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障害の特性等の分析とその条件化
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幼児児童生徒一人一人の障害の状態や特性,それに応じ必要となる環境条件等を的確に把握・分析して,幼児児童生徒の快適かつ円滑な学習・生活のために必要な施設機能を設定することが重要である。
特に,複数の障害に対応した施設とする場合は,各々の障害の状態や特性等に配慮した施設機能を設定することが重要である。
また,分校又は分教室を計画する場合は,障害の特性等に配慮した適切な施設機能を設定することが重要である。 |
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教育機器,教材・教具,補助用具等の導入・活用も考慮しながら的確に把握・分析して,教職員や介助者等が指導・介助しやすい環境づくりに必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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(2) |
教育活動の内容分析とその条件化
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多様な学習形態に十分留意した上で,活動の内容や機器等の活用方法を将来の動向も含めて的確に把握し,必要な施設機能を設定することが重要である。
【知的障害に対応した施設】: |
幼児児童生徒の知的発達の状態に応じた指導内容を具体的に分析し,活動集団の構成に留意し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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「個別の指導計画」等の実施など教育活動を具体的に分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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特別活動の具体的な内容については,幼稚園,小学校,中学校又は高等学校との交流及び共同学習の内容も含め十分分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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教育活動に必須の教材や教具等を準備・作成するために必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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(3) |
教育相談・進路指導等に対応する施設機能の設定
教育相談・カウンセリング,生徒指導,進路指導等のために,運営方法及び人的体制等について十分分析・把握し,個人情報保護の観点から情報管理について十分配慮して,必要な施設機能を設定することが重要である。
また,個別相談に対応でき,プライバシーを守ることのできる小部屋を計画することが望ましい。
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(4) |
センター的機能としての施設機能の設定
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就学前の乳幼児相談を含め障害のある幼児児童生徒とその保護者に対する相談支援等や学校教育修了後の障害者に対する相談支援等に関する人的体制,情報提供の方法等について十分検討し,個人情報保護の観点から情報管理について十分配慮して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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地域の小・中学校等の教員に対する支援として,個々の幼児児童生徒の指導に関する助言及び相談のほか,当該幼児児童生徒に対する「個別の指導計画」及び「個別の教育支援計画」の実施方法や支援体制等について十分検討し,必要な施設機能を設定することが重要である。
また,各障害への理解や対応,指導方法等に関する研修の方法等についても十分検討し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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地域の小・中学校等の幼児児童生徒への指導・支援の方法及びその人的体制等について十分検討し,必要な施設機能を設定することが重要である。
また,小・中学校の児童生徒を対象とする通級による指導やいわゆる「巡回による指導」のほか,就学前の幼児や乳幼児に対して行われる指導及び支援の実施についても,小・中学校等との十分な連携を考慮し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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「個別の教育支援計画」の実施方法等について,関係機関等との連絡・調整の方法等も含めて十分検討し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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共通に利用する学習空間機能の設定
各部に共通する活動内容を把握し,利用頻度等に応じ各学年,各教科,各部等の間で共用する施設機能を設定することが重要である。特に,複数の障害に対応した施設とする場合は,相互利用を考慮しつつ,各々の利用にとって妨げとならないよう施設機能を設定することが重要である。
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(6) |
学習・生活支援機器等の活用とその条件設定
学習・生活を支援する各種教材・教具,各種日常生活学習機器,検査機器,補助用具・点訳システム等について,利用方法や機器等の設置形態,収納・管理その他の条件を将来動向も含めて分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。
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(7) |
コンピュータ,視聴覚機器等の活用とその条件設定
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情報化の進展に対応し,コンピュータの利用形態ごとに,機器等の設置形態や利用方法,データの保存方法その他の条件を,将来動向も含めて分析・把握するとともに,視聴覚機器との複合的利用に配慮しつつ学校全体のシステムの在り方を検討し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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視聴覚機器や通信機器等の利用形態ごとに,利用方法や機器等の設置形態,ソフトの収納・管理その他の条件を将来動向も含めて分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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情報ネットワークの整備や情報機器の導入について,適切な安全管理・保守・点検措置を取ることが重要である。 |
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(8) |
学校生活の分析とその条件設定
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通学の手段・形態,上下足の履き替え方式,衣類や持ち物の収納・管理方式,校内の情報伝達方式,食事の場所や方式等について,障害の状態や特性,発達段階等に応じ十分検討し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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体育系及び文化系のそれぞれについて,部活動やサークル活動の種類,数,活動内容,活動場所等を具体的に把握し,必要とする施設機能を設定することが重要である。 |
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(9) |
寄宿舎生活の分析とその条件設定
利用する幼児児童生徒の障害の状態や特性,利用人数等に応じ,学習・生活の実態,日常生活自立への指導,管理体制,防災体制等について具体的に検討し,必要とする施設機能を設定することが重要である。
【病弱に対応した施設】: |
病弱に対応した特別支援学校の寄宿舎では,病院での学習・生活に準じた配慮が必要となることに十分留意することが重要である。 |
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(10) |
入院生活等の分析とその条件設定:【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
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病院等に併置する場合は,病院等内及び学校で行われる学習・生活について,具体的に分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。
なお,病院等との密接な連携の中で,幼児児童生徒の病院等内における学習・生活のために,発達年齢,生活環境,心理状態等についても十分配慮された施設機能が設定されることが望ましい。 |
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病院等からの通学の方法や経路等について,具体的に分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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病院等と学校との間の日常的な打ち合わせ,定期的な会議などの種類や内容等を具体的に分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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(11) |
教職員等施設の機能の設定
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学校の教育目標や運営方針に基づき,中央職員室,各部の職員室,寄宿舎職員室,教員研究室,会議室,休憩室,更衣室,運転手控え室等や事務部門などの構成を検討し,情報・通信機器の導入も含め,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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諸活動を支援する支援員や学生,ボランティア,保護者など教職員以外の当該学校の活動に関与する者の活動状況等を分析・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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(12) |
事務管理・運営のための施設機能の設定
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各部の編制や運営方式に対応した事務管理・運営システムを教職員施設の機能と併せて検討・把握して,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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施設各部の利用状況等に応じた防災システムを確立し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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建物各部,各種設備,植栽等の維持管理等の方針を確立し,具体的な方法を検討・把握して,施設計画・設計に反映させることが重要である。 |
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(13) |
地域における学習活動等に対応するための機能の設定
地域における学習需要を分析し,学校教育に支障を及ぼさないよう配慮しつつ,当該特別支援学校における学習機会や場の提供について,その内容及び方法を検討し,必要な施設機能を設定することが重要である。
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(14) |
地域の諸施設との有機的な連携
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地域における特別支援教育の中核的な役割を踏まえ,各部の学習・生活内容等に応じ,地域内の文教施設との有機的な連携について検討し,必要に応じ,これらの施設との相互利用・共同利用に伴う施設機能を設定することが重要である。 |
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「個別の教育支援計画」の実施に留意しつつ,福祉施設や医療機関等との連携の内容及び方法等について,部ごとに分析・把握して,緊密な連携を可能とする施設機能を設定することが重要である。 |
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高等部において職業教育を主として教育課程を編成・実施する場合は,地域の医療関係施設や高等学校,大学,工業技術教育センター,情報処理教育センター,研究機関等との連携等について十分分析・把握し,必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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他の特別支援学校等を併置する場合は,幼児児童生徒や教職員の生活面における交流等学習・生活における相互の関係について十分検討し,それぞれの学校にふさわしい学習・生活環境の確保に留意し,全体として必要な施設機能を設定することが重要である。 |
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(15) |
室構成の決定
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当該学校に備えるべき施設機能に基づき,敷地の規模や校舎,屋内運動場等の各施設の面積規模を勘案しつつ空間の共用・多目的利用等を検討し,必要な室・空間の種類,数,面積等を適切に決定することが重要である。 |
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特に,学習集団や生活集団の数の増加や規模の変化,多様な編成等に十分留意し,必要な室・空間を確保できるように室構成を決定することが重要である。また,学校の規模や各部の利用状況等に応じ,特別教室の構成を十分に検討し,適切に設定することが重要である。 |
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複数の部がある場合,又は複数の障害に対応した施設とする場合には,共用する施設機能を考慮しつつ,必要な室・空間を確保するよう室構成を決定することが重要である。 |
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幼児児童生徒の障害の状態や特性,人体寸法,動作域に適合した家具の導入について計画することが重要である。 |
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