありがとうございました。様々な職場の中で、子どもたち本来の輝きを覗くことができました。
大勢の幼児にだっこをせがまれ、嬉しい反面、ちょっぴり困った様子の子、甲斐がいしくお年寄りのお世話をしている子、汗だくになりながらお団子製造に悪戦苦闘している子、全身鉄屑まみれで、自動車の塗装を剥がしている子、何をどうしていいのかと不安な表情を浮かべている子、・・・それぞれの立場から「役に立ちたい!期待に応えたい!」という気持ちが伝わってきて胸が熱くなる思いでした。
5日間とは言え、これまでに置かれたことのない環境の中で、思うように作業ができず落ち込んだり、職場の皆様の温かな心遣いに励まされたり、みんな一生懸命「自分探し」をしたのではないでしょうか。将来、社会へと巣立ち、理想と現実とのギャップに戸惑い、涙することもあるでしょう。現実は、かなり厳しいものですが、この5日間の体験を通して、きっと意味のある何かを感じ取ってくれたことと思います。私自身、子どもたちの「無限の可能性」と「認めることの大切さ」を強く感じました。そして、単純に「若いっていいなぁ・・・。」と思いました。与えられた仕事に一生懸命に取り組む姿は、とても美しく格好良かったです。
この職場体験にご尽力下さった、すべての皆様に心から感謝申し上げます。そして、生徒の皆さんお疲れ様でした。
初等中等教育局児童生徒課
-- 登録:平成21年以前 --