環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進

スーパーエコスクール実証事業委託実施要項

平成24年4月6日

大臣官房長決定

 

  1. 趣旨
     公立学校施設は、建築後25年以上を経過した建物が全体の7割を占めるなど老朽化が急速に進行している状況であり、それら多くの学校施設では高効率照明の導入や断熱化などの環境対策が行われていない状況である。
      また、地球温暖化は世界共通の喫緊の課題であり、我が国においても温室効果ガスの削減は重要な課題となっており、改正省エネ法においても、年平均1パーセント以上のエネルギー消費量低減について対応が求められていることや、昨年6月に改正された「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」(平成十五年法律第百三十号)において、学校施設を環境教育の教材として活用することや、環境への負荷を低減するため、校舎等の施設整備の際に適切な配慮が求められたところである。
      さらに、東日本大震災では、大規模な停電により、多くの避難所で暖房機器等が使用できなくなった中で、太陽熱設備を設けていたことにより、室温を一定に保つことができた例もある等防災上の効果もあったところである。
      こうした状況を踏まえ、公立学校施設においても、省エネの徹底によりエネルギー負荷の低減を図るとともに、学校運営上必要なエネルギーを創エネ、蓄エネ等の技術を適用することで賄い、年間のエネルギー消費を実質上ゼロとするゼロエネルギー化を推進していくことを目指すための実証事業を行う。
  2. 対象施設
     原則として、公立小中学校で、今後改修を行う予定の校舎
  3. 事業の委託先
    以下のいずれかの主体(以下「法人等」という。)に対して委託を行う。
     (1) 地方公共団体
     (2) (1)以外の国内の法人(特定非営利活動法人、民間企業等)
        ただし、(2)の法人が本事業を応募する場合は、計画策定の対象校を設置する(1)の機関(以下「実施協力機関」という。)と連携して実施することを条件とする。
  4. 委託業務の内容
    ○既存校舎のゼロエネルギー化を目指す基本計画を策定する業務
     学校設置者は保有する校舎について、年間のエネルギー消費を実質上ゼロとすることを目指すため、有識者や、教職員、保護者、地域住民など学校関係者、行政関係者が参加するワークショップや研究会などにおける検討を踏まえ基本計画を策定する(計画の対象施設は原則として1つの法人等につき1校とするが、実施結果を他の学校にも普及することについて記載することは可能)。具体的には、現状のエネルギー使用状況(請求書等による把握)などを踏まえ、太陽光発電等の再生可能エネルギーを活用し、効率的・効果的に行うエコ改修の基本計画を取りまとめる。その際、今後取りまとめられる予定の「学校ゼロエネルギー化ガイドライン(仮称)」(国土交通省・文部科学省)など文部科学省より公表されているエコスクールに関する資料などを参考に検討を進めること。

    (参考)文部科学省において公表している資料

     資料名

     資料名

     環境に配慮した学校施設の整備推進のために(平成20年2月)

     環境を考慮した学校施設(エコスクール)の今後の推進方策について(平成21年3月)

     校舎のエコ改修の推進のために(平成21年8月)

     すべての学校でエコスクールづくりを目指して(平成22年5月)

     校舎のエコ改修の推進のために(全国版)(平成22年11月)

     エコスクール推進のためのFAST操作マニュアル(平成23年1月)

     エコスクール 環境を考慮した学校施設の整備推進 エコスクールパイロット・モデル事例集(平成23年2月)

     環境教育に活用できる学校づくり実践事例集(平成23年9月)


    なお、本委託事業の成果は今後整備が行われる全国の学校のモデルとなることも踏まえ、過大とならない適切な工事費※による基本計画を策定するとともに、文部科学省その他を通じ情報発信を行い、事業の成果について幅広く関係者との共有を図る。
     ※「校舎のエコ改修の推進のために モデルプランにおける環境対策のシミュレーション結果(全国版)」(学校施設の環境に関する基礎的調査研究報告書 国立教育政策研究所 文教施設研究センター)等を参照

     策定に係る具体的な条件は、以下のとおり。
    (1)太陽光発電など再生可能エネルギーに著しく依存することなく、採光・通風の確保や照明等の高効率化、窓や外壁等の断熱化などのエコ改修とバランスを図る計画とすること。
    (2)エコ改修後に電気やガスなどのエネルギー源や照明や空調、ボイラーなど主なエネルギー用途毎(ごと)に使用状況が把握可能な計画とすること。また、エコ改修の実施前後における温熱環境等の状況を把握できるものとする。
    (3)スーパーエコスクールとして整備された学校施設が環境教育の教材として活用を図るとともに、地域の環境学習の発信拠点としても活用を図る計画とすること。
     なお、計画した環境教育への活用方法については、文部科学省が別途行う、「環境教育に関する実践発表会」等において報告(中間報告も可)を行うなどの連携を図っていくことも考えられる。
     ※環境教育の実施に当たっては、環境省の環境カウンセラー制度を活用することも有効である。本制度については、環境カウンセラーのHP(http://www.env.go.jp/policy/counsel/)を御覧ください。
    (4)策定した基本計画の実施に要する概算工事費の内訳を作成すること。
    (5)学校設置者の施設担当者によるCASBEE学校及びFASTによる評価結果を活用すること。
     ※1 CASBEE学校
       学校施設における総合的な環境性能評価手法(平成22年9月文部科学省)
      ※2 FAST 
       学校施設のCO2削減設計検討ツール(Ver.2)(平成24年5月(予定)国立教育政策研究所)
     なお、基本計画策定後の工事については、学校施設環境改善交付金の「太陽光発電等の整備に関する事業(仮称)(算定割合2分の1)」や「大規模改造(老朽エコ改修)事業(算定割合3分の1)」等の国庫補助の活用により、原則、予算の範囲内とするものの、工事を実施する時点の補助制度に基づき、地方公共団体の要望する設計費・工事費について、優先的に支援を得ることができる。また、エコスクールパイロット・モデル事業を活用して取り組むこともできる。なお、設計及び工事に要する標準的な期間として、基本計画策定後の翌年度から2か年を原則とする。
  5. 実施体制
    ・本事業の実施に当たり、教育委員会の学校施設担当者、教職員、有識者、学校施設のエコ改修について専門的な知識を有する設計実務者の関係者等から構成される実施委員会を置く。
    ・実施委員会は、テーマについて、実施方法の検討、課題整理、具体的な計画の検討、事業に対して指導・助言等を行う。
    ・事業の委託先が「3.事業の委託先」の(2)の場合は、事業の実施のための必要な実施協力機関を指定する。
  6. 委託期間
     事業委託期間は、委託を受けた日から平成25年3月29日までとする。
  7. 委託手続
    (1)法人等が事業の委託を受けようとするときは、別紙1の委託事業計画書を文部科学省に提出すること。
    (2)文部科学省は、上記により提出された委託事業計画書の内容を検討し、内容が適切であると認めた場合、法人等に事業を委託する。
  8. 委託経費
    (1)文部科学省は、予算の範囲内で「2.委託業務の内容」に要する経費(人件費、諸謝金、旅費、借損料、印刷製本費、消耗品費、会議費、図書購入費、通信運搬費、雑役務費、消費税相当額、再委託費、一般管理費)を委託費として支出する。
    (2)文部科学省は、委託を受けた法人等が委託要項若しくは委託契約書の定めに違反したとき、委託事業の遂行に当たり不正若しくは不当な行為をしたとき、又は、委託事業の遂行が困難であると認めたときは、委託の解除や経費の全部、又は一部について返還を命じることができる。
  9. 事業完了の報告
     委託を受けた法人等は、委託事業が完了したとき(事業を中止したときを含む)は、別紙2の委託事業完了(中止)報告書を作成し、終了した日から30日を経過した日、又は当該事業年度末日のいずれか早い日までに、文部科学省に提出すること。
  10. 委託費の額の確定
    (1)文部科学省は、上記8により提出された委託事業完了報告書について調査及び必要に応じて現地調査を行い、その内容が適正であると認めたときは、委託費の額を確定し、法人等へ通知するものとする。
    (2)上記(1)の確定額は、事業に要した実支出額と委託契約額のいずれか低い額とする。
  11. その他
    (1)文部科学省は、法人等における委託事業の実施が当該趣旨に反すると認められるときには、必要な是正措置を講ずるよう求める。
    (2)文部科学省は、委託事業の実施に当たり、法人等の求めに応じて指導・助言を行うとともに、その効果的な運営を図るため協力する。
    (3)文部科学省は、必要に応じ、委託事業の実施状況及び経理処理状況について、実態調査を行うことができる。なお、文部科学省は、委託事業への助言や事業実施後の情報収集等について、国立教育政策研究所の協力を得るものとする。
    (4)法人等は、委託事業の遂行によって知り得た事項についてはその秘密を保持しなければならない。
    (5)本事業の実施に伴い発生した著作権(著作権法(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定する全ての権利を含む。)は、原則として文部科学省に帰属させるものとする。
    (6)本要項に定める内容以外の具体的な事務手続等については、「大臣官房文教施設企画部委託事業実施要領」による。
    (7)この要項に定める事項のほか、本事業の実施に当たり必要な事項については、別途定める。

 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設助成課

技術係
電話番号:03-5253-4111(内線2051)

(大臣官房文教施設企画部施設助成課)

-- 登録:平成25年02月 --