学校施設の防犯対策に係る点検・改善マニュアル作成の取組に関する調査研究 報告書 第2章 点検・改善マニュアルの調査分析3-3

3.点検・改善マニュアル作成のポイント

3‐3 点検・改善マニュアルの作成

キーポイント

  • 個々の学校に対応した点検・改善マニュアルの作成
  • 実効性、継続性のある点検を実施するためのチェックリストの作成


3‐3‐1 個々の学校に対応した点検・改善マニュアルの作成

  • (1)(防犯対策は実効性のある点検・改善を継続的に実施することが大切である。そのためには、現状の把握、問題点の抽出結果に基づき、個々の学校の守り方と課題を明確にした、点検・改善のポイント(手順、担当等)をマニュアルとして整理し、運用することが有効である。
  • (2)既に防犯対策に係るマニュアル等が策定されている場合は、関連する項目の追加、見直しによる対応が有効である。
  • (3)防犯対策を含めた総合的な危機管理マニュアル(自然災害、学校生活上の事故等)を策定している場合は、自然災害や日常生活の事故等への対応と併せた点検・改善を行うことにより、総合的、効果的に運用することが有効である。

3‐3‐2 実効性、継続性のある点検を実施するためのチェックリストの作成

実効性、継続性のある点検を実施する上で点検項目について、日常点検、定期点検、臨時点検(P.53~54参照)に区分し、点検時期、役割分担等を設定したチェックリストを作成し、点検を行うことが重要である。

実効性、継続性のある点検を実施するためのチェックリストの作成 イメージ 

参考事例

  • 安全点検チェックリストとして防犯及び生活安全(ロッカーの転倒等)を含めた場所ごとの「安全点検表」を作成している。(橋本市立境原小学校:P.35参照)
  • 教職員、警備員用チェックシートにより日常点検を行い、点検結果を定期的に校長・副校長に報告するようにしている。(教室のゴミの散乱、いたずら等)(群馬大学附属小学校:P.23~24参照)
  • 図面を使って設置者による防犯施設の定期点検を実施している。(群馬大学附属小学校:P.24~25参照)
  • 日常点検用として児童生徒の学校活動に対応させたチェックリストを作成している。(神奈川県教育委員会:P33参照)
  • 近隣大学と連携して、パソコンを使って学校の危機管理の対策及び評価を行うことのできる「学校安全対策評価システム」を作成している。(草津市教育委員会:P41参照)

参考資料 点検・改善マニュアルの主な項目<例>

  • 本調査研究及び学校施設の防犯対策に関する調査研究報告書の内容により作成
  • 現状把握の主な点検項目(P49)から、マニュアルとしての主な構成項目及び点検用チェックリストを‐参考に例示する。

1.基本方針等

個々の学校に対応した防犯対策の基本方針、マニュアルの目的等を定める。
※ 来校者への「声かけ」等の取組は日常における防犯対策として有効である。

2.不審者侵入防止の対応

(1)来校者等の校内出入りへの対応

来校者等の学校敷地、校舎等への出入りの際の受付・確認方法、入口解錠方法、担当者を定める。

  • 来校者、サービス業者
  • 地域開放部分を利用する周辺住民等
  • 児童生徒(登下校時、途中登下校時別)
(2)校内施設の点検

不審者侵入防止に関する校内施設について点検内容・時期、担当者を定める。

  • 校門、囲障(フェンス、植栽等)の破損状況
  • 外灯(防犯ライト等)の破損、点灯状況
  • 校内施設の施錠確認
  • 児童生徒用昇降口、低学年児童教室、屋外運動場等のおよび死角となる場所の巡回、防犯カメラ等による確認
  • 建具、ガラス等の破損、ゴミの散乱等のチェック等
    ※ 問題点については記録し、点検内容の改善・見直しに反映できるようにする。

3.不審者侵入時の対応

(1)緊急時の防犯設備に関すること

緊急時に使用する防犯設備の設置場所、操作方法等を確認し、担当者を定める。

  • 校内伝達装置(インターホン、トランシーバー、PHS、非常ベル、緊急通報装置、校内放送設備等)
  • 警察、自治体等への連絡装置(専用回線、ホットライン等)
  • 防御設備(さすまた、防護盾、催涙スプレー等)
(2)緊急時の避難等に関すること
  1. 児童生徒の避難経路、避難場所を確認する。
  2. 児童生徒の避難誘導方法・手順について定める。
  3. 緊急時の連絡体制等(本部の設置、緊急連絡、通報、防護等)を定める。

4.点検用チェックリスト

上記項目について日常点検、定期点検及び臨時点検チェックリストを作成し、それぞれ点検時期・担当者等を定める。

日常点検
  • 児童生徒用昇降口や活動域の巡回、鍵の施錠確認、建具・ガラスの破損確認等の日常的な点検
定期点検
  • 月毎、学期毎等の時期を設定した全体的、網羅的点検
  • 防犯訓練時やPTA等の防犯に関するメンバーを広げた場合等の定期的な点検
  • 専門業者等による防犯設備の作動確認点検(防犯カメラ、録画装置、防犯ベル等の稼働試験等)
臨時点検
  • 周辺地域の危険情報入手時、運動会等の学校行事前の臨時的な点検
    ※臨時点検は定期点検項目から必要な点検を行い、特に来校者等の校内出入りの対応及び校内施設の点検、校内巡回の強化が必要である。

次に日常用チェックリスト、定期点検用チェックリストを参考に例示する。
各学校等の実情にあわせて追加・修正し活用していただきたい

日常点検用

定期点検用

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)

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