(3)体験先、保護者との連携

 職場体験を進める際、体験先、保護者等との連携は大変重要な要素となる。そのため体験期間はもとより、事前指導から事後指導に至るまで、連携を深め継続させる必要がある。また、各地方公共団体や学校区段階で設置される職場体験支援組織(連絡協議会、推進委員会等)等との連携も、職場体験の効果的な実施に重要な機能を果たす(第5・6章参照)。
特に連携のポイントとなる体験先の確保については、その地域の特徴によりいろいろな方法が考えられるが、この先の職場体験の方向性(実施校の拡大、体験の5日間実施、キャリア教育の推進等)を考えると、キャリア・スタート・ウィーク支援会議等の職場体験支援組織設置による調整・連絡が必要となる(第4章参照)。

【体験先、保護者等との連携/体験先への依頼・確保の例】

確保の活動の主体 確保のための活動内容
〔実践上の利点(○)と課題(●)〕
実施校  実施校が主体となり、地域の商工会議所・商工会、商店会や地元経済団体、各事業所等の体験先に連絡を入れ、受入の依頼・確保・連絡調整を行う。
○体験先・内容の安全性の確認
○地域や体験先の組織等の負担の軽減
●生徒の希望との差
●教職員の体制(連絡・調整等)
職場体験
支援組織
 各市区町村の段階で、行政、地域の体験先の関係者(商工会議所・商工会、地元経済団体、各事業所等)、各校の代表者等で組織された職場体験推進委員会等の支援組織が、受入事業所等をいくつか確保し、実施校に紹介する。
○体験先・内容の安全性の確認
○職場体験の円滑な実施
●生徒の希望との差
保護者  PTAや保護者会、または保護者個人が、体験先を確保し紹介する。父親の会等が設置され、そこが主体となって事業所等の確保を行っている所もある。
○体験先・内容の安全性の確認
○保護者との連携強化
●生徒の希望との差
●保護者からの積極的な支援が必要
生徒  生徒自身の関心や考えにより、日常の生活経験や保護者、地域の方の情報等をたよりに、自分の希望にあった体験先を開拓する。、その受入依頼等についても電話、訪問、手紙等の手段により自らの手で行う。
○職場体験への意欲の向上
○職場体験の事前指導の充実
○体験先確保への保護者の支援
○社会性や人間関係形成能力育成への手立て
●生徒の希望による職種の偏り
●指導内容・方法の開発
●保護者の趣旨の理解と協力

※これらの方法を組み合わせている実施校も多い。

職場体験を実施するにあたっての健康管理や安全確保上の配慮について

 職場体験は、学校を離れて行う学習活動であるため、生徒一人一人の健康管理に十分配慮することが必要です。また、生徒、教職員、外部の指導者・協力者、職場体験を受け入れた企業、事業所等の職員等の安全確保に十分配慮することが求められます。職場体験の活動内容等を踏まえつつ、生徒の健康状態を把握するとともに、必要に応じ実地調査による事前の検討・点検、活動の際の指導者の立ち会い等が求められます。
 例えば、感染症に対する抵抗力の少ない利用者の多い幼稚園、保育所、福祉施設などで職場体験を行う場合には、児童生徒の感染症の罹患状況等を把握し、適切な措置がとれる体制を整えるとともに、万一、事故が発生した場合は、直ちに状況に応じた適切な応急措置を行うことが必要です。
 また、屋外での活動や自然の中での活動を行う職場体験を行う場合には、安全の確保等の観点から、季節や天候、地形等の状況などに十分留意するとともに、受入先の職員等の助言や協力を得ることが必要です。
 万一、職場体験の際に生徒が誤って受入先の職員等に傷害を与えたり、受入先の財物に損害を与えてしまった場合に備え、財団法人産業教育振興中央会等が実施している体験活動賠償責任保険制度の利用を考えることも大切です。

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-- 登録:平成21年以前 --