1 |
共通事項
(1) |
多様な規模,数の学習集団の編制に柔軟に対応することができるよう面積,形状等を計画することが重要である。 |
(2) |
図書,コンピュータ,視聴覚教育メディアその他学習に必要な教材等を集中して配置し,児童の主体的な活動を支える学習・メディアセンター機能を計画することも有効である。 |
(3) |
小規模校等で特別教室の各室を再編し統合する場合においては,統合する各室の機能を確保することができるよう面積,形状等に十分留意することが重要である。 |
(4) |
普通教室,各種特別教室等は,コンピュータ,視聴覚教育メディア等の今後の導入が可能な面積,形状等とすることが望ましい。 |
(5) |
特別教室に付設される準備室は,教科に係る教師の執務及び教材,教具等の収納,管理等に必要な面積,形状等とすることが重要である。 |
(6) |
特別教室等は,クラブ活動や学校開放における利用を考慮し,面積,形状等を計画することが望ましい。 |
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2 |
普通教室
(1) |
多様な学習形態に対応する机,家具などの配置が可能な面積,形状等とするとともに,児童の生活の場としてふさわしく児童にとって魅力ある場として計画することが重要である。また,児童にとって安心して落ち着くことのできる場として計画することも重要である。 |
(2) |
十分な面積の掲示板を壁面等に設けることが重要である。 |
(3) |
必要に応じ水栓,流し等の設備を設置することのできる空間を確保することも有効である。 |
(4) |
低学年用の普通教室は,生活科,図画工作等の教科学習や合科的な内容の学習が行われることを考慮して計画することが望ましい。 |
(5) |
収納棚その他の生活用設備は,児童のための動作空間とともに,教室の周辺部の日常的に目の届く位置に計画することが重要である。 |
(6) |
観察台,展示台などを,児童のための動作空間とともに,窓側等に計画することが望ましい。 |
(7) |
普通教室内でのコンピュータ活用を見通して,情報用のアウトレットやコンセントを設けたり,多様な情報機器が接続可能な設備を計画することが重要である。 |
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3 |
多目的教室
(1) |
学習内容・学習形態等に応じ各種のコーナーを形成したり,各種の机,収納家具等を弾力的に配列し,かつ,収納できるような面積,形状等とすることが重要である。 |
(2) |
多様な学習内容・学習形態に対応するとともに,総合的な学習の活動の場として,個別学習,少人数指導による学習,グループ学習等に対応できる計画とすることが重要である。 |
(3) |
学年,全校等で利用する広い面積の多目的教室を計画する場合は,利用方法等に応じ適宜空間を分割することのできるよう計画することも有効である。 |
(4) |
必要に応じ簡単な観察,実験等が可能となるような水栓,流し等の設備を設置することのできる空間を確保することも有効である。 |
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4 |
特別支援学級関係室
(1) |
特別支援学級関係室の計画に当たっては,児童の障害の状態や特性等に応じ,特別支援学校施設整備指針を準用する。 |
(2) |
周辺環境が学習生活面や安全面へ及ぼす影響が大きいことに留意し,特に良好な環境条件及び十分な安全性の確保に特に留意して計画することが重要である。 |
(3) |
障害の状態及び特性に応じ,各学年段階における各教科指導や,障害の状態の改善・克服を目的とする指導等の多様な学習活動等を円滑かつ効果的に行うことができるような室構成とすることが重要である。 |
(4) |
特別支援学級の普通教室は,多目的教室等との役割分担を考慮しつつ,障害の特性,学習する内容等に応じた多様な指導方法のための各種の机配置が可能な面積,形状等とすることが重要である。 |
(5) |
特別支援学級の普通教室は,音楽,家庭等の教科の実施に必要な設備の設置,収納及び整理のための空間を計画することが重要である。 |
(6) |
特別支援学級の多目的教室は,図画工作における表現活動,体育等における各種運動,障害の状態の改善・克服を目的とする活動等を安全かつ円滑に実施するための活動空間を確保することのできる面積,形状等とすることが重要である。 |
(7) |
特別支援学級の多目的教室は,設備,家具等の設置空間及び教材,教具等を保管するための収納空間を計画することが重要である。 |
(8) |
障害のない児童の交流及び共同学習を行う空間を,普通教室,多目的教室及び生活・交流空間との関連を考慮して計画することが重要である。 |
(9) |
各障害に対応した教室を計画する場合は,以下の点に留意することが重要である。
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言語障害に対応した教室とする場合,正しい構音の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を教室の周辺部に計画することが重要である。 |
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情緒障害に対応した教室とする場合,心理的な不安定さを考慮して,安心してリラックスできる落ち着いた環境を確保することが重要である。また,気持ちを落ち着かせることができる配色や質感に配慮することや,室内に精神的に疲労した時に休養できるスペースを設けることも有効である。
また,自閉症等への対応が必要な場合は,児童が落ち着き,安心して学びやすいよう,外部からの音や視覚的な刺激が制御できる環境を確保することが重要であり,蛍光灯のちらつきに対する過敏に配慮し,可能な限り自然光や白熱灯を選定することが望ましい。さらに,パニック等に十分配慮し,照明器具の防護,飛び出し防止等の安全性を確保するとともに,教室内の各々の区画の果たす機能が見てわかりやすいように整える,いわゆる「教室の構造化」(注)に配慮して計画することが望ましい。
(注)いわゆる「教室の構造化」… |
本指針においていわゆる「教室の構造化」とは,「自閉症等のある幼児児童生徒が見通しを持って円滑に活動するため,家具等により仕切りを設けたり,色分けをしたりすることにより,空間ごとに役割を持たせること」とする。 |
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5 |
通級による指導のための関係室
(1) |
通級による指導のための関係室の計画に当たっては,児童の障害の状態や特性等を踏まえ,必要に応じ,特別支援学校施設整備指針又は前述の特別支援学級関係室の規定を準用する。 |
(2) |
周辺環境が学習生活面や安全面へ及ぼす影響が通常の児童に比較して大きいことに留意し,良好な環境条件及び十分な安全性の確保に留意して計画することが重要である。 |
(3) |
障害の状態及び特性に応じ,障害の状態の改善・克服を目的とする指導や,障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導等の多様な学習活動等を円滑かつ効果的に行うことができるような室構成とすることが重要である。 |
(4) |
個別指導又は小集団による指導のための教室は,障害の特性等に対応する机,家具などの配置が可能な面積,形状等とすることが重要である。また,空間の可変性を確保するため,可動間仕切を設置することも有効である。 |
(5) |
多目的室・プレイルーム等は,障害の状態の改善・克服を目的とする多様な活動を安全かつ円滑に実施するための活動空間を確保できる面積,形状等とすることが重要である。また,これらの活動に必要となる設備,家具等の設置空間及び教材,教具等を保管するための収納空間を確保できる面積,形状等とすることが重要である。 |
(6) |
送迎や相談のために来校している保護者のための控室・相談室を計画する場合は,通級による指導のための教室や外来用玄関との連絡の良い位置に計画するとともに,必要な机,いす等の家具や設備等を配置できるような面積,形状等とすることが重要である。なお,通級する他校の児童及び保護者等の教育相談のための空間として計画することも有効である。 |
(7) |
通級による指導のための管理関係室を計画する場合は,既存の管理関係室との関連を考慮しつつ,事務処理のための机,椅子等の家具や機器等を適切に配置できる面積,形状等とすることが重要である。 |
(8) |
便所は,他校から来校する児童や保護者等の利用状況及び動線を考慮し,利用しやすい位置に男女別に計画することが重要である。 |
(9) |
各障害に対応した教室を計画する場合は,以下の点に留意することが重要である。
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言語障害に対応した教室とする場合,正しい構音の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を教室の周辺部に計画することが重要である。 |
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自閉症又はADHD等に対応した教室とする場合,児童が落ち着き,安心して学びやすいよう,外部からの音や視覚的な刺激が制御できる環境を確保することが重要であり,蛍光灯のちらつきに対する過敏に配慮し,可能な限り自然光や白熱灯を選定することが望ましい。また,パニックや多動・衝動性等に十分配慮し,照明器具の防護,飛び出し防止等の安全性を確保することが重要である。
自閉症に対応した教室とする場合,教室内の各々の区画の果たす機能が見てわかりやすいように整える,いわゆる「教室の構造化」に配慮して計画することが望ましい。 |
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情緒障害に対応した教室とする場合,心理的な不安定さを考慮して,気持ちを落ち着かせることができる配色や質感に配慮することや,室内に精神的に疲労した時に休養できるスペースを設けることも有効である。 |
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弱視に対応した教室とする場合,児童一人一人の見え方や特性等を踏まえ,柔らかな光が得られるよう遮光カーテンや調光器等により室内の照度を適切に調節できるよう計画することが重要である。 |
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難聴に対応した教室とする場合,静寂で落ち着いた環境を整えるため,遮音性・吸音性等に配慮することが重要である。また,発音・発語の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を教室の周辺部に計画することが重要である。 |
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肢体不自由又は病弱等に対応した教室とする場合,車いす等の使用や様々な補助用具を使用しての活動等に対応した面積,形状等とするとともに,体温調節が困難な児童に配慮し,室温等の調節等が可能な空間とすることが重要である。 |
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6 |
特別の支援を必要とする児童のための指導上必要なその他の空間
通常の学級に在籍する情緒障害,自閉症又はADHD等の障害のある児童が落ち着きを取り戻すことのできる小規模な空間は,外部からの音や視覚的な刺激が制御でき,かつ,安全性を十分考慮した面積,形状等とすることが重要である。
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7 |
理科教室
(1) |
実験用机及び必要となる各種設備を編成する集団の数,規模等に応じ適切に配置することのできる面積,形状等を計画することが重要である。 |
(2) |
観察,実験等に用いる器具,材料,教材等を収納するための空間を確保することが重要である。 |
(3) |
2室計画する場合には,総合的な利用も考慮しつつ,分野別に分化させて計画することも有効である。 |
(4) |
実験机等を可動なものとし,流し,ガス栓その他の設備を設置するコーナー等の空間を室内周辺部に配置する計画も有効である。 |
(5) |
観察,飼育・栽培等のためのコーナー等の空間を,日照を得ることのできる位置に確保することが望ましい。 |
(6) |
危険な薬品を安全に保管することのできる空間を準備室内に設けることが重要である。 |
(7) |
地震等による薬品の落下及び薬品棚の倒壊等が起こらないように計画することが重要である。 |
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8 |
生活科のための施設
(1) |
生活科の学習における児童の活動場所は,学校のすべての施設が対象となるため,学校施設全体を生活科の実施に対応する環境として計画することが重要である。 |
(2) |
低学年の学習空間の周辺に,他の学習関係諸室や屋外教育環境施設との役割分担や連携を考慮しつつ,生活科教室や生活科のために準備する教材・教具等を集約配備する室・スペースを計画することが重要である。 |
(3) |
地域の社会環境,自然環境の実態や周辺の地域施設等との連携に配慮して施設・環境について計画することが重要である。 |
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9 |
音楽教室
(1) |
多様な学習活動に対応することができるよう面積,形状等を計画することが重要である。 |
(2) |
視聴覚教育メディアの設置及び保管並びに児童が日常的に利用する楽譜,楽器等の収納のための空間を確保することが重要である。 |
(3) |
2室計画する場合には,総合的な利用も考慮しつつ,機能に応じ,分化させて計画することも有効である。 |
(4) |
良好な音響的環境となるよう空間の形状を計画するとともに,遮音性能についても考慮することが望ましい。 |
(5) |
児童による歌唱,演奏等の発表の場となるようなステージを設けることが望ましい。 |
(6) |
視聴覚教育メディアの操作及び保管並びに多種類の楽器,小道具等の収納等のための空間を準備室内に設けることが重要である。 |
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10 |
図画工作教室
(1) |
表現活動の内容に応じた適切な大きさの可動式の机等を活動しやすい間隔で配置することができるよう面積,形状等を計画することが重要である。 |
(2) |
収納,保管,展示,鑑賞等のための家具等を設置することのできる空間を確保することが重要である。 |
(3) |
平面的な表現に係る学習空間と立体的な表現に係る学習空間は,それぞれ区分するとともに,必要に応じ一体の空間としても利用することのできるような室構成とすることが望ましい。 |
(4) |
工作機械等を,動作空間及び危険防止の防護柵等の設置空間とともに,まとめて設置することのできる空間を確保することが重要である。 |
(5) |
十分な水栓,流し,水切り等を利用しやすいよう設置することのできる空間を確保することが重要である。 |
(6) |
揮発性の高い塗料などを安全に保管し,また,製作途中の作品等を一時的に保管することのできる空間を準備室内等に設けることが重要である。 |
(7) |
附随して戸外に,直接出入りすることのできる,流し等の設備を設けた活動空間を確保することが重要である。 |
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11 |
家庭教室
(1) |
編成する集団の数,規模等に応じ,設備,機器等を必要な間隔で適切に配置することのできるような面積,形状等を計画することが重要である。 |
(2) |
教材・教具の収納空間を児童の動作空間とともに配置することのできる空間を確保することが重要である。 |
(3) |
2室計画する場合には,総合的な利用も考慮しつつ,実習内容に応じ,分化させることも有効である。 |
(4) |
食物に係る実習のための空間については,会食用机を配置することのできる空間を設けることも有効である。 |
(5) |
被服に係る実習のための空間については,作品を展示する空間を確保し,必要に応じ,住居に係る学習を行うことのできる空間を確保することが望ましい。 |
(6) |
必要に応じ被服に係る実習における製作途中の作品等を一時的に保管することのできる空間を準備室内等に設けることが望ましい。 |
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12 |
視聴覚教室
(1) |
将来の機器の更新等を考慮しつつ,各種機器を,それぞれの機能,特性等に応じ,効果的に配置し,利用することのできるよう面積,形状等を計画することが重要である。 |
(2) |
良好な音響的環境となるよう空間の形状等を計画することが望ましい。 |
(3) |
机,機器等の配置に留意しつつ,二重床,床ピット等による配線のための空間を確保することが望ましい。 |
(4) |
各種視聴覚教材の作成,編集及び保管並びに各種視聴覚機器・機材の点検,調整,保管等のための準備室,調整室等の空間を併せて計画することが望ましい。 |
(5) |
視聴覚教育メディアを分散配置する場合は,役割分担を明確にし,相互の連携に留意して計画することが重要である。 |
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13 |
コンピュータ教室
(1) |
将来の機器の更新,増設等も考慮し,コンピュータ機器,机等を利用しやすいよう配置することのできる面積,形状等とすることが重要である。
また,児童の様々な学習活動を支える学習・メディアセンターとしての機能を持たせた計画とすることも有効である。 |
(2) |
準備室は,教材・教具,消耗品等の収納空間を確保するとともに,教師が教材やプログラム作成等を行うことのできる空間を確保するよう計画することが重要である。 |
(3) |
机,機器等の配置に留意しつつ,二重床,床ピット等による配線のための空間を確保することが望ましい。 |
(4) |
必要に応じ,白板の設置を計画することが望ましい。 |
(5) |
コンピュータを分散配置する場合は,利用目的や利用計画を明確にし,相互の密接な連携に留意して計画することが重要である。 |
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14 |
図書室
(1) |
1学級相当以上の机及び椅子を配置し,かつ,児童数等に応じた図書室用の家具等を利用しやすいよう配列することのできる面積,形状等とすることが重要である。 |
(2) |
児童の様々な学習を支援する学習センター的な機能,必要な情報を収集・選択・活用し,その能力を育成する情報センター的な機能,学校における心のオアシスとなり,日々の生活の中で児童がくつろぎ,自発的に読書を楽しむ読書センター的な機能について計画することが重要である。 |
(3) |
司書教諭,図書委員等が図書その他の資料の整理,修理等を行うための空間を確保することが望ましい。 |
(4) |
コンピュータ等の情報機器の導入に対応することができるよう面積・形状,家具等を計画することも有効である。 |
(5) |
資料の展示,掲示等のための設備を設けることのできる空間を確保することも有効である。 |
(6) |
図書を分散して配置する場合は,役割分担を明確にし,相互の連携に十分留意して計画することが重要である。 |
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15 |
特別活動室
(1) |
特別活動の内容に応じ必要な面積,形状等を確保することが望ましい。 |
(2) |
必要に応じ,和室の部分を設けることも有効である。 |
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16 |
教育相談室(心の教室)
(1) |
グループ指導も可能となるよう必要な面積,形状等を確保するとともに,必要に応じ空間を仕切ることができるよう計画することが望ましい。 |
(2) |
児童と教師が個別に相談したり,児童が落ち着いて時間を過ごすための空間として計画することが重要である。 |
(3) |
児童の立ち寄りやすい位置に保健室との連携を考慮し計画することが望ましい。 |
(4) |
指導に必要となる資料等の収納空間を,隣接して又は教育相談室内に確保することが重要である。 |
(5) |
必要に応じ,専門の相談担当者が常時業務に従事したり,アドバイザーを交えた関係者による事例研究ができるよう計画することも有効である。 |
(6) |
不登校児童の居場所としての適応指導教室は,学校内で他の学習空間から独立した場所となるように配置し,暖かい家庭的な雰囲気で個別学習を行うことのできる空間として計画することが有効である。 |
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17 |
放送室
(1) |
児童及び教職員による利用内容等に応じ,必要な空間を確保することのできる面積,形状等とすることが重要である。 |
(2) |
スタジオを計画する場合は,必要な音響的環境を確保することのできる形状,構造等とすることが重要である。 |
(3) |
二重床,床ピット等による配線のための空間を確保することが望ましい。 |
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18 |
教材・教具の作成・収納空間
(1) |
教材・教具及び児童の作品等を,種類に応じ,分類して保管し,管理することのできるような面積,形状等を確保することが重要である。 |
(2) |
必要に応じ各種の教材及び視聴覚教材の作成のための空間を確保することのできるような面積,形状等とすることが望ましい。 |
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