学校施設の防犯対策に係る点検・改善マニュアル作成の取組に関する調査研究 報告書 第3章 点検・改善マニュアルの作成方法と留意点2

2.点検・改善の視点

 学校施設の防犯対策に関する点検・改善においては次のような視点が必要である。

キーポイント

  • 個々の学校の状況に対応した守り方を設定する
  • 施設の弱み強みを知る
  • 点検・改善の時期(いつ)、担当者()を決める
  • 点検・改善マニュアルを作成する

2‐1 個々の学校の状況に対応した「守り方」を設定する

  • (1)点検・改善においては、まず、個々の学校の運営方針、施設、周辺環境等に対応した「守り方」を設定することが重要である。
  • (2)その際、敷地内だけでなく周辺道路等の状況、不審者の接近・侵入経路の想定、侵入行為に対する監視性の状況把握、通学路における安全等の周辺環境にも対象を広げて行うことが重要である。

関連事例

  • 学校を守るに当たって、敷地外周を第一警戒線としてフェンス等で守り、仮に不審者が侵入しても敷地内(警戒ゾーン)の早期発見に努め、また、校舎外周を第二警戒線として校舎への侵入を防ぐこととするなど防犯の基本方針を明確にしている。(群馬大学附属小学校:P.23参照)
  • 点検を実施するに当たり、自校の現状に基づき、防犯に係る自校の望ましい姿を予め設定している。(雲南市立三刀屋小学校:P36,P.40参照)
  • 校内の歩行者動線・車両動線の点検のほか、周辺地域における危険箇所の点検等を行っている。(滑川市立西部小学校:P.16参照)
  • 校地周囲の道路の交通量や外灯の有無等の暗がりも点検している。(群馬大学附属小学校:P.23参照)

2‐2 施設の弱みと強みを知る

  • (1)防犯対策に必要な領域性の確保、視認性の確保、緊急時の対応等の観点から、施設の現状を把握し、個々の学校の「守り方」に対する問題点とその場所、課題等の「ウィークポイント(弱み)」を知り関係者で共有することが重要である。
  • (2)点検・改善にあたっては、施設の「弱み」だけでなく、教職員や保護者、地域住民等による防犯体制等の「強み」も念頭に置きながら実施することが望ましい。

関連事例

  • 施設の点検結果により市内安全パトロール隊(ホワイトイーグル)に対して、管理諸室から確認できない「昇降口」の重点見廻りの依頼を検討している。(武蔵野市立境南小学校:P.11~12参照)

2‐3 点検・改善の時期(いつ)、担当者(誰)を決める

  • (1)実効性のある防犯対策を継続的に行うためには、学校関係者等の共通理解に基づき、かつ、負担等を考慮しつつ、点検・改善の時期、項目、役割分担等を設定することが重要である。
  • (2)点検時期は、施設形態の変化(増築、解体等)、季節の変化(樹木の落葉等)、人の変化(教職員の異動、PTA役員の交替等)及び学校活動の変化(運動会等の多数の来校者が予想される行事開催等)等を考慮して設定することが重要である。
  • (3)多角的・総合的な観点から点検・改善を行うために、複数の視点により取り組むことが重要であることから、教職員だけでなく保護者や地域住民等と共同で点検・改善作業を実施することが望ましい。なお、複合施設の場合は、相手施設の職員等とも連携して,点検・改善に取り組むことが重要である。
  • (4)児童生徒の参加による点検作業は、非常時の危機回避だけでなく、身近な安全に関する環境を学習する上でも有効である。

関連事例

  • 「学校施設安全マップ」の作成を学校関係者が共同で実施することにより、多様で総合的な観点から点検を可能にしている。(武蔵野市立境南小学校:P.9~10参照)
  • 一度策定した防犯対策についても、建物の増築や取り壊しにより、守る範囲や敷地内外からの見え方が変化するため点検・改善が重要である。(第2回研究会)
  • 防犯対策の継続性を確保するために、防犯に係わる教職員、管轄する教育委員会の担当者等の人事異動及びPTA役員等の交代時期を捉えて点検・評価する必要がある。(第3回研究会)
  • 「基本的考え」として、定期的な点検・評価の実施は異動を伴う教職員にとっても学校安全に関する意識を維持する上で有効である旨を明確に位置づけている。(群馬大学附属小学校:P.22参照)
  • 視認性や領域性に影響を与える樹木等が記された図面を用いて、児童も参加して現状確認を行なっている。(武蔵野市立境南小学校:P.9~10参照)

2‐4 点検・改善マニュアルの作成

 防犯施設に関する点検・改善を継続的に実行するためには、学校施設の現状、運営方法に見合った点検・改善のポイント、手順等を整理した「点検・改善マニュアル」を作成し、運用することが有効である。
 次項、3として点検・改善マニュアル作成のポイントを示す。

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)

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