木製家具の効果を「木には天然の美しさや温かさがあり、色が柔らかくて、周りのものとの調和がとれている。すべてが手作りで、個性的で、使用すると愛着がわいてくる。柔らかくまた温かく感じられるせいか学習時に子どもたちも喜んで使っている。使い込むほどに木の風合いがでて、味わい深いものとなっていて、安らぎや落ち着きなど癒しの効果をもたらしてくれる。」と回答した学校(奈良県 川上村立川上小学校:写真1)があった。
全般的に気持ちが落ち着く、教室の雰囲気がよくなったなど調査全体を通じて木の家具の持つ子どもへの心理的効果が浮き彫りになった。いくつか具体的にあげてみると、香りがよい、感触が良い、ぬくもり・温かみがある、色がよい、木目が目に優しい、空間が明るくなるといった、視覚・嗅覚・触覚など五感に対する効果を指摘する回答が、目立った。
また、導入の目的を子どもたちのはっきりと情操教育に役立てるためとしている学校もあった。「健康によい」として木の持つ健康増進効果を期待する声も聞かれた。中にはシックハウス症候群対策として導入した熊本県水俣市袋小学校のケースもある。
木製家具を導入するきっかけとしては、校舎が木造であるため校舎全体を木質系で統一したい、コンクリート造の校舎でもインテリアに木を多用しているので合わせたい、床と壁を木質系にしているので合わせたい、造作家具を木製にしているので合わせたなど校舎やインテリアとの調和をあげる学校が多かった。中には敷地に樹齢80年の銀杏がありそれを活かしたい(福島県 飯舘村立飯樋小学校:写真2)、地域の伝統的民家の木造・木屋根の校舎に合わせた木製家具をつくった(岐阜県 高山市立南小学校:写真3)、「木材の町、勝山」のイメージから木製家具を導入した(岡山県 勝山町立勝山小学校:写真4)など、学校のみならず敷地やその地域の伝統や文化との関係をその理由にあげる学校もあった。
木製家具は傷つきやすく壊れやすいなどの欠点を指摘する声も多かったが、逆にだからこそ子どもたちに「家具を大切にする心を育成する」という教育効果を期待する声も聞かれた。「子どもたちが愛着をもち大切にするように」と8月の週末を利用して親子で家具を組み立てた学校(埼玉県 都幾川村立明覚小学校:写真5)や、大切に使う心をはぐくむために、高さ調整機能がついた机・いすを小中学校を通じて9年間使い続ける学校(大分県 朝地町立朝地小学校・中学校:写真6)など工夫が見られた。地元の木材を使っている場合などでは、「祖父の代の植林であることを教え、大事に使うという意識を持ってもらう」(宮城県 河南町立前谷地小学校:写真7)などもあった。また、家具自身を大切にするだけでなく、「森を守るために間伐が大切なことを子どもたちに教え、環境問題に取り組むきっかけにする」といったように、環境教育の教材として利用している学校(熊本県 水俣市袋小学校他)もあった。
木製家具のデザイン・形状はさまざまであるが、机やいすの脚の部分に曲線を多用したもの(宮城県前谷地小学校他)、机の天板を葉の形にしたもの(高知県 高知市立大津小学校:写真8)など、ユニークなものも見られた。また逆に建物やインテリアに合わせてシンプルなデザインにしたケースも見られた(群馬県 県立中央中等教育学校:写真9)。
写真1 玄関にあるテーブル・いす |
写真2 図書室の銀杏テーブル |
写真3 地域の伝統的民家の木造校舎に合わせた木製家具 |
写真4 町のイメージから導入した机・いす |
写真5 親子で組み立てた机・いす |
写真6 高さ調整機能がついた机・いす |
写真7 写真曲線を活かした机・いす |
写真8 天板を葉の形にしたテーブル |
写真9 シンプルなデザインの机・いす |
文教施設企画部施設企画課
-- 登録:平成21年以前 --