林業を取り巻く環境は、木材需要の長期低迷、外材の進出等厳しい環境にある。このような情勢のなかで、日南市内には昭和30年前後に植栽された飫肥杉が、伐採期を迎えようとしていた。そこで、木材の生産量を流通商品化していくため、低迷する木材消費の回復に努める施策を進めた。また、その当時、子ども達が使っていたノートの規格が、B5からA4へ移行し、それまで使用してきた机では、手狭で使いづらくなってきたため、市教育委員会では、机の更新を検討した。
机・いすを廃棄する際、環境に与える影響を考慮して、「地元の企業で、地元の飫肥杉を使った机・いすができないか」ということで、平成11年2月、市内の木材や建具の企業と市で設置した「日南市学校用品飫肥杉利用研究委員会」が発足し、飫肥杉を使った机・いすの導入に向け検討がはじまった。そこで、地元企業による市内の小学校でのモニタリングを実施し、試作品を何度も作り、テストを行いながら、製作された。本市の教育委員会では年次的に導入を行い、新1年生から5年生まで行き届いている。
飫肥杉の特色として材質が柔らかいために傷が付きやすいことがあるが、それを考慮して天板には、導入当初からデスクマットを敷くことで対処した。
既に5年が経過するが、傷み具合はスチール製と変わらないようである。その理由は、教育現場の先生方が、児童たちに6年間使うものであるから大切に使うことと指導しており、定期的に机・いすの状況を確認し、メンテナンスを行っていることである。さらにPTAによる成長にあわせた机・いすの調整や、地元企業による補修・修繕等のメンテナンスを責任持って行っていることもその理由と考えられる。
様々な問題や故障については、「日南市学校用品飫肥杉利用研究委員会」の木材や建具の企業の委員と市職員がその問題点をどうすれば解決できるのか、または利用しやすいようにするにはどうしたらよいのかを検討し、改良を行っている。
実際使用している児童たちの感想は、「小学1・2年生では机・いすが重たく、持ち運びが大変です。」という一方「木のあたたかみを感じる」「やわらかい」「明るい」「木目が好き」「入学から使用していて愛着がある」等の意見があり、評判は良いようである。
机
いす
授業風景
文教施設企画部施設企画課
-- 登録:平成21年以前 --