【当事者参画】当事者参画とは?
文部科学省では、令和8年度~令和12年度までの公立小中学校等施設のバリアフリー化に関する整備目標の達成に向けた取組目標のひとつとして、
令和12年度時点で新築・改築、大規模改修の整備を検討している学校設置者において当事者参画が実施されること
を目標としています。
今回は、当事者参画について、「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」(国土交通省 令和7年5月)(以下、「当事者参画ガイドライン」という)を参照しながら、学校整備における当事者参画のポイントについて説明します。
今回の説明内容は以下のとおりです。
1.当事者参画とは
2.当事者参画により期待される効果
3.基本原則
4.当事者参画の方法
1.当事者参画とは
当事者とは、高齢者、障害者等を含む全ての施設利用者を指します。当事者参画とは、施設整備のプロセスにおいて、当事者が意見表明すること、当事者間で意見交換すること、ワークショップ等に参加すること等を通じて、施設の整備・運営の完成度を高めることに関与することです。
施設整備の各段階で当事者参画が実施されることが望ましいですが、まずは、どんなことからでも取り組みやすい当事者参画を始めることが重要です。
学校の整備における当事者としては、日常的に学校に通う児童生徒や教職員が基本となりますが、学校行事等に参加する保護者や、地域開放されている学校を利用する方々、または、地域の避難所として利用する地域の住民の方々が想定されます。
この当事者の人選にあたっては、当事者参画ガイドラインにおいては、「施設の利用に当たって多くの制約を受ける障害者からのニーズを丁寧に吸い上げることが重要」とされており、障害のある児童生徒や教職員、保護者の視点を始め、地域の障害者・高齢者・妊産婦等も当事者として想定し、当事者参画を実施していくことが重要です。
近年、新たな学校施設の整備の際に、学校利用者や地域の方々が参画した検討会やワークショップを行うなどして、対話をしながら、施設整備の構想・計画を行う取り組みもみられております。こういった取り組みにおいて、障害のある当事者等の視点も取り入れて進めていくことは当事者参画の大切な方法の一つとして考えられます。
2.当事者参画により期待される効果
当事者参画ガイドラインにおいては、当事者参画を行うことにより、
- 当事者と事業者等の相互理解(必要性と課題の理解)が深まることにより、多様なニーズを反映した納得感のある質の高い施設整備につながる。
- 事業者等にとっては、当事者のニーズに対する理解が深まる。
- 当事者にとっては、施設整備の全体像や施設整備に係る制約(建築条件、法令等の制約、予算、工期等)に対する理解が深まる。
- 当事者間でニーズが一致しない場合に、当事者参画のプロセスを通じて、相互理解が深まる。
等の効果が期待されるとされています。
学校整備においても、当事者参画を行い、障害のある当事者等の視点を取り入れることで、学校設置者、当事者における課題等を相互に理解し、より納得感、質の高いバリアフリーの取り組みにつながるとともに、地域コミュニティの活性化にもつながる取り組みにもなるものと考えられます。
3.基本原則
当事者参画ガイドラインにおいては、当事者参画の実施に当たっては、「公平性」、「透明性」、「効果検証」を基本原則とするとされております。主な内容は以下のとおりです。
当事者参画における「公平性」
- 当事者の人選や意見の取り扱いに関して、「公平性」を確保することが望ましい。
- 意見が一致しないこと(当事者間での不一致、当事者と事業者等との間での不一致)も考えられるが、それぞれの意見を丁寧に議論することが重要である。物理的制約、予算上の制約、ニーズのトレードオフを関係者が認識した上で、実現性の高い解決策を検討することが重要である。
当事者参画における「透明性」
- 当事者参画においては様々な意見が出ることが想定されるが、どのような意見が出てきているのか、また、当該意見に対する対応の可否や対応できない場合にはその理由を明らかにする等、「透明性」を確保することが望ましい。
当事者参画における「効果検証」
- 当事者参画を実施した建築プロジェクトの終了後、当事者参画に関わった担当者だけでなく、組織内の他の担当者が携わる他の建築プロジェクトに当事者参画の経験を活かすことができるよう、実施した当事者参画の「効果検証」を行うことが望ましい。
- 「効果検証」に当たっては、当事者参画における意見、当該意見に対する対応結果、対応結果に至ったプロセス・理由、得られた効果等について、整理・分析を行うとともに、その記録を組織内で蓄積・共有することが重要である。
学校整備に当たっても、当事者参画の実施も含め、整備に関する構想・計画等の検討プロセスを公開しながら、進めていくことが重要となります。
4.当事者参画の方法
当事者参画ガイドラインにおいては、当事者参画の方法として、ワークショップ以外にも以下のとおり様々な方法が例示されています。
学校整備に当たっては、基本構想・計画等の策定において実施される学校利用者や地域の方々が参画する検討会やワークショップにおいて、障害のある当事者等にも参加を要請することが考えられます。また、地域の障害者団体にヒアリングを行うなどの取り組みや、特別支援学校などの既にバリアフリー化された学校の取り組みを参照したり、既に整備された学校施設について、障害のある当事者等から意見を聴取し、それを今後の学校設計に活かすなどの取り組み行われています。こういった取り組みも念頭におきながら、各地域において、取り組みやすい内容から当事者参画を進め、その取り組みの充実を図っていくことが重要です。
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