【当事者参画】地域住民等の参画による人生100年の学びの場づくり
北海道中頓別町
中頓別町では、「3歳から15歳が学べる幼小中一貫の学校にとどまらない、人生100年時代において子どもから大人まで学びつづけることができる学びの拠点」を目指し、構想・計画の段階から住民参加型で検討を進めました。
※バリアフリー整備に特化した取組ではありませんが、学校を取り巻くステークホルダーとのやり取りの中で、いかに学校づくりに活かしていったのかといった観点でその方法等について参考としてまとめたものです。
当事者参画の実施方針・位置づけ
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中頓別町は、人口は約1,550人、町民は顔見知りの間柄であり、子どもたちの間にも年齢を越えて友達や兄弟のような関係性がある。中頓別町では、これまで幼児教育で大切にしてきた価値観や考え方をその先の教育にも一貫して繋げていきたいという想いや、暖かな繋がりのある地域特性等を踏まえ、幼小中一貫の学校づくりを目指していた。
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老朽化により中学校校舎の建て替えの時期が近づき、校舎の建て替えをきっかけに、幼小中一貫の学校づくりの検討を進めた。しかし、検討をスタートしたものの、小中学校の校舎を一緒にするか別々にするか等、一貫校の形式や施設整備についての議論が先行し、関係者の合意形成が難航した時期があった。
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検討を進めていた建設構想を一度仕切り直し、地域でどんな教育を実現したいのかという根本の部分から協議を進めることとした。また、関係者だけでなく、町民とも話し合いながら、参加型で事業を再スタートさせ、町民や教職員とともにワークショップの場で話し合いながら合意形成を図り、新しい学校づくりに向けた基本構想を策定した。
当事者参画の方法
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ヒアリング調査、勉強会、ワークショップ、協議会といった、様々な住民参加の機会を設けた。
当事者の人選
- コミュニティデザインを進めるコンサルタント会社へ業務委託し、勉強会や協議会の講師や有識者を選定した。
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教育委員会と委託業者が連携し、町民は広報等で、教職員は学校を通じて依頼を行うことで、勉強会や町民・教職員ワークショップにおけるそれぞれの参加者を集めた。
- ワークショップには、令和3年~令和4年の土台計画づくりのフェーズでは、小中学生、役場職員、保護者、地域役員等が参加し、各回平均10~20名程度が参加していた。令和5年以降の基本設計や実施設計のフェーズでは、参加者が地域住民(家族、子供がいない地域の方、高齢者等)、町会議員にも広がり、各回平均50~60名程度が参加した。
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令和5年度に開催した設計ワークショップでは、重度の身体障害を持つ子の保護者が参加し、バリアフリーやユニバーサルデザインに関する意見があった。
ファシリテーターの人選
- 委託業者を中心にファシリテーターを務めた。
当事者参画の実施時期
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企画・計画段階から町民と丁寧に対話をしながら、基本構想、基本計画策定に向けて協議を進めた。
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事前準備として、町民、保護者、教職員それぞれに対するヒアリングを、各1回ずつ実施した。
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企画段階では、勉強会を3回、町民、中学生、教職員を対象としたワークショップを各1回ずつ実施した。
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基本構想策定後の計画段階では、協議会を5回、町民を対象としたワークショップを2回、教職員を対象としたワークショップを1回実施した。
当事者参画の内容
- 2021年6月の3日間に、中頓別町小中学校の教職員およびPTAの保護者へ、2023年1月の4日間に、町民へヒアリング調査を実施し、これからの街の教育や学校づくりについてヒアリングを実施した。
- こども園、小学校、中学校に通う全ての子どもの保護者にアンケートを配布し、子どもたちに身に付けてもらいたい力や、子どもたちが放課後や休日にできたらいい活動に関するアイディアについて聞いた。
- 全3回の勉強会「親子で語って学ぶ生き方ドリル 基礎編」を開催し、ゲストを招いた講演会や、理想の学校について意見を聞くワークを実施した。
- 「新しい学校をつくろう あったらいいな展」を開催し、新しい学校づくりに関するパネルの展示や、これまでに出た意見、子どもたちが制作した作品を展示した。また来場者には、新しい学校にあったらいいアイディアを聞いた。
- 中頓別中学校の1、2年生を対象に、授業の時間を利用してワークショップを開催した。ワークショップは、オンラインで開催し、現状の1日の使い方、理想の放課後の過ごし方などについて意見を聞いた。
- 小学生以上を対象に町民ワークショップ「ミスターダリンと謎の怪人R」を開催し、人生100年時代を生きる上で大事にしたい力について意見交換をした。
- 小中学校の全教職員を対象とした新しい学校づくりに関する説明会と、小中学校の教職員数 名が代表として参加した全2回の「教職員ワークショップ」を実施した。ワークショップでは、新しい学校校舎や教育施設のハード面、新しい学校施設で実現したい空間や活動のアイディアについて意見交換を行った。
- 令和4年8月から、計5回の中頓別学園設置協議会を実施し、新しい学校づくりに関する経緯の説明や教育理念に関わる意見交換を実施した。
- 参加者にとってワークショップは、学校づくりやまちづくりで何を大事にするか、中頓別の良さや価値を見つめ直す機会となった。
参画後の意見調整
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当事者参画で出た意見のまとめは以下のとおり。
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R5年の設計ワークショップでは、重度の身体障害をもつ子の保護者が参加し、寝台の車いすが転回できるトイレがあるといいという意見があった。それを受け、病弱児用の特別支援学級の教室を下記のとおり整備し、ユニバーサルデザイン化を図った。
・トイレに寝台の車いすが転回できる十分な広さを確保
・トイレの近くにシャワーを設置
・教室内を可動式の壁で仕切ることができるようにし、シャワー後に着替え等を行うスペースを確保 - 意見を踏まえ、以下のとおり、教育理念や施設整備のコンセプト等を取りまとめた。
